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平成28(2016)年1月6日更新

報道発表資料

〔別紙〕

命令書の詳細

1 当事者の概要

(1) 申立人組合は、平成13年10月1日に結成された、東京及び周辺地域の労働者を対象とするいわゆる地域合同労組である。本件申立時の組合員数は約1,800名である。
(2) 被申立人会社は、昭和25年6月に創業し、肩書地に本社を置き、輸入蜂蜜の製造、販売及び蜂蜜を使用した加工品の製造、販売等を主たる業とする株式会社である。本件申立時の従業員数は、約240名である。

2 事件の概要

24年12月17日、組合は、団体交渉を先延ばしにしないこと等を求めて当委員会に不当労働行為救済申立てを行った(以下「前件」という。)。
会社は、前件係属中の26年8月1日付けで、組合員A1、A2及びA3の3名に対して降格、配転(以下「本件措置等」という。)を行った。
8月21日、組合及び会社は、現在未解決となっている懸案事項について、労使間で自主的な協議をする等定めた和解協定書を締結した(以下「前件和解協定書」という。)。
9月9日、組合は、前件和解協定書の遵守及び本件措置等の撤回等を要求して団体交渉を申し入れた。
10月6日、A1及びA2は、賞与が減額支給された等とし、裁判所に係属中であった別件訴訟において、降格前の地位にあることの確認等を求める訴えの追加的変更を申し立てた。
10月7日、会社は、団体交渉において、組合に対し、A1及びA2は、司法の判断を仰ぐ選択をした以上、立場及び待遇等について、団体交渉や都労委の場での協議に応じかねる、A3についての資料も開示できない等と記載された文書を交付した。
本件は、10月7日の団体交渉における会社の対応が、正当な理由のない団体交渉拒否及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文

  1.  会社は、組合が組合員に対する降格・配転等の人事措置に係る団体交渉を申し入れた時は、訴訟の係属を理由としてこれを拒否してはならず、人事措置の理由を説明する等して誠実に対応しなければならない。
  2.  文書の交付
    要旨:10月7日の団体交渉において、組合員らに対する降格・配転等の人事措置に係る議題について応じなかったことが不当労働行為と認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。
  3.  前項の履行報告

4 判断の要旨

(1)会社が団体交渉を拒否したか否かについて

  1.  26年10月7日の団体交渉(以下、「本件団体交渉」という。)において、会社は、その前日にA1及びA2が降格前の支店長の地位にあることを確認すること等を別件訴訟に追加する訴えの変更の申立てを行ったことを踏まえ、A1及びA2は、司法の判断を仰ぐ選択をされた以上、今後両名の立場及び待遇等について、団体交渉や都労委の場での協議に応じかねる等と文書により回答した。
  2.  また、同文書において、会社は、組合が開示を求めていた本件措置等を行った理由に関する資料等についても、A3の分も含めて開示できない、と回答し、明確に団体交渉を拒否し、資料開示をしない旨回答した。
  3.  そして、会社は、本件第1回調査期日において裁判も含めた一括解決の提案が行われた後、27年1月30日まで、組合が本件措置等についての説明及び前件和解協定書を遵守した円滑な団体交渉による解決を求める内容の26年10月7日付文書に回答することはなかった。
  4.  これらのことからすると、資料開示を含めて本件措置等を議題とした団体交渉に応ずる意思を有していたものと解することはできず、本件措置等について団体交渉を拒否したものといえる。

(2)訴訟係属が団体交渉拒否の正当な理由となるかについて

  1.  訴訟が係属中であっても、組合員の労働条件等について労使双方が自主的に団体交渉で解決することは可能であるから、特別な事情がない限り組合員との間で訴訟係属中であることは、団体交渉拒否の正当な理由にはなり得ない。
  2.  前件和解協定書において、懸案事項について、今後、解決に向けて労使間で自主的な協議をする、とされ、本件措置等が団体交渉における協議事項であることが確認されていたことは明らかであり、組合員であるA1及びA2が訴えの追加的変更を行ったことのみから、組合が本件措置等を団体交渉の協議事項から外し、裁判による解決を図ったものとみることはできない。
  3.  そして、前件和解協定書締結から本件団体交渉に至る一切の経緯をみても、組合が、本件措置等の問題について団体交渉における協議を放棄し、裁判手続において解決を図ったとみることはできないばかりか、会社をして、そのように誤信させるような事情も特に見当たらない。
  4.  26年6月2日の団体交渉において、組合がA1及びA3の処遇について会社に対して質問をする中で、会社が「三者あっせんですか。それは、私はいちばんベストだと思っていますので。」と述べ、組合は、「じゃあこれは三者あっせんの方で引き続きやらせて頂ければと思います。」と述べた。
    しかし、この組合の発言は、組合が団体交渉における会社の対応ではA1及びA3の人事措置について具体的な回答がなされず、交渉が進まない状況を打開するため、あっせん手続も交えて交渉を続けるとの趣旨でなされたものとみるのが相当であり、労使双方がA1及びA3の人事措置について団体交渉での交渉事項から外すことを意図したものであるとは認められない。
  5.  以上により、会社が本件団体交渉において、訴えの追加的変更による訴訟係属を理由に、本件措置等に関して団体交渉での協議や資料開示を拒否したことには、特別な事情は認められないのであるから、会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。

(3)会社の対応が支配介入に当たるかについて

 会社は、前件和解協定書において、本件措置等を含む未解決の懸案事項について、解決に向けて労使間で自主的な協議をする旨を協定したにもかかわらず、訴えの追加的変更による訴訟係属を理由として、本件措置等に関する団体交渉を正当な理由なく拒否しており、このことは、組合との合意形成を軽視し組合を弱体化させることになるものであるから、組合の運営に対する支配介入にも当たる。

(4)救済の利益について

 会社は、本件団体交渉における会社の対応が団体交渉の拒否に該当しないとの主張を維持しており、同様の行為を再発させる虞があること、本件申立て後の団体交渉において本件措置等の解決よりも社長と対立していたA4の退職を優先して和解の前提条件とするなど、前件和解協定書の締結後も依然として当事者間において、A1、A2及びA3の本件措置等について自主的かつ円滑な交渉が行われていないことから、救済の利益が消滅したとまでいうことはできない。

5 命令交付の経過

(1) 申立年月日  平成26年11月14日
(2) 公益委員会議の合議  平成27年11月17日
(3) 命令交付日  平成28年 1月6日

 

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