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報道発表資料  2012年2月16日  生活文化局

東京都消費者被害救済委員会報告
アートメイクアーティストの養成講座の契約に係るトラブルをあっせん解決
~受講契約は公序良俗に反し無効とし、スクールは全額を返還~

 本日、東京都消費者被害救済委員会(会長 松本恒雄 一橋大学大学院法学研究科教授)から、「アートメイクアーティストの養成講座の契約に係る紛争」(平成23年4月26日付託)の審議の経過と結果について、東京都知事に報告がありましたので、お知らせします。

紛争の概要

  • 申立人は女性雑誌を見てアートメイクスクール(以下、「スクール」という。)を知り、平成22年3月上旬、スクールを訪ねたところ、短期間で技術が習得できて独立開業もできることなどについて説明を受けた。申立人はその日に受講契約を結び、受講料(58万円)はクレジットカードで支払うこととした。
  • 授業は3回行われ、内容は理論・実技・筆記試験であった。申立人は、講座終了後、就職先を探して数社に電話をしたが、講習や実技の時間が足りないことが理由で全て不採用であった。
  • 申立人は、クレジットカード会社からの請求もあり、当初の説明と違うとしてスクールに対し契約の取消しを求めたが、スクールがこれを拒んだことから紛争になった。

※1 アートメイクとは、人の皮膚に針を用いて色素を注入する行為を施すことにより、化粧をしなくても皮膚、眉、唇等の色合いを外見上美しく見せようとするものである。また、あざやしみ等皮膚の病変を目立ちづらくしようとするものである。

※2 厚生労働省の通知(平成13年11月8日付医政医発第105号)では、「針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」は、「医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する」としている。

解決内容

 本件契約は、民法90条の公序良俗に違反し無効であるとしてあっせんし、スクールが全額を返還したことで、平成24年1月に解決した。

※医師免許を有しない者にアートメイクの技術を伝授し、アートメイクという人の身体を傷つける反社会性の強い行為を業とするアートメイクアーティストを養成するための本件受講契約は、国民の健康で衛生的な生活を著しく損なう行為を拡大させるばかりか、医師法違反の行為を助長する目的を有するものといわざるをえず、民法90条の公序良俗に違反し、無効であると解するべきである。

同種・類似被害の再発防止に向けて

1 アートメイクスクールの事業者に対して

 アートメイクは人の身体に傷をつけ墨等を入れる行為であるから、感染症等の危険を伴うものであり、また、施術時の痛みを緩和するため麻酔剤を使用するものである。したがって、アートメイクを行うためには十分な医学的知識が不可欠であり、簡単に習得できるものではない。そして、何よりも、アートメイクは、医師免許を有しない者が業として行ってはならない行為であり(医師法17条)、医師免許を有しない者がこれを行えば、医師法違反の罪に問われることになる。
 事業者としては、医師免許のない者に犯罪行為となるような技術を伝授する行為は厳に慎むべきである。

2 消費者に対して

 医師免許のない者が、アートメイクの技術を習得して業としてアートメイクを施せば、犯罪者として刑事罰を受ける可能性があるのみならず、アートメイクの施術を受けた者から加害者としての責任を問われることにもなりかねない。
 消費者としては、アートメイクスクールの宣伝・広告につられて、安易に受講契約を締結することがないよう、自己の行為がどのような結果をもたらすかを慎重に考えて行動することが肝要である。

3 クレジットカード会社に対して

 消費者と事業者の間で問題が生じても、クレジットカード発行会社は加盟店の実態を把握しておらず、消費者は加盟店契約会社がどこのクレジット会社なのかわからないため、適切な措置をとることができないことが多いと考えられる。
 こうしたことがないようにするため、クレジットカードの決済ネットワーク取引の仕組みについて消費者に情報提供するとともに、クレジットカード発行会社に消費者から事業者との問題について申出があった場合には、クレジットカード発行会社は加盟店を管理する加盟店契約会社に速やかに情報提供し、加盟店契約会社は、クレジットカード発行会社から連絡がきた場合には加盟店を調査して、適切に問題を処理することが望まれる。

 東京都消費者被害救済委員会は、東京都消費生活総合センターの相談機関に寄せられた苦情・相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし又は及ぼすおそれのある紛争について、「あっせん」や「調停」を行うことにより、公正かつ速やかな解決を図るため、東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関です。

※別紙 東京都消費者被害救済委員会の概要
※別紙 東京都消費者被害救済委員会委員名簿
※別添 アートメイクアーティストの養成講座の契約に係る紛争案件報告書(PDF形式:219KB)

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
 電話 03-3235-4155

〔参考〕

紛争案件の詳細

 申立人は女性雑誌を見てアートメイクスクール(以下、「スクール」という。)を知りアートメイクに強い興味を持ち、平成22年3月上旬、甲区にあるスクールを訪ねて話を聞いた。
 スクールからは、講座の受講料が58万円であること、短期間でプロの技がマスターできて独立開業もできること、提携サロンにてベッドを貸出しするので独立開業のための費用もすぐに貯まり受講料もすぐに取り返せることなど、説明を受けた。
 申立人は話を聞いた日に入学を決意し、講座の受講料はクレジットカードで支払うことを約束した。入学願書とスクール同意書は、後日、コンビニエンスストアからファクスした。
 3月中旬から4月下旬にかけて授業は3回行われ、内容は、理論・実技・筆記試験であった。最後の授業の際に筆記試験があり、申立人は試験に合格し講座は終了した。
 講座終了後、就職先を探して数社に電話をしたが、講習や実技の時間が足りないことが理由で全て不採用であった。
 スクールに相談したが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使ってお客さんを探せばよいと言われた。また、独立開業のために必要なものとして、アートメイクに使う材料の追加購入を勧められ、その代金、約4万2千円をクレジットカードで支払った。
 申立人は、クレジットカード会社からの請求もあり、当初の説明と違うとしてスクールに対し契約の取消しを求めたが、スクールがこれを拒んだことから紛争になった。

(補足)クレジットカード会社との関係
 申立人はスクールと締結した養成講座受講契約等の代金(以下、「契約代金」という。)を支払うためにクレジットカードを利用した。
 クレジットカード発行会社は、加盟店契約会社を通じてスクールに契約代金を支払うとともに、立替払契約に基づき、申立人に契約代金を請求した。
 申立人は、クレジットカード発行会社に対し、この取引がスクールの受講契約及びそれに関連する部材の購入契約であること、医師の資格のない者が行うアートメイクは公序良俗に反する取引であること等が認識できる申出書を提出した。
 これを受けて、クレジットカード発行会社は申立人への請求を保留したが、紛争の解決を専ら申立人及びスクールに委ね、自らは速やかに対応しなかった。

本件紛争でのクレジットカード会社との関係(概要)

図

※本件では、消費者にカードを発行するクレジット会社(イシュアー)と事業者と加盟店契約を締結しているクレジット会社(アクワイアラー)が異なっており、これらのクレジット会社が国際ブランド(国際的に利用できるクレジットカードの決済機構。例えば、VISA・マスターカードなど)を介して繋がり、消費者に信用供与するという仕組みになっている。

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