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報道発表資料  2014年6月24日  生活文化局

東京都消費者被害救済委員会報告
「芸能マネジメント契約に伴うタレント養成所との契約に係る紛争」あっせん解決

 本日、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)から、「芸能マネジメント契約に伴うタレント養成所との契約に係る紛争」(平成25年11月28日付託)があっせん解決したと知事に報告がありましたので、その審議の経過と結果についてお知らせします。

 モデルやタレント事務所に関する相談は若年層を中心に毎年多数寄せられています。
 クーリング・オフできる場合もありますが、契約は慎重にしましょう。

紛争の概要(申立人の主張による紛争の概要は、次のとおりである。)

申立人

 17歳女性(契約時)

契約内容等

相手方 芸能事務所(甲社) タレント養成所(乙社)
契約内容 芸能マネジメント契約 レッスン受講契約
契約金額 無(既払金0円) 556,500円(入学時諸費用:399,000円、
月謝総額:157,500円(月謝:31,500円×5))

  • 申立人は、芸能事務所(甲社)が行っているオーディションをインターネットのサイトで見つけ応募した。一次、二次の審査を通過し、保護者同伴で面接の三次審査に臨むように連絡が来たが、保護者と芸能事務所に行くと、面接ではなく事務所とのマネジメント契約に関する内容についての説明をされた。
  • 合格が前提の説明の中で、「レッスンは欠かせない。」と提携するタレント養成所(乙社)での受講を勧められ、入学金の約40万円が半年で返せるよう仕事も紹介する旨の説明を受けた申立人は、芸能事務所でマネジメント契約を結び、タレント養成所で入学を申し込んだ。
  • タレント養成所のレッスンを受講するには自分で予約する必要があったが、すぐに満席になり、なかなか予約ができなかった。
  • また、仕事の紹介がなかったので芸能事務所に問い合せると、あらかじめメールアドレスの登録が必要なことが分かった。登録後、紹介メールが配信されるようになったが条件が合わず、ほとんど応募できなかった。
  • 最初に説明されたことと話が違うと、契約の取消しと返金を求めたが、相手方がこれに応じず、紛争となった。

あっせん解決内容

  • 申立人は、タレント養成所のレッスンを受講すれば、提携している芸能事務所から仕事を紹介され収入を得られると説明を受けて、タレント養成所と受講契約をしている。よって、本件取引は、特定商取引法における業務提供誘引販売取引に該当し、同法所定の書面の交付がなかったことから、クーリング・オフが可能となる。
  • あっせんに当たっては、申立人がレッスンを受講等した期間の月謝及び入学諸費用のうち事務手続費用については、返還すべき額から控除するのが相当であると考え、申立人へ返還すべき金額は42万円とした。

主な審議内容

1 業務提供誘引販売取引の該当性について

 タレント養成所は、有償でタレント養成のためのレッスンを提供するが、申立人は、そのレッスンの成果を利用する出演業務を、同所と密接な関連を有する芸能事務所からあっせんを受けることにより報酬が得られると誘引され、入学金や受講料等の負担を伴う受講契約を締結している。この取引は、特定商取引法の業務提供誘引販売取引に該当することから、書面不交付により、クーリング・オフができると考えられる。
 なお、芸能事務所とタレント養成所は、グループとして合同オーディションを行い、その合格者を芸能事務所がタレント養成所に紹介し、養成所はレッスンの受講状況を芸能事務所に報告している。また、その結果「(養成所の)受講数が少ないと芸能事務所のマネジメントに影響する。」など密接な関係があり、事実上一体となって業務提供誘引販売取引を行っていることから返還金は両所の連帯債務となる。

2 その他の法的問題点

(1) 入学金の返還

 養成所が設ける学則には、入学時諸費用は返金しないと定められているが、入学が随時可能なタレント養成所において、入学事務手数料のほかに対価が不明で高額な入学金に合理性があるのかは疑問であり、入学時諸費用を返金しないとする条項は、消費者に信義則に反して不当な不利益を与えることになるため、消費者契約法第10条により無効となる可能性がある。

(2) 民法上の不法行為の可能性

 消費者と事業者との間には、情報力・交渉力等の格差があるため、事業者には消費者の利益に配慮する責務が求められる。しかし、申立人は、芸能事務所の説明により、タレントとしてすぐに仕事ができると誤解した状態で、タレント養成所との受講契約を結んでいる。また、タレント養成所においては、受講契約を結ぶに当たり、オーディションの合格者が誤解をしていないか十分に確認する責務が果たされていなかった。このことから、芸能事務所及びタレント養成所には過失による不法行為と認められる可能性は十分にある。

同種・類似被害の再発防止のために

1 事業者に対して

  • タレント養成所が提携の芸能事務所から受講者の紹介を受ける場合には、特定商取引法第51条の業務提供誘引販売取引に該当する可能性を踏まえ、クーリング・オフ等を記載した適正な法定書面を交付するなど、同条の適用を前提とした体制を整えておく必要がある。
  • オーディションの合格で気持ちが高揚した志願者(特に、若年層)の勧誘に当たっては、安易に成功できると期待させるような誤解を招く説明は慎むべきである。
  • 入学金は、その対価性を明確にし、それができないものは見直すべきである。

2 消費者に対して

  • オーディションの合格には、高校や大学の合格と同様の嬉しさがあるに違いない。しかし、芸能界で成功するのはほんの一握りで、多くの者が芽も出ずに消えていくという厳しい現実にも冷静に目を投じるべきである。
  • 養成所などの契約に当たっては、家族等とも相談し、慎重な判断が大切である。
  • 消費生活センターに寄せられている相談の中には高額な登録料や撮影代・レッスン料等を請求するような悪質な事例もあるので、特に注意が必要である。

※困ったときにはまず相談を!!
 おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

※委員会の概要については、東京くらしWEBをご参照ください。
※別紙1 東京都消費者被害救済委員会委員名簿
※別紙2 芸能マネジメント契約に伴うタレント養成所との契約に係る紛争案件報告書(PDF形式:684KB)

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
 電話 03-3235-4155

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