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報道発表資料  2017年04月06日  労働委員会事務局

〔別紙〕

命令書の詳細

1 当事者の概要

(1)申立人組合は、26年5月23日に、協会の従業員である総本部指導員らにより結成され、本件申立時の組合員数は9名である。

(2)被申立人協会は、肩書地に主たる事務所である総本部を、全国約900か所に道場を有する支部を置き、空手道の指導、普及、研究等を行う公益社団法人である。協会の本件申立時の従業員数は29名である。

2 事件の概要

Xは協会に空手道の指導等を行う総本部指導員として勤務していた。26年5月23日、Xら約9名の総本部指導員らは、組合を結成し、12月24日、協会に対し賃金・一時金要求等を議題とする団体交渉申入れを行った。
これに対し27年1月20日、協会は、組合の法適合性に疑義があるとして、釈明を求めたが、組合はこれに応答しなかった。
2月17日、協会はXが協会の運営に関する誹謗中傷行為等を行ったとして、同人を懲戒解雇した。
2月18日、組合は協会に対しXの懲戒解雇を議題とする団体交渉を申し入れたが、協会は改めて釈明をするよう文書で通知し、団体交渉に応じなかった。
本件は、27年2月18日に組合が申し入れたXの懲戒解雇を議題とする団体交渉に協会が応じなかったことは正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文

  1. 文書交付及び掲示
    要旨:組合が申し入れた団体交渉に協会が応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。
  2. 前項の履行報告

4 判断の要旨

  1. 協会は、そもそも本件団体交渉申入れを拒否しておらず、組合の適格性に疑義があったため釈明を求めたが、組合及びXがこれに応じなかったため、結果的に団体交渉が開催されなかったにすぎない旨を主張するので以下判断する。
    1) Xが労働組合の名で労働組合の本来の目的とかけ離れた主張を繰り返してきたとの主張について
    協会は、組合が、協会の従業員でない者の代議員資格について質問状を発出したこと等の行動について、労働組合の本来の目的とは無関係であって、組合は、労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的とするものではなく、Xの個人的欲求を満たすことを主目的とした存在にしかみえなかった旨を主張する。
    しかし、上記組合の行動や要求自体が直ちに組合員の労働条件に無関係であるとはいえない。その上、組合が12月24日付団体交渉申入れ等により、給与、賞与など、組合員の労働条件について質問や要求をしていることは明らかであり、組合の主たる目的が組合員の労働条件の維持改善等ではないということはできないから、上記組合の行動を理由に組合の団体交渉当事者としての適格性に疑義があったとする協会の主張は採用することができない。
    2) 組合員が名義貸与者にすぎないとの主張について
    協会は、Xが複数の指導員に対してその自由意思を無視する態様にて執拗に組合への加入を勧誘したとか、組合員とされている者は単なる名義貸与者にすぎない可能性が高いものと考えられる状況にあった等と主張しているが、協会の主張を裏付ける具体的な事実の疎明はない。
    3) 協会の釈明の求めに組合が応じなかったとの主張について
    協会は、Xに対し、1月20日付文書において、i組合の資格証明書、ii組合結成大会の具体的日時・場所・参加者及び決議事項、iii組合員の氏名の開示を求め、Xがこれに応ずることが、団体交渉開催の前提であるとの態度を示し、本件団体交渉申入れを受け、3月10日付けで、改めて、Xにこれら求釈明事項に回答するよう求めた。
    しかし、上記1)のとおり、組合の団体交渉当事者としての適格性に疑義があるとする協会の主張は採用することができないのであるから、これら求釈明事項に組合あるいはX個人が回答しなかったとしても、そのことは、協会が団体交渉を拒否する正当な理由とはならない。
    また、協会の求釈明事項をみても、iについては、労働組合は労働組合法上の資格審査を経ているかいないかにかかわらず、使用者に団体交渉申入れを行うことができるのであるから、組合が資格証明書を提出しなくても、団体交渉の開催には何ら支障はない。iiについては、組合内部の問題であり、本来、使用者が団体交渉の開催に際して、労働組合に開示を要求すべき事項ではない。iiiについては、本件では、協会の従業員が組合員となっていることは明らかであるから、協会が団体交渉の相手方としての使用者に当たることもまた明らかであり、他に団体交渉の開催に組合員全員の氏名の開示が不可欠であるといえるような事情も認められない。
    したがって、協会の求釈明事項は、いずれも、組合又はXの回答がなければ団体交渉の開催に支障が生ずるものであったとは認められない。
    4) 結論
    以上のとおり、組合及びXが協会の求釈明事項に回答していないことは、協会が団体交渉を拒否する正当な理由とは認められないのであるから、27年2月18日に組合が申し入れたXの懲戒解雇に関する団体交渉に協会が応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
  2. 救済利益について
    本件係属中の28年11月8日、当事者間で第1回団体交渉が開催され、第2回団体交渉開催に向けて日程調整も行われているが、本件申立て以前の協会の団体交渉拒否が、組合と協会との紛争を拡大させた上、協会は、本件審査手続において、本件団体交渉申入れに応じなかったことに正当な理由があるとの主張を維持していることなどから、救済利益が失われているということはできない。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日 平成27年4月15日
  2. 公益委員会議の合議 平成29年2月21日
  3. 命令書交付日 平成29年4月6日

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