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平成28(2016)年8月24日更新

報道発表資料  2016年08月24日  東京都労働委員会事務局

〔別紙〕

命令書詳細

1 当事者の概要

  1. 申立人組合は、いわゆる合同労組であり、本件申立時の組合員数は186名である。
  2. 申立人支部は、組合の下部組織として、平成26年4月に結成され、法人の附属学校で勤務する外国人非常勤講師が加入しており、本件申立時の組合員数は5名である。
  3. 被申立人法人は、国立大学法人であり、11の附属学校を併設している。27年5月1日時点での法人全体の職員数は、1534名である。

2 事件の概要

26年4月、法人の附属国際中等教育学校に勤務する外国人の教員らは、申立人組合に加入し、申立人支部を結成した(以下、組合と支部とを併せて「組合ら」という。)。8月12日、組合らは、法人に対し、支部の結成を通知するとともに、組合員の無期雇用化等を求める団体交渉を申し入れるとともに、団体交渉における使用言語を英語とすることを求めた。これに対し、法人は、団体交渉は日本語で行い、同時通訳者が必要な場合には組合らが手配すべきであるなどと回答した。
組合らと法人とは、団体交渉における使用言語及び通訳者の手配について合意に至らないまま、9月12日、第1回団体交渉を開催した。交渉では、法人側が日本語で組合らの要求事項に対し回答し、組合側が英語で発言を行った。このため、円滑な意思疎通ができず、組合からは法人に対し、労使双方が互いに相手の言語を理解する者を同行させること等の提案もあったが、法人は、日本語による交渉と組合による通訳者の手配を要求するのみであり、使用言語等について合意に至らなかった。
その後、組合らは要求事項として法人が通訳者を手配することを追加し、第2回団体交渉の申入れを行った。しかし、法人は、「日本語での交渉が成立しない場合、直ちに団体交渉を終了します。」などと回答した。結局、第2回団体交渉が開催されるまで、団体交渉における使用言語及び通訳者の手配について、組合らと法人との間で合意に至らなかった。
27年1月23日、組合らと法人とは、第2回団体交渉を開催したが、組合側が英語で、法人側が日本語で発言し、言語に関する団体交渉のルールについて、双方の主張が一致しないまま、交渉は打ち切られた。
第2回団体交渉の後、組合らは、団体交渉の開催を申し入れたが、法人は、日本語によるものでない限り団体交渉に応ずることはないなどと回答し、団体交渉は開催されなかった。
本件は、26年9月12日及び27年1月23日の団体交渉並びにその後の法人の対応が労働組合法第7条第2号の団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文

  1. 法人は、組合らが団体交渉におけるルールを交渉議題とする団体交渉を申し入れたときは、日本語による交渉並びに同組合らによる通訳者の手配及び同行という条件に固執することなく、誠実に団体交渉に応ずること。
  2. 文書の交付
    要旨:法人が、組合らからの団体交渉申入れに対し、日本語によるものでない限り、また、組合らが通訳者の手配及び同行をしない限り、団体交渉に応じないとしたことは、不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。
  3. 前項の履行報告

4 判断の要旨

  1. 本件の団体交渉において、使用言語を一義的に決めることはできず、また、通訳者の手配については、円滑な団体交渉を行う上で必要不可欠であり、労使の一方がその全ての負担を負うべきものということもできない。
    このことに加え、団体交渉のルールは労使の合意で決定するのが原則であることからすると、本件労使間においては、団体交渉における使用言語等について、労使双方に合意形成のための相応の努力が求められていたといえる。
    したがって、組合らが上記合意形成に向けて相応の努力を行っていたにもかかわらず、法人がそのような努力を行なわず、団体交渉が円滑に行われる状況に至らなかった場合には、原則として、法人は正当な理由のない団体交渉拒否を行ったものと評価すべきである。
  2. 組合らが、法人に対し、互いに相手方の言語を理解できる者を同行させることを提案したり、法人の求めに応じて他の使用者との間での団体交渉ルールについて具体例を示すなど一定の譲歩の姿勢を示していたのに対し、法人は、日本語でない限り団体交渉に応じないとし、かつ、通訳者の手配については組合らにのみその負担を求めるという対応に終始している。
    このような法人の対応は、自らの主張する団体交渉のルール以外を一切許容せず、組合らがこれに従わなければ団体交渉に応じないというものであり、本件労使関係で基本とする言語が異なっていることにより生じている障壁を取り除こうとしたとか、合意達成に向けて妥協点を模索する努力をしたものとはいえない。また、こうした法人の対応を正当化するような特段の事情も認められないのであるから、上記法人の対応は、実質的に団体交渉を拒否していたものと評価せざるを得ない。
  3. 以上の次第であるから、2回の団体交渉及びその後の組合らとのやり取りにおける法人の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日
    平成27年2月26日
  2. 公益委員会議の合議
    平成28年7月19日
  3. 命令書交付日
    平成28年8月24日

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