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平成28(2016)年7月6日更新

報道発表資料

〔別紙〕

1 当事者の概要

  1. 組合は、主に中小企業で働く労働者によって構成されるいわゆる合同労組であり、本件申立時の組合員数は約2,300名である。
  2. 会社は、化粧品の卸売を業とする株式会社であり、本件申立時の従業員数は約30名である。

2 事件の概要

 平成21年2月、Aは、会社と雇用期間を1年間とする雇用契約を締結し、その後契約を更新しつつ会社で就労していたところ、24年2月の雇用契約更新の後、同月末日付解雇を通告されたため、組合に加入した。
 組合は、会社に対し、Aの組合加入を通知するとともに、同人の解雇撤回等を求めて団体交渉を申し入れ、3月に団体交渉が2回開催された。5月に実施された第3回団体交渉において、組合が、紛争解決に向けた打診を行ったところ、後日、会社の代理人弁護士から、これに応じられない旨の回答を受けた。
 10月25日、組合が、団体交渉を申し入れたところ、会社は、代理人弁護士を通して回答する旨を述べたが、その後組合への回答はなされなかった。
 本件は、この10月25日付団体交渉申入れに対する会社の対応が、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文

(1) 会社は、組合員Aの解雇について、組合が団体交渉を申し入れたときは、これに応じること。

(2) 会社から組合への文書交付等
 要旨:24年10月25日付団体交渉申入れに対する会社の対応は、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。

4 判断の要旨

(1) 団体交渉申入れへの対応について

 会社は、24年10月25日の本件団体交渉申入れに対し、代理人弁護士を通して回答する旨を組合に述べたこと、11月1日の組合書記長からの照会に対し、同旨回答を改めて述べたこと、その後、会社あるいは代理人弁護士から組合への連絡はなかったことが認められる。
 さらに、6月22日の下記(2)-3に係る電話回答において、会社の代理人弁護士が組合書記長に対し、労働審判を申し立ててほしい旨を述べていることなども考慮すると、会社には、本件団体交渉申入れに誠実に対応し、組合に回答を行う姿勢がなかったものといえる。
 そうすると、会社が、本件団体交渉申入れに対し、回答を行わなかったことに合理的理由があるとは認められず、会社の対応は、実質的に団体交渉拒否に該当するものというべきである。

(2) 団体交渉申入れに至る経緯について

  1. 会社は、3回実施された団体交渉が行き詰まっていたとして、第4回以降の団体交渉に応じなかったことには、正当な理由が存在する旨を主張する。
  2. しかしながら、本件においては、Aの解雇予告通知書に解雇事由の具体的記載がなかったこと、Aは21年の再入社後においても契約を3回更新されていたこと、雇用契約書には契約当事者間に異議のない限り契約を更新する旨の条項があること、組合が、団体交渉において、契約更新直後の解雇であることに関する質問を行っていることなどが認められる。このため、組合は、団体交渉において、契約更新直後に解雇され得るほどの解雇事由が存在するかについて問題視しつつ、会社に解雇事由を明らかにするよう求めていたことが認められる。
     これに対し、会社は、第1回団体交渉には解雇事由に関する具体的な資料を持参しておらず、詳細な説明ができなかったこと、第2回団体交渉においても、Aがどのように仕事ができないかが明らかでない等として、組合が解雇事由の具体的な事情を説明するよう求め、資料の複写の申出をしたにもかかわらず、これを拒否したことなどが認められる。
    以上の経緯に照らすと、Aの解雇事由について、会社による詳細な説明がなされ、双方が主張を尽くしたものということはできない。
  3. そして、組合が第3回団体交渉において金銭支払を伴う紛争解決の可能性について打診を行い、会社の代理人弁護士がこれに応じられない旨の電話回答を6月22日に行っているところ、このやり取りは、紛争の解決条件に金銭支払条項を加える旨の提案とその拒絶という労使間交渉の一局面にすぎないものというべきであり、この電話回答をもって、Aの解雇問題について、労使双方が主張を出し尽くした状態に至ったとは到底評価することができない。
  4. したがって、本件団体交渉申入れの時点において、労使双方が主張、説明を出し尽くし、これ以上交渉を重ねても進展する見込みがない段階に至っていたということはできない。

(3) 以上のことから、会社が、本件団体交渉申入れに回答せず、団体交渉に応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日
     平成25年1月30日
  2. 公益委員会議の合議
     平成28年6月7日
  3. 命令書交付日
     平成28年7月6日

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