トップページ > 都政情報 > 報道発表 > これまでの報道発表 > 報道発表/平成25(2013)年 > 8月 > CO2排出権取引の契約に係る紛争-被害救済委員会結果

ここから本文です。

報道発表資料  2013年8月29日  生活文化局

東京都消費者被害救済委員会 報告
「訪問販売によるCO2排出権取引の契約に係る紛争」あっせん・調停不調

 本日、東京都消費者被害救済委員会(会長松本恒雄 前 一橋大学大学院法学研究科教授(現 国民生活センター理事長))から、「訪問販売によるCO2排出権取引の契約に係る紛争」(平成25年2月25日付託)の審議の経過と結果について、知事に報告がありましたので、お知らせします。

紛争の概要

申立人

 80歳代女性

契約金額

 500万円

紛争概要

 申立人の主張による概要は、次のとおりである。

  • 相手方勧誘員から、「以前励ましてもらったお陰で係長になった」と突然電話があった。心当たりは無かったが、頻繁に電話で「絶対に儲かる話があるので会って話したい」と言われ、来訪を承諾した。
  • CO2排出権取引の契約について、「損することは無い」、「信頼して任せて欲しい」と勧められ、取引の仕組みは理解できなかったが、相手方の話を信用して契約した。
  • 契約の翌日100万円を支払ったが「もっと投資した方が儲かる」と言われ、追加で150万円支払った。
  • 半月後、相手方より「急に値が下がり、250万円が20万円しか残らなかった」と連絡があったが、申立人には、取引の開始状況もわからず、取引価格の確認もできなかった。「損をしないために、保険のように250万円を追加で支払った方が良い」と言われ、損を取り戻したいと思い、更に250万円を支払った。
  • わずか1か月で500万円も支払ってしまったが、取引の内容が全く理解できなかったので、解約して全額返金するよう求めた。しかし、相手方は解約に応じず、一部返金のみにとどまったため、紛争となった。

<相手方事業者>
 エコ・トレンド株式会社(東京都文京区湯島3-16-12)

あっせん・調停の結果

 相手方が、委員会が示したあっせん案・調停案に同意せず、あっせん・調停不調となった。

委員会が示したあっせん・調停案の内容

 説明義務違反、適合性原則違反により、相手方は申立人に対して損害賠償責任を負う。
 相手方は、申立人が支払った500万円から、すでに返還した2,791,250円を差し引いた金額2,208,750円を申立人に支払う。

相手方があっせん・調停案に同意しなかった主な理由

  • 申立人に対しては、リスクの説明を十分している。申立人は80歳代の年金生活者であるが、株の投資経験者であり、ハイリスク、ハイリターンの取引だということを十分理解して契約した。重要事項説明書の交付も含め常に説明し、無理のある取引を強要したと後日言われないためにも、その点は十分念押しをしている。
  • 訴訟による解決の場合であっても、裁判所の判断で、過失相殺により取引の実際に即応した解決が模索されるが、委員会のあっせん案は裁判所の判断以上の解決を半強制的に求めるもので、解決案としての妥当性においても問題のあるものといわざるを得ない。

主な審議内容

1 契約内容と適用法規

 現行の金融商品取引法及び商品先物取引法ではCO2排出権取引は適用対象とされていない。しかしながら、本契約のように現物の授受を予定することなく価格変動による差金決済を行う取引は、偶然の事情により利益や損失が左右されることから、刑法上の賭博(刑法第185条)に該当する可能性もあり、公序良俗違反(民法第90条)により無効とされる余地がある。このような差金決済取引が、取引自体の違法性を問われないようにするためには、最低限、金融商品取引法、商品先物取引法の適用対象取引以上に、当該法令に定められた各種規定や、経済産業省、金融庁が作成した監督指針を遵守して業務を行うことが求められる。

2 説明義務違反

 本件のような取引を行う場合、実際の取引額と保証金(相手方に預託した資金)の比率や、相場変動により保証金の額を上回る損失が生ずるリスクがある旨を、申立人の知識、経験、取引目的、財産状況に照らして、申立人に理解されるために必要な方法と程度により書面を用いて説明しなければならない(商品先物取引法第217、第218条)。また過去の相場変動のデータ等を踏まえて考えられる価格水準に関する最悪のシナリオを想定した場合の最大損失額について、申立人が理解できるように説明することが求められる(経産省監督指針)。さらに、申立人の要請があれば定期的に又は必要に応じて随時、価格変動の情報を提供しなければならない。加えて、利益相反状態であることの説明も要求される(同指針、判例)。
 今回の契約では申立人に対して、シミュレーションを用いたリスクの説明や、想定最大損失額などの説明がなされておらず、説明義務違反と考えられる。

3 適合性原則違反

 本件のような契約に際し、申立人の知識、経験、財産状況、取引目的に照らして不適合な勧誘をすることは禁止されている(商品先物取引法第215条)。また、年金生活者、年収500万円未満の者、75歳以上の高齢者等に対してデリバティブ取引を勧誘すること、あるいは、投資可能資金額を超える損失が発生する可能性の高い取引を勧誘することは避けるべきである(経産省監督指針)。80歳代の年金生活者である申立人に対して、投資可能資金額を確認することなく、年収(主として年金)をはるかに超える金額を拠出させて極めてリスクの高い契約を締結させ損失を発生させていることから、本契約への勧誘行為は、適合性原則違反と考えられる。

4 過失相殺について

 本件契約において申立人は、本契約締結前に親族等に相談することなく軽率に取引に応じており、過失が全くないとはいえない。しかしながら、申立人の年齢、投資経験、財産状況、取引目的と、本件の契約内容を考慮すると、過失相殺をすべきではないと判断した。

同種・類似紛争の再発防止のために

1 事業者に対して

 CO2排出権取引に関与する事業者は、金融商品取引法や商品先物取引法の適用がないとはいえ、同取引の違法性を阻却するためには、最低限、両法律に定められた各種規定や指針を遵守すべきである。そして、取引の勧誘に際しては、適合性原則を守り、消費者の知識、経験、財産の状況及び商品取引契約を締結する目的に照らして不適当な勧誘を行い消費者の保護に欠けることのないようにしなければならない。また、事業者は、消費者に対して、CO2排出権取引の仕組みはもちろん、その有するリスクや想定される最大損失額についても十分な説明を行わなければならない。

2 消費者に対して

 消費者は、本件のような差金決済によるCO2排出権取引が、リスクの高い契約であることを認識すべきである。とりわけ高齢の消費者は、老後の生活資金を失うこともあるため、十分な注意が必要である。

3 行政に対して

 CO2排出権取引は、金融商品取引法及び商品先物取引法の対象とはならないため高齢者を対象とした消費者被害が急増しており、その法的規制は喫緊の課題である。行政は、CO2排出権を政令によって「金融商品」として定め、金融商品取引法の適用対象とすることなど、速やかに法的対応をすべきである。

※別紙 東京都消費者被害救済委員会の概要
※別紙 東京都消費者被害救済委員会委員名簿
※別添 訪問販売によるCO2排出権取引の契約に係る紛争案件(PDF形式:396KB)

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
 電話 03-3235-4155

ページの先頭へ戻る