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平成28(2016)年3月28日更新

報道発表資料

要旨

検討会の目的・ねらい

 東京の治安情勢は、刑法犯認知件数が平成14年をピークにその後13年連続で減少するなど、統計上改善しているものの、都民の不安感の解消には至っていない。また、地域の安全安心を支えている防犯ボランティア団体も高齢化や担い手不足などの課題を抱えている。
 こうした課題の解決に向けて、犯罪等の被害を防ぐための情報発信や防犯活動を効果的に行うための関係者間の情報共有等、情報を一つの切り口とした方策を取ることが有効であると考えられることから、安全安心に関する情報の発信・共有のあり方について検討を行った。

安全安心に関する情報発信の現状と課題

 安全安心に関する情報は、警察だけでなく、東京都や区市町村等においても防犯情報などを広報紙やウェブサイト、ツィッター等により発信している。都においても、特殊詐欺や侵入窃盗などの身近な犯罪に関する情報や行政の取組等のほか、防犯ボランティア団体への支援としては、ウェブサイト「大東京防犯ネットワーク」において、都や区市町村の安全安心まちづくりに関する取組や、都内の防犯ボランティア団体に関する情報等を発信している。
 しかし、警察や行政で発信されている情報の形式は、犯罪発生件数などの数字や表、文字が多く、必ずしも受け手が容易に理解できる内容となっているとは言えないなどの課題もある。発信した情報が受け手にどのように伝わるかを考えながら、受け手の理解や行動を意識した内容、見せ方の工夫をしていくことが重要である。
 情報発信の媒体については、対面、広報紙、ウェブサイトでの提供に加え、近年ではメール配信サービスやツィッターなどのソーシャルメディアも活用されているものの、いずれの媒体も警察や行政から都民に対する片方向の発信(情報提供)が多く、双方向での発信(情報共有)は必ずしも確保されていない。
 また、情報発信の役割分担としては、第一義的には、住民に近い区市町村や警察署にその主たる役割が求められるが、提供される情報の内容や更新の頻度等は、地域の実情等により異なり多様である。それらの情報は、必ずしも一律である必要はないものの、広域自治体である東京都は、都内全域の安全安心を確保するため、警視庁と連携して区市町村の発信する情報を補完・強化し、都内の防犯情報等を総合的・広域的に発信するほか、基礎自治体(区市町村)への情報支援等を行っていくことも緊要の課題といえよう。

情報発信・共有をめぐる新たな動向

 本検討会では、新たな動向として、1)オープンデータによる情報発信、2)Web-GISを利用した住民との情報共有、3)大学・研究機関等との連携を取り上げた。1)については、公的機関が持っていた情報がオープンデータとして開放され、民間でそれらの情報を加工、分析して新たな成果物をつくるなどの動きが進んでいる。2)については、Web-GISは現在、多くの都道府県や警察本部のウェブサイトで地域住民に対する情報発信に用いられているほか、行政と住民との間の情報共有等にも用いられるようになっている。安全安心の分野に関しても、今後、Web-GISを情報共有のインフラとして活用することで、地域における課題を関係者が共有し、効果的・効率的な治安対策を実行することが可能になると考えられる。3)については、複数の府県で、警察・行政と大学・研究機関との間で、犯罪に関するデータを共有し分析する取組が進められている。

東京都における今後の取組

 犯罪被害のリスクを低減し、安全安心な社会を実現するためには、都民や地域団体、民間事業者等における自助や共助の取組が不可欠であるが、防犯対策を普及促進させるためには、行政等から各主体に対する働きかけが必要であり、情報発信はその有効な手段の一つである。犯罪発生に関する情報を無配慮に公開すると社会的な問題を引き起こす可能性はあるものの、近年は、公的機関が個人の判断に必要な情報と選択肢を提供することで個人の望ましい行動を引き出す「リバタリアン・パターナリズム」の有効性が示されているほか、公的機関の情報伝達の不作為が社会的非難の対象になることも珍しくない。
 インターネットの普及や様々な情報通信機器の発展に伴い、都民が行政等に求める情報化施策の水準も高くなっており、公的機関や地域、民間事業者等が保有する情報の共有・活用についての社会的な合意形成がこれまで以上に重要な課題となっている。今後は、情報共有により得られる効果や、情報発信・共有のためのインフラ整備等のコスト、情報がもたらすリスクや負の効果など、様々な要因を整理し議論した上で、犯罪被害リスクの低減に向け、情報発信・共有方策を戦略的に進める必要がある。
 都においては、2020年にオリンピック・パラリンピックの開催を控え、一層の安全安心を確保していく必要があり、地域における安全対策としては、都民一人一人の防犯対策に加え、町会、自治会、防犯ボランティア団体等による地域の自主的な防犯活動が重要となっている。これらの活動の促進には、警察や行政等による支援が重要であり、情報の発信・共有はその有効な手段として位置づけられる。都は、今回の検討会での議論を踏まえ、犯罪被害リスクの高まりに応じて、警察、行政、地域、民間事業者等が保有する多様な情報の中から防犯効果の高い情報については、被害を受ける恐れの高い都民、民間事業者などにわかりやすくかつ迅速に共有される仕組みを構築していく必要がある。
 具体的には、「大東京防犯ネットワーク」を活用し、区市町村や警察署における情報発信施策を補完、強化していくことが考えられ、Web-GISの活用などにより、特に注意すべき犯罪や強化すべき防犯対策などの情報を発信・共有し、都民の予防行動や防犯ボランティア団体の防犯活動の活性化へとつなげ、都内全域の安全安心施策を強化していく必要がある。
 また、情報化社会の進展等により、警察、行政だけでなく、様々な主体が公共データ等を活用・加工して、都民等に対し、より分かりやすい形で防犯情報を配信するなど、新たな主体による公共サービスの提供が創造されつつある。都においても、区市町村や警視庁等と連携し、積極的に安全安心に関する公共データの公開を進めるとともに、自律的に必要な情報を収集・判断し、行動を起こしていける防犯ボランティア団体、民間事業者等の育成及びネットワークづくりを支援していく必要がある。

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