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報道発表資料  2017年02月27日  労働委員会事務局

〔別紙〕

命令書詳細

1 当事者の概要

  1. 申立人組合は、個人加盟のいわゆる合同労組であり、平成19年に結成された。本件申立時の組合員数は62名である。
  2. 被申立人会社は、塗装業等を営む株式会社であり、従業員数は約20名である。

2 事件の概要

A(外国籍)は、平成27年2月20日付けで会社を退職したが、残業代の未払や、社会保険未加入のため厚生年金の脱退一時金を受給できないことなどから、組合に加入し、組合は、会社に対して、Aの未払残業代や脱退一時金相当額などの支払を求めた。
その後、労使間の文書のやり取りの結果、未払残業代については労使で合意に至り、会社はAに残業代を支払った。しかし、組合は、Aの社会保険未加入の問題などが未解決であるとして団体交渉を申し入れ、6月30日に団体交渉が開催された。
団体交渉では、組合が会社に対して、A以外に社会保険未加入者はいるのか、A以外に外国人従業員がいるのか等の質問をすると、会社側のB弁護士は、それらの質問に答える必要はないなどと述べて明らかにしなかった。その後、会社が、Aの社会保険未加入問題等について、自らの提案した解決案以外には要求に応じない旨を明言すると、組合は交渉を打ち切って途中退席し、団体交渉は開始から約20分で終了した。
本件は、6月30日の団体交渉における会社の対応が不誠実な団体交渉に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文

本件申立てを棄却する。

4 判断の要旨

  1. 団体交渉において代理人弁護士が専ら発言したことについて
    団体交渉において、会社から交渉権限を与えられた代理人弁護士が出席し、その権限に基づき組合と交渉を行うこと自体は、特段問題となるものではなく、また、B弁護士は、一貫して、会社の代理人であることを明示した上で組合とのやり取りを行っており、同弁護士が会社から団体交渉における交渉権限を与えられていたことは明らかというべきである。
    さらに、団体交渉において、B弁護士が組合の質問に即答できない等の場面があったわけではなく、また、社長も必要に応じて発言しているのであるから、会社が実質的な交渉に応じていなかったということはできない。
    以上のことから、団体交渉において、B弁護士が専ら発言したことが誠実交渉義務に反するとはいえない。
  2. 組合の質問に対して、会社が回答を拒んだことについて
    団体交渉において、組合は、会社に対して、A以外の社会保険未加入者の存否、社会保険未加入が法令違反であるかの会社の認識、会社の社会保険手続の事務担当者氏名、及びA以外の外国人従業員の存否を質問したが、会社は、答える必要がないなどとして回答を拒んだことが認められる。
    しかしながら、会社は、組合に対して、Aの社会保険未加入について、その理由を説明するとともに、具体的な解決案を提案しており、また、その提案内容が不合理なものということもできない。一方で、会社が提案した解決案以外には組合の要求に応じる意思がない旨を明言すると、組合は直ちに協議を打ち切り、交渉開始後わずか20分ほどで自ら退席している。
    さらに、組合が申し入れた協議事項である「社会保険・雇用保険等未加入について」の具体的な内容は、社会保険未加入によりAが脱退一時金を受給できなかったことと考えられるところ、組合が行った上記の質問は、Aが社会保険未加入により脱退一時金を受給できなかったこととの関係を直ちに見いだし難く、また、組合は上記の質問をする趣旨や理由などについても何ら言及していない。
    それ以外の「外国人差別について」等の協議事項についても、組合は、会社に対して、Aが差別的取扱いを受けていた等の具体的な事実を示しておらず、組合が団体交渉にて会社に協議を求める具体的な内容が明らかであったとはいえない。
    そのような状況の下では、会社が、組合の質問はAの社会保険未加入問題などの未清算の労働条件等とは無関係であると判断したとしても無理からぬところであり、会社がそれらの質問に回答しなかったからといって、Aの未清算の労働条件等に係る協議を拒んだと評価することはできない。
    以上のことから、団体交渉において、会社は、Aの社会保険未加入の問題について必要な説明を行うとともに、解決に向けた提案を行っており、また、会社が回答しなかった組合からの質問があったとしても、そのことをもって、社会保険未加入の問題を含めた同人の未清算の労働条件等に係る協議を実質的に拒んだと認めることはできない。
  3. 以上のとおりであるから、27年6月30日の団体交渉における会社の対応が不誠実な団体交渉に当たるということはできない。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日
    平成27年8月28日
  2. 公益委員会議の合議
    平成29年1月24日
  3. 命令交付日
    平成29年2月27日

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