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報道発表資料  2017年03月28日  労働委員会事務局

〔別紙〕

命令書詳細

1 当事者の概要

  1. 申立人組合は、平成5年12月20日に結成された、東京及び周辺地域の労働者を対象とするいわゆる地域合同労組である。本件申立時の組合員数は約350名であり、会社には、X以外の組合員はいない。
  2. 被申立人会社は、単行本、書籍及び雑誌の出版などを業とする会社であり、本件申立時の従業員数は5名である。

2 事件の概要

平成26年6月、Xは、会社に試用期間を3か月とする契約社員として入社した。Xは、試用期間満了後も会社で働いていたが、正社員として採用されなかったことなどから、12月6日、組合に加入した。
12月9日、組合は、会社による組合への支配介入行為があったとして、当委員会に対し、不当労働行為救済申立て(以下「前件」という。)を行った。12月16日、会社がXに対し、27年1月15日付けでの解雇を予告したため、組合は、解雇予告撤回を求め、追加申立てを行うなどした。
9月17日、組合と会社とは、当委員会においてXが復職するという内容を含んだ和解協定書を締結し、前件は終結した。10月1日、Xは和解に基づいて復職したが、その後、職務内容など労働条件を巡って、会社と組合との間で再び紛争となり、11月16日、組合は、本件申立てを行った。
12月3日、Y社長は、会社内において従業員らが同席する中、Xに対し、「全ての元凶はユニオンなわけよ。君がユニオン辞めれば、普通にみんな付き合う。」、「まあ、こういうこと言うと、支配介入って言われるけどな。」、「何でも言うよ。君が嫌いじゃなくて、ユニオンが嫌いなんだから。」などの発言(以下「本件発言」という。)を行った。
本件は、12月3日、Y社長がXに対して行った本件発言について、これが組合の組織、運営に対する支配介入に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文の要旨

  1. 会社は、組合員に対して組合からの脱退を勧奨したり、組合を非難する発言をするなどして、組合の組織、運営に支配介入してはならない。
  2. 文書の交付及び掲示
    要旨:会社代表取締役が、平成27年12月3日、会社内において貴組合員に対し、貴組合からの脱退を勧奨したこと及び貴組合を非難する発言をしたことが不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないよう留意すること。
  3. 前項の履行報告

4 判断の要旨

  1. 本件発言は、直接的に組合員Xに対して向けられ、Xが組合員であることが労使紛争の原因であるとして、組合を非難ないし批判するものであると同時に、明らかに組合からの脱退を促す発言である。
    また、本件発言は、Xの職務内容など労働条件について再び労使間で問題が発生し、対立関係が厳しくなる中で行われたものである。
    さらに、本件発言は、会社内において唯一の組合員であるXに対し、他の従業員らが同席する中で行われており、組合員として組合活動を続けることについて直截的な威嚇的効果があり、会社内において組合活動が阻害されるおそれは極めて大きい。
    以上のことから、本件発言は、組合の組織、運営や組合活動に悪影響を与えるものであることが明らかであり、組合の組織、運営に対する支配介入に当たる。
  2. この点、会社は、本件発言は、Y社長が組合活動に対する知識がない中で組合に対応し、精神的に追い詰められた上でなされたものであり、発言当時、Y社長は心神耗弱状態で責任能力はなかったと主張する。
    しかし、医師の診断書において心神耗弱である旨の記載はなく、むしろ、Y社長は、自身の発言が労働組合法で禁止される支配介入に該当し得ることを認識した上で、組合からの脱退勧奨や組合に対する嫌悪の情を示す発言を繰り返し行っていたというべきであり、精神的に追い詰められ、責任能力がなかったとする会社の主張は採用することができない。
  3. 会社は、本件審査において不当労働行為として禁止される行為を断じて行わないと誓約していることから救済命令の必要はないと主張する。
    しかし、組合が新たな申立てをするなど、組合と会社との間で円満な労使関係が構築されているとはいえず、当該誓約が遵守される保障もないことから、救済の利益が失われたということはできない。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日
    平成27年11月16日
  2. 公益委員会議の合議
    平成29年3月07日
  3. 命令交付日
    平成29年3月28日

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