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報道発表資料  2013年1月9日  生活文化局

別荘地として購入した山林の売買契約に係る紛争をあっせん解決
事業者の契約解除は無効。損害賠償金65万円の支払で合意

 本日、東京都消費者被害救済委員会(会長松本恒雄 一橋大学大学院法学研究科教授)から、「別荘地として購入した山林の売買契約に係る紛争」(平成24年9月20日付託)の審議の経過と結果について、知事に報告がありましたので、お知らせします。

紛争の概要

 申立人の主張による紛争の概要は、以下のとおりである。

  • 申立人は40年前に別荘地として購入した土地を手放したいと思っていたところ、事業者より測量すれば750万円で買取ると言われ、測量事務所を紹介された。
  • 測量費が65万円と高額だったため、測量費を負担して土地の買手がいないと困ると思い契約を断ったが、事業者から「測量が済めば当社が買取る。」と言われたため、紹介された測量事務所へ測量を依頼し、65万円を支払った。
  • 測量後、土地売買契約を締結し、事業者より手付金として2万円を受け取った。
  • 契約締結後、事業者から「契約締結日より30日以内であれば、支払済みの手付金を放棄して契約を解除できるという土地売買契約書の条項に基づき、契約を解除する。」という内容の通知が届いた。申立人は、契約どおり土地の買取りを要求したが拒否され、せめて測量費65万円を返金するよう求めたが、事業者が応じなかったため、紛争となった。

解決内容

 売買契約を一方的に破棄した事業者(買主)の行為は債務不履行に当たり、事業者が損害賠償金として、申立人が測量会社に支払った測量費65万円から手付金2万円を控除した63万円を申立人に支払うことで、合意した。

  • 本件契約書「手付解除」の条項は、消費者契約法10条に反して無効である。
  • 通常の手付金は、当事者が被る不測の損害をカバーするものでなければならず、本件のようなあまりに少額な手付は、解約手付とは認められない。

主な審議内容

1 「手付解除」に関する条項の有効性について

 本件契約書に記載された、売主も買主も30日以内であれば双方が「履行に着手したかどうかにかかわらず」手付金を放棄して契約を解除することができるという規定は、民法557条1項に規定された「履行に着手するまで」と比べて、解除権において消費者の権利を制限するものである。
 また、事業者(買主)が支払った手付の2万円は、土地売買契約金750万円と比して著しく少額で、事業者からの契約の解除を容易にするものであり、申立人(売主)は、事業者の指示で土地の測量を余儀なくされ65万円を支出していることを勘案すると、申立人の利益を一方的に害することとなる。
 以上から、本件契約書の手付解除の規定は、消費者契約法10条に反して無効であると考えられる。

2 「手付解除」の有効性について

  1. 契約書の手付解除の規定が無効であるため、手付解除については民法557条1項が適用される。
  2. 通常の手付金額は、当事者が被る不測の損害をカバーするものでなければならず、本件のようなあまりに少額な手付は、民法557条1項の解約手付とは認められないと考えることができる。
  3. 仮に本件手付が解約手付であるとしても、申立人が行った土地の測量は、本件契約における不可欠の前提であり、契約条件の1つであったことから、「履行の着手」に当たる。民法557条1項により、申立人が履行に着手した段階で、事業者からの契約の解除は認められないため、本件契約の解除は無効であると考えられる。

※民法557条1項(手付)
「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」

同種・類似紛争の再発防止のために

1 事業者に対して

 本件のように、土地の所有者に「売却できる。」という期待を持たせて測量費等の高額の支出をさせた後に、少額の手付金を放棄することによって契約の解除をする行為は、不動産業者として許されるものではない。
 また、手付金は、取引の両当事者に起こりうる不測の事態の損害をカバーするものであることが求められ、不動産業者には、取引を適正に行うことができる手付金の設定を求める。
 なお、測量会社は、実測図が存在する土地の場合は、測量そのものが不要となることもあるので、測量契約の必要性や具体的な測量の内容などを適正に説明した上で、契約を締結すべきである。

2 消費者に対して

 消費者は、過去に別荘地として購入し利用しないまま放置されている土地について、売却することが容易ではないことから、本件のような「測量をすれば土地が売れる。」という勧誘に惑わされる傾向がある。事業者から、土地を売買するためには測量等の契約が必要であると言われた場合は、事業者の話を鵜呑みにせず、現地に出向き不動産の売買状況を調べるなどの慎重な行動が求められる。不相当に高い契約額を示された場合には、十分に注意すべきである。
 また、契約を急がされたり、著しく少額な手付金額が設定されるなど、不審な点がみられたら、一旦は断り、近くの消費生活センターに相談をしてほしい。

※別紙 東京都消費者被害救済委員会の概要
※別紙 別荘地として購入した山林の売買契約に係る紛争案件 報告書(PDF形式:343KB)

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
 電話 03-3235-4155

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