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平成27(2015)年6月18日更新

報道発表資料

〔別紙〕

用語解説

1 イムノクロマト法

 ニトロセルロース膜上を被検体が試薬を溶解しながらゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法である。一般的には、検体中の抗原は検体滴下部にあらかじめ準備された金属コロイド等で標識された抗体(標識抗体)と免疫複合体を形成しながらニトロセルロース膜上を移動し、膜上にあらかじめ用意されたキャプチャー抗体上に免疫複合体がトラップされ呈色し、それを目視により判定する。妊娠診断等で応用されている。

画像
図 イムノクロマト法の原理
  1. キット上に検体を滴下する
  2. 一定時間放置する
  3. 目視による定性判定する(コントロールラインを必ず確認する)

メリット

  • 目視判定による定性判定が可能な項目がある
  • 装置を必要としない(一部読み取り装置有り)
  • 簡便である
  • キットの保管方法が簡便(多くは室温保存)
  • 必要な検体数だけ取り出して実施できるため無駄が無い

デメリット

  • 目視による判定のため、個人による判定誤差が見られる
  • 定量試験向きではない
  • 測定時間を厳守しないと、陰性、陽性の判定が異なることがある
  • ロット間差、試薬間差が存在する

2 ファブリー病

 ファブリー病(Fabry disease)は、ドイツの皮膚科医Fabryによって1898年に初めて報告されました。この疾患は、X染色体に存在するα-galactosidase A(アルファガラクトシダーゼA;GLA)をコードする遺伝子の変異が原因で、正常なGLAタンパク質が体内で作れなくなり、本来はGLAが細胞内のライソゾームという場所で分解するはずの糖脂質が分解されずに、体内に蓄積する病気です。糖脂質が体内に蓄積すると、手足の激しい痛み、低汗症、角膜混濁、皮膚の異常、腎臓の障害、心臓の障害や脳血管障害などの症状が出現します。ファブリー病は、国が特定難病疾患に指定している「ライソゾーム病」に分類されている病気です。遺伝子工学で生産した組換えGLAを血管内に投与する酵素補充療法を早期に開始することで、病気の進行を遅らせることが期待できます。

3 ファブリー病の治療

 1970年代から、いろいろな方法でファブリー病の酵素補充療法が研究されてきましたが、1990年代に開発された遺伝子組換えヒトGLAを用いて、1998年米国ジェンザイム社はファブリー病の酵素補充療法の臨床試験を開始しました。その結果、その有効性および安全性が確認され、2001年には欧州で、2003年には米国で、遺伝子組換えヒトGLA(ファブラザイム(R);アガルシダーゼベータ)が承認、販売開始されました。一方、2001年UEで認可されたシャイア社(米国の Shire Human Genetic Therapies 社)からもリプレガル(R)(アガルシダーゼアルファ)が認可され、既に臨床試験で日本人における酵素補充療法の有効性・安全性が確認されており、これらの2剤が日本国内において現在使用されています。

4 α-galactosidase A(GLA)の機能的異型

 最近、GLA活性が低下するが、ファブリー病の症状を示さない例があることがわかり、GLAの機能的異型と呼ばれています。こうした例では、GLA遺伝子にE66Qというアミノ酸置換がみられ、酵素活性が対照の20~70%に低下しています(ちなみに、ファブリー病の男性では、通常、酵素活性はほぼゼロに近い値になります)。最近の疫学的解析の結果、こうした例は、日本人や韓国人の0.5~1%にみられることがわかりました。ファブリー病患者さんには早期に酵素補充治療が必要であるのに対し、機能的異型では治療が不要であることから、これらを正確に鑑別することが、臨床上、とても大切です。

5 酵素補充治療に伴う有害免疫反応

 ファブリー病の患者さんの中には、体内にGLAタンパク質を全く持たないヒトがいるため、このような患者さんに組換えGLAを繰り返し投与すると、GLAに対する抗体が体内で作られ、アレルギー反応や治療効果の減弱がみられる場合があります。治療を開始する前に、血液中のGLA濃度を知ることが出来れば、その後の治療により抗体を作りやすいかどうかをあらかじめ予測し、適切な対策をとることが可能になります。

6 東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合(Tokyo Biomarker Innovation Research Association; TOBIRA [通称:とびら])

 (財)東京都医学総合研究所は「予防・早診完治、健康増進」を目標に、診断・医療機器の開発を加速させるため、東京都にある地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターや公立学校法人首都大学東京に加え、国立大学法人東京農工大学と連係して本組織を設立しました。H23年8月31日に経済産業省の大臣認可を受け本格的な活動を開始しました。日本各地の特色ある技術を有する企業やバイオベンチャー11社が組合員として参加しています。都立病院等との医療連携により高病原性インフルエンザの遺伝子診断の簡易・高速遺伝子診断法、遺伝病であるファブリー病の早期診断や子宮頸がんワクチン効果判定、高齢者リハビリ効果や筋萎縮を定量的に評価する診断システムや高速画像診断システム等の研究開発に取り組んでいます。将来的には医療IT分野、医工連携による医療機器の研究開発にも取り組みます。

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