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報道発表資料  2012年05月25日  労働委員会事務局

命令書交付のお知らせ

 当委員会は、下記不当労働行為救済申立事件について、本日、命令書を交付しましたのでお知らせします。

事件名 E事件(平成21年不第41号外2件併合)
当事者 申立人 X1連合
X2組合
個人4名
被申立人 学校法人Y

問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
電話 03-5320-6990、6986

〔別紙〕

E事件(平成21年不第41号事件外2件併合)命令要旨

1 命令交付の経過

(1) 申立年月日
平成21年5月14日(平成21年不第41号)
平成21年12月14日(平成21年不第110号)
平成22年5月10日(平成22年不第52号)
(2) 公益委員会議の合議 平成24年4月17日
(3) 命令書交付日 平成24年5月25日

2 当事者の概要

(1) 申立人X1連合(以下「連合」という。)は、東京都内の私立小中高校・幼稚園・専門学校の教職員が組織する労働組合等の連合体であり、約100単組、約2,500名を組織している。
(2) 申立人X2組合(以下「組合」という。)は、Yの設置するZ1専門学校(以下「専門学校」という。)の教職員が組織する労働組合で、組合員は申立時6名であり、東京私教連に加盟している。
(3) 申立人A1、A2、A3及びA4は、組合の組合員であり、専門学校の教員として雇用される者または雇用されていた者である。
(4) 被申立人Y(以下「学園」という。)は、東京都江戸川区に主たる事務所を置き、専門学校の他、Z2大学(以下「大学」という。)、Z3高等学校及び中学校並びにZ4高等学校及び同中学校を運営しており、21年4月現在の教職員数は約500名である。

3 事件の概要

 本件は、組合員A1らと学園との間で21年から22年にかけて起こった下記の事実が不当労働行為であるか否かが、それぞれ争われたものである。
(1) A1の統括主任の解任と異動
A1は、21年4月、60歳以上の教員について主任等の役職を解くこと等を内容とする「役職定年制」の導入により、社会福祉士養成科統括主任の役職を解かれた上、社会福祉科に異動となったこと。
(2) A2の雇用終了
A2は、家庭の事情により20年度末で専任講師を辞し、21年度は非常勤講師として引き続き勤務を希望していたが、21年3月、学園は、A2が21年度も組合に残ると表明した後、21年度の同人の採用はないと通告したこと。
(3) 社会福祉士養成科通学課程の廃止
本件申立て後の21年7月、学園が、22年度からの社会福祉士養成科通学課程の学生募集の停止を発表したこと。
(4) A3の雇用終了
A3は、60歳定年後も嘱託専任講師として勤務していたが、学園は、労使協定による再雇用期間満了を理由に、22年度は同人を雇用しなかったこと。
(5) 22年度のA1及びA4の校務分掌等
22年度、A1は校務分掌を一つだけしか割り当てられず、また、A4は、社会福祉科から、それまで経験のない精神保健福祉科に異動となったこと。
(6) 大学におけるA1の授業終了
A1は、大学の非常勤講師として、社会福祉論の授業を担当していたが、22年4月以降の入学者に適用される新カリキュラムで、社会福祉論の授業が廃止されたこと。
(7) 上記(1)、(2)、(4)及び(5)を議題とする団体交渉における学園の対応

4 主文の要旨

(1) 学園は、申立人A2を、平成21年4月1日付けで専門学校の非常勤講師として採用したものとして取り扱い、同人に対し、同日以降職場に復帰するまでの間の賃金相当額を支払わなければならない。
(2) 学園は、連合及び組合から、A2の職場復帰の時期及び雇用の終期、並びに組合員の校務分掌及び異動に関する団体交渉の申入れがあったときは、専門学校の校長又はこれらの事項について同校長と同程度に説明及び交渉することのできる者を団体交渉に出席させ、誠実にこれに応じなければならない。
(3) 文書の交付
要旨:団体交渉申入れに誠実に応じなかったこと、A2の出席する団体交渉を拒否したこと、及び21年4月1日以降A2を非常勤講師として採用しなかったことが不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないよう留意すること。
(4) 第1項及び第3項の履行報告
(5) その余の申立ての棄却

5 判断の要旨

(1) A1の統括主任の解任と異動
1) A1の統括主任の解任
役職定年制は、組合員だけでなく、非組合員も一律に同じ条件で適用され、現実に、21年度は、20年度に学科主任であった7名のうち、60歳を越えていた5名が主任を解かれ、うち2名は非組合員であった。一方で、21年度は、組合員であるCが新たに主任に就任している。また、学園は、役職定年制の導入と同時に、役職そのものを見直し、学群長のポストを廃止しており、これに伴い、非組合員である学群長への役職手当も支給されないこととなった。
このように、学園が、役職定年制の実施に当たって、組合員と非組合員とで異なる取扱いをした事実は認められないし、役職定年制の実施によって結果的に組合員に偏って不利益な取扱いがなされたということもできない。
したがって、役職定年制の導入及びそれに伴うA1の統括主任解任は、A1が組合員であるが故の不利益取扱いにも、また、組合を弱体化させるための支配介入にも該当しない。
2) A1の社会福祉科への異動
ア 組合らは、A1の社会福祉科への異動が不利益取扱いであると主張するが、この異動によりA1の勤務地、担当科目に変更はなく、変わったのは、教える対象が社会人から高校の新規卒業生になったことのみであった。したがって、A1の異動が、社会通念上、不利益取扱いに相当するという事情は認められないから、組合員であるが故の不利益取扱いの問題は生じない。
イ 組合らは、A1の異動には何ら合理的理由がなく、社会福祉科に組合員を集めることによって他の学科への影響をなくし、組合活動を萎縮させようとする支配介入であるとも主張するが、社会福祉科所属の教員が組合員のみとなったことにより、具体的にどのように組合活動に支障が生じたのか、又は現実的にその虞が存在していたのか、組合から具体的な主張も疎明もない。したがって、A1の異動が、組合に対する支配介入であるということもできない。
(2) A2の雇用終了
A2は、学務課長と、21年1月中旬から2月上旬にかけて新年度のスケジュールを調整し、具体的な持ちコマ数、担当科目及び出勤日もほぼ決定していた。
また、3月4日、校長が、A2に対し、担当科目を他の講師に譲るように打診した際に、21年度は非常勤講師として採用しないとは述べていないから、学園は、少なくとも、21年度にA2を非常勤講師として雇用する予定であったとみるのが自然である。
ところが、総務部長は、3月6日の組合ニュースなどにより、A2が21年度以降も組合に残ると知った後、3月16日になってからA2を呼び出し、「なぜ組合活動を続けるのか。」と尋ねた上、21年度の採用はないと告げた。
そして、その後の団体交渉において、総務部長は、A2が組合に残ることを認めないとの発言を繰り返し行ったり、X2が団体交渉に参加しているのを見て席を立ったりしたことからも、学園が、A2が専任講師を辞した後も組合活動を続けることに強い嫌悪感を抱いていたことが顕著にみてとれる。
また、4月8日発表の時間割においても、A2が担当することとなっていた福祉経済論の欄が空欄になっていたことなどからも、学園が、A2の採用を急きょ取りやめた様子が窺われる。
したがって、学園は、A2が21年度以降も組合活動を続けると表明したことを契機に、同人の非常勤講師としての採用を取りやめたものとみるほかはない。そして、従前、学園が、専任講師が退職しても、本人の希望があれば非常勤講師として採用してきたことからすれば、A2が希望していたにもかかわらず、非常勤講師として採用しない扱いをしたことは、同人が専任講師を辞職後も組合活動を続けることを嫌悪し、同人を学園から排除するための不利益取扱いであり、組合運営に対する支配介入にも該当する。
(3) 社会福祉士養成科通学課程の廃止
社会福祉士養成科通学課程については、本件申立て以前の21年2月25日に発表された「事業計画案」で既に廃止の検討対象となっていた。そして、学園には、通学課程を廃止してもやむを得ないと思われる財政上の事情が認められるから、このことが、組合らがA1の養成科への復帰を求めて本件申立てを行ったことに対する報復であるとの組合らの主張は採用することができない。
(4) A3の雇用終了
19年3月に組合と学園とが締結した労使協定を文字通り解釈すれば、A3の再雇用期間は、22年3月31日で終了すると解釈するほかはない。
もっとも、専門学校では、労使協定締結以前から、60歳で定年退職した教員についても、本人の希望も考慮して継続雇用してきた経緯があり、また、A3が再雇用終了年齢に達した21年度においても、同人より年齢が上の教員は何名も存在していたのであるから、組合らが、労使協定で定める再雇用期間終了後も、A3の雇用が継続されると期待したことにも無理からぬ理由があったともいえる。
しかしながら、学園は、22年度末をもって、A3の雇用を終了すると同時に、64歳以上の教職員4名を一斉に退職させており、こうした取扱いの真の目的が、組合員であるA3を排除することにあったと判断するに足りる事実は認められない。
したがって、A3が22年4月1日以降学園に雇用されなかったことは、同人が組合員であるが故の不利益取扱いにも、組合らが本件を申し立てたことに対する報復的不利益取扱いにも、また、組合運営に対する支配介入にも該当しない。
(5) 22年度のA1及びA4の校務分掌等
1) A1の校務分掌
22年度、A1が分掌を一つしか割り当てられなかった主な原因は、同人の組合活動ではなく、同人が、専門学校の改革を目的とした学科改変委員会で学園側の期待に沿う結果を出せなかったことや、同僚らとのあつれきなどで、校長の信頼を失ったことによるものとみるのが相当であるから、A1の校務分掌に係る学園の対応は、同人が組合員であるが故の不利益取扱いにも、組合活動を萎縮させるための支配介入にも該当しない。
2) A4の異動
A4の異動は、A4の職場における、あるいは学生からの客観的な評価を低下させるものとはいえないし、また、給与、勤務場所及び担当科目にも何ら変更はなかったのであるから、この異動によって、A4に不利益が生じたと評価することはできない。
また、組合らは、学園は反組合的な学生部長を副担任に就けて、A4を監視し、威圧しようとするものであると主張するが、学生部長の副担任就任により、A4が具体的に何らかの不利益を被った事実、組合運営に具体的に支障が生じた事実、あるいは生ずる虞について、主張も疎明もない。
したがって、A4の異動は、同人が組合員であるが故の不利益取扱いにも、組合運営に対する支配介入にも該当しない。
(6) 大学におけるA1の授業終了
大学は、本件申立て以前から、一般教育科目が多すぎるという問題意識を持ち、科目再編に取り組んでいた。そして、新カリキュラムの導入に伴い、97あった一般教育科目のうち、A1の担当する社会福祉論を含め28科目が22年度末で開講されなくなった。
したがって、社会福祉論の廃止は、こうした一般教育科目の再編の一環とみる以外になく、学園が、A1に不利益を与えるため、あるいは、組合活動に支配介入する目的で社会福祉論を廃止したとの組合らの主張は採用することができない。
(7) 上記(1)、(2)、(4)及び(5)を議題とする団体交渉における学園の対応
学園が、本件申立てに係る各団体交渉において、専門学校内部の人事や校務分掌の決定過程に何ら関与しない総務部長に主に交渉を任せ、人員配置の理由、校務分掌、学科運営の問題などについて、組合らからの質問に具体的に答えなかったことは不誠実な団体交渉に該当する。
また、学園が、学園とA2の雇用関係がなくなったことを理由に、A2の参加する団体交渉を拒否したことは、組合が自主的に決定すべき事項である組合員の範囲や団体交渉への出席者について、殊更に介入し、組合の弱体化を意図したものであるから、正当な理由のない団体交渉に該当するとともに、組合に対する支配介入にも該当する。

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