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報道発表資料  2019年03月06日  建設局, (公財)東京動物園協会

恩賜上野動物園情報
ジャイアントパンダの繁殖期の対応について

恩賜上野動物園(園長 福田豊)では、ジャイアントパンダ3頭を飼育していますが、今後、発情の兆候が見られた場合、速やかに交配などに向けた環境を整えられるよう、準備を進めてまいります。
つきましては、繁殖期の対応についてお知らせさせていただきます。

1.対象動物

ジャイアントパンダ

  • リーリー(オス)
    2005年8月16日 臥龍保護センター生まれ
  • シンシン(メス)
    2005年7月3日 臥龍保護センター生まれ
  • シャンシャン(メス)
    2017年6月12日 上野動物園生まれ
パンダの写真1 パンダの写真2
ジャイアントパンダ(左:リーリー 右:シンシン)

2.繁殖について

ジャイアントパンダの繁殖期は一般的には年1回、2月から5月にやってきます。この期間中にメスの妊娠の可能性が高まるのは数日間だけです。
当園では自然繁殖を目指しており、メスの交配適期を見極め、交配のための同居を行う予定です。

3.繁殖期の対応

繁殖期のシンシンの行動などを確認しながら、以下の対応をしてまいります。

1)同居の実施について

交配のため、リーリー(オス)とシンシン(メス)の同居を数日間実施します。

2)展示について

パンダが繁殖に集中できる落ち着いた環境を整えるため、パンダ舎周辺の立入り規制を行います。
これにより、シャンシャンを含めて全てのジャイアントパンダの展示が中止となります。ご理解・ご協力くださいますよう、お願い申し上げます。

3)UenoPandalive.jp によるライブ映像の配信等について

同居に伴い、リーリーとシンシンの放飼場および室内のカメラはライブ映像の配信を中止致します。
なお、シャンシャンを展示している屋外D放飼場および5号室のカメラは配信を継続します。
また、シャンシャンの映像を園内大型ビジョンにより放映致します。
※展示中止時の映像機器切替えにより、録画映像を配信する場合があります。
※また、混乱を避けるため、混雑時等は一時的に放映を中止させていただく場合がございます。

4.展示にかかる告知

シンシンの発情が強まった場合、展示中止についてプレス公表いたします。
プレス公表後、終日展示中止となりますので、その後の展示の有無については上野動物園ホームページ(東京ズーネット)(外部サイトへリンク)上野動物園公式ツイッター(外部サイトへリンク)、園の全ての出入口への掲示でご案内します。ご確認のうえ、ご来園いただけますようお願いいたします。

5.現在の状況

10月以降、リーリーはシンシンの部屋を通過する際や放飼場において、逆立ち尿やマーキングの回数が増えたり、木に登って高い位置でマーキングをしたりするなどの、繁殖期によく見られる行動が現れています。なお、シンシンには今のところ鳴き声を発する、体の一部を冷やすなど発情に係る行動の発現や尿中ホルモン値の顕著な変化などの発情兆候は見られていません。

6.平成29年の経過

発情期

  • 平成28年
    12月8日頃 オス(リーリー)に繁殖期に見られる行動があらわれる
  • 平成29年
    1月16日 屋外観覧通路外側への目隠し(フェンス)を事前設置
    2月15日頃 メス(シンシン)にも発情兆候が見られ始める
    2月22日 展示中止
    2月27日 同居実施、交尾行動を確認
    2月28日 メスの発情が収束に向かう
    3月1日 展示再開を報道発表
    3月2日 展示再開

交尾後

  • 平成29年
    5月16日頃 シンシンの採食量減少、休息時間の増加などの変化が見られ始める
    5月20日頃 尿中のホルモン代謝物に変化が見られる
    5月25日 出産に向けシンシンの展示を中止
    6月12日 出産

7.撮影について

現在、来園者集中による混雑のため、ジャイアントパンダ舎内及び周辺での撮影についてはご遠慮いただいております。
ジャイアントパンダに関する近況報告は、定期的に上野動物園ホームページ(東京ズーネット)(外部サイトへリンク)にてご報告しております。
なお、展示を中止した場合、中止期間中のジャイアントパンダに関する状況報告については別途お知らせいたします。

参考

ジャイアントパンダ(食肉目 クマ科)
(ワシントン条約附属書1、IUCNレッドリスト:VU(絶滅危惧2類)、東京都ズーストック種)
※「附属書1」「2類」の正しい表記はローマ数字です。

  • 学名
    Ailuropoda melanoleuca
  • 英名
    Giant panda
  • 分布
    中国南西部(四川省、陝西省、甘粛省)の標高2600~3500メートルの寒冷湿潤な竹林
  • 生態等
    基本的には単独行動で行動圏5~15平方キロメートル、昼夜の別なく行動するが明け方と夕方が活発です。

ジャイアントパンダの繁殖などに関する一般的傾向について

1.性成熟

性成熟はオスで6.5~7.5歳、メスで3.5~4.5歳。

2.繁殖期

繁殖期は一般的に2~5月。秋に発情するケースもある。繁殖期には、行動量の増加、においつけ、水浴びによる体冷やしの増加、食欲減退、恋鳴きなどが見られる。発情期間は2週間ほどであるが、そのうち受精できるのは数日間だけある。

3.妊娠期間

交配後、83~200日の妊娠期間を経て出産する。妊娠期間は個体差がある。これは、着床遅延【注1】があるためで、受精してから着床するまでの時間が1日のものもあれば数週間かかるものもある。着床までの時間によって妊娠期間が変わる。

【注1】着床遅延(ちゃくしょうちえん)
受精卵がすぐに子宮内膜に着床せず、胚盤胞の状態でしばらくの間子宮内に浮遊し、それから着床・発育を始める現象。温・寒帯に分布するクマ類やイタチ類、鰭脚類、カンガルーなどに認められている。着床までの時間によって妊娠期間が変わる。

4.妊娠時に認められる変化

  1. 食欲の変化
    出産の30日前頃から食欲が減退し、餌を残すようになる。出産間際には食欲が廃絶する。
  2. 行動の変化
    出産の15日前頃から巣づくり行動が認められる。出産間際には行動が不活発になる。
  3. 体の変化
    出産の30日前頃に乳頭が確認されるようになる。出産間際には陰部の腫脹、乳房の腫脹が認められる。
  4. ホルモンの変化
    出産前の3.7週~8週に尿中のプレグナンジオール(妊娠の維持に必要な黄体ホルモンが代謝された物質)値の上昇が認められる。出産間際にはこの数値が下がる(血液で検査した場合には、プロゲステロン(妊娠に必要な黄体ホルモン)値が上昇する)。

5.妊娠の確認

妊娠時に認められる変化により推測するが、偽妊娠【注2】という生理現象がみられるため、確定診断は難しい。

【注2】偽妊娠(ぎにんしん)
偽妊娠は病気ではなく生理現象の一種である。排卵すると、受精しなくても妊娠と同じ経過をたどることが知られている。発情の後、妊娠しなくても、尿中ホルモン値の上昇、動作の不活発、長い休息時間、食欲不振、乳頭の明瞭化、乳房の腫脹、巣作り行動など妊娠した場合と同様の現象が現れる。これを偽妊娠と呼ぶ。出産することがないまま日数が経過し、上記の変化が認められなくなって終息する。

参考文献

张志和・魏辅文著『大熊猫 迁地保护 理论与实践』(ジャイアントパンダ 域外保全 理論と実践)、科学出版社(中国)、2006年
東京都恩賜上野動物園編『ジャイアントパンダの飼育 上野動物園における20年の記録』、東京動物園協会、1995年

UenoPandalive.jp によるライブカメラ映像配置箇所

※ジャイアントパンダの展示中止期間中は、1)2)のカメラのみ配信を継続します。

ライブカメラ映像の配置図

問い合わせ先
(公財)東京動物園協会
恩賜上野動物園教育普及課
電話 03-3828-5171 17時00分まで
建設局公園緑地部管理課
電話 03-5320-5365

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