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報道発表資料  2013年12月19日  生活文化局

―東京都消費者被害救済委員会 報告―
「カンボジアのアパートメント売買契約に係る紛争」あっせん・調停不調

 本日、東京都消費者被害救済委員会(会長松本恒雄 前 一橋大学大学院法学研究科教授(現 国民生活センター理事長))から、「カンボジアのアパートメント売買契約に係る紛争」(平成25年7月18日付託)の審議の経過と結果について、知事に報告がありましたので、お知らせします。

紛争の概要

  • 申立人
    70歳代男性
  • 契約金額
    150万円
  • 申立人の主張による紛争の概要は、次のとおりである。
     申立人は、乙社を名乗る者(以下「乙社担当」という。)からカンボジアのアパートメントの購入を勧められた。何度か断ったが、繰り返し勧誘され、「名義だけでも貸してほしい。」、「代金は当社が支払う。」などと頼み込まれたため、仕方なく名義を貸すことを了承した。
     後日、乙社担当から「トラブルで代金を振り込めなくなった。このままではインサイダー取引で罪に問われる。」、「後日返金するので、一部を代わりに支払ってほしい。」などと言われ、申立人は150万円を立て替えることに同意した。
     平成25年2月、申立人は、乙社担当の指示に従い、甲社社員と喫茶店で会い、契約書に押印した後、現金150万円を渡した。帰宅後、契約書を確認すると、カンボジアのアパートメント(3平方メートルと記されているのみで詳細不明)を甲社から購入したことになっており、申立人の認識と異なっていたことなどから解約及び返金を求めたが、相手方が応じず紛争になった。

<相手方事業者>
 甲社:株式会社FIRST不動産(東京都渋谷区神宮前6-23-2)
 乙社:株式会社クリアエステート(実態の不明な会社)

あっせん・調停の結果

 相手方甲社が、委員会の示したあっせん案及び調停案に同意せず、あっせん・調停不調となった。

委員会が示したあっせん案及び調停案の内容

  • 相手方甲社の不法行為により、申立人に売買代金相当額の損害を与えたと考えられることから、相手方甲社が損害賠償金として150万円を支払うというあっせん案を提示したところ、申立人は受諾したが、相手方甲社は受諾しなかった。
  • 同様の内容で調停案の受諾を勧告したが、相手方甲社は受諾しなかった。

相手方甲社があっせん案及び調停案に同意しなかった理由

  • 本件に関し、契約に関する書証を提出し、委員会に出席してこちら側の主張を述べたにもかかわらず、このような一方的なあっせん案・調停案には同意できない。
  • 当社は一切勧誘には関わっておらず、契約の意思確認を行っているにすぎない。個人(申立人)の自己責任というものが、今回のあっせん案・調停案に全く反映されていないのはなぜなのか。今回の件は、司法の判断を仰ぐしかないと考える。

主な審議内容

1 勧誘における問題点

 相手方甲社は、本件カンボジア不動産の販売にあたり、自らは勧誘行為を行わず、乙社に勧誘業務を委託していると主張している。申立人は、この乙社より執拗な電話勧誘を受け、「インサイダー取引で罪に問われる。」などの虚偽の事実を告げられたことで、契約を断れない心理状態となり、相手方甲社との契約締結に至った。
 相手方甲社は、勧誘行為に関与していないとして自らの責任を否定するが、乙社が行った勧誘行為は、相手方甲社が自ら行った勧誘行為と同視して考えるべきであり、相手方甲社の本件取引行為は適法性を欠くと言わざるを得ない。

2 相手方甲社の不法行為責任

  1. 本件契約では、契約当事者の法的関係が不明確であり、また、契約の目的物自体も不明確であり、契約が成立したとは認めがたい。このように不成立(又は無効)と評価される本件契約に基づき、申立人に金銭を支出させたことについて、相手方甲社に故意又は過失が認められる場合、当該行為は、不法行為に該当すると考えられる。
  2. 相手方甲社は、カンボジアに所在する本件不動産の売主(以下「売主」という。)の代理店の立場にあり、契約内容等に不明な点が存在するときには、売主に十分な調査・確認を行った上で、買主(申立人)に説明を行う義務がある。
    しかし、契約内容に一見して明確性を欠く事項(契約目的物の不特定等)があるにもかかわらず、また、売主が本件不動産の所有権を有しているか登記等に照らし必ずしも明らかでない等にもかかわらず、その調査・確認を怠り、契約の重要な事項について申立人に説明せずに契約を締結していることから、相手方甲社には過失があると認められる。

同種・類似被害の再発防止のために

1 投資被害の国際化と被害回復の困難性

 本件契約は、海外不動産の売買をうたっているが、実質的に、当該不動産を賃貸等で運用することによって生じた収益(配当)の受領を目的とした投資契約とみることもできる。本件のように、海外での運用を前提に日本で投資勧誘する事案が近年増加しているが、これら多くの場合、顧客資産が海外に移されており、返金等を求めようとしても、各国の法制度等により回収が困難となる場合もある。
 したがって、海外投資商品の契約をする場合には、上記のようなリスクを負うことを十分に理解・認識すべきである。

2 高齢者及びその周囲の人に向けて

 高齢の消費者が本件のような不当な勧誘に独りで対処するには限界もあるため、被害を防止するためには、高齢者の周囲の見守りを強化することが大切である。
 加えて、個人ができ得る対応策とすれば、日頃から、親しい人以外からの電話には応答しない、親しい人以外の訪問には対応しないなどの習慣をつけることも大切であると考えられる。

※別紙 東京都消費者被害救済委員会の概要
※別紙 東京都消費者被害救済委員会委員名簿
※別添 カンボジアのアパートメント売買契約に係る紛争案件(PDF形式:380KB)

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
 電話 03-3235-4155

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