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平成27(2015)年2月19日更新

報道発表資料

〔別紙〕

1 当事者の概要

(1) 申立人組合は、東京都、千葉県、茨城県、埼玉県など関東一円の中小企業に雇用される労働者によって組織される、いわゆる合同労組であり、本件申立時の組合員数は約5,200名である。
 組合の下部組織として、協会Y2局と委託契約を締結した地域スタッフらにより組織される分会がある。平成15年3月1日に分会の結成が公然化され、本件申立時の分会員数は24名である。
(2) X2は、13年3月12日に、Y2局との間で、地域スタッフとして委託契約を締結し、15年6月に分会に加入した。
(3) 被申立人協会は、放送法に基づいて設立された、放送業を主たる業務とする特殊法人である。また、Y2局は、茨城県全域を所管しており、24年4月時点の営業部職員数は19名、地域スタッフ数は、契約取次・収納業務を実施する地域管理スタッフ64名と、地域管理スタッフの業務を補完する総合スタッフ22名の計86名である。

2 事件の概要

 13年3月12日、X2は、被申立人協会Y2局との間で業務委託契約を締結し、放送受信契約の取次業務や、放送受信料の集金、収納業務等を行う地域スタッフとなり、15年6月に申立人組合の下部組織である水戸分会に加入した。
 協会は、X2の業績が目標に達していないため、22年2月から特別指導のステップ1を開始したが、その後も業績が向上せず、8月からステップ2、24年2月からステップ3へと、特別指導の段階を進めてきた。
 24年4月1日、X2は、目標業績水準を満たさなければ中途解約するという条件で、協会との委託契約を更新した(以下「条件付契約更新」という。)。8月1日、協会は、X2の業績が著しく不良であるとして、同人に対し、9月1日付けで契約を解約することを通知した。8月8日及び同月30日に、組合と協会との間で交渉が行われたが、9月1日、協会は、X2との委託契約を解約した。
 本件は、1) 地域スタッフが、協会との関係で、労組法上の労働者に当たるか否か、2) 協会のX2に対する24年9月1日付委託契約解約は、同人が組合員であること又は労働組合の正当な行為をしたことの故の不利益取扱いに当たるか否か、並びに3) 8月8日及び同月30日に行われた交渉における協会の対応は、団体交渉の拒否に当たるか否かが、それぞれ争われた事案である。

3 主文

 本件申立てを棄却する。

4 判断の要旨

(1) 地域スタッフの労組法上の労働者性について
 地域スタッフは、1) 協会の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として協会の事業組織に組み入れられており、2) 協会がその労働条件や提供する労務内容を一方的・定型的に決定していたということができ、3) その報酬は、労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格をもったものであるといえ、4) 協会からの業務の依頼に対して、基本的に応ぜざるを得ない関係にあり、5) 日時や場所について協会からある程度管理されながら、広い意味で協会の指揮監督の下に労務の提供を行っていると評価でき、6) 顕著な事業者性を認めることができない。
 したがって、地域スタッフは、労働契約によって労務を供給する者又はそれに準じて団体交渉の保護を及ぼす必要性と適切性が認められる労務供給者に該当し、協会との関係で労組法上の労働者に当たるというべきである。
(2) X2の委託契約の解約について
 X2に対する24年9月1日付委託契約の解約は、同人の業績が低迷している中で、全国共通の実施要領のあらましに基づいて、特別指導、条件付契約更新、解約という手順を踏んでいるものといえ、何ら不自然な点はみられない。
 また、X2以外にも業績不振を理由に条件付契約更新や契約終了となった者が少なからず存在する一方で、X2に対する特別指導、条件付契約更新及び解約という一連の時期において、その適用基準、内容が全国一律でないとの組合の主張を裏付けるに足りる具体的な事実の疎明はなく、X2が殊更に不利益に取り扱われたということはできない。
 組合から、協会が組合の存在を嫌悪したことを裏付けるに足りる具体的な事実の疎明はない。X2の委託契約解約までの間に、同人が分会の役員に就任したことはなく、協会への抗議行動に参加したことはないし、8月8日の交渉を除き、Y2局との間の交渉に出席したことはないこから、X2の委託契約の解約を、同人が組合員であること又は正当な組合活動をしたことと結びつけて考えることは困難である。
 したがって、X2の委託契約解約は、同人が組合員であること又は労働組合の正当な行為をしたことの故の不利益取扱いには該当しない。
(3) 団体交渉について
 8月8日及び同月30日に行われた交渉において、協会は、X2の条件付契約更新及び解約について、事実や交渉の経緯、根拠について説明しているし、組合からの質問や要求に回答しているといえることから、協会の対応は、不誠実なものとはいえない。
 なお、組合は、地域スタッフの労働者性を否認する協会は、「話合い」は拒否していないが、組合が申し入れた団体交渉に一度たりとも応じたことはないと主張するが、協会が「話合い」と呼称していた交渉が、実質的に団体交渉の機能を果たしていたことは、上記のとおりである。また、X2の労働条件についての組合からの団体交渉申入れに対し、協会が、労組法上の労働者性を問題視して交渉を拒否した事実はない。
 したがって、交渉における協会の対応は、団体交渉の拒否には該当しない。

5 命令交付の経過

(1) 申立年月日 平成24年10月15日
(2) 公益委員会議の合議 平成27年1月20日
(3) 命令書交付日 平成27年2月19日

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