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報道発表資料  2015年12月9日  生活文化局

東京都消費者被害救済委員会 報告
「介護付有料老人ホーム退去時の返還金に係る紛争」あっせん解決

 本日、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)から、「介護付有料老人ホーム退去時の返還金に係る紛争」(平成27年6月4日付託)があっせん解決したと知事に報告がありましたので、その審議の経過と結果についてお知らせします。

紛争の概要

 (各申立人の主張による紛争の概要は、次のとおりである。)

相手方

 有料老人ホーム運営事業者

申立人及び入居者

 申立人A:40歳代男性 入居者:85歳男性(要介護3)
 申立人B:70歳代女性 入居者:79歳男性(要介護1)

入居一時金

 680万円(申立人A・Bとも同一施設で同額)

申立人A

  • 平成26年4月末に相手方と入居契約し、2日後に入居一時金を振り込んだ。5月中旬の面談後、5月下旬に、入居を承諾されたが、健康上の事情で入居が遅れ、実際の入居は6月中旬になった。
  • 入居後、トイレのための夜間徘徊を理由に、相手方から強い薬の処方の提案と、過去の同様事例では入居者が退去した旨告げられ、申立人は退去を促されているように感じ7月下旬に退去した。
  • 退去後、通知された解約返還金額は、実際の入居日(6月中旬)ではなく、入居一時金の入金日(4月末)が入居日として計算され、居室の汚れや損傷箇所の指摘もなく原状回復費用等も請求されていた。申立人は、返還金額の再計算を求めたが、相手方はこれに応じず紛争となった。

申立人B

  • 平成26年1月末に相手方と入居契約し、2月上旬に入居一時金を振り込んだが、居室のリフォームが済んでおらず、実際に入居したのは3月初めだった。
  • 契約時に、更衣に介助が必要と相手方に伝え了承されたが、入居後訪問時に、夫が汚れた下着のままできちんと更衣ができていないことに気付いた。申立人はここには預けておけないと思い、5月中旬に解約を申し出て、6月末に退去した。
  • 退去後、通知された解約返還金額は、短期解約特例※の適用がなく入居一時金の一部が初期償却され、また、実際の入居日(3月初め)ではなく入金日(2月上旬)が入居日として計算されていた。契約時に約束されたサービスが提供されていれば解約することもなく、また、退去申出時に返還金額の計算について十分な説明がなかったことから、相手方が算出した返還金に納得できなかった。そこで、申立人は返還金額の再計算を求めたが、相手方はこれに応じず紛争となった。

あっせん解決の内容

  • 短期解約特例※の制度趣旨から、「入居日」は実際に入居を始めた日と解すべきであり、また、3か月以内に行うべきは解約・解除の意思表示であり、明渡しまで求めるものではないと解して、制度適用や清算をすべきである。
  • 原状回復費用等については、相手方から損傷箇所等の具体的な指摘がなかったこと、入居期間や入居者の状態を考慮すると、通常損耗を超える損傷や汚れが生じるとは考えにくいことから、申立人らが負担すべき費用は生じていないとして清算すべきである。
  • 上記に基づき精算を行い追加で、申立人Aには約35万円(合計約665万円)、申立人Bには短期解約特例により約175万円(合計約613万円)が返金されることで解決した。

※短期解約特例
 入居一時金を一時金方式で支払った場合で、入居後三月以内に契約を解除したときは、 利用期間分の利用料や原状回復費用を除いて、入居一時金を全額返還する制度。

主な審議内容

1 短期解約特例(いわゆる三月ルール)に関する特約及び運用

  1. 介護サービス付有料老人ホーム契約においては、一般の建物賃貸借と異なり、介護サービスが重要である。サービスの具体的内容が定まらない段階では、施設の債務の履行は考えられず、入居を開始したとはみなせない。
    また、平成23年の老人福祉法改正で、国の標準指導指針に置かれていた短期解約特例の基礎付けを法律に置いたのは、実際に居室を利用しサービスの提供を受けなければ、それが契約目的に適うものかどうか判断できず、その判断のための熟慮期間を確保する趣旨である。入居一時金の入金日をもって入居日とすれば、この期間を短縮することになり、改正の趣旨に反する。
  2. 短期解約特例の三月の期間については、その期間内の居室明渡しではなく、解除の申出期間と考えるべきである。居室明渡しまで求めると、熟慮期間が短縮される。法令や都の指導指針、有料老人ホーム協会の標準契約書においても、明渡しまでは求めていない。

2 原状回復費用について

 一般の建物賃貸借において、通常損耗は賃料で賄われるものであり、相手方も通常損耗に該当するものは、原状回復費用であれ、クリーニング費用であれ利用者負担にはならないとしている。また、居室明渡し時に相手方から、通常損耗を超える損傷箇所や汚れの指摘もなく、申立人らが負担する費用はないと考えられる。

3 その他の問題点

  1. 消費者は契約締結時に契約内容のすべてをイメージするのは難しいため、契約締結後も消費者の権利行使に支障が生じないように、適時・適宜の情報提供が求められる。しかし、本件では、そのような情報提供がされたとはうかがえない。
  2. 両申立人とも、利用者都合の解除申出という扱いであるが、実質は、むしろ、債務不履行解除や施設側からの解除とも考えられる面がある。それにもかかわらず、契約条項を機械的に適用し、返還金を清算することには問題がある。

同種・類似被害の再発防止のために

1 事業者に対して

  1. 有料老人ホーム運営事業者は、老人福祉法の目的に留意し、事業利益の追求のみならず、高齢者である入居者の権利について十分に配慮し、重要な情報を積極的に情報提供するよう努めなければならない。
    入居契約締結に当たっては、入居者に誤解のないよう規定の正確な趣旨を丁寧に説明するのはもちろんのこと、入居後も必要に応じ、適宜説明することが望ましい。
  2. 入居者への説明等に混乱が生じないように、施設運営責任者は現場担当者と意思疎通を図り、規定解釈等の共通理解に基づきサービス提供、運営するべきである。
  3. 有料老人ホームは、有益で、社会的に重要な責任を有する事業である。法令や指導指針等を遵守するのは当然であるが、その改正時には新規開設する施設についてだけではなく、既存の施設についても、改正の趣旨に適合するよう見直しに努めることが望まれる。

2 消費者に対して

 解約や入居金の精算について、事前に説明を求めること、また、確認可能であれば入居前に見学や体験入居などを行い施設の実状を把握することが必要である。

3 行政に対して

 入居者の権利に関わる入居契約の重要な規定が都道府県ごとに異なるという不均衡問題を解決するために、国は老人福祉法の理念に最も合致する入居契約の規定を基準に全国的な規定の統一化を推進すべきである。

消費者へのアドバイス

  • 契約前に費用など「お金に関すること」について、十分に確認を行うことが大切です。
    契約前に入居一時金などの費用や退去時の返還金の算定方法などについて十分な説明を受け、契約内容を理解し、納得したうえで契約しましょう。

困ったときにはまず相談を!!
 おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

※別紙 介護付有料老人ホーム退去時の返還金に係る紛争案件 報告書(PDF形式:743KB)
※別紙 東京都消費者被害救済委員会委員名簿
※委員会の概要については、東京くらしWEBをご参照ください。

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
 電話 03-3235-4155

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