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報道発表資料  2017年07月26日  東京都労働委員会事務局

【別紙】

命令書詳細

1 当事者の概要

  1. 申立人組合は、中小零細企業で働く労働者を中心に組織された労働組合であり、業種に関わりなく一人でも加入できるいわゆる合同労組である。本件申立時の組合員数は約400名である。
  2. 被申立人会社は、印刷事業、エレクトロニクス事業等を主たる業務とする株式会社である。会社は、肩書地に本社を置き、本件申立時の従業員数は約8,900名である。
    会社には、会社及びそのグループ会社の従業員で組織する申立外A労働組合(以下「A労組」という。)が存在する。

2 事件の概要

  1. Xは、平成25年4月から会社の情報コミュニケーション事業本部にて勤務していたところ、27年4月、Y部長代理(以下、当事者の呼称に従い、「Y部長」という。)がXの上司として着任した。
    11月17日、会社は、Xに対し、12月1日付けで朝霞工場へ異動するよう命じた(以下「12月1日付配転命令」という。)。Xは、12月1日付配転命令は、Y部長によるパワーハラスメント(以下「パワハラ」という。)を契機とする不当な配置転換であるとして、東京労働局長に助言、指導の申出を行ったところ、11月30日、会社は、12月1日付配転命令を留保することとした。その後、東京労働局においてあっせんが2回行われたものの、あっせんは不調に終わった。
    28年3月22日、会社は、Xに対し、4月1日付けで朝霞工場へ異動するよう命じた(以下「本件配転命令」という。)。3月28日、Xは、組合に加入した。
    3月31日、組合は、会社に対し、本件配転命令の撤回、パワハラの是正等を議題とする団体交渉を申し入れた。同日、会社は、本件配転命令を撤回した。
    4月5日、組合は、会社に対し、再度、本件配転命令の撤回の経緯等を議題とする団体交渉を申し入れた。しかし、本件結審日(29年4月21日)に至るまで、会社は、団体交渉に応じていない。
  2. 本件は、会社が、組合が28年3月31日及び同年4月5日に申し入れた、Xに対する配転命令撤回の経緯や、Y部長のXに対するパワハラ等を議題とする団体交渉を拒否したか否か、拒否したとすれば、それは正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文の要旨

  1. 会社は、組合が申し入れた団体交渉について、速やかに、かつ、誠実に応じなければならない。
  2. 文書掲示及び交付
    要旨:平成28年3月31日及び同年4月5日に申し入れた団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為と認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないよう留意すること
  3. 履行報告

4 判断の要旨

  1. 会社は、組合は労働組合法上の法適合組合ということはできないから、本件申立適格を有せず、本件は却下すべきであると主張するが、独自の見解というべく、採用することができない。
  2. 会社は、団体交渉申入れに対する回答猶予を求めた上で、文言上は「当面」の間としつつも、簡易、迅速な連絡手段である電話や面談を一切拒否し、組合がXの組合加入及び労働組合法上の労働組合であることを説明し、繰り返し団体交渉を申し入れているにもかかわらず、会社として組合に具体的事実関係の釈明を求めることなく、団体交渉を申し入れる「根拠」を示すよう書面にて繰り返し求め、団体交渉応諾の意向やその条件について1か月以上にわたり明確に回答していない。
    会社の上記一連の対応をみると、会社は、組合に対して形式的な質問を繰り返すことにより、組合からの団体交渉申入れに対する回答を理由なく先延ばしにし、開催日時、場所等、団体交渉応諾についての回答を避け続けているものといわざるを得ない。このような会社の対応は、組合が申し入れた団体交渉の拒否に当たることは明らかである。
  3.  
    •  会社は、団体交渉を拒否したことに正当な理由があったとして、本件配転命令の撤回経緯については議題となっていない、組合が提示した議題は義務的団交事項に当たらない、A労組との二重交渉のおそれがあった、組合の態度が不誠実であったと主張するが、いずれの主張も採用することができない。
    • 会社は、組合の団体交渉における適格を疑問視するような具体的根拠を何ら有していないにもかかわらず、漠然と組合に対して団体交渉の開催を求め得る根拠を示すよう求めただけであり、会社が組合との団体交渉に応ずべき立場にあったことは明らかである。会社の「団体交渉の開催を求め得る根拠」なるものを求め続けた行為は、組合が質問に対して回答しないことをもって、団体交渉拒否をするための単なる口実にすぎないものといわざるを得ない。
    • 会社は、組合の団体交渉申入れに対し、組合が提示した議題の具体的な内容が不明であることや、二重交渉のおそれがあること等を何ら指摘していない。使用者が組合の団体交渉申入れ事項等に疑問を抱いたとしても、それが直ちに団体交渉を拒否する正当な理由となるものではなく、議題の具体的な内容や、労働組合間の交渉権限の配分等を組合に問い合わせるなどして疑問の解消に努める必要があり、そのような対応もせずに、本件申立て後に、いわば後付けで主張したという点においても、団体交渉を拒否したことに正当な理由があったとの会社の主張は、採用することができない。
      以上のことから、会社が、組合の申し入れた団体交渉を拒否したことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
  4. 組合は、団体交渉応諾のほか、文書交付のみを求めているが、本件結審時において団体交渉申入れから約1年が経過しているにもかかわらず、会社はおよそ労働組合法の趣旨にもとる独自の見解に固執した対応に終始し、その結果、団体交渉が一度も開催されていないこと等を踏まえると、本件の救済としては、主文のとおり文書の交付に加えて文書の掲示を命ずるのが相当である。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日
    平成28年5月12日
  2. 公益委員会議の合議
    平成29年7月4日
  3. 命令書交付日
    平成29年7月26日

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