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報道発表資料  2012年5月10日  労働委員会事務局

命令書交付のお知らせ

 当委員会は、下記不当労働行為救済申立事件について、本日、命令書を交付しましたのでお知らせします。

事件名 N事件(平成21年不第99号、22年不第50号及び同年不第101号)
当事者 申立人 T1、T2(組合)
被申立人 N(会社)

問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
 電話 03-5320-6992、6986

〔別紙〕

N事件(平成21年不第99号、22年不第50号及び同年不第101号事件)命令要旨

1 命令交付の経過

(1) 申立年月日
 平成21年11月18日(平成21年不第99号)
 平成22年5月7日(平成22年不第50号)
 平成22年10月7日(平成22年不第101号)
(2) 公益委員会議の合議 平成24年3月27日
(3) 命令書交付日 平成24年5月10日

2 当事者の概要

(1) 被申立人会社は、昭和35年に設立された、配置薬の販売及び牛乳等の乳製品の宅配業務を主たる業とする従業員約2,200名(本件申立時)の株式会社である。乳製品の配達拠点であるデリバリーセンター(DC)を近畿及び関東地方を中心に120か所置き、都内には、葛飾、江戸川、荒川など区部で17か所、多摩地区で8か所のDCがある。
(2) 申立人T1は、43年に結成され、首都圏の事業所の従業員を中心に組織された、いわゆる地域合同労組であり、本件申立時の組合員数は約750名である。
(3) 申立人T2は、会社の乳製品の宅配に従事する労働者(以下「宅配員」という。)によって、平成20年8月13日に結成された労働組合であり、T1のT2を構成している。本件申立時の組合員数は12名である。

3 事件の概要

 申立人T1及び同T2(併せて「組合」という。)と、被申立人会社との間において、会社が、
 1) ガソリン代負担問題等3議題に係る団体交渉に誠実に対応せず、会社のDCリーダーは組合員資格がないとしてリーダーの団体交渉出席を認めないと通告して、平成21年9月17日に決まっていた団体交渉を中止し、ガソリン代負担問題等3議題の団体交渉に応ぜず、その後組合が21年10月6日、23日、26日及び22年1月27日付けで申し入れた団体交渉にも応じないこと、
 2) 別組合の組合員には牛乳の宅配月7,200本を保証しながらT2の要求は拒絶していること、及び業務に使用する車両のガソリン代について、労働審判で争った者にはガソリン代を支払いながら、T2の要求は拒絶していること、
 3) 組合との協議を経ることなく就業規則を改定し、21年3月以降の賃金から営業手当を18,000円減額したこと、
 4) T2三役にのみ経営協議会開催通知を行ったこと、
 5) 21年7月以降、会社のY1専務及びY2社長らが組合員に「T1から抜けろ。」等と述べたこと、並びに21年11月16日にY3統括リーダーが組合員に対して「これ以上騒ぐようであればクビにすることもできる。」と述べたか否か、また、述べたとすればそのこと、
 6) T2書記長X1に対し、同人が60歳の定年後も嘱託又は業務委託により宅配業務を継続していたところ、22年3月15日、契約期間の満了する22年4月25日をもって退職扱いとする通知をしたこと、
 7) 22年8月、会社が組合員の集中する葛飾DCにおいての勤務時間を延長したこと、
 が、それぞれ不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。

4 主文の要旨

(1) 被申立人会社は、申立人組合がガソリン代及びリース料の労働者負担の停止、宅配本数が月7,200本に達しない場合の賃金減額並びにその他組合員の労働条件に関する団体交渉を申し入れたときは、DCリーダーは使用者の利益を代表する者に当たるとの理由で拒否してはならず、必要な資料を提示し、又は具体的な数値を示すなどして誠実に応じなければならない。
(2) 会社は、組合員に対し、専務取締役をして、T1の中傷及びT1とT2の切離しを指示させ、また、代表取締役をして、T2への加入を認めないとしてT2からの脱退を慫慂させるなどして、組合の組織や運営に支配介入してはならない。
(3) 文書の交付及び掲示
 要旨:ガソリン代負担問題等3議題に係る団体交渉に誠実に応ぜず、21年9月17日の団体交渉を中止し、その後の団体交渉に応じなかったこと、協定書に反して就業規則を改定し、営業手当を減額したこと、代表取締役らの言動、及びT2書記長X1に契約期間満了後更新しない旨通知したことが不当労働行為と認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。
(4) 前項の履行報告
(5) その余の申立ての棄却

5 判断の要旨

(1) 団体交渉について
 1) ガソリン代負担問題等3議題に係る団体交渉について
 ガソリン代負担問題等3議題(ガソリン代及びリース料の労働者負担の停止、宅配本数が月7,200本に達しない場合の賃金減額)について、組合の理解を得るべく、回答の根拠を示すなどして誠実に説明し協議を尽したとはいい難く、会社の対応及びその交渉を打ち切った行為は、不誠実な団体交渉及び団体交渉拒否に当たる。
 2) 21年10月6日以降の団体交渉申入れへの会社の対応について
 ガソリン代負担問題等3議題に係る団体交渉については、会社が誠実に交渉を尽したとは認められず、いまだ交渉の余地があるといえる。また、DCリーダーは、使用者の利益を代表する者には当たらず、組合に加入することに何ら支障はないから、会社がDCリーダーの組合員資格を問題として団体交渉を拒否するのは、正当な理由にはならない。
 したがって、会社が組合からの21年10月6日、23日、26日及び22年1月27日付申入れの団体交渉に応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
(2) 牛乳の宅配本数月7,200本保証及びガソリン代について
 会社は、別組合との協定で、宅配本数月7,200本を保証する約定をしたが、同協定は、解決すれば退職するとの意向を示したZ1に対し、会社が個別の紛争事案として解決を図ったものと考えられるから、組合員の将来にわたっての月7,200本の保証や賃金体系の見直しを求める組合の要求と同列に扱うのは相当でない。
 また、労働審判により、会社が退職した宅配員Z2にガソリン代相当額等を支払った事案も、会社が個別的な紛争のその限りでの解決を図ったものとみられ、ガソリン代の労働者負担制度そのものの変更を求める組合の要求と同列に取り扱うのは相当でない。
 したがって、会社が別組合との協定によってZ1に宅配本数月7,200本を保証したこと、及び労働審判に基づいてZ2にガソリン代相当額等を支払ったことと比較して、会社の組合に対する対応が異なったことが不当労働行為に当たるとする組合の主張は、採用することができない。
(3) 就業規則改定と手当のリース料相当額の減額について
 会社が、組合との協定書に反して、組合との協議や意見聴取を行わずに就業規則を改定したこと、及び組合との協議を経ないで営業手当を減額するリース料の取扱いの変更を行ったことは、組合を軽視ないし無視するものということができ、組合の影響力の減殺ないし弱体化を企図した行為といわざるを得ないから、組合の運営に対する支配介入に該当する。
(4) T2三役に対する経営協議会の提案について
 会社の経営協議会の申入れは、T1とT2とを相手にする団体交渉の継続中に、それとは別にT2だけを相手方とする労使協議の場を設けようとするものであるから、T1とT2とが一体となった団体交渉で労使の主張が鋭く対立している状況を加味すれば、T2とT1の分断を図るものとして、組合の交渉力の低下ひいては組合の弱体化を企図した、組合運営に対する支配介入に当たるといわざるを得ない。
(5) 会社幹部の言動について
 1) 21年7月、Y1専務は、組合員X2及びX3を昼食に誘った上、「T2はどうかわからんが、本部(T1)はちょっと困ったものだ。」、「(T1は)チンピラ集団である。」、「T1から抜けろ。」などと話した。これらの言葉は、T1を中傷する発言であり、また、T2とT1の切離しを求める内容を含んでいるから、T2及びT1又は両者の弱体化を企図した発言といわざるを得ず、組合の組織及び運営に対する支配介入に該当する。
 2) Y2社長は、21年10月23日、DCリーダーである組合員X4に対し、「DCリーダーとして組合員として認める、それはできません。」、「会社としてはDCリーダーは組合員ではないと。いずれあなたが決着してほしい。」と述べて、組合からの脱退を働きかけ、X4が組合脱退に応じないとみるや、「だったら、DCリーダーもやめる、組合もやめる。相打ち。だったら私も納得する。・・・・それだったら私も引き下がれる。あなたも引き下がれる。」などと述べた。
 本来、組合加入を認めるか否かを決めるのは組合自身であるところ、Y2社長がDCリーダーであるX4の組合加入を認めないとして、組合からの脱退を慫慂していることは、使用者が組合員の範囲を一方的に狭めようとするものであるから、組合の組織及び運営に対する支配介入に当たる。
 3) 組合は、21年11月16日に、Y3統括リーダーが組合員X5に対し、「これ以上騒ぐようであればクビにすることもできる。」と恫喝したと主張する。しかし、組合は、Y3統括リーダーがどのような経緯で「クビにすることもできる。」と述べたのかを明らかにしておらず、また、仮に、組合が主張する発言があったとしても、その頃、X5が組合に加入していたことをY3統括リーダー及び会社が知っていたという事実を認めるに足りる疎明はない。したがって、Y3統括リーダーに関する言動が不当労働行為に当たるとする組合の主張は、採用することができない。
(6) X1の契約更新拒絶について
 会社は、T2書記長のX1に対して組合からの脱退慫慂を行うとともに、同人の労働者性を否定して、同人と組合を分断する主張を行っていることも加味すると、結局、X1は、Y4部長からの組合脱退とその引換えによる契約更新の提案を受け入れなかったため、契約更新拒絶の通知を受けたとみるのが相当である。
 したがって、会社のX1に対する契約更新拒絶の通知は、組合からの脱退慫慂を伴い、組合員の範囲を狭めようとする意図が認められるから、組合の組織及び運営に対する支配介入に該当する。
(7) 葛飾DCの組合員の勤務時間延長について
 会社は、就業規則を改定して、22年8月以降、実労働時間を1時間延長した。
 会社は、葛飾DC以外のDCでは8月27日に就業規則を改定して、各所轄労働基準監督署に届け出ているが、葛飾DCにおいては、過半数を占めるT2に対する説明がなされず、T2から就業規則改定の意見書の提出がされなかった経緯があり、就業規則改定の手続に問題がなかったとはいえない。
 しかし、この就業規則の改定による勤務時間の延長は、組合が主張するように、組合員が過半数を形成する葛飾DCのみの勤務時間を延長する取扱いではない。
 したがって、組合員が不利益な取扱いを受けることを見せつけるものとはいえず、組合活動の妨害を狙ったものということもできないから、葛飾DCにおける勤務時間延長が支配介入に当たるという組合の主張は、採用することができない。

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