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平成30年(2018年)12月4日更新

平成30年第四回都議会定例会 知事所信表明

平成30年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。

ただいま、古賀俊昭議員は、栄えある永年在職議員表彰をお受けになりました。都政の発展に尽くされた25年間のご功績に対しまして、深く敬意を表しますとともに、心からお喜びを申し上げたく存じます。なお、都議会議員候補としての最初の公認作業は私自身が担当させていただきましただけに、今のお祝いのことは、しっかりと受け止めさせていただきたいと存じます。

今般、水道局が公正取引委員会の行政調査を受けましたことは、知事として重く受け止めております。当該調査は現在も続いておりますが、都としても「調査特別チーム」を設置して集中的に調査を進め、先日、その「中間報告書」を公表いたしました。職員が情報を漏洩した事実が認められたことは、都政への信頼を損なう重大な事態であり、都議会の皆様、都民の皆様には、心よりお詫びを申し上げます。今後、全庁を挙げて速やかに再発防止策に取り組むとともに、職員一人ひとりが「全体の奉仕者」としての原点に立ち返り、職責を全うすることで、都民の皆様の信頼回復に努めてまいります。

1 はじめに

東京と日本の成長を止めてはならない

江戸が東京と改称されてから150年となる節目の年も、残り僅かとなりました。東京は、さらなる未来への新たな一歩を踏み出そうとしております。この機を捉え、これからの東京が首都としていかなる役割を果たしていくべきか、改めて胸に刻まなければなりません。
昨今、首都・東京のあり方を巡り、資源の集積が地方の活性化を阻害している主因であるかのような議論が繰り返されております。しかし、例えばイギリスでは、リーマンショックを契機に経済が低迷したものの、オリンピック・パラリンピック開催に向けた投資等により、ロンドンの都市力が大きく向上し、その経済効果が地方にも広がることで、一国の経済は早期の回復を見せました。その後も、ロンドンが経済を牽引し、イギリスは着実な成長を続けております。都議会各会派の皆様にもご参加いただきました、「東京と日本の成長を考える検討会」の報告書でもご指摘がありましたように、「首都の発展・国際競争力の強化が、国全体の経済成長に繋がった好例」であり、まさしく、東京及び日本が倣うべきモデルであると思います。
世界経済は今、米中の貿易摩擦等を背景に、国際通貨基金による最新の見通しが2年3か月ぶりに引き下げられるなど、不透明さを増しております。我が国の国内総生産の直近の速報値もマイナスとなっており、一時的な後退との見方もあるものの、不安定な海外の経済情勢に鑑みますれば、決して楽観はできません。ましてや今後、人口減少や高齢化が益々進む中にあっては、これまで我が国の経済を牽引してきた東京が力を削がれることで、日本の成長を止めるわけにはいかないのであります。

首都として為すべきことを為す

こうした危機感の下、東京は首都の使命として、「稼ぐ力」を強化し、全国との共存共栄を図りながら、我が国の発展を主導してまいります。そのためには、働き方改革の推進による生産性の向上、待機児童対策をはじめとする女性活躍の推進、高齢の方々や障がいのある方々が意欲と希望に応じて働くための支援など、誰もが、「人」と「人」との繋がりの中で力を発揮できる環境を築き、東京の活力を高めることが欠かせません。また、大規模地震に加え、年々激しさを増す豪雨や猛暑への対応として、防災事業や気候変動対策を一層進化させることで、都民の安全・安心を守るとともに、政治経済の中枢としての首都機能を強靭化することも求められています。さらには、熾烈な国際競争に打ち勝つための成長戦略の展開、それを支える交通・物流ネットワークの形成など、東京がこれからも日本の発展を牽引していくために進めるべき施策は、枚挙にいとまがないのであります。
これらはまさに、私が目指す「セーフ シティ」「ダイバーシティ」「スマート シティ」の実現に向けた取組に他なりません。3つのシティを築く道しるべである「2020年に向けた実行プラン」につきましては、社会情勢の変化に的確に対応して、「重点政策方針2018」に掲げた新たな戦略を具体化するため、政策のさらなる強化を図っているところであります。また、機能的かつ効果的な政策遂行に向けた「2020改革」につきましては、「見える化改革」による各局主要事業の点検・評価が概ね完了したところでありまして、今後は、これらを踏まえた改革を具体的に実践・実行していく段階となります。引き続き、都民ファーストの視点による事業展開や賢い支出の徹底のため、手を緩めることなく改革に邁進をしてまいります。このほか、都政改革におきましては、公園や動物園など多くの都民が利用する施設におきまして、利用者目線によるサービス改善を進めるとともに、都庁グループの一員としての監理団体につきましても、そのあり方の見直しなど、戦略的活用に向けた取組を推進をしてまいります。
都民のため、東京のため、そして、首都として日本全体のため、為すべきことを為す。これこそが、都政に臨む私の基本姿勢であると、改めて申し上げておきます。

「地方自治の力」が真の地方創生を実現

だからこそ、東京を標的とした税制度の見直しは、断じて認めることはできません。日本経済の牽引役である東京には、これからも、インフラの強化など、日本全体の活性化に繋がる効果的な投資が必要であります。また、東京の高齢者人口は、2025年には324万人と、今後僅か7年で16万人増加し、その後も世界に例を見ない規模と、そして速度で増えることから、高齢の方々が安心して暮らせるための施策に着実に取り組むことも欠かせません。こうした東京の将来を見据え、都は、事業評価の徹底によりこの2年で約1600億円の財源を確保するなど、不断の見直しで健全な財政運営を確立してまいりました。まさしく努力の賜物である東京の財源を標的とするということは、東京の「稼ぐ力」を削ぎ、日本全体にとってもマイナスとなる行為であるとともに、地方自治体による行財政改革を軽視するものであります。
もとより、国が謳う地方創生の重要性につきましては、都としても異論はございません。しかし、我が国が真に地方創生を目指すのであれば、東京を含む地方が、それぞれの実情や住民の声を踏まえ、まさに「地方自治の力」で地域を活性化できますよう、地方税財政制度を抜本的に改革し、地方の権限と財源の拡充を図るべきではありませんか。
地方自治の強みは、地域の活力を生む住民の声を、実効性のある施策へと繋げられることであり、例えば都におきましても、予算編成に向けた都民や大学研究者による事業提案制度、あるいは、東京の課題解決等を目指した大学との定例懇談会などを実施をいたしております。地方自治体と住民が協働し、「知」を結集して発揮する自治の力を、最大限に活かしていく。その先にこそ、活力ある地域を築く地方創生も、それを基盤とした我が国の持続的な発展も、初めて実現できるのであります。

共存共栄する地方こそ、日本の持続的成長を牽引

そうした観点から、東京は、真の地方創生に向けて他の地方と共に知恵を絞り、それぞれの個性や強みを活かして共存共栄を図ることで、日本経済全体のパイの拡大を目指してまいります。都はこれまで、東京2020大会を契機とした全国の中小企業の受注機会の拡大、東京と各地を結ぶ観光ルートの設定、都内のアンテナショップと連携した各地の魅力発信など、全国との共存共栄に向けた具体的な取組を様々展開をしてまいりました。私が提案し創設されました全国知事会のプロジェクトチームにおきまして、現在、45の都道府県で進めている国産木材活用の取組も、その一例であります。これらの取組もきっかけとしながら、「地方こそが、自らの権限と財源で活力ある地域社会を築いて、日本の発展を牽引していく」という気概を、今一度、全国の自治体と共有したいと存じます。
この間、政府・与野党の幹部の方々を数多く訪問し、地方税財政制度に対する都の考え方を直接お伝えをしてまいりました。先月には、その考え方を「都の見解」としてまとめ、広くアピールするとともに、与党税制調査会幹部や国会議員の方々にも改めて要請を行うなど、都議会の皆様、区市町村の皆様と共にオール東京で、さらには大阪府などとも連携をいたしまして、このたびの税制度の見直しに断固たる反対を訴えてきたところでございます。東京、そして日本の成長を、決して止めてはなりません。税制の議論は大詰めを迎えておりますが、日本の将来を踏まえまして、国には是非とも賢明なるご判断をいただきたいと存じます。

2 我が国の玄関口として日本経済を牽引する東京

世界に目を向けますと、活力溢れる都市の勢いはとどまるところを知りません。群を抜く都市力を誇るロンドンやニューヨークはもとより、アジアにおきましても、北京、上海、深圳等では「ユニコーン」と呼ばれるベンチャー企業が数多く勃興し、新たな価値を次々と生み出しながら、都市の躍進を主導しております。激化するばかりの都市間競争の中、我が国の玄関口として世界からヒトとカネを呼び込み、日本経済を牽引していくため、東京は、世界を見据えた成長戦略を果敢に展開をしてまいります。

アジア・ナンバーワンの国際金融都市に向けて

東京の重要な成長戦略の一つが、昨年発表いたしました「国際金融都市・東京」構想であります。その一環として新たに創設した「東京金融賞」は、都民のニーズに応える画期的な金融サービスの開発や、ESG投資の普及に秀でた事業者を表彰し、東京の金融をさらに活性化する取組であります。今後、有識者による審査を経て、来年2月に表彰を実施してまいります。
先のロンドン出張では、伝統ある金融街、シティ・オブ・ロンドンの協力の下、官民が連携して、アジアの金融拠点としての東京を強くアピールをいたしました。シティのトップであるロードメイヤーとの会談では、職員派遣を通じたさらなる連携強化にも合意したところでございます。引き続き、来年度には官民一体の金融プロモーション組織を立ち上げまして、海外の金融系企業の誘致を一層加速するなど、アジア・ナンバーワンの国際金融都市に向けた施策を、スピード感を持って展開をしてまいります。

東京の成長に欠かせない中小企業の活性化

東京の持続的な成長には、経済と雇用を支える中小企業の活性化が欠かせません。有識者や関係団体代表等の皆様による現場に根ざした議論を踏まえ、その基本理念や施策の方針を明らかにした「中小企業・小規模企業振興条例」を、本定例会に提案いたしております。中小企業の重要性を踏まえた取組の推進や、多様な機関との連携などを理念といたしまして、都の責務として、効果的な施策を総合的に実施をしてまいります。
そして、その具体的な羅針盤となるのが、同じく有識者等の皆様にご検討いただいた「中小企業振興に関する中長期ビジョン(仮称)」であり、先月、その「中間まとめ」を公表いたしました。ビジョンが目指すべき姿を明確にし、その実現に向けた意欲的な数値目標を掲げております。年明け1月の策定に向けまして、引き続き様々なご意見を踏まえながら、内容に磨きをかけてまいります。

革新的な技術を東京の力に変える

画期的なイノベーションを生み出すベンチャー企業の発展や、絶えず進化する先端技術の実用化に向けた取組も、着実に進めてまいります。
先週、決勝大会を開催した国内最大級のビジネスプランコンテスト、「TOKYO STARTUP GATEWAY」は、起業を目指す若手が、都の支援の下で、自らのプランを磨きながら競い合う点を特徴としており、世界に通用する数多くの起業家の誕生に繋げたいと存じます。また、ベンチャーの持つ有望な技術を医薬品や治療方法の開発に活かすという観点から、今年度より、自治体初となる創薬系ベンチャーの育成支援を開始するなど、幅広い分野で起業・創業を力強く後押しをしてまいります。
社会における先端技術の実用化に向けましては、多摩地域においては、多摩ニュータウンでの自動運転バスの運行、島しょ地域におきましては、観光振興を見据えた三宅島での自動運転車両の運行、それぞれ実施するほか、都営地下鉄駅でのロボットによる案内・警備など、多様なフィールドで実証実験を進めてまいります。また、ロンドンでは、サディク・カーン市長から、民間と連携したオープンデータの活用事例を伺ったところでございますが、都におきましても、行政や民間が有するデータの分析・予測等により、都市運営における実効性の高い施策の展開に繋げてまいります。先月、政府の未来投資会議等が示した経済政策の方向性では、AIやロボット、ビッグデータといった技術革新を取り入れて、労働生産性の向上を図る新たな社会、「Society5.0」の実現が、成長戦略の柱の一つとして位置づけられました。都は、ただいま申し上げましたような多彩な取組によって、革新的な技術が秘める無限の可能性をどんどん引き出し、我が国が目指すべき新たな社会の実現を先導してまいりたいと思います。

豊洲市場の開場

去る10月11日、新たな都民の台所となる豊洲市場が開場いたしました。築地からの大規模な移転を整然と進めていただいた市場業者の皆様、円滑な開場にご協力をいただいた地元の皆様をはじめ、全ての関係者の方々に改めて感謝を申し上げます。開場後の市場の運営は概ね順調であり、先月、暫定開通した環状第2号線におきましても、概してスムーズな交通が確保できております。私も現地を二度訪れ、業者の皆様の強い意気込みや、それを象徴する新市場の大いなる活気を感じてまいったところでございます。引き続き、業者の皆様、地元の皆様と共に、豊洲ブランドの確立や賑わいの創出に取り組んで、時代の変化にも柔軟に対応しながら、東京・日本の成長の一翼を担う中核市場へと育ててまいります。
また、東京のさらなる魅力向上のための新しい役割が期待される築地におきましては、現在、まちづくり方針の検討を進めておりまして、今後、広く都民の皆様のご意見を伺った上で、年度内に取りまとめる予定でございます。立地に恵まれた築地のポテンシャルを活かして、東京の持続的な成長へと繋げていけますよう、新たなまちづくりの具体化を図ってまいります。

ゼロエミッション東京を目指した気候変動対策の強化

持続可能な東京を実現するためには、金融、経済のみならず、環境分野におきましても世界をリードしなければなりません。一昨日より、パリ協定のルール決定を目指すCOP24が始まるなど、脱炭素社会に向けた国際的な気運が高まる中、東京はゼロエミッション都市の実現を目指して、「さらなる省エネルギー」と「再生可能エネルギーの利用拡充」を軸といたしまして、気候変動対策の強化を進めてまいります。
2010年度の開始以来、着実に成果を上げている「キャップアンドトレード制度」につきましては、2020年度からの新たな計画期間において、オフィスビル等におけますCO2削減義務率を引き上げるほか、再エネ電力の利用拡大に向けた新たなインセンティブを導入し、制度の進化を図ってまいります。また、中小規模事業所のCO2排出量や省エネ対策の報告を求める制度におきましては、優良な企業を公表するとともに、再エネ利用状況の報告を新たに義務付けることで、企業の取組を一層促進してまいります。さらに、大規模建築物の省エネ性能を評価する制度では、最高ランクとなる「ゼロエネルギー・ビルディング」の基準を新設をし、評価対象も拡大するなど、建築物のさらなる省エネルギーを図ります。
いずれの制度も、都民の皆様のご意見を踏まえた上で、2020年度からの実施を目指してまいります。

3 東京のエナジーである「人」が輝くために

東京のエナジーである「人」が輝き続けられるよう、引き続き、誰もがいきいきと活躍できる都市を築く施策を、幅広く進めてまいります。

「人」の安全・安心を守る

補正予算による対策のスピードアップ

安全・安心は、「人」が輝く大前提であります。緊急性の高い防災事業や、この夏の災害級の猛暑を踏まえた暑さ対策のスピードアップを図るべく、本定例会に補正予算案を提案いたしました。
本予算案によりまして、区市町村立・私立の学校及び民間による、安全性に課題のあるブロック塀の撤去や、木製の塀の設置等を支援をいたします。また、災害対応の拠点となる区市町村庁舎につきまして、非常用電源の確保のための補助を行います。さらに、災害時の避難所ともなる、区市町村立学校の体育館への空調設置を促進するほか、東京2020大会に向けた暑さ対策を集中的かつ効率的に実施するべく、監理団体を活用した対策チームを立ち上げます。なお、体育館への空調設置につきましては、断熱工事や設計費も補助の対象とするとともに、来年度当初予算において、リースによる対応についても支援したいと考えております。
都民の皆様の命を守るため、時機を逸することなく、かつ、現場の実態を十分に踏まえまして、効果的な施策を講じてまいります。よろしくご審議のほどお願いをいたします。

安全・安心なまちづくりのために

いつ起きてもおかしくない地震から、首都機能を守る。そのために、震災時の復旧活動の大動脈となる特定緊急輸送道路の沿道建築物については、耐震化を推進する条例に基づいて、所有者による耐震化を後押しをしております。現在、8割を超える建物が耐震性を満たしておりますが、今後、さらなる促進を図るべく、テナントなど建物の占有者の責務等を新たに定める条例改正案につきまして、来年の第一回定例会への提案を目指してまいります。
木造住宅密集地域につきましては、住民が、「人」と「人」の繋がりであるコミュニティを維持しながら転居できる、魅力的な移転先を整備することで、不燃化を加速してまいります。その第一弾として、先月、足立区の江北地区における事業実施方針を公表し、年度内には、同じく関原地区の実施方針をお示しする予定としております。各地域の実情を踏まえた創意工夫を凝らしながら、引き続き、市街地の不燃化や延焼遮断帯の形成を着実に推進してまいります。
また、今後急増する老朽化マンションの適正な管理の促進も、安全・安心なまちづくりには欠かせません。その鍵となるマンションの管理組合の機能強化に向けましては、3月に設置した有識者検討会において幅広く議論をいただき、先週、制度の枠組みにつきまして最終報告を受けたところでございます。この内容を踏まえまして、取組を推進するための新たな条例案の検討を進め、同じく第一回定例会への提案を目指してまいります。

都民の就労を応援する新たな条例の検討

あらゆる「人」が社会で活躍できる環境こそ、これからの東京の活力の基盤であります。とりわけ、就労について様々な要因から困難を抱える方々を社会全体で包み込んで、雇用環境を整備していくことが欠かせません。こうした「ソーシャル・インクルージョン」の考え方に基づいて、全ての都民の就労を応援する新たな条例の制定を目指し、先週、有識者会議を立ち上げ、就労支援のあり方について議論を開始いたしました。誰もが希望や個性に応じて就労し、活気みなぎる東京の実現に向けまして、引き続き多様な視点から検討を進めてまいります。

未来に輝く「人」を育む

次に、未来に輝く「人」を育む取組についてでございます。子供たちの読解力向上をテーマとした8月の総合教育会議の議論を踏まえまして、先月、教育委員会において、AI時代に益々重要となる読解力や自ら学ぶ力を高めるためのプロジェクトを立ち上げました。効果的な指導方法について、専門家や現場の知見を基に精力的に検討をし、東京発の新たな教育プログラムを創り上げていただきたいと存じます。
また、来週13日には、今年度2回目の総合教育会議を開催いたします。教育の質の向上と教員の負担軽減の両立を図るため、地域の高齢者や教員OBの力を学校に活かす取組をテーマとして、魅力的で多彩な学びの提供、待ったなしの課題である教員の働き方改革へと繋がるよう、議論を深めてまいります。なお、教員の働き方改革につきましては、このほかにも多様な取組を複合的に行っていくことが重要でありまして、そのための新たな仕組みについても検討を進めてまいります。
都立高校改革につきましては、来年度からの3年間の展望を示す「新実施計画(第二次)」の骨子を、先月公表いたしました。東京の産業を支える「マイスター」の育成、理数教育の充実に向けた「理数科」の設置や大学との連携など、生徒・保護者に選ばれる学校づくりに向けた取組をまとめております。引き続き教育委員会において、来年2月の策定に向けて、検討を重ねてまいります。

子供たちを虐待から守る

痛ましい虐待から子供たちを守るため、検討を進めております都独自の条例案につきましては、9月に公表した「基本的な考え方」に対する都民や区市町村からの意見も踏まえまして、先週、骨子案を公表したところでございます。
社会全体で子供を守るとの基本理念の下、保護者の責務として体罰等の禁止を明確に定めるなど、虐待の未然防止を図ってまいります。また、早期の発見・対応に繋げるため、発見者が通告しやすい環境づくりや、関係機関の連携強化を進めてまいります。さらに、虐待を受けた子供への的確な支援や、その保護者への必要な指導及び支援、児童相談所の適切な運営体制を確保するための人材育成など、子供の権利利益の擁護と健やかな成長に寄与するべく、幅広い内容を盛り込んでいるところでございます。引き続き、本案に対する都民の皆様のご意見を伺いながら、第一回定例会への条例案提案に向けて、丁寧に検討を進めてまいります。

都民の憩いの場の創出

誰もがいきいきと暮らせる都市の実現には、豊かな自然や多彩な文化に触れられる憩いの場の創出も欠かせないところであります。

葛西海浜公園のラムサール条約湿地登録

都心に近接しながら、冬場には2万羽以上の水鳥が飛来する葛西海浜公園は、10月に都内で初めて、ラムサール条約に基づく国際的に重要な湿地に登録をされました。世界の湿地が減少傾向にある中での登録は大変貴重であり、これを機に、都民の皆様に東京の水辺にもっと親しんでいただくとともに、東京2020大会のカヌー・スラロームセンターが隣接する立地を活かしまして、都市と自然が調和する東京の魅力を広く世界へ発信をしてまいりたいと存じます。

「日比谷公園グランドデザイン」の策定

豊かな緑や文化施設を有し、都心のオアシスとして親しまれる日比谷公園は、開園から115年を迎えた今、そのポテンシャルを最大限に発揮して、多様化する利用者ニーズに応えていくことが求められます。今後の公園のあり方につきましては、これまで、有識者を交えた検討会で議論を重ねてまいりましたが、今月には「日比谷公園グランドデザイン」として、その目指すべき将来像を明らかにしてまいります。
現在公園では、東京2020大会を見据え、バリアフリー化や大音楽堂の改修を進めておりまして、先月には、大会気運を高めるとともに、新たなライフスタイルを発信する「SPORTS STATION & CAFE」をオープンいたしました。今後、グランドデザインも踏まえながら、東京のセントラルパークとしてのさらなる魅力向上を図ってまいります。

4 オリンピック・パラリンピックのレガシーによる都市の成熟化

東京2020大会を契機に、東京を持続的な成長とさらなる成熟化へと導くためのレガシーの構築に向けまして、具体の取組を加速してまいります。

働き方改革の推進と交通混雑の緩和

テレワークや時差ビズといった働き方改革を一層推進し、社会全体のムーブメントへと高めていくことで、東京の成長の鍵となる生産性の向上や多様な人材の活躍に加えまして、大会期間中の交通混雑緩和にも繋げてまいります。10月、都内の金融機関等7団体と、働き方改革の推進に向けました連携協定を締結をいたしました。先週には、都内企業を対象として、テレワーク推進に向けたセミナーを共に開催したところでございまして、中小企業の経営を支える金融機関等と強力に連携をしながら、多くの企業に働き方改革への賛同の輪を広げてまいります。
時差ビズにつきましては、現在、約900社にご参加いただいており、先週、優れた取組を行った企業を表彰いたしました。来月下旬からは、新たに冬の時差ビズも開始をし、今年度の目標である1千社の参加の達成と、新たな常識としての時差ビズの定着を目指してまいります。
大会中の交通混雑緩和に向けましては、10月に「大会輸送影響度マップ」を公表して、交通対策を何ら行わなかった場合に生じる道路・鉄道等への影響をお示しをいたしました。今後は、交通量の抑制や分散などを行う交通需要マネジメントの推進に向けて、企業等の皆様に具体的な準備を進めていただく段階となります。先週からは、その加速のため、セミナー・相談会を開始をいたしました。円滑な大会運営と経済活動の維持の両立に向けまして、引き続ききめ細かな対応を図るとともに、九都県市でも連携をして、広く協力を呼びかけてまいります。

誰もが利用しやすい宿泊環境の実現

大会開催とその先の一層の高齢化を見据え、誰もが利用しやすい宿泊環境を民間の皆様と共に実現すべく、新たな取組を進めてまいります。
まずは、車いすを使用される方をはじめ、多くの方々が客室を利用しやすくなるよう、全国で初めて、新築・増築等を行う一般客室のバリアフリー基準を条例に定めたいと存じます。先般実施したパブリックコメントの結果を踏まえまして、第一回定例会への提案を目指してまいります。
また、視覚や聴覚に障がいのある方や高齢の方などに配慮した客室の仕様を、「福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル」に記載するほか、宿泊事業者向けの補助拡充の検討や、セミナー開催等による気運醸成を進めてまいります。さらに、バリアフリー化された客室情報の「見える化」を推進するなど、全ての人が快適に宿泊できる「OPEN STAY TOKYO」を実現すべく、多面的に施策を展開をしてまいります。

開催都市・東京の顔となるボランティア

大会成功に向け、その力が欠かせない大会ボランティア及び都市ボランティアにつきましては、共に今月21日まで募集をしておりまして、幅広い世代の方々にご応募をいただいております。都市ボランティアの応募数は、本日、2万人を超えました。引き続き、多くの方々にご応募いただくことを期待をいたしております。アスリートと並ぶ大会の主役といたしまして、また、開催都市・東京の顔としてご活躍いただくことは、一人ひとりの心にも大きなレガシーを遺すことになると存じます。世界中から訪れる方々に東京の「おもてなし」を実感していただき、まさしく記録と記憶に残る大会となるよう、ボランティアの皆様と共に力を尽くしていきたいと存じます。

パラスポーツ振興のための多面的な取組

10月、インドネシアで開催されたパラスポーツの総合大会、アジアパラ競技大会では、過去最多のメダルを獲得するなど、日本選手が素晴らしい活躍を見せてくれました。選手の皆さんに心から敬意を表するとともに、2020年に向けたさらなる飛躍にも期待したいと存じます。
今月末、パラリンピック全22競技を楽しめる体験型イベント、「チャレスポ!TOKYO」を開催をいたします。バーチャルリアリティを活用したダイナミックな競技体験など、新たなプログラムも取り入れておりまして、パラスポーツの魅力を多くの都民の皆様に体感していただきたいと存じます。
先月には、パラアスリートを支える指導者や理学療法士等を「東京パラスポーツスタッフ」として認定をいたしまして、その活動環境の改善と、アスリートの競技力向上に繋げる取組を開始をいたしました。世界で初めて2回目の夏季パラリンピックを開催する成熟都市といたしまして、引き続き多様な取組で、パラスポーツの一層の普及を図ってまいります。

文化の祭典としての大会の盛り上げ

先のパリ出張では、アンヌ・イダルゴ市長との間で、共に開催を控えるオリンピック・パラリンピックの成功をはじめ、環境、文化、観光といった様々な分野での連携強化につきまして合意をいたしました。文化面では、アートとエコが融合する風呂敷をテーマとしたイベントをパリ市庁舎前で開催するなど、世界に冠たる東京の文化を広く発信する機会ともなり、2020年に向けて注目を集める東京への関心を、さらに高めることができたと、このように考えております。
先月には、大会に向けた文化プログラム「Tokyo Tokyo FESTIVAL」をさらに加速するべく、世界の人と文化が行き交う羽田空港におきまして、プロモーションイベントを実施をいたしました。引き続き国内外への発信を強化するとともに、都内自治体によります文化事業との連携を深めるなど、大会を文化の面からも大いに盛り上げてまいります。

ラグビーワールドカップ2019への期待を高める

ラグビーワールドカップ2019に向けましては、先日、世界最強と称されるニュージーランド代表とのテストマッチにおきまして、日本代表が健闘し、試合会場である味の素スタジアムはもとより、有楽町で開催した応援イベントも大変盛り上がりました。都内各地でも多彩なPRを展開をしておりまして、開幕まで290日となったワールドカップにおける、世界トップレベルの熱戦への期待を、東京中で高めてまいります。

5 東京と日本の成長を止めてはならない

さて、「日本資本主義の父」と言われた実業家・渋沢栄一翁は、東京商工会議所をはじめ多様な企業の設立に携わる一方で、困窮者や孤児等の保護施設として、当時の東京府・東京市が運営した養育院の院長を半世紀にわたり務めるなど、約600もの社会貢献活動に尽力されました。現在国連では、「誰一人取り残さない」社会に向けた国際的な目標として「SDGs」を掲げておりますが、渋沢翁はまさに、今から100年以上も前の東京において、そうした取組をすでに実践をしていたと言えると思います。
その渋沢翁が遺した言葉、次のような一節がございます。
「我も富み、人も富み、しかして国家の進歩発達をたすくる富にして、はじめて真正の富と言い得る。」
この言葉になぞらえれば、東京が目指している「富」とは、東京も、その他の地方も共に栄え、日本全体が持続的に発展していくための「富」であります。そのような、まさしく「真正の富」を獲得し、日本経済全体を拡大していく。そのために、都は、創意工夫を凝らして「人」の活力を高めながら、世界の都市間競争に挑み、全国との共存共栄の取組を進めてまいります。都議会の皆様、都民の皆様のご理解、そしてご協力を賜るとともに、国には改めて、広い視野に立った大局的な判断をいただきますようお願いしたいと存じます。

今一度申し上げます。
「東京と日本の成長を止めてはならない」と。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案1件、条例案21件など、合わせまして36件の議案を提案をいたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わりとさせていただきます。
ご清聴、誠にありがとうございました。

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