トップページ > 都政情報 > 報道発表 > これまでの報道発表 > 報道発表/平成28(2016)年 > 6月 > 絶滅危惧種の水草「イノカシラフラスコモ」が復活

ここから本文です。

報道発表資料  2016年6月23日  建設局

かいぼり後の井の頭池で
絶滅危惧種の水草「イノカシラフラスコモ」が約60年ぶりに復活!

 東京都では、都立井の頭恩賜公園の井の頭池において、生態系の回復と水質改善を目的とした「かいぼり」※1を、多くの都民とともに実施しました。このたび、井の頭池において絶滅していたと考えられていた、水草のイノカシラフラスコモ※2が、池底等から発芽していることが確認されましたのでお知らせします。

画像 画像
井の頭池内での生育状況(平成28年5月23日撮影) イノカシラフラスコモ 上)雄の生殖器官
下)雌の生殖器官
上記3枚は、日本国際湿地保全連合 加藤将氏より提供

1 発見地における約60年ぶりの野生復活

  • かつての井の頭池は、武蔵野台地の湧水によって清らかな水をたたえ、多くの水草が生育し、昭和32年には、地域の名を冠したイノカシラフラスコモが、井の頭池周辺で新種として発見されました。
  • その後、周辺の都市化等とともに湧水量は減り、水質汚濁や外来種の移入等によって、在来の水草は姿を消しました。
  • 今回のかいぼりにより、外来魚等を排除し、池底を天日にさらしたことにより、池の透明度は向上し、長い眠りから覚めたイノカシラフラスコモが発芽しました。

2 都民ボランティアや研究者との連携で目指す、井の頭池の水草の再生

  • 東京都では、都民ボランティア(井の頭かいぼり隊※3)や地域のNPO法人と協働し、水草の分布状況や水生生物のモニタリング調査を実施しています。
  • 研究者との連携のもと「土壌シードバンク調査」※4等を行いながら、水草の再生を目指しています。

※1 井の頭池のかいぼり
 「かいぼり」は、ため池を維持する手法として、昔から日本各地で行われていた。井の頭池では生態系の回復と水質改善を目的として、池の水を抜き、池底を天日にさらし、多くの都民とともに外来魚等の捕獲を行う事業として、平成29年度に迎える井の頭恩賜公園開園100周年までに3回実施する計画。
 かいぼり事業は、都や三鷹市、武蔵野市、21の地域関係団体から構成する「井の頭恩賜公園100年実行委員会」と協力のもと進めている。

画像
井の頭池でのかいぼりの様子

画像

画像

※)井の頭池の「かいぼり27」の様子はこちらからご覧いただけます。
 井の頭恩賜公園100年実行委員会ホームページ「かいぼり27だより」

※2 イノカシラフラスコモ(Nitella mirabilis var. inokasiraensis)とは
 車軸藻(しゃじくも)類という緑色藻類の仲間で日本固有の種。昭和32年(1957年)に井の頭池及び神田川上流で初めて発見され、新種として記載された。その後、発見地においては絶滅したと考えられ、現在は千葉県の市川市以外に生育地が見つかっていない。環境省のレッドデータブックでは最も絶滅が危惧される「絶滅危惧1類」に記載。
 全体の長さは20~30センチメートルになり、主軸(茎)の直径は0.5~0.7ミリメートルと大変細く、雌株と雄株に分かれていることなどが特徴。
※「1類」の数字の正しい表記はローマ数字です。

画像
池底から採集したイノカシラフラスコモ

※3 都民ボランティア団体「井の頭かいぼり隊」
 東京都では、かいぼり事業を多くの都民とともに進めていくため、公募したボランティアによる「井の頭かいぼり隊」を、地域で活動するNPO法人の協力のもと組織している。かいぼり時には魚類捕獲作業のリーダー役として、かいぼり後には、池の水生生物のモニタリング調査を行うなど、現在50人が活躍中。

画像 画像
井の頭かいぼり隊と取組む池の底泥採取の様子(左) 池内での水草分布調査の様子(右)

※4 土壌シードバンク調査
 池底から採取した土壌を水槽などに播いて水を張り、そこに含まれる種子や胞子の発芽を観察する調査。長い間、池底で休眠していた様々な種子や胞子の発芽状況より、かつての植生を把握し、復元するために実施されている。今回、その土壌からもイノカシラフラスコモが数多く発芽している。

画像 画像
池の底泥を撒き出した「土壌シードバンク調査」(左) 発芽したイノカシラフラスコモ(右)

問い合わせ先
建設局西部公園緑地事務所工事課
 電話 0422-47-0198

〔参考資料〕

1 これまでの経緯

  • 昭和32年
     イノカシラフラスコモが井の頭池及び周辺において新種として発見
  • 昭和38年
     湧水量の減少とともに井の頭池の水が枯渇、多くの水草が消失
  • 平成26年1月~3月
     生態系の回復と水質改善を目的に井の頭池でかいぼり事業を実施
  • 平成27年11月~平成28年3月
     井の頭池で2度目のかいぼり事業を実施
  • 平成28年5月
     土壌シードバンク調査において、水槽内でイノカシラフラスコモの発芽を確認
     さらに、井の頭池のモニタリング調査において、池内での生育を確認

2 研究者及び専門家との連携

 今回のイノカシラフラスコモの確認等においては、下記の専門家の協力を得ている。

  1. 東邦大学理学部生命圏環境科学科 准教授 西廣淳氏、修士2年 白土智子氏
     「井の頭恩賜公園井の頭池の水生生物相解析および水環境保全に関する共同研究協定書」を東邦大学理学部と東京都西部公園緑地事務所の間で締結。それに基づき、土壌シードバンク調査の分担と水草再生事業全般への助言等
  2. 特定非営利活動法人日本国際湿地保全連合 研究員 加藤将氏
     車軸藻類の専門家。種の同定や標本等の作成、保護管理技術等の提供
  3. 千葉県立鎌ヶ谷高等学校教諭 森嶋秀治氏
     車軸藻類の専門家。種の同定や保護管理技術等の提供

3 その他の水草の発芽状況

 現在、井の頭池では、イノカシラフラスコモ以外にも、ボート池を中心に絶滅危惧種であるツツイトモ(※)が広い範囲で群落を形成。今後、多様な水草の再生が期待される。

(※)ツツイトモ(Potamogeton panormitanus)はヒルムシロ科の沈水植物で、環境省レッドデータブックの「絶滅危惧2類」に記載されている。
※「2類」の数字の正しい表記はローマ数字です。

画像 画像
ボート池のツツイトモ
(左)水面に花を付けた様子 (右)水中で群落を形成する様子

ページの先頭へ戻る