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平成29年(2017年)8月28日更新

平成29年第二回都議会臨時会 知事発言

平成29年第二回都議会臨時会の開会に当たりまして、本臨時会に提案をいたしました「中央卸売市場会計補正予算案」に対する所信を述べさせていただきます。

豊洲移転延期から基本方針公表までの経過

昨年8月2日に都知事に就任してから、限られた時間ではございましたが、様々な方々のご意見もお伺いをし、8月31日、築地市場の豊洲移転を延期する決断をいたしました。都民ファーストの視点から、「安全性への懸念」「巨額かつ不透明な費用の増大」「情報公開の不足」の3つの疑問点が解消されていないと判断したためであります。
豊洲の土壌汚染対策につきましては、移転延期を発表した直後の9月、技術会議で示された対策である主要建物地下の盛土がなされていなかったことや、地下ピットに水が滞留していることが判明をいたしました。そこで、直ちにこの事実を公表するとともに、これらの原因の究明と対策の検討を始めました。
土壌汚染対策の効果を判定する2年間の地下水モニタリングにつきましては、昨年9月公表の第8回測定及び今年1月公表の第9回測定において、それまでは検出されていなかった環境基準値を超える物質が検出されました。
また、豊洲市場開場後の経常収支は、毎年度約90億円の赤字となることが判明いたしました。豊洲市場の事業継続性や、市場会計の持続可能性にも課題があることが明らかとなったのであります。
これらは、いずれも大きな出来事ですが、豊洲移転前に発覚したことにより、様々な視点から検討を行えたことは幸いであったと考えております。
昨年11月には、豊洲市場移転の総合的判断を行うための作業手順と、その時期を示したロードマップを作成し、公表いたしました。これに則り、専門家会議や市場問題プロジェクトチームなど専門家による検討を進め、市場のあり方戦略本部において行政としての総点検を行うとともに、事業者の方々からの意見もお聞きするなど、その作業を一つひとつ丁寧に進めてまいりました。

基本方針の公表

そして、6月20日には、これらの幅広い議論を踏まえるとともに、様々な意見も参考にしながら、都知事として熟慮を重ね、「豊洲と築地の両方を活かす」ことを主旨とする「基本方針」を打ち出しました。日本の新たな中核市場としての可能性を持つ豊洲と、都心に近く様々なポテンシャルを有する築地。東京のさらなる成長に向けましては、この両方を活かしていくべきである。こうした信念の下、私自身が出した考え方であるこの方針につきましては、築地市場の皆様にも速やかにご説明し、直接、ご意見も伺ったところであります。

3つの取組を進める

この基本方針を、東京都としての具体的な取組に繋げていくため、副知事及び関係局長に対し、次の3点を指示いたしました。
第一は、「豊洲市場への早期移転」であります。これを最優先の課題といたしております。第二は、「オリンピック・パラリンピックに向けた準備の推進」です。環状第2号線や輸送拠点の整備を着実に行ってまいります。第三は、「築地再開発」であります。「築地の魅力を最大限に活かした再開発」への取組を開始いたします。7月には、副知事及び関係局長による会議におきまして、この3点を具体的に進めていくための取組を整理し、現在、都庁一丸となって、それを進めているところであります。

豊洲市場への早期移転

ここで、3点の取組について具体的に申し述べておきます。
まず、第一の「豊洲市場への早期移転」についてであります。
豊洲市場は、中央卸売市場として継続的に運営してまいります。また、湾岸地域の物流センターとしても有利な立地を活かしながら、さらなる発展を目指してまいります。
最も大きな課題である豊洲市場の安全対策につきましては、操業由来の汚染土壌を除去し、土壌や地下水の汚染を環境基準以下とすることを目指してまいりました。このいわゆる「無害化」は、都議会でも付帯決議がなされ、都としてもこれを尊重して、他に類のない水準の土壌汚染対策を講じてまいりましたが、結果として達成されていない状況であります。都民の皆様との約束が守れなかったことにつきましては、先の定例会で陳謝をし、その後、築地市場の皆様にも直接お詫びを申し上げましたように、真摯に反省をしなければなりません。
一方で、専門家会議からは、豊洲市場は土壌汚染対策法に基づく対策が的確に講じられており、法的・科学的に安全と評価されております。さらに、「地下ピットの追加対策工事」「地下水管理システムの機能強化」を実施し、併せて環境測定の結果を継続して公表していくことによりまして、将来のリスク管理を行えるとの提言をいただいております。反省を踏まえまして、これらの対策を着実に実施することにより、豊洲市場で事業を行う上での安全・安心を確保してまいります。
なお、この追加対策につきましては、本日午前中に開催された環境影響評価審議会におきまして、再度の環境影響評価手続きは不要である旨、報告がなされたところであります。
風評被害の払拭につきましては、講じてきた土壌汚染対策の丁寧な説明、大気や地下水の水質の測定に基づく正確な情報発信を徹底していくとともに、市場見学会の開催など様々な取組を効果的に進め、都議会の皆様、都民の皆様、市場業者の皆様の理解と安心に繋げてまいります。
豊洲市場の建設・開場に伴う市場会計の持続可能性の課題に対しましては、豊洲市場の企業債の返済を着実に行うとともに、コスト削減や収入確保など具体的な経営改善策を策定し、解決のための努力を進めてまいります。
また、豊洲市場の使い勝手につきましては、業者の方々からの要望が寄せられておりまして、また、市場問題プロジェクトチームからご指摘もいただいております。これらを受けまして、必要な改善を進めてまいります。
さらに、市場開設に関する農林水産大臣への認可手続きにつきましても、直接、大臣の下を訪れて都の取組を報告する中で協力を要請しており、豊洲市場への移転に向けた必要なステップを確実に進めてまいります。
そして、豊洲市場への移転時期についてでありますが、追加対策工事は、この補正予算案を可決いただければ速やかに契約手続きを進め、着工することといたしております。工事の終了後、専門家会議による確認も経て、現時点では来年6月上旬に完了するものと見込んでおりまして、具体的な移転時期はそれ以降となります。市場業者の皆様には、今回の補正予算や追加対策工事の詳細等も含めまして丁寧にご説明をし、早急に移転時期について調整を進めてまいりたいと考えております。
なお、豊洲市場の発展につきましては、千客万来施設を含め、市場業者の皆様、地元区の皆様と共に、豊洲ならではの賑わいを創出していくことも欠かせません。千客万来施設の事業予定者には、都の取組を丁寧に説明するとともに、地元住民の皆様に対しましては、豊洲市場への理解を深めていただけるよう努め、その声に真摯に向き合ってまいります。

オリンピック・パラリンピックに向けた準備の推進

次に、第二の「オリンピック・パラリンピックに向けた準備の推進」についてでございます。
オリンピック・パラリンピックに向けましては、平成31年度末を目途に環状第2号線の地上部道路の整備を完了させるほか、輸送拠点の整備も着実に進め、大会運営に支障のないようしっかりと取り組んでまいります。
なお、先日、国土交通大臣ともお会いをし、大会期間中の円滑な輸送やバリアフリー化など、大会成功に向けて連携して取り組んでいくことを確認したところでございます。

築地の魅力を最大限に活かした再開発

そして、第三の「築地再開発」についてであります。
市場業者の皆様をはじめ、東京の食文化を担う多くの方々の努力により脈々と築かれてきた築地ブランドや、築地エリアが有するポテンシャルを引き続き活用し、東京の魅力をさらに高めていきたいと思います。
その際、都におきまして資金面・財政面からの検討を行うとともに、経済合理性を確保しながら、民間主導により再開発する方向で検討を進めてまいります。
また、こうした動きの中で、豊洲移転後、将来築地に戻ることを希望する仲卸業者などの皆様にお応えするための様々な方策についても、移転後の状況を踏まえつつ検討を進めたいと思います。
再開発の具体的なスケジュールにつきましては、まちづくりの方針の策定後に進めていく基本設計・実施設計、都市計画手続き、土壌・埋蔵文化財の調査、環境影響評価手続きなどのステップを踏みながら、5年以内のできるだけ早い着工を目指してまいります。その第一歩として、「築地再開発検討会議(仮称)」を設置し、まちづくりの観点から、築地のロケーションを最大限に活かした夢のある姿を描いていきたいと思います。

補正予算案の提案

これまで申し述べてきた、行政としての多岐にわたる課題につきまして、全庁一丸となって取り組み、また、民間の活力を最大限に活かしていくことこそ、東京の持続的な成長に繋がる道であると考えております。私自身先頭に立って、市場業者の皆様の不安や想いにも寄り添いながら、この道を進んでまいりたいと存じます。
このたび提案した補正予算案は、築地市場の豊洲への移転に向けた環境を早期に整える観点から編成したものでありまして、追加対策工事の経費をはじめ、移転準備に必要な経費、豊洲市場の使い勝手の向上に係る経費、築地の再開発に向けた検討のための経費から成っております。本案をご審議いただきまして、当面の最優先課題である豊洲市場への移転を速やかに実現してまいりたいと考え、本臨時会を招集をいたしました。都議会の皆様には、本案の趣旨についてご理解を賜り、よろしくご審議をお願い申し上げたく存じます。

以上をもちまして、私の発言を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。

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