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平成31年(2019年)2月21日更新

平成31年第一回都議会定例会知事施政方針表明

平成31年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を述べさせていただきます。

天皇陛下におかせられましては、本年御在位満三十年を迎えられました。来る24日には、天皇皇后両陛下御臨席の下に記念式典が挙行されるところであり、首都・東京の知事として、1300万都民とともに、心よりお祝いを申し上げます。

1月23日、名誉都民である山田禎一さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りをいたします。

1 はじめに

(平成の30年を振り返る)

天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位を控え、平成時代も、残すところ2か月余りとなりました。この時代が幕を開けた頃、世界では、ベルリンの壁の崩壊やソビエト連邦の解体などにより、ヒト・モノ・カネの移動が東西の壁を越えて、地球規模へと広がろうとしておりました。当時、私は報道に携わる身といたしまして、こうした激動の現場を取材し、日々刻々と変化する状況を伝えて、世界のダイナミックな動きを体感したことを思い出します。それから約30年、国境を越えた経済交流は、情報技術の進展と相まって劇的に進み、「グローバル化」と「デジタル化」という時代の潮流は、いわゆる巨大IT企業やユニコーン企業を生み出すなど、世界経済の成長を力強く推し進めてまいりました。
そして、我が国にとって平成は、幾度かの大きな災害に見舞われながらも、「人」の絆で、一歩一歩、その苦難を乗り越えてきた時代でありました。また、我が国がこれまでオリンピックで獲得した、夏季・冬季合わせて499個のメダルのうち、半数は平成においてのものであるほか、ノーベル賞受賞者は昭和の約3倍となるなど、平成は、日本の「人」の力を広く示してきた時代でもありました。
一方で、世界における日本のGDPシェアは、平成の初めにはアメリカに次ぎ15%前後を占めていたものの、今では世界第二位の座を中国に明け渡し、約6%にまで落ち込んでいます。我が国の経済は、国際的に「グローバル化」と「デジタル化」が進んだ時代におきまして、バブル崩壊や金融危機の後遺症を引きずりながら、デフレの中で喘ぐ厳しい時期を、延々と送ってきたのであります。

(人口減少社会における新たな成長モデルを描く)

現在、我が国は、戦後最長の景気回復期間の只中にあるとされます。しかし、その成長は緩やかなものである上、中国経済の減速やイギリスのEU離脱問題の混迷など、海外動向も不透明さを増しており、経済の先行きは明るいものではありません。加えて、東京には間もなく、人口減少とさらなる高齢化という二重のうねりが、確実に押し寄せてまいります。私たちは、こうした現実を直視しながら、次の時代の新たな成長モデルを大胆に描き、かつ着実に推進しなければならないのであります。
ここで、東京が立ち止まったり、うずくまるようではいけません。
高度経済成長期のように、右肩上がりの人口を成長の縁とすることができない、そんな中でも、我が国が発展を続けていく。そのためには、女性も、高齢者も、障がいのある方も、誰もがいきいきと活躍できる、活力ある社会を創るとともに、時代を捉えた成長戦略を推し進めることで、東京が多くの付加価値を生み出すことが肝要であります。東京は、私たち日本の首都として、引き続き我が国を牽引していかなければなりません。先月、初の会合を開催した国との実務者協議会においても、東京の活力の増進が、我が国全体の発展を促進するとの認識を、改めて共有をいたしました。国とも連携しながら、東京の国際競争力の強化や、日本経済全体のパイの拡大を図り、全国との共存共栄を為していく。子や孫の世代に、「世界に輝く東京と日本があって良かった」と思ってもらえるように、この大切な引継ぎを何としてでもやっていかなければならないと、今一度、強く決意する次第であります。

2 未来志向で、「新しい東京」を創る「東京大改革」に邁進

(持続的な発展の土台を固める3つの柱)

2020年を越えたその先の、東京・日本の持続的な発展。その土台を固めるべき本年は、「都市力の強化」「稼ぐ東京」「人と人を繋ぐ」の3点を柱に、未来を見据えた施策を展開してまいります。

〈都市力の強化〉

全国で相次ぐ地震への対策を強化するとともに、災害級の猛暑や、頻発する豪雨の一因とされる気候変動に対して、今こそ、緩和と適応の両面からしっかりと手を打っていく。脅威への備えを不断に固め、都市の力を高めることは、東京の持続可能な成長の大前提であります。都市の機能や魅力の向上も含め、幅広く「都市力の強化」を進めてまいります。

〈稼ぐ東京〉

近い将来、人口減少やさらなる高齢化を迎え、国際的な都市間競争も熾烈を極める中で、東京は「稼ぐ力」を戦略的に高めなければ、日本全体の持続的な発展を主導することは叶いません。東京の産業力の源泉である中小企業の活性化や、世界から投資を呼び込む成長戦略の展開など、「稼ぐ東京」に向けた施策を積極的に講じてまいります。

〈人と人を繋ぐ〉

これまでも、そしてこれからも、東京の発展の原動力は「人」であります。あらゆる人が存分に力を発揮できる環境こそが、東京の活力を持続的に向上させる。そして、人の力は、人と繋がることで、より一層高まっていく。こうした確信の下で、「人と人を繋ぐ」取組を進めることで、多様な人々の活気に溢れる成熟都市・東京を築いてまいります。

先日、急逝された作家の堺屋太一さんには、経済企画庁長官を務められました当時、政務次官として鍛えていただきました。鳥の目で大きく時代を捉え、虫の目で一人ひとりの生活や消費者心理を見分けるなど、その的確な分析は今、改めて高く評価されています。その堺屋さんは、現代日本の最大の危機は、「3つのY」にあると指摘をされておられます。すなわち「欲ない、夢ない、やる気ない」と。だからこそ、「人」の力を活かし、「意欲があり、夢が抱け、やる気が出る」東京を築かねばと考えております。

(3つのシティの実現に向けた政策の強化と、さらなる未来を見据えて)

ただいま申し上げました3つの柱に基づき施策を進めることは、「セーフ シティ」「ダイバーシティ」「スマート シティ」の実現に結びつきます。それをより確かなものとするため、先月、「3つのシティの実現に向けた政策の強化」を公表をいたしました。「2020年に向けた実行プラン」の政策につきまして、昨年度に続きさらなる強化を図ったものでありまして、全国の中小企業の受注機会の拡大や、国産木材の活用など、全国との共存共栄に向けた取組も掲げております。また、実行プランの政策の推進は、国連で採択された持続可能な開発目標であり、都も率先して取り組んでおります「SDGs」の達成に繋がることも、分かりやすく明示しております。まさに大義と共感に溢れる政策を精力的に推し進め、3つのシティの実現を着実に図ってまいります。
そして、東京のさらなる進化の跳躍台となる東京2020大会を来年に控えた今、その後の東京が歩むべき道のりについても、具体的に示していく段階を迎えております。2020年のその先の明るい未来を、都民の皆様と共に切り拓く大きな方針として、新たな長期計画の検討を進めてまいります。大会後の東京の目標となります具体的な姿を描くべく、全庁で智恵を絞り、年内を目途に策定をしてまいりたいと思います。

(未来に向けた道筋をつける予算)

3つのシティを実現するための戦略的な施策や、東京2020大会の開催準備の総仕上げを、着実に推進する。併せて、賢い支出の視点により、健全な財政基盤を堅持する。こうした観点から、平成31年度予算は、これまで以上にメリハリをつけた編成を行いました。411件の新規事業を計上し、一般会計の規模は過去最大、7兆4610億円としております。一方で、施策の見直しも徹底いたしまして、同じく過去最高となる1208件の事業評価の公表によりまして、約900億円の財源を確保いたしました。都議会の皆様や各種団体からのご要望、都民の皆様や大学研究者の皆様によるご提案も反映をいたしまして、まさに東京の智恵を結集して、「未来に向けた道筋をつける予算」に仕上げることができたと考えております。
都の予算は、このたびの税制の見直しにより、2021年度以降、毎年約8800億円の減収が見込まれております。この不合理な措置に対しましては、都議会の皆様とも一丸となって、断固たる反対を唱えてきたところであり、この間の皆様のご活動に対し、改めて御礼を申し上げます。都はこれまでも、不断の努力により財政規律を確保してきましたが、元来、税収構造が不安定である上、今般の税制の見直しや不透明な世界経済の動向など、取り巻く状況は厳しさを増しております。引き続き無駄の排除を徹底するなど、健全な財政を堅持する一方で、未来を切り拓く効果的な投資を展開をして、持続的かつ戦略的な都政運営を図ってまいります。

(都庁の機能を不断に高める)

「2020改革プラン」に基づき、着実に進展している都政改革につきましては、来年度、都の行政手続等のデジタル化を加速する「デジタルしごと改革(仮称)」や、恩賜上野動物園におけます、QRコードを活用したキャッシュレス決済の実証実験を進めるなど、都民の皆様の利便性を一層向上させてまいります。また、「見える化改革」による分析を終えた各局主要事業につきまして、自律的・総合的な見直しを継続して行うための「政策評価」を導入するなど、改革の質も不断に高めてまいります。
都庁グループの一員として、都と共に政策実現を目指す監理団体につきましては、水道事業を担う二つの団体の統合と、都政の新たな課題を踏まえた団体の新設を行います。併せまして、常勤役員への外部人材の登用を倍増するなど、都庁グループの機能を高めて、政策展開をさらに加速する体制を築いてまいります。加えまして、今後、都政を取り巻く状況が大きく変化する中、都の組織の再構築につきましても、来年度を目途に方向性を示してまいります。まずはその第一歩としまして、「成長戦略」「住宅政策」「青少年問題」について、新たな本部を設置するなど、執行体制を強化してまいります。
そして、改革マインドが根付きました生産性の高い組織と、未来への道筋をつける予算を梃子にして、強化した政策を果敢に展開する。「今」はもとより、「未来」にも目を向けながら、希望と活力に溢れた「新しい東京」を創り上げる「東京大改革」に、引き続き全力で邁進してまいります。

3 虐待から子供たちを断固として守る

これより、主要な政策について申し述べてまいります。まずは、喫緊の課題として取り組むべき、児童虐待の防止についてであります。
子供たちの安全・安心の砦であるはずの家庭におきまして、後を絶たない虐待を断固防ぐ。強い決意の下、本定例会には、専門家や都民の皆様のご意見を踏まえながら検討してまいりました、「子供への虐待の防止等に関する条例」を提案をいたしました。保護者による体罰を禁止し、都の責務として、体罰によらない子育てを推進するとともに、虐待事案に的確に対応するため、警察と必要な情報を共有することなどを明確にいたしております。
本条例に基づいて、虐待の未然防止や早期の発見・対応のための取組を効果的に進めるほか、東京全体の児童相談体制の連携強化に向けて、区市町村との合同検討会を立ち上げてまいります。子供は、あらゆる場面において権利の主体として尊重されるべき、かけがえのない存在であります。その権利利益の擁護と健やかな成長のため、対策を総合的に推進をしてまいります。

4 「都市力の強化」による安全・安心で魅力ある東京

次に、災害対策、気候変動対策をはじめ、安全・安心で魅力ある東京を築く、「都市力の強化」のための取組であります。

(安全・安心な東京の実現)

〈「倒れない・燃えない」まちづくり〉

東京を、地震に強い都市へと強靭化するためには、震災時の救援・復旧の生命線となる緊急輸送道路の沿道建築物について、耐震性を着実に高めねばなりません。本定例会に提案いたしました、耐震化を推進する条例の改正によりまして、新たに建物の占有者の責務等を定め、耐震化を促進してまいります。また、「耐震改修促進計画」及び「防災都市づくり推進計画」の改定に着手をいたしまして、耐震化や不燃化をより効果的に展開することで、「倒れない・燃えない」まちづくりを推し進めてまいります。
昨年の台風21号により、多くの電柱が倒壊した関西におきましては、道路閉塞や大規模な停電が発生しまして、無電柱化の必要性、改めて痛感をいたしました。年度内に「無電柱化推進計画」を改定いたしまして、区市町村による施策の拡大や、島しょ地域での新たな取組を図ることで、都内全域で無電柱化を推進してまいります。

〈都民の安全確保に向けた取組の強化〉

救急・救命体制の充実も図ってまいります。災害時、進入困難な現場におきまして、早期の実態把握や救助を行う「即応対処部隊(仮称)」を、東京消防庁に新設をいたします。また、日中の救急需要に対応するとともに、育児休業後の職員が復職しやすい環境を整えるべく、日中に運用する「デイタイム救急隊(仮称)」を新たに創設をいたします。EV救急車の配備により省エネルギーを推進するなど、幅広い効果に繋げてまいります。
身近に迫る脅威への対策も強化をいたします。認知件数及び被害額が急増しております特殊詐欺につきましては、抑止効果の高い自動通話録音機の設置の促進をはじめ、多角的な対策で撲滅を目指します。また、町会・自治会や商店街等の防犯カメラにつきましては、維持管理経費の支援を開始するなど、都民の安全確保に向けました取組を一層充実させてまいります。

〈都民の安全・安心な暮らしのための住宅政策〉

増加する空き家は、地域の安全・安心を脅かすリスクとなりかねません。区市町村によります対策の後押しや空き家の連鎖的な活用、リフォームした住宅の魅力発信など、適正管理・有効活用・発生抑制、この3つの視点から、対策を加速いたします。また、今後急増する老朽化マンションにつきましては、管理組合の機能強化に向けた新たな条例案を、本定例会に提案いたしました。都、管理組合、事業者等の責務を明示するとともに、管理状況の届出制度を創設し、状況に応じた助言・支援を行うなど、適正管理の促進と良好な居住環境の形成を図ってまいります。
加えて、都民の安定した居住を確保するためには、都営住宅の有効活用が欠かせません。先日、都営住宅の管理制度等のあり方について、住宅政策審議会より、答申の中間まとめが公表されました。子育て世帯や高齢者への支援の充実等、施策の方向性が示されたところでありまして、今後、5月に予定される答申を踏まえて、新たな取組を検討してまいります。

(今こそ進めるべき気候変動対策)

〈気候変動の脅威から命を守る〉

次に、気候変動による脅威から命を守る取組についてであります。水害からの守りを固める調節池につきましては、8つの河川を対象に新たな整備を検討するとともに、環状七号線地下広域調節池について、延伸等の検討を進めます。また、土砂災害警戒区域等の指定を前倒しするほか、災害時の行動を、都民自らが時系列で整理、確認する「マイ・タイムライン」の普及を図るなど、的確な避難を促す取組も推進をいたします。
過酷な暑さから、児童・生徒や災害時の避難者等を守るため、先の定例会では、区市町村立学校の屋内体育施設について、空調設置を進めるための補正予算を可決いただきました。来年度予算案におきましては、リースによる設置や、新たに給食調理室への設置等を支援する経費を計上しておりまして、対策をさらに促進してまいります。

〈ゼロエミッション東京の実現を目指して〉

気候変動による影響を緩和するため、ゼロエミッション東京を目指した取組も加速いたします。エネルギー消費量が増加している家庭部門について、省エネ性能の高い冷蔵庫やエアコン等への買替えを促す仕組みを創設をいたします。この取組によるCO2削減相当分は、東京2020大会のカーボンオフセットに活用するほか、買替えの促進により、消費税率引上げ時の消費の活性化も図りたいと考えています。
走行時にCO2を出さない次世代自動車の普及に向けましては、中小企業に対するEV・PHVの購入補助を、個人及び大企業にも広げます。併せて、充電設備導入の一層の促進、電気自動車のF1と言われる「フォーミュラE」のような、大規模イベントによる普及啓発の検討を行います。都内での乗用車新車販売における、ゼロエミッション・ビークルの割合を、2030年度までに5割とする目標に向けて、多彩な取組を展開をしてまいります。

(道路・鉄道ネットワークの充実による都市力の強化)

東京の都市力を強化する上での重要な取組が、渋滞解消や防災性向上など、幅広い効果を生む外環道の整備であります。都内の関越道・東名高速間につきましては、先月、関越側からの掘進の開始により全線での工事が本格化し、都としても積極的に整備を支援してまいります。
同じく、都市力の強化に繋がる鉄道ネットワークの充実につきましては、来年度予算におきましても、6路線等の検討に要する調査費を計上いたしました。例えば、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸につきましては、地元のまちづくりの進捗を踏まえて計画の熟度を上げるなど、引き続き6路線を中心に、関係機関との協議・調整を深めたいと思います。
また、日本橋周辺の首都高地下化につきましては、昨年7月に国などと計画案をまとめて以降、具体的な検討を進め、今般、都市計画の手続きに着手いたしました。今後とも、周辺のまちづくりと連携を図りながら、事業化へ向けて着実に取り組んでまいります。

(都立公園の魅力を高める)

都市の力を高める一環として、都立公園の魅力向上にも力を入れてまいります。昨年末、グランドデザインを策定いたしました日比谷公園に続いて、明治公園及び代々木公園につきましても、民間の発想を積極的に取り入れた整備・管理を図るべく、新たな計画の策定を進めております。都民の皆様が、都市における豊かなライフスタイルを享受できるよう、これまでにない公園の魅力を引き出してまいります。

5 持続的に成長し、日本経済を牽引する「稼ぐ東京」

次に、日本経済を牽引する、「稼ぐ東京」の実現についてであります。

(中小企業の目指すべき姿に向けて)

東京の産業の基盤を支える中小企業の振興につきましては、先の定例会で可決いただいた条例の理念を踏まえ、先月、「中小企業振興ビジョン」を策定をいたしました。多くの企業が、経営環境の変化に的確に対応し、未来に向けて輝けるよう、有識者の皆様との議論を踏まえた骨太の方向性を示しております。中小企業の目指すべき10年後の姿に向け、意欲的な数値目標の下、力強く施策を展開してまいります。

(東京発の世界的なベンチャー企業を育てる)

アメリカの「GAFA」や中国の「BAT」など、グローバル企業が躍進する世界を舞台に活躍し、東京の成長を牽引するベンチャー企業を数多く生み出したいと思います。来年度は1千社を対象に、企業の発展の段階に応じまして、経営、技術、資金の面から多彩な支援を展開をいたします。併せまして、児童・生徒向けの起業家教育や、シニアを対象としたセミナーなどによって、幅広い層において創業への関心を高めてまいります。
また、女性ベンチャー育成プログラムの実施規模の拡大や、女性経営者の活躍に繋げる会議の開催などによりまして、女性の新たな視点による事業経営を後押しをし、東京の産業の一層の発展へと結びつけてまいります。

(成長分野への投資で「稼ぐ力」を高める)

〈国際金融都市の実現に向けた取組〉

国際金融都市・東京の実現に向けましては、成長分野であります資産運用やフィンテックを手掛ける海外企業の誘致について、年間目標を15社へと拡大をし、さらなる推進を図ります。その起爆剤となるのが、我が国で初めて立ち上げる「金融プロモーション組織」であり、東京の金融市場としての魅力を、官民連携の下、効果的に発信したいと思います。

〈「Society5.0」の実現を先導〉

東京の「稼ぐ力」を高めるためには、ビッグデータやAIなど、第四次産業革命を牽引する技術について、民間のイノベーションを後押しすることが欠かせません。その先に、先端技術を活用し、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会、「Society5.0」を実現をいたします。そのための今後の方向性等につきましては、有識者の皆様との検討を始めてまいります。併せて、キャッシュレス決済の普及に繋がる「デジタル地域通貨」や、次世代の移動サービスとして注目される「MaaS」の実証実験を行うとともに、こうした先進的なサービスを支えるデータ基盤の構築の調査・検討を進めます。我が国が目指すべき未来社会の実現に向けた取組を、東京が先駆的に実施していきたいと思います。

(様々な分野での産業の活性化)

このほか、産業の活性化に向けましては、東京のファッションの魅力を広く発信する民間の取組を支援してまいります。これを機に、パリやミラノのような世界有数のファッション都市として、東京のプレゼンスを高め、新たなビジネスチャンスへと繋げたいと思います。
また、東京の農業の持続的な発展を図るべく、多様な担い手を育成する「東京農業アカデミー(仮称)」を、2020年度に開設いたします。これに先駆け、来年度は、就農希望者を支援する研修農場を整備するなど、新たな担い手の確保・育成を推進してまいります。

(持続的な成長を支えるまちづくり)

〈東京の新たな顔となる築地のまちづくり〉

大いなるポテンシャルを活かし、東京の持続的な成長に繋げるべき築地の再開発につきましては、先月、まちづくり方針の素案を公表いたしました。国際会議場等の機能を中核に、新たな東京ブランドを創造・発信する交流拠点の形成等を謳っております。都民の皆様のご意見も踏まえながら、年度内には方針を取りまとめまして、築地を、先進性と国際性を兼ね備えた東京の新たな顔として育てていきたいと思います。
そして、旧築地市場の跡地につきましては、東京全体としての価値の最大化を目指すまちづくりを見据え、外部の鑑定価格により行った収支試算を踏まえまして、中央卸売市場会計から一般会計へと、公有財産規則に基づく有償所管換を行うことといたしました。築地のまちづくりに対します、民間事業者の参画意欲を早期かつ最大限に引き出すため、事業実施に向けた具体的な検討に着手してまいります。また、決算剰余金や予算執行状況の精査によりまして、財源の目途を立てられたことから、本定例会に、有償所管換のための補正予算案を提案をいたしております。市場会計におきましては、これにより当面の持続可能性を確保する一方で、卸売市場の戦略的な経営と、強固な財務体質の確立に向けた検討を進めてまいります。

〈都内各地における拠点機能の充実・強化〉

都内各地におきましても、東京の成長を支えるまちづくりに取り組みます。例えば、羽田空港に近接し、リニア中央新幹線の開業等により国際的なビジネス交流が益々活発化する品川。駅前広場や駅ビルを一体的に再編し、人を中心としたまちの実現を目指す新宿。東京と日本の成長を創り出す最先端のまちづくりに向け、ビジョンの検討が進むベイエリアなど、それぞれの特性を活かした拠点形成を推進してまいります。

6 「人と人を繋ぐ」ことで築く、安心していきいきと暮らせる東京

次に、安心していきいきと暮らせる東京に向けた、「人と人を繋ぐ」取組について申し上げます。

(高齢者・障がい者の暮らしの安心)

世界に類を見ない規模と速度で進む高齢化への対策は、待ったなしであります。来年度は、介護サービス基盤の整備、介護人材の確保等のほか、今後増加が見込まれます認知症高齢者への対策や、介護及び生活機能全般が衰えるフレイルの予防に力を入れてまいります。
認知症は、早期の対応が重要であります。早期発見のための区市町村の取組の後押しや、本人・家族への支援の充実など、症状の初期段階から適切なケアへと繋げる体制を構築いたします。また、介護・フレイルの予防に向けましては、コンビニエンスストアと連携した低栄養の防止や、50歳以上の方々への普及啓発等を進めます。先日、西東京市におきまして、地域の方々と共にフレイルチェックを体験した中で、都民の皆様一人ひとりに、自らの健康について考えていただくことの重要性を改めて実感いたしました。地域におけるこうした積極的な取組も発信をしながら、人生100年時代の暮らしの安心を支える施策を、多面的に講じてまいります。
障がい者の地域生活を支える取組も欠かせません。重度の障がいがある方を受け入れるため、体制強化に取り組むグループホームを後押しします。また、児童発達支援センターについて、障がいがある子供を地域で支える体制の整備を促進するほか、医療的ケアを要する児童・生徒の通学支援のため、特別支援学校におけます看護師添乗のスクールバスの運行拡大を図ります。多彩な取組を通じまして、誰もが地域との繋がりの中で、いきいきと暮らせる社会を創り上げてまいります。

(意欲溢れる「人」の活躍に向けて)

暮らしの安心を支える一方、意欲溢れる「人」の活躍も後押しをいたします。誰もが希望や適性に応じて働けるよう、高齢者と地元企業のマッチングや、出産等で離職した女性の再就職に繋げる、リカレント講座等を実施をいたします。また、「ソーシャル・インクルージョン」の考え方の下で、全ての都民の就労を応援する新たな条例の制定に向けましては、10月を目途に、有識者会議より提言をいただく予定であります。
さらに、地域での活動を望む高齢者に対しまして、情報提供、機会創出に取り組む区市町村を支援するほか、多くの高齢者の心豊かな生活を応援する一環といたしまして、「シニア・コミュニティ交流大会」を開催いたします。シニアが学びと交流を深める場として、この4月、首都大学東京に開講いたします「TMUプレミアム・カレッジ」にも、多くの入学希望をいただきました。あらゆる人が生涯現役で、希望に応じて働き、学び、輝くことができる東京の実現を目指しまして、幅広い取組を進めてまいります。これまでの名刺やビジネスカードに替えて、学生証を保有するだけで、どんなに人々のやる気が高まることでありましょう。

(安心して子供を産み育てられるまちの実現)

安心して子供を産み育てることができるまちの実現に向けては、切れ目のない支援を展開をしてまいります。妊娠・出産を希望する方々に向けては、ポータルサイトを開設し、出産までの段階に応じた情報提供を行います。また、不妊の検査や治療に対する費用助成の対象者を拡大するとともに、不妊治療と仕事の両立を後押しする企業への支援を拡充するなど、子供を持ちたいと望む方々へのサポートをさらに充実させてまいります。
子育て支援につきましては、来年度末までの待機児童解消を見据えて、受け皿の整備を進める「量」の確保、そして、安心して預けられる「質」の向上の両面に対しまして、引き続き大胆に予算を配分いたしました。認証保育所におきまして、多様化する保護者の働き方を踏まえた夜間・休日の保育を実施するなど、きめ細かな施策も展開をいたします。また、幼児教育の無償化につきましては、国の制度の開始に合わせまして、都独自の支援策を講じるなど、子育て世帯を力強く支えてまいります。
子供たちを地域で守り、健やかに育てる環境づくりも推進をいたします。放課後の居場所となる子供教室の機能拡充、学校と地域の連携を促進するコーディネーターの配置、学校の敷地内への地域交流拠点の設置といった一連の取組を、「Tokyo スクール・コミュニティ・プロジェクト」として推し進め、人と人の繋がりの中で、子供の学習や体験の幅を広げるとともに、地域における高齢者の活躍促進にも繋げてまいります。

(新たな時代で輝く人材の育成)

新たな時代を担う子供たちの育成に向けましては、教員の働き方改革について、意欲ある教員OB等を活用したワークシェアリングの推進や、授業準備、副校長業務等をサポートする外部人材の配置拡大を図ります。また、全国初の取組として、教員を補助する人材の確保や、共通処理が可能な学校事務等を担う財団法人を設立するなど、教員の負担軽減と教育の質の向上のため、多様かつ重層的な取組を講じてまいります。
先週、教育委員会におきまして、都立高校改革の新たな展望を示す「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」を公表いたしました。大学や企業との連携によりまして、教育内容のさらなる充実を図るほか、生徒や保護者に「選ばれる学校」を目指し、全校が戦略的な広報を実施するなど、都立高校の魅力の向上と発信に向けた取組を推進してまいります。
年度末には、同じく教育委員会におきまして、来年度からの5年間の基本的な方針となる「教育ビジョン(第4次)」を策定いたします。激動の社会を主体的・創造的に生き抜く子供の力を育む、確固たる羅針盤となるよう、都民の皆様のご意見を踏まえまして、検討を進めてまいります。

(「スムーズビズ」の推進による「東京モデル」の確立)

人口減少を迎える中にありましても、生産性を高め、多様な「人」の活躍に繋がる施策を加速することで、東京を持続的な成長へと導く。そのために、今後、テレワークや時差ビズなどの新たなワークスタイルと、交通量の抑制・分散に向けた交通需要マネジメントの取組を、「スムーズビズ」と総称し、一体的かつ効果的に推し進めてまいります。
テレワークの普及に向けましては、専門家によりますコンサルティングを強化し、試行のための経費を助成するなど、企業の取組をさらに後押しいたします。交通混雑の緩和につきましては、先月、東京2020大会に向けた都自らの取組項目を設定し、今後、具体的な内容や実施時期を取りまとめるほか、企業等にも、対策の推進について協力を求めてまいります。先日には、労働団体・経済団体のトップと一堂に会しまして、「スムーズビズ」に共に取り組む共同宣言を行いました。公労使が緊密に連携しながら、多様な働き方や企業活動の「東京モデル」を確立し、大会のレガシーとして根付かせてまいります。

7 ラグビーワールドカップ2019TMと東京2020大会に向けて

さて、いよいよラグビーワールドカップイヤーを迎え、東京2020大会も来年に迫ってまいりました。世界の期待に応える大会を実現し、東京のさらなる進化へと繋げるため、準備の総仕上げに邁進してまいります。

(気運高まるラグビーワールドカップ2019TM

先月より始まった、ラグビーワールドカップ2019TMの一般向けチケット先着販売では、日本代表戦や決勝戦のチケットが即日完売となるなど、大会気運は着実に高まっております。この気運を最大限に盛り上げていくべく、フラッグによる試合会場周辺や商店街等の装飾、100日前イベントの開催など、幅広いプロモーションに力を入れてまいります。
また、大会期間中には、パブリックビューイングや東京のPRなどを行う「ファンゾーン」を、区部と多摩地域にそれぞれ設置します。国内外からの来場者をもてなし、試合への期待を高め、試合後は余韻を創出するなど、誰もが大会を楽しみ、盛り上げる場としてまいりたいと思います。

(都市の進化に繋げる東京2020大会の準備)

〈総仕上げとなる大会準備に力強く邁進〉

東京2020大会につきましては、今月、「夢の島公園アーチェリー場」の工事が完了し、今後、他の競技会場も順次竣工いたします。競技のテストイベントも本格化する中、最寄り駅から会場までのラストマイルにおける安全対策等、円滑な競技運営のための取組を着実に進めてまいります。
大会に向けた暑さ対策の実効性を高める上で、今年の夏は最後のチャンスとなります。微細ミストのような高度な技術と、そして、うちわや帽子などの身近なグッズを組み合わせて、テストイベントにおいて対策の試行・検証を進めてまいります。併せまして、道路の遮熱性舗装につきましても、都心部や競技コースを中心に、引き続き整備を推進してまいります。
このほか、約2万人の募集に対しまして、3万6千人を超えるご応募をいただき、名称も「City Cast」と決まった都市ボランティアの運営や、島々を含め、都内全62区市町村を巡る聖火リレールートの検討など、多岐にわたる大会準備に万全を期してまいります。

〈誰もが快適に滞在し、スムーズに移動できるまちの実現〉

大会開催やその先のさらなる高齢化を見据え、宿泊施設のバリアフリー化を加速いたします。都はこれまで、いわゆる「建築物バリアフリー条例」におきまして、国を上回る基準を定め、補助制度により事業者の取組を支えながら、宿泊施設における、車いす使用者用の客室の整備を促進してまいりました。今般、新築・増築等を行う1千平方メートル以上の施設を対象に、全国で初めて、一般客室につきましても段差解消を求め、出入口の幅に守るべき基準を設ける条例改正案を提案いたしました。浴室等の出入口の幅につきましては、努力義務としての望ましい基準も明記しております。併せまして、事業者への補助の拡充や相談員の派遣、施設のバリアフリー情報の発信強化などによりまして、車いすを使用される方をはじめ、誰もが利用しやすい宿泊環境を、民間との連携の下で築いてまいります。
また、歩道の段差解消、鉄道駅におけるホームドアやエレベーターの設置、トイレの洋式化等を進めるほか、大江戸線の一部の車両に、小さな子供と一緒に安心して利用できる子育て応援スペースを導入いたします。多彩な取組により、誰もが快適に滞在しスムーズに移動できるまちを実現し、洗練された都市の品格を世界にも示していきたいと思います。

(東京2020大会を成功へ導くための気運醸成)

都民・国民の皆様と共に、大会を成功へと導くための気運醸成に向けましては、大会500日前と、フラッグツアーの全国一巡を記念するイベントを、来月、東京駅前にて開催をいたします。春にはオリンピック、夏にはパラリンピックの公式チケットの販売が始まる中で、来年度は、各道府県と連携した大会PRを展開するなど、引き続き、オールジャパンで大会への一体感を高めてまいります。
また、大会準備による東京の進化の過程や、大会時の高揚感などの記録は、東京の歴史における貴重な財産となります。開催都市としての記録映像を制作し、世界へ発信するとともに、次世代へと語り継いでいきたいと思います。
子供たちの心に大きなレガシーを遺すオリンピック・パラリンピック教育につきましては、来年度、パラリンピック競技応援校の規模をさらに拡大するほか、ボッチャなどを通じた子供たちの交流を促進しまして、パラスポーツや障がいのある方々への理解を一層広げてまいります。加えまして、大会の文化プログラムであります「Tokyo Tokyo FESTIVAL」への参加を推進し、子供たちの芸術文化への関心を高めるなど、文化面を含め、教育内容のさらなる充実を図ってまいります。

8 多摩・島しょ地域の魅力と活力の向上

次に、多摩・島しょ地域の振興についてであります。
多摩地域の魅力と活力を高めるためには、ヒトとモノの移動の利便性を向上させ、地域の内外の交流をさらに活発にすることが重要であります。多摩の骨格を形成する南北及び東西方向の幹線道路や、南多摩尾根幹線等の整備を着実に進めるなど、多摩地域の発展を支える交通・物流ネットワークを一層充実させてまいります。
大学や研究機関が集積する多摩地域の強みを、産業の活性化へと繋げていくため、新たに立川に、創業支援拠点を設置をいたします。起業希望者への多彩な支援により、開業率の向上を図ってまいります。
多摩ニュータウンの再生も、地域の活性化に向けた重要な課題であります。団地の空き店舗の活用、タウン内の都市機能の再配置、先端技術による移動の円滑化など、全国のニュータウンの再生モデルともなる取組により、多様な世代が豊かに暮らす、活力あるまちを創り上げてまいります。
島しょ地域につきましては、観光振興にさらに力を入れてまいります。魅力を高めるブランド化の取組を加速するとともに、キャッシュレス化に向けたモデル事業の実施、上質な宿泊施設の整備促進など、旅行者の利便性や満足度の向上を図って、多くの人で賑わう島々を実現したいと存じます。また、小笠原諸島への交通アクセスにつきましては、来年度予算案におきまして、洲崎地区での飛行場建設に関する地質、気象、環境への影響等の調査経費を計上しておりまして、検討を前へと進めてまいります。

9 「東京大改革」の成果を積み重ねる

関東大震災からの復興事業を手掛けた、時の内務大臣・後藤新平は、「東京は帝国の首都にして、国家政治の中心、国民文化の淵源」であり、東京の復興は、「帝国の発展、国民生活改善の根基を形成する」ものだと述べています。こうした大きな理念の下に進められ、幅広の幹線道路、近代的な橋梁、数々の公園など、現在の東京の骨格を形成した様々な事業は、震災への備えの強化や、来るべき自動車時代への対応など、先見性をもって、首都である東京の都市力を高めるものでありました。
今の東京におきましても、先々を見据え、東京の力を高めていく視点が欠かせません。「都市力」を強化し、「稼ぐ力」を高め、人と人を繋いで都市の「活力」を引き出していく。まさしく東京の「地力」を底上げすることで、2020年のその先において、東京と日本が成長を続けていく礎を築くことが、今、私たちに課せられている使命であります。この使命を果たすため、引き続き、東京のあらゆる力の源である「人」を要諦とした都政を展開をし、「新しい東京」を築く「東京大改革」の成果を積み重ねてまいります。都議会の皆様、都民の皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案33件、条例案53件など、合わせて102件の議案を提案をいたしております。よろしくご審議のほど、お願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の施政方針表明を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。

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