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報道発表資料  2012年05月10日  労働委員会事務局

命令書交付のお知らせ

 当委員会は、下記不当労働行為救済申立事件について、本日、命令書を交付しましたのでお知らせします。

事件名 S事件(平成22年不第33号)
当事者 申立人 X1組合X2本部
X1組合X3支部
個人2名
被申立人 Y1株式会社

問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
電話 03-5320-6991、6986

〔別紙〕

S事件(平成22年不第33号事件)命令要旨

1 命令交付の経過

(1) 申立年月日 平成22年4月5日
(2) 公益委員会議の合議 平成24年4月3日
(3) 命令書交付日 平成24年5月10日

2 当事者の概要

(1) 申立人
1) X1組合X2本部
金属関連、情報機器関連産業等の労働者及び労働組合で組織された産業別労働組合であるX1の下部組織であり、本件申立時の組合員数は約3,500名。
2) X1組合X3支部(支部)
会社の従業員で組織する、X2の下部組織たる労働組合で、本件申立時の組合員数は15名。
3) A1
16年4月1日付けで会社に入社したが、23年1月28日、会社を解雇された。19年11月にX4組合の執行委員長となり、20年4月から支部の執行委員長となって、現在に至っている。
4) A2
18年6月5日付けで会社に入社し、21年4月、支部書記次長に就任し、その後、支部書記長となり、現在に至っている。

(2) 被申立人 Y1株式会社(会社)
工場用集塵システム等の計画、設計、施工、メンテナンス等を行う株式会社で、本件申立時の従業員数は26名。

3 事件の概要

 平成20年4月、会社の従業員で組織されたX4組合は、X1に加盟し、支部となった。
その後、会社は、支部の執行委員長であるA1に対し、7月3日付けで警告書を交付したほか、短期間に複数回にわたり懲戒処分を行った。21年9月29日、会社は、同日付けで、A1が会社の事務機器等を使用して、業務と関係のないファイルを閲覧、印刷したことを理由に出勤停止処分とすると通知した。
さらに、会社は、10月1日付けで支部の組合員A2に対し、設計部門からプラント部門への配転を命じ、22年4月16日付けでA1に対しても同様に、設計部門からプラント部門への配転を命じた。
本件は、会社がA1に対して行った21年9月29日付出勤停止処分が組合員に対する不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か、また、A2に対して行った10月1日付配転命令及びA1に対して行った22年4月16日付配転命令が組合員に対する不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否かが争われた事案である。

4 主文の要旨

(1) 被申立人会社は、A1に対し、平成22年4月16日付配転命令をなかったものとして、配転命令から解雇の日までの間に同人が受けるはずであった一律残業手当の額からその間同人に対し実際に支払われた残業手当の額を差し引いた額を同人に支払うこと。
(2) 被申立人会社は、A2に対し、次の措置を含め、21年10月1日付配転命令をなかったものとして取り扱うこと。
1) A2を設計部門に復帰させること。
2) 21年10月1日付配転命令から設計部門に復帰する日までの間にA2が受けるはずであった一律残業手当の額からその間同人に対し実際に支払われた残業手当の額を差し引いた額を同人に支払うこと。
(3) 被申立人会社は、A1に対し、21年9月29日付けで通知した10月1日を出勤停止とする処分をなかったものとして取り扱い、同日分の賃金を支払うこと。
。 (4) 文書交付・掲示
要旨:A1及びA2に対しプラント部門への配置転換を命じたこと、A1に対し出勤停止処分を行ったことが、不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないよう留意すること。
(5) 履行報告

5 判断の要旨

(1) A1に対する21年9月29日付出勤停止処分について
本件出勤停止処分が行われた頃の労使関係は、相当程度緊迫していたことが窺われるところ、本件出勤停止処分は、支部の中心的人物であるA1に対してそれ以前の処分等に引き続いて一連のものとして行われたものであり、本件出勤停止処分以前の処分等についても、本件出勤停止処分についても処分の理由等に不自然な点が多々みられる。したがって、これらの点を総合的に勘案すると、本件出勤停止処分の真の狙いは、会社が、X4がX1に加盟したことを契機として、組合の会社に対する影響力が高まることを懸念し、これを抑制することを狙って、支部の中心的存在である執行委員長のA1に対し本件出勤停止処分を行うことによって、組合の会社における影響力を減殺することにあったと判断せざるを得ない。
このような会社の行為は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合の弱体化を意図した支配介入にも当たる。
(2) A1に対する22年4月16日付配転命令について
会社の主張する本件配転命令の理由は、不自然な点が多く、その合理性は疑わしい。また、本件配転命令は、労使間の対立が深まっていたことが窺われるなかで、支部の執行委員長であるA1に対して行われたものであり、しかも、本件配転命令によって、A1には、経済的不利益等が生じた。
これらを総合的に勘案すると、本件配転命令は、会社が、X4がX1に加盟したことを契機として、組合の会社に対する影響力が高まることを懸念し、支部の中心的存在である執行委員長のA1に対し、経済的不利益等が生ずる配転を実施することにより、組合の会社における影響力を減殺することを狙ったものとみざるを得ない。
このような会社の行為は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合の弱体化を意図した支配介入にも当たる。
(3)A2に対する21年10月1日付配転命令について
会社の主張する本件配転命令の理由は不自然な点が多くみられ、その合理性は疑わしく、会社には、A2が積極的に組合活動をしている組合員であるとの認識があったといえる。そして、本件配転命令に至るまでの労使関係は、相当程度緊迫していたことが窺われ、本件配転命令によって、A2には経済的不利益等が生じた。
これらを総合的に勘案すると、本件配転命令は、会社が、X4がX1に加盟したことを契機として、組合の会社に対する影響力が高まることを懸念し、A1とともに積極的に組合活動を行っていたA2に対し、経済的不利益等が生ずる配転を実施することにより、組合の会社における影響力を減殺することを狙ったものとみざるを得ない。
このような会社の行為は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合の弱体化を意図した支配介入にも当たる。

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