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平成27(2015)年1月21日更新

報道発表資料

〔別紙〕

1 当事者の概要

(1) 被申立人学校法人Y(以下「法人」という。)は、昭和30年10月に準学校法人として認可されていた学校法人Z1が、46年6月、学校法人Z2に名称変更し、平成22年10月、現在の名称に変更となった。法人は、大学、Z3日本語学校及びZ4学院を設置している。
 大学は、昭和40年、Z5の名称で、商学部商学科のみの単科大学として設置された。その後、大学院、商学部経営学科、経済学部、国際関係学部、人間社会学部及び言語コミュニケーション学部が設置され、61年に現在の名称に変更された。埼玉県川越市に第1キャンパスと第2キャンパス、同県坂戸市に坂戸キャンパス及び東京都新宿区に高田馬場サテライトを有するほか、アメリカ合衆国にZ6校がある。本件申立時の大学における教職員数は、約400名である。
(2) 申立人X1組合連合(以下「連合」という。)は、関東1都6県と長野、新潟及び山梨の各県の私立大学及び私立短期大学の教職員組合により組織された労働組合の連合体であり、本件申立時の組合員数は、約10,000名である。
 申立人X2組合(以下、「組合」といい、東京私大教連とあわせて「組合ら」ということがある。)は、法人に雇用された大学の教職員により結成され、連合に加盟している。本件申立時の組合員数は、8名である。

2 事件の概要

(1) 24年6月27日、組合は、法人に対し、要求書を提出して、法人が設置するZ7大学(以下「大学」という。)内で団体交渉を開催するよう申し入れ、連合の役員が参加する旨通知するとともに、同日正午頃、大学事務室で、教職員に対し、組合を結成した旨報告し、翌28日、組合規約等を大学第2キャンパスにある教員メールボックスに投函した。
(2) 7月4日、法人は、組合に対し、団体交渉の実施方法(団体交渉ルール)等について提案及び確認をすべく事務折衝を申し入れたが、同月5日、組合は、団体交渉ルールは団体交渉で協議すべきであるとして、事務折衝には応じられない旨回答した。
(3) 7月9日、法人は、組合に対し、要旨以下を内容とする「通知」を交付した。
 1) 本学内、就業時間内の組合活動及び諸施設等の使用は認めない。
 2) 今後、組合が教員用のメールボックスにビラを投函したり、大学内、就業時間内に、周囲に聞こえる大きさの声で「組合を結成した」との発言を行ったりしないよう通知する。
 3) 団体交渉について、本学内以外、就業時間外1時間30分以内、出席者は本 学教職員のみ5名以内とする。
(4) 7月9日及び同月24日にも、組合は、法人に対し団体交渉を申し入れたが、団体交渉は開催されなかった。
(5) 8月29日、組合は、埼玉県労働委員会(以下「埼玉県労委」という。)に対してあっせんを申請したが、進展しなかったため、11月22日、これを取り下げた。
(6) 25年1月9日、同月21日及び2月2日付けで、組合らは、法人に対し、団体交渉を申し入れたが、法人は、組合らに対し、団体交渉実施の方法について事前打合せを実施することを申し入れ、組合らがこれに応じなかった結果、団体交渉が開催されなかった。
(7) 組合結成以降、大学を住所とする組合宛ての郵便及びメール便(以下「郵便物等」という。)は組合に届けられていたが、24年10月中旬頃から、東京私大教連が組合に送付した郵便物等が、法人により送り返されるようになった。
(8) 本件は、1) 24年6月27日、7月9日、同月24日、25年1月9日、同月21日及び2月2日付けで組合らが申し入れた団体交渉について、法人がこれに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に、2) 法人が、組合に対し、24年7月9日付文書で、大学内及び就業時間内の組合活動を認めないなどと通知したことは、組合に対する支配介入に、3) 法人が組合宛ての郵便物等を送り返したことは、組合に対する支配介入に、それぞれ当たるか否かが争われた事案である。

3 主文(要旨)

(1) 組合からの24年6月27日付け、7月9日付け、同月24日付けの各団体交渉申入れ、また、組合らからの25年1月9日付け、同月21日付け、2月2日付けの各団体交渉申入れについて、法人の求める団体交渉ルールに従うことを前提としたり、団体交渉に係る事務折衝や事前打合せに固執して、これを拒否してはならない。
(2) 組合に対して、大学内での組合活動は認めないなどと通知すること、及び同組合宛てに送付される郵便物等の送り返すことにより、組合の運営に支配介入してはならない。
(3) 文書交付(団体交渉拒否、大学内での組合活動は認めないなどと通知すること、及び組合宛てに送付される郵便物等の送り返すことが不当労働行為であることの確認)
(4) 履行報告

4 判断の要旨

(1) 団体交渉について

 1) 一般に、団体交渉の一方当事者が、団体交渉ルールについて一方的に条件を付することは、その条件が団体交渉の円滑な実施に当たって不可欠とみられるような事情がなければ許されないということができるが、本件においては、事前にルールを決めなければ団体交渉の円滑な実施が妨げられることを窺わせる事情や、法人が主張する条件が団体交渉の円滑な実施に不可欠とみられる事情は認められない。
 法人が、団体交渉の開催場所を学外に固執したこと、当初連合の団体交渉への出席を拒んでいたこと、及び構内での組合活動を一切禁止する姿勢をみせていたことを併せ考えれば、組合らが学外でなければ団体交渉を行わないとの法人の条件を受け入れ難いと考えたのは理解できる。
 これらのことから、法人が、形式的には団体交渉に応ずる態度を示したとしても、組合らの受け入れ難い条件を付したことで団体交渉の開催に至らなかったと解するほかない。
 2) 本件において、団体交渉に先立って、団体交渉ルールに係る事務折衝等を行わなければならない合理的な理由は認められず、団体交渉ルールについて交渉したいのであれば、事務折衝等に固執せず、団体交渉に応じた上で、団体交渉の中で話し合えばよい。
 3) 法人が、一貫して法人の求める団体交渉ルールを前提として団体交渉を行うか、団体交渉ルールを先議するための事務折衝等を行いたいとの回答を行い、団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。

(2)法人の24年7月9日付「通知」について

 1) 法人が就業時間内の組合活動を認めないのはやむを得ないとしても、就業時間外であっても、大学内で行われることを唯一の理由に、法人の業務や施設管理に具体的な支障を生じない態様での組合活動を全面的に禁止するということであれば、組合の運営に対する支配介入になり得るというべきである。
 6月27日、組合らが教職員に組合結成を報告したのが就業時間外であったか否かは判然としないが、翌28日、組合が教員のメールボックスに結成宣言等を投函したのは就業時間開始前であったのであり、当該行為は、結成直後の組合の団結の維持・拡大に直結する極めて必要性の高いものであったということができる。一方、組合の上記行為によって法人の業務に具体的な支障が生じた事実はもちろん、生ずる虞れのあったことを認めるに足りる事実の疎明は何らなされていない。
 2) 法人の7月9日付「通知」は、法人の業務の円滑な遂行のための合理性・必要性は認められないにもかかわらず、大学内での一切の組合活動を禁ずる趣旨をも含むものであるから、組合の活動を委縮させ、ひいては組合の弱体化を企図した支配介入に当たる。

(3) 郵便物等の返送問題について

 1) 組合結成以降、大学を住所として組合に宛てて送付した郵便物等は、10月中旬まで法人事務局を経由して組合に届けられていたが、この間、郵便物等の受渡しについて、特にトラブルがあったという事実は認められない。
 ところが、法人は、10月中旬頃から、組合宛ての郵便物等の受領を拒否するようになり、このため組合と連合との間で、連絡に支障が生じた。
 2) 組合宛ての郵便物等を取り次ぐ義務が法人にあるわけではないが、組合が結成されてから特にトラブルもなく取り次いでいた郵便物等を、突然送り返すようになったことは、多分に不自然な感を否めない。
 3) 法人が郵便物等を送り返すようになった10月中旬頃の労使関係は、埼玉県労委において第1回あっせん期日が開催された後、事務折衝の開催を巡って対立していたこと、団体交渉が一度も開催されず、組合事務所の貸与について協議がなされなかったこと、及び法人が団体交渉への連合役員の出席を拒否していたこと等の経緯があり、法人がそれまで特にトラブルもなく取り次いでいた郵便物等を連合に送り返したことは、組合らを嫌悪し、組合と連合との連絡を妨げることにより組合らの弱体化を企図したものとみざるを得ず、現に組合と連合との間で、連絡に支障が生じたことも考慮すれば、組合の運営に対する支配介入に当たる。

5 命令交付の経過

(1) 申立年月日 平成25年2月27日
(2) 公益委員会議の合議 平成26年12月16日
(3) 命令書交付日 平成27年1月21日

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