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平成28(2016)年6月2日更新

報道発表資料

〔別紙〕

1 当事者の概要

  1. 組合は、平成10年9月18日に結成された、会社に雇用される労働者及び退職者により組織された労働組合で、本件申立時の組合員数は52名である。
  2. 会社は、書籍の印刷を主たる業務として営む株式会社であり、本件申立時の従業員数は約230名である。

2 事件の概要

 組合と会社とは、以前、組合事務所の明渡しを巡る都労委平成24年不第34号事件において、和解協定を締結し、これに基づき会社は新たな組合事務所を組合に貸与した。この和解協定には、「組合事務所について会社が立退きを求めた場合、組合が立退きに応じること、会社が次の組合事務所の貸与に関する組合との協議を誠実に実施することを相互に確認する。」との条項があった。
 この新たな組合事務所貸与に当たり、会社は組合に対して、過去の請求額に比べて高額の電気料金及びそれまでは請求していなかった水道料金を請求した。組合は、従前の金額を主張してこれを支払わなかったところ、会社は、組合事務所への送電を停止した。
 また、会社の依頼を受けた警備会社が、組合事務所に立ち入り警備装置を取り外したが、会社は、このことを組合には通知していなかった。
 26年6月13日、会社は、組合事務所の所在する建物について、取壊し及びマンション建設を計画しており、現事務所の他に社内に貸与する場所がなく、貸与期間の満了日である10月31日以降は組合事務所の貸与はできないとして、組合に対して、組合事務所の明渡しを要求した。以降、組合と会社とは、団体交渉を計5回行ったが、会社は、組合に対して、7月17日付けで貸与の終了を通知し、11月4日には建物明渡請求訴訟を提起した。
 本件は、(1)組合事務所へ無断で立ち入ったこと、(2)従前より高額な電気料金及び新たに水道料金を請求したこと、(3)組合事務所貸与終了の通知及び建物明渡訴訟提起をしたことなどが、それぞれ組合運営に対する支配介入に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文

  1. 新たな組合事務所の貸与に関する協議について、和解協定にのっとり、代替建物への移転等を提案し、誠実に実施すること
  2. 文書交付((1)、(3))
     要旨:組合事務所に無断で警備会社を立ち入らせたこと及び和解協定に基づく協議を誠実に実施せずに組合事務所の貸与の終了を通知したことが不当労働行為に認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。
  3. その余の申立ての棄却((2))

4 判断の要旨

(1)組合事務所へ無断で立ち入ったことなど

 平成26年4月11日、会社の依頼を受けた警備会社は、組合に無断で組合事務所に立ち入り、警備装置を取り外した。会社は、組合事務所を貸与し、それを使用している組合に対して、警備会社が組合事務所に立ち入る旨の事前連絡を常識として当然行うべきであったにもかかわらず、あえてこれを怠ったというほかなく、会社の対応は、配慮を欠き、組合を軽視しているといえ、組合運営あるいは組合活動に対する支配介入に当たる

(2)電気及び水道料金の請求

 会社が、電気料金の基本料金の負担など従来と違う算定方法による請求を行い、組合事務所への送電を停止したことには、責められるべき点がないとはいい難い。しかし、組合が、電気及び水道料金を支払っていなかったことにも問題がない訳ではなく、どちらか一方だけに非があるとはいえない。また、料金の算定方法の協定はなく、双方が協議し決定すべき問題であるといえ、対立はあったものの、協議の末に一定の解決に至ったものであり、会社の電気及び水道料金の請求が組合に対する支配介入に当たるということはできない。

(3)組合事務所貸与終了の通知など

 和解協定には、明渡しを求める場合、会社が次の組合事務所の貸与に関する組合との協議を誠実に実施するとの条項がある。
 組合と会社とは、5回の団体交渉を実施した。ところが、会社は、組合事務所について、複数の遊休不動産を所有するにもかかわらず、社内に貸与する場所がないとするばかりで、代替建物等への移転などを提案したことはなく、送電を停止しても困っているとの印象はなかった、組合事務所が必要なのか、週1回程度では組合事務所の必要性がないなどと繰り返し組合事務所の必要性に疑義を述べ、社外に借りるなどの組合の提案を一蹴し、さらに、この間に再三明渡要求の通知等を行っている。
 これらの経緯からは、会社が和解協定にのっとった協議を誠実に実施したということはできず、したがって、会社の対応は、和解協定書を遵守しないことによる支配介入に当たる。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日
     平成27年3月31日
  2. 公益委員会議の合議
     平成28年5月10日
  3. 命令書交付日
     平成28年6月2日

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