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平成28(2016)年9月28日更新

平成28年第三回都議会定例会知事所信表明

このたび、東京都知事に就任いたしました小池百合子でございます。
平成28年第三回都議会定例会の開会に当たり、都政運営に対する所信の一端を申し述べさせていただきます。

冒頭からではございますが、まずは豊洲市場への移転問題についてであります。築地市場から新天地・豊洲への移転については、長年各党、各会派が汗を流してこられたことは私も承知をいたしております。当の市場関係者も事業の存続をかけ、悩み、考え、移転へのご協力を賜ってまいりました。しかし、豊洲市場の移転に関する一連の流れにおいては、都政は都民の信頼を失ったと言わざるを得ません。「聞いていなかった」「知らなかった」と歴代の当事者たちがテレビカメラに答える姿に、多くの都民は嘆息をもらしたことでありましょう。
この失った信頼を回復するためには、想像を超える時間と努力が必要であります。責任の所在を明らかにする。誰が、いつ、どこで、何を決めたのか。何を隠したのか。原因を探求する義務が、私たちにはあります。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックという大事業を控えている今だからこそ、今後このような事態を繰り返さないために、何をすべきなのかと真剣に議論をしなくてはいけません。徹底した情報の公開も必要であります。組織全体の体質や決定の方法に問題があるとすれば、今こそ、それを変えなければいけないと考えます。むしろ、新しい都政に対する期待に大転換するチャンスとしたい。
常に目的は、「都民ファースト」の都政の構築にあります。それは、私の信条でもあり、都民の代表者たる都議会の皆様とも共有できる目的だと信じております。
本日から始まりました都議会の議論に向けられる都民の視線はこれまでのものとは大きく異なります。都議会の皆様と、知事、職員が、馴れ合いや根回しで事を円く収めるのではなく、都民の皆様の前でその決定過程を詳らかにご覧いただく。都民の利益のために、一刻も急がねばならない事案、施策につきましては、都議会の皆様の迅速なご承認を賜りますよう、切にお願いを申し上げます。
知事個人の利益のためではなく、都議会の皆様の利益のためでもなく、都民のため、つまり、都民全体の利益が最大化すると信じることを、お互いに議論をぶつけ合う。それが、新しい都政における都議会の姿だと考えております。そこで、改めまして、私の都政運営に対する基本姿勢と施策についての基本的な考え方をここで申し上げます。

1 都政運営に対する基本姿勢

「東京大改革」。
この五文字に込めた私の想いに、都民の皆様から大きな共感をいただき、身に余るご支持を賜りました。私の目指す「東京大改革」とは、都政を透明化し、情報を公開し、都民と共に進める都政を実現することであります。
選挙期間中、街頭演説にお集まりいただいた方々は日に日に増え、見える都政、分かりやすい都政を実現して欲しい。そして、私たちのために都政を改革して欲しいという都民の想いがいかに大きいか、肌で感じてまいりました。都民の皆様から託されたこうした強い想いに、私は何としても応えなければなりません。改めて、身が引き締まる思いでございます。

(「都政改革本部」の始動)

東京大改革を推進するに当たっての肝となるのは、都政の透明化、つまり、見える化、分かる化の徹底であります。そのためには、職員一人ひとりが自ら改革の担い手となり、積極的に情報公開を行う姿勢を持ちながら、日常的に仕事の進め方を見直していかなければなりません。
「ワイズ・スペンディング」という言葉がありますが、豊かな税収を背景に、税金の有効活用の観点が損なわれることがあってはなりません。ましてや国際情勢、世界経済は不透明であり、その豊かな税収が約束されているわけではない今日であります。そうした問題の下、都庁の自己改革精神を呼び醒ます装置として設置いたしましたのが、私自らが本部長となる「都政改革本部」であります。
目下、各局が本部と連携しながら、自律的な改革を進めております。同時に、本部に設けた「情報公開調査チーム」「オリンピック・パラリンピック調査チーム」「内部統制プロジェクトチーム」が、それぞれの課題について実態調査と評価を行い、都民ファーストの都政に向けた改善策を検討をしているところであります。
都政の適正な運営に欠かせない都議会の皆様によるチェックに加え、都自らが見える化を徹底し、これまでの延長線ではない改革を不断に進めることで、都民の皆様からの信頼を、再び取り戻さなくてはなりません。それは決して簡単なことではありません。改革への挑戦に「これまでと勝手が違う」と困惑する職員もおられることでありましょう。しかし、これからの東京の発展のため、今ここで、全庁に改革マインドを根付かせていかなければなりません。
改革を進めるに当たっての私の決意と姿勢を明らかにするため、かねてより都民の皆様方にお約束をしてまいりました知事報酬の半減につきまして、本定例会に議案を提案いたしております。どうぞご審議のほどよろしくお願いを申し上げます。

(築地市場の豊洲移転について)

都の自己改革とともに、チェック機能を持つべき都議会の意味がまさに問われているのが、冒頭に述べさせていただいた築地市場の移転問題であります。私には、知事として、都民の皆様の食の安全を守る責任がございます。
しかしながら、豊洲移転については、「安全性の懸念」「巨額かつ不透明な費用の増加」「情報公開の不足」の3つの問題点があり、11月7日予定の移転の延期を決断いたしました。
安全性に関しましては、2年間の地下水モニタリングの最終結果が出る前に移転日程が組まれていたのは何故なのか。建物の下の土壌汚染対策について、「盛り土」をしているというこれまでの説明はなぜ誤りであったのか。また、建物の地下に空間があり、そこにたまり水があることも確認されております。なぜこうした事態に至ったのか、なぜその事実、情報が共有されていなかったのか。しっかりと検証するとともに、安全性について、改めて専門家の目でご判断いただく必要がございます。また、プロジェクトチームにおいても、施設の構造上の安全性や経費の検証等を進めております。オリンピック・パラリンピックの成功に影響させない対応や、市場関係者への配慮等も含め、今後の措置についても、しっかりと判断をしてまいります。

2 「新しい東京」を目指して

都民ファーストの都政を展開し、都政に対する都民の信頼を回復したその先に何を目指すのか。それは、「新しい東京」、すなわち、誰もが希望と活力を持って安心して生活し、日本の成長のエンジンとして世界の中でも輝き続けるサスティナブル、持続可能な首都・東京を創り上げることであります。そのためにも、「セーフ シティ」「ダイバーシティ」「スマート シティ」の3つのシティを実現をし、東京の課題解決と成長創出に取り組んでまいります。

(都民誰もがいきいきと活躍できる「ダイバーシティ」)

〈待機児童問題に迅速に対処〉
誰もが希望、そして活力を持てる東京の基盤となるのは、都民一人ひとりが存分に活躍できる環境であります。女性も、男性も、子供も、シニアも、障がい者も、いきいき生活できる、活躍できる都市。多様性が尊重され、温かく、優しさに溢れる都市。そのような「ダイバーシティ」を実現してまいります。
東京は、世界から見ると、女性の力を十分に活かし切れているとはいえません。一つの指標として、35歳から44歳の女性の労働力率を比較してみましょう。女性の活躍に力を入れているスウェーデンでは9割であるのに対し、東京では子育て世代が落ち込むM字カーブの谷に当たり、7割にとどまっております。女性が、子育てか仕事かという二者択一を迫られている現状に早く終止符を打たなければ、これからの東京の持続可能な発展はあり得ないのです。女性が輝き、男性も輝き、未来が輝く。そのような東京の実現に向けた喫緊の課題は、待機児童の解消でありましょう。
国家戦略特区を活用した都立公園への保育所整備など、従前からの取組に加え、先日、待機児童解消に向けた緊急対策を取りまとめました。「保育所等の整備促進」「人材の確保・定着の支援」「利用者支援の充実」。この3つを柱とする、「すぐ効く、よく効く」を目指した独自の11の対策からなっており、区市町村や事業者の早期着手を促す工夫も設けて展開してまいります。これによりまして、今年度の目標をさらに5000人分上乗せし、1万7千人分の保育サービスを整備いたします。本定例会には、そのための補正予算案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
併せて、国とも連携してこの問題にしっかりと取り組んでいくという観点から、育児休業制度や保育所の規制等の改革を、直接、安倍総理に要望をいたしました。今後、さらなる都独自の支援策も、平成29年度予算案に反映していきたいと存じます。幅広く、果敢な取組で、東京の子育て環境を充実してまいります。

〈働き方改革が都民の活力を引き出す〉
もはや、長く働けばそれだけ利益が上がる時代ではございません。私はむしろ、夜遅くまでの長時間労働、あるいは満員電車での通勤などは、社会から活力を低下させかねないと思っております。
東京から「ライフ・ワーク・バランス」を進めてまいりましょう。ワーク・ライフ・バランスの「ワーク」と「ライフ」をあえて逆にしております。誰もが人生、生活も、もっともっと大切にすべきであります。例えば、東京に住む、6歳未満の子供を持つ男性の一日の家事・育児時間は、改めてスウェーデンと比べてみますと2時間も短い1時間17分というデータがございます。男性が子供と触れ合う、あるいは女性と家事を分担する時間をもっと増やせば、女性も男性も子供も、いきいきと生活し活躍することに繋がるのではないでしょうか。仕事の生産性を上げて、家族と過ごす時間や自らを高める時間も大切にする。こうした時間が明日への活力を生み出し、東京の持続的な成長を可能とすると私は信じております。
働き方の意識や仕事の進め方の改革は必要です。先ず隗より始めよ。先日、育児や介護をはじめ生活と仕事の両立ができる職場づくりに向けて、私を先頭として、都全ての管理職が「イクボス宣言」を行ったところであります。ともすれば、夜遅くまで働いている職員を有能と評価しがちな意識を上司が改めて、効率性を追求して、定時で確実に成果を上げる「残業ゼロ」を目指す職場とする取組を始めてまいります。そして、「働き方を改革しよう」と宣言した企業も力強く応援し、都民・国民の意識を変えていく。その輪をどんどん広げることで、大きなムーブメントを起こしていきたいと思います。

〈一人ひとりの希望を応援する社会へ〉
私は、3年前に自宅で母を看取るという経験をいたしました。自らの体験も踏まえ、年をとっても、住み慣れた我が家や顔馴染みの多い地域の中で暮らしたいという気持ちに応えられる東京にしていきたいと存じます。介護サービス基盤の整備や介護人材の確保・定着に知恵を絞るとともに、地域で適切な医療が受けられる体制を確保するなど、地域包括ケアシステムを充実させてまいります。さらに超高齢社会を見据えながら、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を目指してまいります。
また、かねてより、企業的経営手法を取り入れた障がい者就労の場であるソーシャルファームを増やし、働く障がい者の方々のモチベーションを高めたいと活動してまいりました。都も先日、都庁内に、障がい者の方々が作った製品を販売するショップを開設したところであります。経営のプロの力を借り、おしゃれな店舗で魅力的な製品の数々を販売しており、多くの皆様に製品の良さを知っていただきたいと思います。障がいのある方を社会全体で支えるだけでなく、意欲や能力のある方々の自立への思いもしっかりとバックアップしてまいります。
私が目指すサスティナブルな東京を創るためには、将来を担う人材の育成も欠かせません。人生を自ら切り開く力を身につけ、激動する世界にも目を向けて活躍できる人材や、東京ひいては日本の成長を支えるイノベーションを生み出す人材を育成していくことが必要であります。そのためには、英語など、外国語力の強化や留学支援により子供たちの「内向き志向」を打ち破り、世界に挑戦する気概を育むことや、科学技術立国を支える理数教育の充実を図らなければなりません。子供と常に向き合う教育の力を高める取組も重要でありましょう。未来の東京には、どのような人材が求められるのか。こうした観点からこれからの教育の在り方について総合教育会議において教育委員会と議論し、新たな教育施策大綱を策定してまいります。
また、家庭の経済状況が、子供たちの将来の希望を閉ざすことがあってはなりません。都独自の給付型奨学金について検討を進めるなど、子供たちの学びたいという気持ちにしっかりと応えてまいります。
優しさに溢れる「ダイバーシティ」の観点から、ペット殺処分ゼロの実現も、メルクマールの一つだと考えております。ペットは「家族の一員」から「社会の一員」へという意識を、もっと広めたいと思います。命を大切にし、自他を尊重する健全な心を、子供の頃から育む取組なども進めながら、早期の実現を目指してまいります。

(安全・安心・元気な「セーフ シティ」)

安全・安心は、都民の希望と活力の大前提でございます。都民の生活、命、財産がしっかりと守られ、その安心感が、東京の活気と賑わいを生み出す。そして、一人ひとりが、活気溢れる街に愛着と誇りを感じ、自ら率先して地域の安全・安心を守っていく。これこそが、目指すべき「セーフ シティ」の姿であります。
〈都民目線で災害に備える〉
私は、阪神・淡路大震災を経験をいたしました。倒壊した建物や電柱が救急車両の通行を妨げ、火災による被害も瞬く間に広がったことは皆さんもご存知のとおりであります。この東京においても、耐震化、不燃化は喫緊の課題であります。救援・復旧活動に不可欠な緊急輸送道路の通行を確保するため、沿道の建築物の耐震化を後押ししてまいります。また、延焼を防ぐため、木造住宅密集地域にある家屋の不燃化建替えと、暮らしに密着した生活道路の拡幅工事を、同時並行で支援してまいります。
併せて、強力に進めるべきは、道路の無電柱化であります。その意義や効果を都民の皆様に広くご理解いただき、推進に向けた大きなうねりを起こしてまいります。そして、事業者間の競争やイノベーションに繋げることで、課題であるコスト削減を図ってまいります。
大きなハードの整備に加え、被災者の目線に合わせた備えが、実は、いざという時の安心を支えてくれるものであります。例えば、乳児用の液体ミルク。水やお湯がなくても飲めるため、特に、母乳による授乳が困難な災害時などには重宝いたします。現行の国の規定を含めて課題を整理し、きめ細かい災害対策を実施してまいりたいと思います。

〈地域社会を安全・安心・元気の要に〉
災害が起こった時には、地域で助け合う共助の取組が、命を守る上で大きなポイントとなります。安全・安心をさらに強固にする鍵は、地域の絆が握っているのです。そして、活気ある地域ほど、こうした絆は強くなります。東京の隅々に広がる町会・自治会、消防団、商店街等を活性化することで、賑わい溢れ、安全・安心な地域社会を創り上げてまいります。

〈多摩・島しょ振興〉
さらに、活気ある東京に欠かすことができないのが、東京の人口の3分の1、面積では3分の2を占める多摩・島しょ地域の発展であります。精力的に現地を訪れ、市町村の皆様としっかり手を取り合って、オール東京で誰もが暮らしやすいまちづくりに取り組んでまいります。
多摩地域には、高い技術力を持つ中小企業や大学・研究機関が集積し、圏央道により首都圏一帯と強い繋がりを有するという強みがございます。今後、多摩の自然を守りつつ、南北・東西を結ぶ骨格幹線道路や三環状道路の整備を行い、こうした強みをさらに増すことで新たな産業やサービスの創出等に活かし、多摩地域の持続的な発展に繋げてまいります。
その他にも、多摩・島しょのキラリと光る宝物はたくさんございます。それを眠らせておくのはもったいない。木材生産やCO2の吸収、憩いの創出といった多面的な機能を持つ山間部の森林をしっかり守ることで、林業の振興を図り、東京の森林や多摩産材の魅力を広く発信してまいります。また、先月の特区の区域会議では、島の貴重な原酒を観光振興に繋げる「島焼酎特区」の実現を国に提案をいたしました。こうした区部との「違い」を「強み」と位置づけ、それを新たな発想で地域振興に活かしていく取組を、市町村と連携しながら全力で進めてまいります。
多摩・島しょ地域の特性を踏まえた災害対策も忘れてはなりません。土砂災害については、斜面の崩壊対策、警戒区域指定による避難体制の整備など、ハード・ソフトの両面から取り組んでまいります。また、土砂崩れや大雪で道路が寸断されることによる地域の孤立化を防ぐため、ダブルルートの確保も進めてまいります。津波のおそれのある島しょ地域では、津波到達までに避難が困難な港における避難施設の整備や、安全な場所への誘導標識の設置などを推進いたします。地域の特性に応じた防災力を高める取組により、命を守る強靭なまちづくりを進めてまいります。

(世界に開かれ、成長を続ける「スマート シティ」)

人口や経済成長が右肩上がりであった時代が終焉を迎えた中にあって、日本の成長のエンジンであり続けるサスティナブルな東京を実現する。そのためには、IoT、AI、フィンテックなど、今後の成長分野の発展に向けたタイムリーな成長戦略を果敢に展開していかなければなりません。
〈環境先進都市・東京〉
少資源国である日本は、二度のオイルショック、さらには高度経済成長がもたらした公害問題といった負の経験もバネにしながら、環境・省エネルギー技術を研ぎ澄ましてまいりました。今や、地球温暖化対策が大都市の責務となり、環境対策が新たなビジネスチャンスや企業の社会的評価に繋がる時代であります。2020年の東京大会を契機とし、低炭素社会の実現に向けた環境技術のさらなるイノベーションや、食品ロス対策を含めた環境配慮型ビジネスモデルへの意識改革を促してまいります。
リノベーションによる都市の効率化・省エネ化、再生可能エネルギー、自立分散型電源の導入拡大や水素社会の実現によるエネルギーの多様化・分散化、ヒートアイランド対策なども進めてまいります。水と緑を守り、快適で環境に優しいまちづくりを通じて、東京をさらなる成長へと導きたいと思います。
一方で、LED照明の使用拡大や、断熱性が高く、燃料電池や蓄電池等を備えたエコハウスの普及など、省エネ・創エネに向けた都民一人ひとりの取組も支援してまいります。身近な取組を積極的にPRをして、具体的な効果を実感してもらうことで、都民の皆様の共感を広めていきたいと思います。技術革新、意識改革、そして都民の皆様の共感。このセットを戦略・戦術として、東京大会をスプリングボードに、都民生活や企業活動の「新たな常識」を創り出す。日本の伝統的な美徳である「もったいない」精神に溢れ、クリーンで低炭素、そして持続可能な成長を実現する環境先進都市・東京を創出してまいります。

〈再び国際金融の中心へ〉
かつて私が経済キャスターを務めていた当時、ロンドン、ニューヨークと並び、東京は世界の金融の中心でありました。それが今や、アジアの諸都市にその座を奪われております。もう一度、アジア・ナンバーワンの地位を取り戻さなければなりません。
金融活性化に向けた取組をさらに強化し、国際金融都市・東京の実現に向けた動きをスピードアップさせてまいります。例えば、フィンテック分野をはじめとする海外の金融系企業を誘致するため、特区を徹底的に活用し、金融ビジネス交流拠点の整備を迅速に進めてまいります。来年度には、外国人の企業設立手続きや生活面を支援する、英語でのワンストップサービスもいよいよ開始します。教育環境整備に向けたインターナショナルスクールの誘致も促し、2020年までに、金融機関が集まる大手町から兜町地区を、海外の高度金融人材が集積するショーケースへと大改革してまいります。

〈持続可能な成長に向けて〉
東京には、まだまだ活かし切れていない宝物は、たくさん埋もれております。東京の風土と歴史の中で育まれてきた伝統工芸品について、長い歴史に裏打ちされた匠の技を継承しながら、今日の消費者の感覚に合った商品も生み出していく。あるいは新鮮で安全・安心な農畜産物を生産している東京の都市農業において、小松菜や練馬大根、TOKYO Xなどに続き、京野菜のようにブランド化を推進していく。このように、東京の新たな一面を掘り起こして、付加価値をつけて発信することで、世界の中の東京の魅力を益々高めたいと思います。
東京大会を控え、世界の注目を集める今だからこそ、絶好のチャンスであります。東京のブランディングを成長戦略の一つと位置づけ、インバウンドの増加に向け、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
そして、そのインバウンドを継続的に増加させていくためには、外国人観光客に快適に過ごしてもらうための環境整備も不可欠であります。様々な旅行者のニーズに対応して、ITもフル活用して、観光案内所の整備、駅・街中での多言語対応の充実や、トイレの洋式化など、細やかな気配りも忘れずに進めてまいります。
国際都市・東京にふさわしい玄関口としての、羽田空港及び東京港の機能強化も重要な課題であります。世界からヒト、モノ、カネ、情報が集まり続ける拠点となるよう、国とも連携しながら、国際線の需要増加や国際的な船舶大型化等へ適切に対応してまいります。2020年以降も見据えて、陸・海・空の交通・物流ネットワークを一層充実させ、東京の持続的な成長を支える交通インフラを強化してまいります。
また、東京・日本の産業を支える中小企業の技術革新や、起業・創業を促進し、新産業の創出に繋げるとともに、優れた技術の次代への承継を支援してまいります。海外販路開拓の支援など、世界への飛躍も意識しながら、中小企業のさらなる発展に取り組んでまいります。

(新たなプランの策定)

これまで、「新しい東京」を創り上げるための施策の考え方について申し述べてまいりました。今後、政策の具体化に向けた検討を進め、都議会の皆様とも議論を重ねて、「2020年に向けた実行プラン(仮称)」を年内を目途に策定し、来年度の予算案にも盛り込んでいきたいと考えております。これまでの延長線ではない、その延長線を超えた新たな発想を取り入れながら、目指すべき東京の明るい将来像に向けた大義ある政策を、都民の皆様の共感を呼ぶ形で、積極的に立案をしてまいります。さらに、2020年以降の東京の未来像「Beyond2020」、ビヨンド・ニーゼロニーゼロ、これも描いていかなければなりません。

3 東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて

(大会旗を手にし、いよいよ東京へ)

さて、この夏、リオデジャネイロの地では日本選手が大いに活躍をし、オリンピックでは史上最多41個、パラリンピックでは24個のメダルを獲得するなど、列島中が感動と興奮で満ち溢れました。
私も、次回開催都市の長としてリオに赴き、全世界が見守る中で、大会旗を、エドゥアルド・パエス・リオデジャネイロ市長から受け継いでまいりました。二つの大会旗が揃い、いよいよ次は東京であるという責任の重さとともに、素晴らしい大会へと盛り上げるためのワクワク感を、今、噛み締めております。まずは、小笠原村を皮切りとして、都内全ての区市町村や、被災三県をはじめとする全国各地を大会旗が巡るフラッグツアーを展開し、オールジャパンでこのワクワク感を分かち合いたいと思います。

(リオ出張の成果)

リオでは、競技会場や治安対策、交通インフラ等を視察してまいりました。ある仮設施設の資材は、大会後、小学校の建設に再利用されるということで、まさにReduce、Reuse、Recycle、3Rの体現であります。こうした事例も参考にしながら、東京大会の運営には「もったいない」の思想を取り入れ、この言葉を、東京・日本を象徴する言葉として世界に広めていきたいと思います。
また、実際に競技を観戦し、オリンピック・パラリンピックの感動の源泉は、アスリートの圧倒的なパフォーマンスによるということを痛感をいたしました。「アスリートファースト」を旨とし、競技に集中できる環境と、東京全体の盛り上がりが、アスリートの力強い技の数々を後押しをする大会となるよう、準備を進めてまいりたいと思います。
大会の安全・安心も、確実に確保しなければなりません。リオ大会では、テロのような事態は起こらず、これは称賛に値するものと存じます。一方で、先日も、ニューヨークの中心部などにおいて爆発事件が発生しました。国際テロ組織の影響が報じられるなど、国際テロ情勢は厳しさを増しております。引き続き、国と十分に連携をしながら、テロ対策をはじめサイバー空間の脅威への対処、治安基盤の充実化等に万全を期してまいります。

(東京大会が目指すもの)

1964年の東京オリンピック・パラリンピックは、高度成長期の日本を世界に発信する大会でございました。実は、私は小学校の白黒テレビでエチオピアのアベベ選手が、こう両手を高らかに上げて、マラソン競技で金メダルを獲得した姿、今も忘れることができません。当時の日本は人口も、そして経済も右肩上がり。為替は1ドル360円の時代でありました。首都高速道路、新幹線など、現在の東京のインフラ基盤は世界銀行からの借款によるものでありまして、1990年にその返済を完了したということで、ますます時代の流れを感じざるを得ないと思います。
2020年の大会は、単なる1964Againではなくて、成熟都市であり、世界の最先端都市であるティー・オー・ケー・ワイ・オー、TOKYOを世界にアピールする大会にしなければなりません。ハード面のレガシーだけでなく、ソフト面のレガシーを構築いたします。「東京とティー・オー・ケー・ワイ・オー、TOKYO」を世界にお見せし、東京、日本はもとより、世界中の誰もが記憶に残る、そんな大会にしたいと思っています。

(都民の共感を得て、共に大会成功への道を歩む)

リオでの視察の成果も踏まえ、私は東京大会を何としても成功させる決意であります。施設整備や開催経費など様々な課題については、国や組織委員会と緊密な連携を図り、説明責任を果たしながら解決方法を見出すことで、都民の皆様、納税者の皆様のご理解を得たいと思います。明日29日には都政改革本部の「オリンピック・パラリンピック調査チーム」が各競技の予定会場を、東京大会以降の活用予想を含めて、分析した結果を公表することとしております。大会レガシーが負の遺産にならないための、客観的な分析であります。
また、2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップの熱狂は、東京大会への気運を益々高めることでありましょう。都民の皆様の心からの応援を力強い後押しとして、この二つの大会を必ずや成功に導きたいと思います。
それらの歩みの中、環境、まちづくり、産業、観光、スポーツ、文化等、あらゆる分野で東京を進化させ、都民生活の質の向上と持続的な成長を実現していく。そのようなハードとソフトのレガシーを遺してこそ、私たちにとって大会の真の成功と言えるのであります。
復興五輪であることの原点にも、立ち返らなければなりません。被災地の復興なくして、大会の成功はあり得ないのであります。被災地の歩みを力強く発信できるよう、様々な工夫をしていきたいと思います。
そして私は、パラリンピックの成功なくしても、大会の成功はないと考えております。パラリンピックの盛り上がりこそが、多様性を認め合い、あらゆる違いを超えて繋がり合うというオリンピック・パラリンピックの精神を広めるのです。高齢者や障がい者に優しいユニバーサルデザインのまちづくりも推し進め、「ダイバーシティ」実現に大きく近づいていきたいと思います。
また、IOCが唱えるスモークフリーの精神は、重要なものと考えます。受動喫煙防止対策については、国が検討を進めておりますが、都においても、ホストシティとしての責任や都民の健康増進の観点からも、対策を進めてまいります。

4 主な議案について

続いて、本定例会に提案している主な議案等について申し述べます。
八ッ場ダムの整備については、先月、国が公表した事業費増額に同意する議案を提案しております。この夏の水源の状況を鑑みても、首都圏の治水・利水の安全度向上に極めて重要なダムであり、一都五県での検証も踏まえ、これに同意するものであります。
また、このたび名誉都民の候補者として、大村智さん、小澤征爾さん、三宅義信さんの三名の方々を選定させていただきました。
大村智さんは、産学連携で開発した薬が年3億人の開発途上国の熱帯病患者を失明等から救うなど、微生物創薬発展に貢献してこられました。
小澤征爾さんは、日本人として初めてウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めるなど、世界の音楽界の第一線で永く活躍を続けてこられました。
三宅義信さんは、ウエイトリフティングで、前回の東京オリンピックをはじめ金メダルを二度獲得し、後進の育成にも尽力してこられました。
お三方は多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々として選考委員会でお選びいただいた方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いを申し上げます。

5 おわりに

私は、今改めて、東京市第7代市長を務め、その後関東大震災から帝都・東京を復興させた後藤新平の残した自治三訣を心に刻みます。

「人のお世話にならぬよう 人のお世話をするよう そしてむくいを求めぬよう」

「公僕」という言葉は、狭義の公務員のことではありません。「公僕の精神」は、都庁に勤める全ての者に、都議会議員の皆様に、もちろん、知事である私にも求められるものであります。改めて申し上げるまでもなく、都知事も、都議会議員も、都民によって、選挙によって選ばれ、税金で資金を預かり、税金を活用していく以上、「公僕の精神」が求められております。常に、都の益、都益、都民の利益を重んじ、有効に活用するワイズ・スペンディングの姿勢が求められております。
おおやけ、「公」の意識を持たない者が、「個」の利害のために、「公益」を捻じ曲げることがあってはなりません。私利私欲を満たすことがあってはなりません。私たちは、今改めて、後藤新平に問われている気がします。あなたは、「人のお世話にならぬよう 人のお世話をするよう そしてむくいを求めぬよう」、それに努めているかと。後藤新平が苦労して創った東京の骨格に、溢れんばかりの贅肉をつけてしまった巨大な肥満都市東京を叱っている、そんな気がいたします。
今一度、しっかりとした骨格を創り、50年、100年後の東京を構想しなければなりません。自分の生きている間さえ良ければいいというものではありません。今の都民のために、そして未だ見ぬ100年後の都民のために、働かなくてはいけない。そう決意をいたしております。
そして、「これからもっと東京は良くなる」と都民が希望を持てる都政を展開する。そして、日本の未来を明るく照らす「新しい東京」を、都民の皆様、都議会の皆様と共に創り上げていきたいと思います。改めまして、皆様のご協力をお願いを申し上げます。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案1件、条例案11件など、合わせて30件の議案を提案をいたしているところでございます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。

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