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報道発表資料  2018年01月24日  労働委員会事務局

[別紙]

命令書の詳細

1 当事者の概要

  1. 申立人X1は、金属情報機器等の産業別労働組合であり、本件申立時の組合員数は約2,500名である。
  2. 申立人X2は、X1に所属し、申立外株式会社Y3の破産に伴い被申立人Y1に雇用された従業員らが組織している労働組合で、本件申立時の組合員数は8名である。
  3. 会社は、工業用機械設備の設計、企画等を業とする株式会社であり、本件申立時の従業員数は約45名である。
  4. 被申立人Y2は、金属、機械等の販売を業とする株式会社で、会社の株式を100パーセント保有する株主であり、本件申立時の従業員数は128名である。

2 事件の概要

組合員A1及びA2は、会社と65歳以降も再雇用契約を締結していたが、平成27年2月13日、会社は、A1らに対して、契約期間満了の3月31日をもって、雇止めとすることを通知した。
3月19日、会社は、支部の会議室の貸与の申請を拒否し、会社を訪れたX1の役員を会社内にある組合事務所に入れなかった。
3月25日の団体交渉において、会社は、会社会議室貸与拒否及びX1役員立入禁止は、Y2が決定したなどと述べた。
4月2日、組合は、Y2に対して、団体交渉を申し入れたが、同月7日、Y2は、組合員らの使用者ではないとして、団体交渉に応じないことを回答した。
本件は、(1)会社がA1らを本件雇止めとしたことは、組合員であることを理由とする不利益取扱いに当たるか否か、(2)本件雇止め、春闘等に関する団体交渉における会社の対応が、団体交渉の拒否あるいは不誠実な団体交渉に当たるか否か、(3) 1)上部団体の出席を理由に会社社長が団体交渉を欠席したこと、2)会社が個々の組合員に労働条件を提示すると回答したこと、3)会社が会議室貸与拒否及びX1役員立入禁止をしたことは、それぞれ支配介入に当たるか否か、(4)Y2が団体交渉を拒否したこと、(5)会議室貸与拒否及びX1役員立入禁止をしたことは、団体交渉の拒否あるいは支配介入に当たるか否か、がそれぞれ争われた事案である。

3 主文の要旨

  1. 会社は、A1及びA2の再雇用契約を更新したものとして取扱い、賃金相当額を支払うこと。
  2. 文書の交付
    要旨:会社施設の貸与及びX1役員の立入りを拒否したこと及びA1らを雇止めとしたことが不当労働行為であると認定されたこと。今後同様の行為を繰り返さないよう留意すること。
  3. 前2項の履行報告
  4. その余の申立ての棄却

4 判断の要旨

  1. 会社は、A1ら及び組合に退職金が一部支払われなかったことに対する補償の意味合いで70歳まで雇用する旨の発言をしておきながら、労使関係が良好とはいえない状況下で、合理的な理由もなく、何の説明もなく上記発言を翻し、雇止めに係る具体的な基準のない中で、組合員以外の従業員について雇用あるいは業務委託等を継続しながら、組合員であるA1らのみを本件雇止めとしたのであるから、組合を嫌悪し、組合員を会社から排除するため、A1らを本件雇止めとしたものというほかない。
  2. 会社社長は、団体交渉に出席していないが、会社側出席者が交渉に関して権限がないため団体交渉に具体的な支障があったなどの事情は認められない。
    本件雇止めについて、限られた交渉時間において、いまだ十分な交渉が行われていない状況であり、会社が意図的に説明を回避したものとみることはできない。
    春闘について、組合が再雇用者を含む賃上げを要求したことに対して、会社は、範囲を限定せずに有額回答を約し、後に正社員の賃上げのみを回答したが、説明が足りなかった、全員有額回答という趣旨ではなかった旨を説明しており、組合を欺こうとしたとまではいえない。
    以上のとおり、会社の対応は、団体交渉の拒否あるいは不誠実な団体交渉に当たらない。
  3. 1)会社が上部団体の出席を理由に社長が団体交渉に出席しないと述べたとまで認めるに足りる疎明はない。2)会社が個々の組合員に労働条件を提示すると回答したことにより、団体交渉を形骸化したとか、組合活動を阻害したなどということはできない。3)会社は、従来会社施設の貸与やX1の役員の立入りを規制せずに認めており、X1の役員が立ち入ったために機密保持上の問題が実際に起きたなどの事情もなかったにもかかわらず、事前に組合と話し合うことも、組合に手続案を提示するなどの配慮も一切なく、一方的に従来の取扱いを変更し、会議室貸与拒否及びX1役員立入禁止をした。
    以上のとおり、3)は支配介入に当たるが、1)、2)は支配介入には当たらない。
  4. 賃上げについて、Y2の意向に従わざるを得ず、Y2の了解がないとできない、会議室貸与拒否及びX1役員立入禁止について、Y2が決定した、Y2の方針であるとの会社の発言のみを捉えて、Y2が組合員らの労働条件等を決定しているということはできず、Y2の対応は団体交渉の拒否あるいは支配介入に当たらない。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日 平成27年3月2日
  2. 公益委員会議の合議 平成29年12月19日
  3. 命令書交付日 平成30年1月24日

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