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報道発表資料  2020年09月29日  財務局

令和2年 東京都基準地価格の概要
【調査基準日:令和2年7月1日】

国土利用計画法に基づく令和2年7月1日時点の東京都の基準地価格については、都内1,278地点の選定基準地の調査を行い、各地点の価格を令和2年9月30日付告示で公表する。
用途区分ごとの地点数は、住宅地772地点、商業地475地点、工業地14地点、宅地見込地6地点、林地11地点である。
地区の分類及び地点数の配分は、次の内訳のとおりである。

[区部]

  • 都心5区
    千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区(5区:170地点)
  • その他区
    文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区(18区:552地点)

[多摩地区]

  • 北多摩地区
    立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、西東京市(17市:248地点)
  • 南多摩地区
    八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市(5市:203地点)
  • 西多摩地区
    青梅市、福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町(4市3町1村:77地点)

[島部]

  • 大島町、新島村、神津島村、三宅村、八丈町、小笠原村(2町4村:28地点)

1 令和2年基準地価格の動向

(1) 全域的な動向

東京都全域でみた場合、住宅地、商業地、工業地で対前年平均変動率(以下、地点ごとの対前年変動率を「変動率」といい、地区・用途等の区分ごとに算出した対前年平均変動率を「平均変動率」という)は8年連続でプラスを維持したが、上昇幅は縮小した。また、住宅地、商業地、工業地及び宅地見込地の計(以下、「全用途」という)においても、平均変動率は8年連続でプラスを維持したが、上昇幅は縮小した。
令和元年調査では、区部692地点、多摩地区327地点の計1,019地点で価格が上昇したが、令和2年調査では、704地点で価格が上昇した。地区別の内訳は、区部が710地点中625地点、多摩地区が523地点中79地点で、用途別の内訳は、住宅地が764地点中359地点、商業地が468点中338地点、工業地が13地点中7地点である。(本年選定替した地点を各母数から除く)
前年から価格が下落した地点は、令和元年は53地点(区部0地点、多摩地区51地点、島部2地点)だったが、令和2年は379地点(区部37地点、多摩地区332地点、島部10地点)となった。
前年から価格変動がない(価格横ばい)の地点は、令和元年は164地点(区部0地点、多摩地区140地点、島部24地点)だったが、令和2年は178地点(区部48地点、多摩地区112地点、島部18地点)となった。

(2) 住宅地の動向

区部では、都心区のほか、利便性や割安感などから、都心の北に位置する区を中心に相対的に高い平均変動率となっている区が見られるが、画地規模が大きい地域や交通利便性に劣る地域等では、地価下落地点も現れている。
多摩地区では、地価下落地点が大幅に増加しており、斜面造成地や駅からの距離が遠い地域、人口減・高齢化が進む地域を中心に下落幅が大きい地点が見られる。一方、区画整理等の進展が見られる地域や区部に近い地域では、相対的に変動率が高い地点も見られる。

区部

  • 区部全域の平均変動率は1.4%となった。令和元年調査の4.6%に比べ上昇幅が縮小した。全23区で平均変動率がプラスとなった。
  • 平均変動率が最も高かったのは新宿区及び荒川区の2.6%(それぞれ前年6.1%、8.6%)で、文京区及び北区の2.2%がこれに続いている。
  • 地区別の平均変動率は、都心5区2.1%、その他区1.3%で、ともに令和元年調査と比較して上昇幅が縮小した。

多摩地区

  • 多摩地区全域の平均変動率は-0.8%となり、8年ぶりにマイナスとなった。6市で平均変動率がプラスとなり、20市3町1村ではマイナスとなった。
  • 平均変動率が最も高かったのは武蔵野市及び稲城市の0.9%(それぞれ前年3.3%、3.4%)で、府中市、調布市及び小金井市の0.4%がこれに続いている。
  • 平均変動率が最も低かったのは青梅市の-3.5%(前年-1.3%)で、日野市の-3.1%、羽村市の-2.6%がこれに続いている。

(3) 商業地の動向

区部では、再開発の進捗が見られる地域等で相対的に高い平均変動率となっているが、近年外国人の来訪が顕著となっていた地域を中心に、地価下落地点も現れている。
多摩地区では、地価下落地点が大幅に増加となっているが、区部に近い、駅周辺の商業地を中心に、相対的に変動率の高い地点が見られる。

区部

  • 区部全域の平均変動率は1.8%となった。令和元年調査の8.4%に比べ上昇幅が縮小した。全23区で平均変動率がプラスとなった。
  • 平均変動率が最も高かったのは港区の3.5%(前年9.9%)で、北区の2.8%、渋谷区の2.7%がこれに続いている。
  • 地区別の平均変動率は、都心5区1.7%、その他区2.0%で、ともに令和元年調査と比較して上昇幅が縮小した。

多摩地区

  • 多摩地区全域の平均変動率は-0.4%となり、8年ぶりにマイナスとなった。7市で平均変動率がプラスとなり、19市2町ではマイナスとなった。
  • 平均変動率が最も高かったのは小金井市の2.4%(前年6.7%)で、武蔵野市の1.8%、三鷹市の1.6%がこれに続いている。
  • 平均変動率が最も低かったのは奥多摩町の-2.3%(前年-0.9%)で、国分寺市の-2.2%、羽村市の-1.9%がこれに続いている。

(4) 工業地の動向

インターネット通販の普及等による物流施設への需要などから、物流施設適地では、相対的に高い変動率となっている。

  • 区部全域の平均変動率は2.1%となった。令和元年調査の4.4%に比べ上昇幅が縮小した。8地点中7地点で変動率がプラスとなり、1地点で0.0%(変動なし)となった。
  • 多摩地区全域の平均変動率は-0.7%となり、8年ぶりにマイナスとなった。全5地点で平均変動率がマイナスとなった。

(5) 地価の半年単位の動向

  • 地価公示の標準地と同一地点である基準地(以下、「共通地点」という)211地点のうち、前半期(令和元年7月1日~令和2年1月1日)・後半期(令和2年1月1日~令和2年7月1日)で比較可能な203地点の変動率をみた場合、198地点で前半期の変動率より後半期の変動率が低く、5地点では前半期・後半期ともに0.0%となった。
  • 共通地点の前半期平均変動率、後半期平均変動率、年間平均変動率は、下表のとおりである。

地価公示の標準地と同一地点である基準地の動向

(単位:%)
  前半期 後半期 年間
区部 住宅地 2.0 -0.6 1.4
商業地 4.3 -2.2 2.0
全用途 3.1 -1.4 1.7
多摩地区 住宅地 0.5 -1.0 -0.4
商業地 2.0 -1.9 0.1
全用途 1.0 -1.3 -0.3
東京都全域 住宅地 1.4 -0.8 0.7
商業地 3.7 -2.1 1.5
全用途 2.4 -1.3 1.0

2 地価動向の背景

(1) 経済の動向(全国)

  • 令和元年8月から令和2年7月までの「月例経済報告」基調判断では、令和2年3月に「厳しい状況にある」とされ、平成30年1月から続けていた「緩やかに回復している」から下方修正された。さらに、令和2年4月には「急速に悪化」と10年11か月ぶりに「悪化」と表現された。その後、令和2年6月には「下げ止まりつつある」、令和2年7月には「持ち直しの動きがみられる」と、2か月連続で上方修正されている。(出典:内閣府「月例経済報告」)

(2) 土地所有権移転の動向(東京都)

  • 令和元年6月から令和2年5月までの東京都における売買による土地所有権移転登記件数は131,027件で、前年同期の137,798件と比較して-6,771件(-4.9%)となっている。(出典:法務省「登記統計」)

(3) 住宅市場の動向(東京都)

  • 令和元年6月から令和2年5月までの東京都における新設住宅着工戸数は134,956戸で、前年同期の144,896戸と比較して-9,940戸(-6.9%)となっている。主な内訳をみると、持家は-2.8%、貸家は-7.9%、分譲住宅は-6.9%となっている。地域別でみると、都心3区(千代田区、中央区、港区)は-13.7%、区部全域は-2.8%、多摩地区市部は-20.6%となっている。(出典:東京都住宅政策本部「住宅着工統計」)
  • 平成22年を100とした令和2年4月の東京都の不動産価格指数(住宅)は、住宅総合124.6(前年同月比-1.4%)、住宅地100.6(同-12.6%)、戸建住宅107.1(同-1.4%)、マンション152.0(同+3.5%)となっている。(出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」)
  • 令和2年1月から令和2年6月までの東京都区部の新築マンションの供給戸数は3,845戸で、前年同期の5,465戸と比較して-1,620戸(-29.6%)となっている。平方メートル当たり単価は132.4万円/平方メートルで、前年同期の119.6万円と比較して+12.8万円(+10.7%)となっている。(出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」)
  • 令和元年7月から令和2年6月までの東京都の中古マンションの新規登録件数は111,007件で、前年同期の118,699件と比較して-7,692件(-6.5%)となっている。令和2年6月の新規登録件数は9,010件(前年同月比-8.8%)で、10か月連続で前年同月を下回り、成約平均平方メートル単価は70.19万円/平方メートル(同+0.6%)で、2か月連続で前年同月を上回っている。(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch」)

(4) オフィス市場の動向(東京都・都心5区)

  • 令和元年7月から令和2年6月までの都心5区のオフィスビル(基準階面積100坪以上)空室率は、令和2年2月までは低下傾向が続いていたが、令和2年3月以降は4か月連続で上昇し、令和2年6月は1.97%となった。平成27年7月以降、5%を60か月連続で下回っている。令和2年6月の坪当たりの平均募集賃料は22,880円/坪(前年同月比+6.3%)で、74か月連続で前年同月を上回っている。(出典:三鬼商事株式会社「オフィスマーケットデータ」)

(5) 不動産投資市場の動向

  • 令和2年6月末のJ-REIT保有不動産額は、19兆7,164億円で、前年同期の18兆7,184億円と比較して、+9,980億円(+5.3%)となっている。(出典:一般社団法人不動産証券化協会「ARES マンスリーレポート」)

(6) 国内銀行の貸出動向(全国)

  • 令和2年6月期の不動産業向け貸出金残高は83兆7,034億円で、前年同期の80兆2,519億円と比較して+3兆4,515億円(+4.3%)となり、33四半期連続して前年同期を上回っているが、前年同期比は平成27年12月期から平成30年12月期までは5%台から7%台で推移していたところ、その後は3%台から4%台前半で推移している。(出典:日本銀行「貸出先別貸出金」)

(7) 人口の動向(東京都)

  • 令和2年1月1日現在の東京都の総人口は、平成31年1月1日と比較して約9万4千人の増となっている。区部、多摩地区市部、多摩地区町村部及び島部の地区別でみると、区部と多摩地区市部で人口が増加し、増減率は、区部+0.89%、多摩地区市部+0.27%、多摩地区町村部-1.13%、島部-1.43%となっている。(出典:東京都総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)
  • 同様に令和2年1月1日現在の生産年齢人口(15~64歳)は、平成31年1月1日現在と比較して約7万4千人の増となっている。うち日本人は約5万3千人の増で5年連続の増となった。地区別では、区部と多摩地区市部で増となり、多摩地区町村部と島部で減となっている。増減率は、区部+1.11%、多摩地区市部+0.17%、多摩地区町村部-2.01%、島部-2.32%となっている。令和2年1月1日現在の人口総計に占める生産年齢人口の割合は、東京都全体でみた場合65.85%、地区別にみた場合は、区部67.30%、多摩地区市部62.75%、多摩地区町村部54.85%、島部52.86%で、区部を除いて、それぞれ平成31年1月1日現在の割合から微減となっている。(出典:東京都総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)

地区別・用途別対前年平均変動率

(単位:%)
項目
地区
住宅地 商業地 工業地 全用途【注】
2年 元年 2年 元年 2年 元年 2年 元年
区部 1.4 4.6 1.8 8.4 2.1 4.4 1.6 6.5
多摩地区 -0.8 0.8 -0.4 2.3 -0.7 2.3 -0.7 1.1
島部 -0.4 0.0 -1.3 -0.2 - -0.6 -0.1
東京都全域 0.2 2.5 1.3 6.8 1.0 3.4 0.6 4.1
【注】林地を除く

全文(財務局ホームページ)

問い合わせ先
財務局財産運用部管理課
電話 03-5388-2736

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