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報道発表資料  2012年6月22日  労働委員会事務局

命令書交付のお知らせ

 当委員会は、下記不当労働行為救済申立事件について、6月21日、命令書を交付しましたのでお知らせします。
 なお、交付は郵送で行い、6月21日に到達を確認しました。

事件名S事件(平成22年不第2号)
当事者 申立人 Z(組合)
被申立人 S(会社)

問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
 電話 03-5320-6992、6986

〔別紙〕

S事件(平成22年不第2号事件)命令要旨

1 命令交付の経過

(1) 申立年月日 平成22年1月6日
(2) 公益委員会議の合議 平成24年5月15日
(3) 命令書交付日 平成24年6月21日

2 当事者の概要

(1) 被申立人株式会社S(以下「会社」という。)は、和服や和装小物を製作し、商社、小売店に卸して販売を行う会社であり、展示会等の催事に参加して営業を行っている。
(2) 申立人Z組合(以下「組合」という。)は、中小零細企業に働く労働者を中心に組織された個人加盟のいわゆる合同労組であり、本件申立時の組合員数は約3,500名である。

3 事件の概要

 会社の東京事務所で着物アドバイザーとして勤務していたXは、就業規則違反を理由として、平成20年11月7日付けで解雇予告を通知され、同年12月20日付けで解雇された。
 組合は、21年8月18日付けで、会社に対し、Xの組合加入を通知するとともに、同人の解雇撤回や今後の雇用問題等に係る団体交渉開催等を求める要求書を提出したが、会社は、解決済みの事案であるとして要求事項に答えられないと回答した。
本件は、組合が、Xの解雇問題について21年8月18日付けで申し入れた団体交渉に会社が応じなかったことが、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。

4 主文の要旨

(1) 会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
 (文書の要旨)
 21年8月18日付けで組合の申し入れた団体交渉に応じなかったことが、不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないよう留意すること。
(2) 前項の履行報告

5 判断の要旨

(1) 本件団体交渉申入れに係る会社の対応について
 1) 既に解雇された者に関する団体交渉について
 社会通念上合理的とされる期間内に、既に解雇された労働者の解雇の効力や未清算の労働条件等について、当該労働者の加入する労働組合が団体交渉を申し入れた場合には、当該組合は、労働組合法第7条第2号の「使用者が雇用する労働者の代表者」に当たると解される。本件は、Xが20年12月20日付けで解雇され、その後、自らの解雇ないし退職手続等について組合に相談の上、加入し、21年8月18日付けで、組合がXの組合加入を会社に通知し、団体交渉を申し入れるという経過をたどっていることから、組合の団体交渉申入れは、社会通念上合理的とされる期間を逸脱したものとはいえず、また、解雇等の効力や未清算の労働条件について団体交渉を申し入れているのであるから、会社が、既にXを解雇したことをもって団体交渉に応じなかったことに正当な理由があるとはいえない。
 2) 団体交渉を拒否するとは明言していないとの主張について
 会社は、団体交渉に応じないと明言したことはなく、組合の申入れに対して回答書を送付して以降、組合が何らの交渉も申し入れていないにすぎないと主張した。しかしながら、組合は、Xの加入通知とともに団体交渉開催を申し入れており、これに対して、会社が、本件は解決済みの事案であるとして、「要求事項にお答えすることはできません。」と回答したのであって、会社は、組合の団体交渉開催要求を拒否すると明言したに等しいものと評価せざるを得ない。

(2) Xとの関係は請負であるとの会社の主張について
 1) 会社は、本件申立て以前、X及び組合に対して、請負関係を主張したことはなく、また、Xとの関係を解消する際、まず退職を勧奨し、就業規則に基づき解雇していることから、会社が、Xを従業員として扱っているのは明らかである。
 2) Xの報酬について、会社は、毎月固定額を給与として振り込み、源泉徴収票を発行していたことから、同人に支払われていた報酬は、仕事の成果に対するものではなく、労務提供に対する対価であったとみるのが自然である。
 また、催事を中心とした会社の業務からすれば、Xの就業全体に対して会社の指揮監督が及んでいたとみることができる。
 3) 以上からすれば、Xは、会社に雇用されていた労働組合法上の労働者に当たる。したがって、会社は、Xの解雇問題や未清算の労働条件等について、組合との団体交渉に応ずべき立場にあったということができ、同人との関係は請負関係であり、団体交渉義務を負わないとする会社の主張は採用することができない。

(3) 以上のとおり、会社は、21年8月18日付けで組合が申し入れた団体交渉に応じておらず、会社が団体交渉に応じない理由として主張するものは、いずれも正当な理由とは認められないのであるから、会社の行為は、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

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