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平成30年(2018年)1月26日更新

小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成30年1月26日)

知事記者会見
2018年1月26日(金曜)
14時00分~15時00分

知事冒頭発言

1 平成30年度予算案等について

【知事】こんにちは。それでは、本日、定例記者会見、始めさせていただきます。
まずは、大どころで予算案について皆様方にご報告、お伝えをさせていただきます。平成30年度の予算案がまとまりました。その概要について、発表させていただきます。
一昨年、知事に就任をしたわけですが、その後もずっと、東京の持続的な成長が日本の経済成長を牽引する原動力であるということを確信し、三つのシティを目指し、「新しい東京」を創り上げるために、「東京大改革」の取組を、一歩一歩進めてきたところであります。
世界は激動する、そして日進月歩で技術革新が行われる、そういう中にあって、この歩みをより確かなものとして、都政をしっかりと前に進めていく。そのためには、東京の「今」を生きる都民の皆様方の目線に立って、東京の明るい未来への具体的な道筋を示す一つひとつの「政策」、そして、その実行力を担保する「予算」、これに一層の磨きをかけていかなければなりません。
そのために、都議会各会派の皆様、そして区市町村の代表、それから各種団体の皆様方からのご意見、ご要望に加えまして、ご承知のように、都政史上初めてのことになりました、都民の皆様からのご提案を施策の形成に活かす仕組みを取り入れたところであります。そして、年明けから7日間にわたりまして知事査定を行って、そこで議論を尽くし、真に都民の利益にかなう予算案を練り上げてきたところであります。
また、こうした予算を都民の皆様方にわかりやすくお伝えするために、進化したメリーちゃん、ハリーくんを用いながら。最近のメリーちゃん、ハリーくんは立って歩くという、大分進化を遂げておりますけれども。それから、都民の皆さんにわかりやすくするために、ポケット版の冊子を作ったところでございます。わかりやすさ、そして見やすさといった点で、前回からさらに工夫を重ねてきたところでございまして、是非ご覧いただきたいと存じます。
そして、予算案の編成方針について、具体的にご報告をいたします。
まず、平成30年度予算でありますが、「将来を見据えて財政の健全性を堅持しつつ、東京2020大会の成功とその先の未来に向けて、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算」と位置付けております。第1に、「セーフ シティ」、「ダイバーシティ」、「スマート シティ」の三つのシティの実現、そして、「新しい東京」を創出することを目指して、東京の持つ無限の可能性を引き出す取組を積極的に推進する。2番目に、従来にも増しまして創意工夫を凝らして、より一層無駄の排除を徹底するなど、いわゆるワイズスペンディングで都民ファーストの視点に立った取組を推進する。3番目に、東京2020大会の開催準備に係ります取組を着実かつ効果的に推進する。この今申し上げました三つのポイントを基本といたしまして、今回の予算編成に臨んだところでございます。
次に、予算案のフレームでございますが、一般会計の総額は2年ぶりのプラスで、7兆円台に乗っております。7兆460億円。全ての事業に終期、終わりを設けるということで、それに加えて、客観的な指標、エビデンス・ベースによります評価を新たに実施するなど、事業評価の取組を強化いたしまして、徹底的に無駄を排除したことで、これは過去最高になります870億円の財源を確保したところでございます。その一方で、三つのシティの実現に向けました施策には、積極的に財源を配分しまして、こちらも最高となります407件の新規事業を計上いたしました。
このように、30年度の予算案は、見直すべきは見直す、それから、投資すべき部分には投資をしっかり行う。前回以上にメリハリの効いた予算に仕上げることができたと自負しております。
今度は、「歳入の確保」です。歳入の約7割を占めているのが都税収入でございますが、好調な企業収益などによりまして、5兆2,332億円と2年ぶりのプラスではございますが、28年度の決算に比べますと、そこには届かない水準となっております。
基金につきましては、オリ・パラの準備、それから、三つのシティの実現などに向けて備えてあります基金、そこから4,247億円を取り崩すこととしております。残高ですけれども、30年度末では約2兆1千億円となりまして、前年度に比べますと減少いたしますけれども、これは2020年大会などに備えてのさまざまな予測をしていたものでございまして、想定内の状況ということが言えると思います。
一方、都債の発行額は2,107億円と、前年度からさらに発行額を削減しております。グリーンボンドなども都債に入るわけですけれども、それでも都債全体は下げている。都債の残高につきましては、6年連続のマイナスということになります。

それから、都税収入でございますけれども、平成30年度の税制改正で、ご承知のように、地方消費税の清算基準の見直しということがございまして、1,040億円もの減収となるということと、平成31年度の税制改正に向けまして、新たな偏在是正措置を行うという考え方も示されております。
これは、東京23区内の大学における定員抑制という、制度の改悪と言って良いと思いますが、まさしく「東京の活力を奪う国の不合理な措置」だと言わざるを得ないと思います。23区内の学生数の抑制については、今日の某夕刊紙に書いておりますので、読んでいただければと思いますが、これらの不合理な措置につきましては、都議会、区市町村、そして、何よりも都民の皆様と手を携えて、ここはオール東京で断固として反対の声を上げていきたいと考えております。
今回、予算案の発表に合わせまして、こうした国の動きに対しては、都といたしましての反論をまとめました冊子も作成をいたしました。これまでも、東京都というと、何かと、前の都知事の時代からも、何千億と取られてきて、これまで30年間で6兆円、これまで都のお金というのが奪われているということ。納税者というのは、取られると、そのときは非常に反論をされるんですけど、その後どうなっているかというのは、意外とご存じないというか、知らされていないというか、そのところを私はしっかりとお伝えして、「皆さんの税金はこうなってますよ」ということ、ブックを作るのも同じでありますけれども、それこそが都民ファーストではないかと考えるところであります。
話がちょっとそちらにいきましたけれども、オール東京で断固として反対をしていく考えでありますが、次に、東京都の鉄道新線の建設等準備基金、こちらについてお伝えをしておきます。
東京の持続的な成長を実現して、全ての世代が超高齢社会でもいきいきと活躍していただくためには、誰もが快適に移動できるような足を確保していかなければならない。都民の足となる鉄道ネットワークのさらなる充実が重要と考えております。
都はこれまで、国の答申で「事業化に向けて検討を進めるべき」とされておりました6路線を中心に検討を続けてまいりました。そこで30年度の予算で、都が事業主体となります多摩都市モノレールの箱根ヶ崎への延伸など、検討のための調査費を計上いたしました。また、これと併せまして、今の6路線に関連する事業などの財源として、「東京都鉄道新線建設等準備基金(仮称)」を新たに創設することといたします。
これは、現在、社会資本等整備基金に積み立てている財源の一部を切り分けて、新たな基金として独立して積み立てるということでございまして、もともとの基金、そこから特別に「このため」という明確な目的の基金でございます。みんな明確な目的があるのですが、基金の設置条例案が必要になってまいりますので、この平成30年第一回の都議会の定例会の方に提出いたします。今後、関係者との協議・調整を加速してまいりたいと考えております。
次に、歳出の状況についての説明でありますけれども、都が直面しております課題に適切に対応する、しかしながら、限られた財源を重点的・効率的に配分しなければならないということで、「福祉と保健」分野への支出は、待機児童の解消、超高齢社会への対応の充実ということで、238億円のプラス、増をさせ、過去最高の額となります。
それから、「都民・職員による事業提案」でございますけれども、昨年9月の募集開始をいたしましてから、都民そして職員の皆さんから新たな発想、生活に密着したような発想、素晴らしいご提案をいただきまして、まさしく新しいこの都政の1ページを飾っていただいたかと思います。改めて、ご提案いただいた皆さんには御礼を申し上げたいと思います。
「都民による事業提案制度」でございますけれども、合計いたしますと、255件の提案をいただきました。子育て支援から高齢化対策など、それぞれの分野から合わせまして9件、そして8億5,000万円を、その9件に対しまして30年度予算案の中に入れ込んでおります。
また、職員からも、164件の提案がございました。そのうち15件を選びまして、予算額が2億1,000万円を30年度予算案に反映しております。
それでは、この後は30年度予算案の主な政策を、三つのシティで切り分けてご紹介をしてまいります。
まず、「ダイバーシティ」でありますけれども、東京が抱える課題を克服して、持続的な成長をもたらす礎は、都民一人ひとりが持つ「活力」であって、「人」が輝くための施策を重点的に展開をしてまいります。
つまり、結婚から出産、その前の出会いも必要かもしれない。出会い、結婚、出産、子育て、それまでの切れ目のない支援といたしまして、総額203億円を計上いたしております。結婚に向けた気運の醸成、出会い、若い世代のライフプランづくりの支援やシニア層が多忙な子育てをサポートする「とうきょうチルミルの創設」をいたします。子育てをしてきたおばあちゃんたちにも、ここで手伝ってもらうということであります。それぞれのライフステージに応じた切れ目のない支援が重要だと思っておりますので、それを盛り込んでおります。
続きまして、「待機児童対策」でございますが、一昨年、知事に就任して、真っ先に取り組んだのが、この待機児童対策でございました。最重要課題と位置付けまして、これまでもさまざまな取組を講じてきたところであります。
30年度の予算額は1,576億円と、前年度と比べますと195億円、約200億円の増額となります。保育人材の確保や定着に関しまして、区市町村、大変頑張ってくれていただいております。その取組を支援すると同時に、認可保育所の1歳児定員を増やす工夫、それからベビーシッターの利用支援など、1歳児までは安心して育児休業を取得できる環境づくりということを進める、そして平成31年度末の待機児童解消ということを目指していきたい、そういう予算案でございます。
今度は、「超高齢社会対策」でございますが、こちらについては、世界に例を見ない速度で高齢化が進んでいる東京でございます。「超高齢社会」を見据えた対応というのは、まさしく喫緊の課題でございます。前年度と比べまして133億円増で、831億円を計上いたしました。
特徴的なものをいくつかご紹介いたしますと、認知症のグループホームなどの整備費への新たな加算措置など、高齢者のすまいの整備を進める。それから、暮らしへの支援を図る。さらには、生きがい、自己実現に向けて、「100歳大学」、これは100歳まで通えますよという大学、それから「シニア就業応援プロジェクト」など、社会参加の促進に向けた取組を盛り込んでおります。
超高齢社会を見据えまして、高齢者が安心して活躍していただきたい。高齢者の方々、もういろいろな人生の蓄積があるけれども、ある時点からぱーんと切り離されて、名刺の肩書がなくて寂しい思いをしているとか、そういった方々に、もっと居場所を確保して差し上げるというのは、これは精神衛生上も、それからやる気とか、それがまた健康にもつながってくるという考え方で、是非活躍していただきたい、その場づくり、環境づくりということを念頭に置いておりますゆえに、冒頭にも申し上げたように、「人」に着目をした予算だということでございます。
次に、「誰もがいきいきと暮らし、学び、活躍できる社会の実現」ということでございますが、専門家を活用して、テレワークで実施できる業務の洗い出しをいたします。それから、既存のワークスタイルの見直しなどを進めて、生産性の向上、そして女性や高齢者の活躍推進の起爆剤にこのテレワークの推進をしていきたいと考えております。
また、障害者の方々でありますが、医療費助成の対象を精神障害1級にまで拡大をいたします。
それから、若者が活用しているLINEを活用した自殺相談を新設をいたしまして、未来を担う人材の育成を進めるなど、誰もが自らの可能性を最大限に活かせる環境づくりを後押し、推進していきたいと考えております。
次に、「スマート シティ」に移らせていただきます。持続的に成長する「環境先進都市」の実現ということを再三訴えておりますけれども、都民や事業者などと協力をしながら、重層的な取組を展開していく必要があると考えております。
具体的には、EVの電気の庁有車の導入であるとか、電動バイク、二輪車、三輪かもしれません。こういった導入支援を行う。そして、鉄道が高密度に集積する特性の持つ東京でございますので、駅舎へのソーラーパネルなどの設置を促進いたしまして、東京2020大会に向け、都内でのさまざまな再生可能エネルギーを確保していく。その一つが、福島県産CO2フリーの水素を利用していくなど、スマートエネルギー都市の実現に向けた取組を進めてまいります。
また、自然環境が有します機能を活用する「グリーンインフラ」の取組といたしまして、旧い河川敷の土地を活用した緑化の創出などを検討するということを含めて、ゼロエミッション東京を目指してまいります。そして、誰もが快適に暮らせる都市環境を創り出していきたいと考えております。
それから、続いて「世界に開かれた国際・観光都市の実現」でございます。375億円の計上であります。
東京を訪れる訪都外国人の増加が著しいところでございますが、去年、このところは1割増です。観光バスの台数の大幅な増加が見込まれております。そういう中で、円滑な道路交通の確保に支障をきたさないようにと、地域での駐車場の整備に対する補助を実施いたします。そしてまた、都内でナイトライフを楽しめる観光スポット、観光ルートなどを発掘し、また発信をするということで、その一つの工夫であるプロジェクションマッピングを活用したイベントの支援などを行ってまいります。多彩な観光資源がたくさんあるわけですから、これらを開発・発信していくということであります。こうした取組で、「平成36年までに年間訪都外国人旅行者数3,000万人」という目標がございますが、その達成を目指してまいります。
続いて、金融であります。
国際金融都市の実現を進めてまいりました。ご承知のように、新興資産運用業者育成プログラムであります、東京版EMPの創設に向けまして、国内機関投資家に対して、新興資産運用業者向けの運用資金を提供するインセンティブを与える仕組みを作ります。そして、新興資産運用業者の育成・振興を促進していくというものであります。
また、中小企業の海外企業への生産委託、そして技術提携をサポートするということから、現地企業情報の調査であるとか、現地企業とのマッチングを支援して、都内の中小企業の販路拡大を図ってまいります。こうした取組で、アジアナンバーワンの国際金融都市を目指しまして、日本経済をしっかりと牽引する産業力を育成をしてまいりたいと考えております。
それから、続きましては「無電柱化の推進」でございますが、30年度は288億円を計上いたしております。防災機能の強化、安全快適な歩行空間を作る、景観を向上させるなど、多くのメリットがある無電柱化でございますが、今まだイノベーションの途中などで、コスト縮減も途中ということもありますけれども、今だからこそ強力に推進していきたいと考えています。
具体的には、区市町村道での無電柱化に対する補助対象を、43の区市に倍増させまして、取組を一層加速させてまいります。加えて、まちづくりの機会を捉えて、無電柱化を面的に進めるために、組合などが施行する区画整理事業に対しての助成、これによって無電柱化に係る加算の新設ということもございます。こうした取組で、技術開発、そしてコストの圧縮を図って、区市町村道を含めた無電柱化を強力に進めていきたいと考えております。
それから、「災害に強いまちづくり」でございます。
災害から都民の命、生活、財産を守っていくというのは、まさしく都としての、また都知事としての責務であります。木造住宅密集地域の不燃化・耐震化も、これまでどおり着実に進めていく。それと同時に、都市型の水害に対する備えもしっかりと講じてまいります。加えて、女性視点の防災ブックを活用しながら、液体ミルクや日常備蓄などの必要性について、普及啓発を行います。いわゆるハードとソフトの両面から、都民の活力の基盤となる安全・安心の確保に向けました取組を進めてまいります。
そして、続いて、救急隊の出場から現場へ到着するまでの時間、これは、他の地域と比べまして少し遅いのではないかという指摘も、これ比較もあり、この到着までの時間は「7分以内」を目標といたしまして、この目標達成のために、救急隊の増強による体制強化、それから救急相談センター事業などで需要を抑制する救急需要予測システムの構築など、総合的な取組を進めてまいります。ビッグデータなどの活用ということです。また、地域コミュニティの活性化に向けました取組の一層の推進を図るなど、都民の命を確実に守る環境づくり、暮らしを支える地域の活性化を推進してまいります。
それから、「東京2020大会の成功に向けた取組」に関してでございます。
大会の開催まであと3年と迫る中で、大会の開催準備もますます本格化しております。東京2020大会に向けまして、都は3万人の都市ボランティア募集をいたします。3万人であります。大会開催時には、組織委員会が募集する大会ボランティアと合わせますと11万人のボランティアが活躍するということとなります。先週も、ボランティアのイベントを開きましたが、もう大変「鈴生り」、盛況でございました。「いつからですか」と言って、ボランティアで手を挙げてくださるボランティアが本当に多いことには力付けられるところでございます。
それから、ラグビーのワールドカップも2019年、来年でございます。こちらは2千人程度のボランティア募集をいたします。それぞれの募集、平成30年度から応募の受付を開始するところでございます。そのときに、お知らせいたします。
さらに、ラグビーのワールドカップのプロモーションの実施などもございまして、東京2020大会とラグビーワールドカップ2019に向けた準備は、しっかり加速をしていく所存でございます。
次に、「多摩・島しょの振興」についてであります。
豊かな自然、そして地域の特産物、そして高い技術力を持つ中小企業や大学・研究機関が集積しているのが、多摩であったり、島しょ地域であったりします。そのさらなる発展に向けた施策を、積極的・効果的に展開をしていくというものであります。
具体的には、広域的な産業交流の中核機能を持つ産業交流拠点の八王子駅前への整備を進めるとともに、島しょ地域の「宝物」とも言うべき観光資源のブランディングに係る取組を支援しまして、島しょ地域の魅力を一層向上させてまいります。
そして、次に「東京の持続的成長を支える最先端技術の活用」についてでございます。
東京が抱えるさまざまな課題を克服して、持続可能な社会の構築に向けて、ICT・IoT、そしてAIをはじめ、まさしく日進月歩で発展している最先端技術でございますが、この活用を推進してまいります。
具体的には、小・中学校でICT機器の活用、そして、その効果について、区市町村と連携した教育プログラムの検討、開発などを行います。これによって、次の時代を見据えた取組を行ってまいります。
それから、自動車の自動走行でありますけれども、試乗会を行ったり、シンポジウムを開催したり、また、自動走行に関するニーズなどの調査を実施し、最先端技術が支える未来を見据えた都市づくりにつなげていきたいと考えております。
30年度予算の概要は、以上のとおりでございます。この予算案に盛り込みました一つひとつの施策を梃子として、夢と希望と希望に満ちあふれる東京の明るい未来に向けて、着実に歩みを進めてまいりたいと考えております。詳細は、財務局にお聞きください。

そして、この30年度の予算案と合わせまして、「2020年に向けた実行プラン」の政策を強化する。それについて取りまとめておりますので、ご紹介、お知らせをいたします。
三つのシティの実現に向けた政策を強化するわけでありますけれども、この「実行プラン」は、平成28年の12月に策定をいたしましたものがベースになっております。都知事になって初めての総合計画でございまして、そして、ここに掲げる三つのシティである、「セーフ シティ」、「ダイバーシティ」、「スマート シティ」の実現に向けて、都庁一丸となって取組をこれまでも進めてまいりました。
ただ、計画は一度作ったら、そこで終わりというものではございません。実行に移すというのは当然のことでありますけれども、一方で、実行する中で課題が出てきたり、社会情勢が変化したりということで、敏感にこれを捉えていく必要がございます。そして、それによって政策を絶えず進化させていくということが重要と考えております。
今回の予算編成と連動いたしまして、政策を強化していくという中で、私が念頭に置いたのは、これから直面する人口減少という事実であります。東京の人口は、現在の予測におきましても、2025年をピークにして減少局面に入って、その後はどんどん減少していく。一度減少し始めると、どのような策を講じても、回復に向かうというのは容易ではないということで、言うならば、まさに「ポイント・オブ・ノーリターン」ではないか。よく地球温暖化対策のときにも、こういう考え方が活用されておりまして、「今、何をやらなければ間に合いませんよ」ということで、いろいろな施策を講じているというのが現在でもございます。人口問題も同じでございまして、まさしく今、このポイント・オブ・ノーリターンのところに差しかかっている。いや、「もう差し掛かって何年も経っている」と言っても過言ではないかもしれません。

その一方で、これらの人口に占める高齢者の割合は、さらに「超高齢社会」のボーダーラインであります21%を超えておりまして、今後さらに増えていくということで、こうした状況にある今こそが踏ん張りどころだということでございます。東京がこれからも活力を失うことなく、成長を続けていくためには、「お子さん」であったり、「若者」であったり、「子育て世代」であったり、そして「年配の方々」、全ての「人」に着目した政策を積極的に展開して、その活力を最大限に引き出していくということが不可欠でございます。これは、都知事に就任いたしまして、都内を隈なく回っていると思いますが、いろいろな方々の直接お話を伺う中で、改めて実感した東京の真の姿でございます。
こうした状況を目前に控えたといいますか、今こそが踏ん張りところであって、ここでこそなすべきことをなしていかなければならないというとで、昨年7月に策定いたしました重点政策方針や社会情勢の変化を踏まえまして、「実行プラン」の政策の強化版を策定したということであります。ここでは、都が目指します三つのシティの姿をよりきめ細かく、かつ明確に、都民の皆さんにお示しをするために、これまで502の政策目標に、また1割増やしまして、546にするとともに、既存の目標のレベルアップも行ったところでございます。また、目標達成に向けました具体的な施策も充実をさせております。可能な限り来年度の予算に盛り込んで、これらを着実に実施することで三つのシティの実現をより確かなものとしてまいります。
年が明けまして2020年まで、今年が2018年ですから、あと2年ということになります。「実行プラン」の推進をこれからさらに加速していくためにも、都庁一丸となって取り組んでまいるところでございます。先ほども庁議を開きまして、幹部の皆さんに、「ここはオール東京、そして、都庁一丸となって進めていきましょう」という訓示を行わせていただいたところでございます。詳細は、政策企画局にお聞きください。
私から、以上、今回の平成30年度予算と「実行プラン」についてのご報告をさせていただきました。

(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:3,907KB)
(「平成30年度(2018年度)東京都予算案の概要」は、こちらをご覧ください。)
(「『3つのシティ』実現に向けた政策を強化(平成30年度)」は、こちらをご覧ください。)

 

質疑応答

【記者】1月幹事社の時事通信の吉本です。幹事から2点お伺いします。今ご説明のあった予算案なんですけれども、知事にとっては2回目の予算だと思います。「人」に着目した予算ということで、強調されておりましたけれども、一言で表すとしたら、「何予算」と命名されるかという、もし可能でしたらお答えいただきたいと思います。

【知事】そうですね。やはり「都民ファーストの予算」と。駄目ですか。

【記者】いや。ありがとうございます。

【記者】次なんですけれども、年末の国の予算編成でもいろいろ地方自治体の基金について、余っているんじゃないかとか、過剰じゃないかという残高について、財務省などから指摘があったと思うんですが、今回の都の予算編成で大分基金の活用について、積極的に行っていく方針が強調されているんですけれども、知事ご自身から、都の基金についての、現状についてのご認識をちょっと教えていただければと思います。

【知事】そうですね。今回、基金を一つの社会資本の整備のところから特出しして、例えば6路線についての基金という名前にしております。しかし、これはまさしく必要なことを必要な時期に行っていくということと、それから、その1年でできるものではございませんので、これをしっかり活用していくということ。それから、基金でも、例えば東京2020大会の基金を積み増していますけれども、ここは、これからどんどん使われていくための予算であって、貯めるための予算ではない。内部留保のための予算ではないということであり、必要な基金を必要な形でこれまで活用してきたということでございます。まさしく、活用することが目的としたものであって、そして、また、これらの基金を必要なときに使えるような体制を取っているということでございます。

【記者】ありがとうございます。幹事からは以上です。各社、よろしくお願いします。

【記者】フジテレビの小川です。子育て支援のところについてお伺いしたいんですが、国も、幼保無償化など、子育て支援をいろいろと出してきてはいるんですけれど、東京都だからこそこういう子育て支援策ができるという独自性ですとか、知事が、特にここをポイントというところを改めて教えてください。

【知事】はい。待機児童対策というのは、大都市、特に東京の問題だと言い換えてもよろしいかと思います。そして、今回、都知事に就任してから、この待機児童対策ということに力を入れてまいりました。それに対していろいろな施策も、これまで種まきとしてやってまいりました。例えば、「都立公園の一部に保育施設をつくりましょう」ということを申し上げてきて、それがいよいよ、実際にどの公園のどの部分というのが出てきている状況でございます。だからこそ、この待機児童対策も、種まきから、これからは実現、実行ということになる。さらには、やはり人材の確保ということも必要なので、そのためにも、他の地域よりも特に、この有効求人倍率も高い東京でございますので、より、その厚みを増していかなければならないので、国の予算と、それに加えてというところが東京の部分だと思います。また、東京にはワーキングママ、大変多くお暮らしになっておられます。そのワーママたちの安心、そしてワーママたちのスキルが、より社会で活かされるということのために必要な予算だと考えており、手厚く今回、盛り込ませていただいたところであります。
もちろん、待機児童解消ということが目標であり、それはすなわち、女性の活躍ということにもつながってくる。それは、時にテレワークを進めることになりますし、総合的な形で社会を、これまでの、1964年の第1回の東京大会と、2020年の東京大会との、社会の制度設計が違うということが、まさしく今回の待機児童対策などの予算に表れているのではないか。「人」を中心にしたというのは、まさしくそこにあるのではないかと自負いたしております。よって、解消を目指しておりますが、これを良くすることによって、さらにニーズが増えてくる。負ではなくて、正のスパイラルに入ることを期待しております。

【記者】あと、すみません。個別の政策の中で、「ベビーシッターの補助」というのがあったと思いますが、これを最大28万円までというのは、かなり他の自治体にも例を見ない大胆なというか、思い切った支援、援助だと思うんですが、これについて改めて知事が、なぜここまでしっかりベビーシッターの補助をしようと思われたのかというところと、その狙いをもう少しお願いします。

【知事】施設をつくって、その人材を確保してということ、大変事業としても大きな課題であり、予算が必要になってまいります。それから、国でもこれまでベビーシッターの活用ということは、随分、研究されてこられました。そして、待機児童ゼロにされた豊島区においては、どうやって解消したかというと、「ベビーシッターの活用ということが最後の決め手になった」と区長からも伺っております。そういった意味で、この28万円までフルに使う方がいらっしゃるかどうかはわかりませんけれども、何時間か必要なときにベビーシッターを活用することによって、ご自分の仕事ができたり、また、気分転換ができたりということになるのではないかと思います。仕事を中心としてベビーシッターをお雇いになるのだと思っております。

【記者】NHKの小嶋です。今回、2回目の予算編成ということで、今年度は都議会でも全会一致で可決という形になりましたけれども、一般会計については。先ほど、鉄道の整備基金の創設とか、あと、子ども食堂の支援とか、各会派の要望をある程度踏まえたような内容になっているような印象はあるのですけれども、今回の予算審議に当たって、どのように臨まれるのかということと、審議の過程では厳しい質問とかも出る可能性もありますけれども、そういう質問に対してどのように臨まれるのかというのがまず1点と、あと、鉄道の基金については、これは、もうこの6路線については、かなり意欲的に進めたいという意志の表れと理解していいのかという2点についてお願いします。

【知事】まず、1点目でございますけれども、今回の都の予算編成に当たっては、各区市町村の代表の皆さんからご要望を伺いました。そしてまた、各会派からもご要望を伺いました。さらには、都民の皆さんから、職員の皆さんから、「こういった政策はどうだ」というご提案をいただきました。まさしく都に、都民を代表する方々、それから都民お一人ひとりから、意志のある方から直接ご要望をいただいたものを、できるだけ叶うように、「ああ、こういう良いアイデアがあるんだ」ということなどを参考にしながら、そういう予算付けをさせていただいたということでございます。これから第一回の定例議会において、しっかりと都民の代表である議員の方々との審議、やりとりを通じまして、より予算の意義が都民の皆さんに伝わるようになればと思っております。
それから、6路線については、これまでもずっと取り上げられてきた路線であります。それぞれいろいろな特色があります。予算が非常に高いとか、それから用地買収が難しいとか、それから今後の人口動態がどうなるか。逆に言えば、先ほどの多摩などは、人口動態で言ってもこれから、ニュータウンについても今後、またプランを作っていくのですけれども、年齢が高くなっていくと、自動車が運転できないなど出てくる可能性がございます。そういったことを考えると、むしろそうやって公共交通を充実させるというのは、その地域の発展につながるということなども踏まえて、この6路線、ずっと検討が続いてきたのを、しっかりと実現に向けて、それぞれがそれぞれの路線、全部が一遍にというわけにはもちろんいきませんけれども、それぞれの地域もご努力いただいて、そしてまた関係する主体はいろいろだと思います。鉄道会社であったりするかと思います。そういったことを踏まえて、できるだけそれが早く、検討から実施の方向に行くように、そのきっかけづくりが今回の予算案と基金づくりということに表させていただいたということでございます。

【記者】朝日新聞の伊藤です。2点ありまして、冒頭の方でも知事が仰っていた事業の見直しということで、今年度予算、今年度の編成から客観的指標の新しい手法も入れたと思うんですけれども、知事が検証、いろいろな事業、既存の事業を検証してみて、特に力を入れて見直したところというポイントがあれば教えてください。

【知事】ピンポイントではございませんけれども、やはり長年続いてきて、産業そのものが変わった、社会そのものが変わってきた、ニーズが減ってきたという、そういったことを、ずっとそれぞれ局で検討して、結果が先ほど申し上げた件数に上るわけであります。こういった作業はこれからも続けていくというのが、私の東京大改革の一環でございます。

【記者】ありがとうございます。
2点目なんですけれども、先日、要望された団体に説明をされていたかと思うんですけれども、議会の方では、自民党がその説明したことに対して、議会に説明する前にということで、「しがらみではないか」というような批判をしているんですけれども、それに対する知事のお考えを教えてください。

【知事】ご要望いただいたところには、それに対してのお答えをさせていただきました。しかし、全体像については、昨日、都民の代表である都議会の代表にご説明をさせていただいたのが初めてでございます。

【記者】MXテレビの白井です。「都民による事業提案」について伺います。この「都民による事業提案」、非常に良いアイデアだと僕も思っておりまして、実際に採用された子育て支援で言うと、森と自然を活用した保育の推進とか、非常に楽しみなところもあるんですけれども、実際の投票が行われて、その投票件数が4,200件ほどだったと。都民の人口に比べると、非常に多いような印象は受けないわけですけれども、この事業全体を通して、知事の、今年初めてやった取組の手応えなどをお願いします。
あと、「スマート シティ」というところでは関連あると思いますけども、ちょっと予算から離れますけども、今、寒波が襲来していて、水道管の凍結ですとか、非常に都内で相次いでいて、問い合わせも非常に増えているということですけども、都の対応をお願いします。

【知事】まず、最初の提案型でありますけれども、私、今回、初めての試みで、皆さん一人ひとりに、「思ったことを挙げてくれればいいのですよ」、「何か都の予算に反映する」などと言うと、皆さん構えてしまって、そして結果として数、それでも随分集まったと思います。二百五十何件という数字でございました。
それから、それに対しての投票というのも、中には組織的な動きがあるのかなと思ったりもしたのですけれども、そうではなくて、一人ひとりがそれぞれ、興味のあるところ、「ああ、こうだったらいいのにな」ということで投票してくださった。
でも、1回目でいろいろと参考になることもありました。まず、何よりも都民による提案が、この予算が付いたことによって、こうなりましたという結果を、お知らせすることが最大の広報につながるのではないかなと思います。
それから、水道管については、今回、48年ぶりの寒波襲来ということでございまして、東京でも水道管が凍結して水が出ない、それから、水道管の外に、外付けのところが割れてしまったとか、いろいろお困りのところがあるかと思います。生活への影響が既に及んだというぐらいの寒さだったと思います。
それで、水道管の凍結に関しては、これまで報道機関の皆さんもいろいろ、「こうすれば良い」というアイデア、出していただいておりますけれど、ホームページやツイッターなどを通じまして、屋外の配管に対しての対応策、今週末もまた寒波が居座ると聞いてますので、今日でもどうぞやってみてください。外付けの水道管に保温剤を巻いた上で、ビニールテープでくるくるっと巻いていくとか、それから、ホームセンターなど行きますと、こう、クッション付きの巻くビニールのものなども売っています。私、東急ハンズとかホームセンターが大好きなので、よく売ってるのを見かけるのですけれども、是非メーター買いされたら良いのではないかなと思います。
万一、ご自宅の水道管が凍結した場合には、まず、自然に溶けるのを待つ。それから、凍った部分にタオルをかぶせて、ぬるま湯をゆっくりとかけて溶かす。急に熱いお湯をかけると、逆に破裂するということですので、ゆっくり、じんわり愛情込めて温めていただきたいと思います。
それから、「こんな場合、どうしたら良いの」ということで、お問い合わせをたくさんいただいておりますので、オペレーターも増やすようにしております。そして、土日も電話対応しておりますので、お気軽にお問い合わせいただきたいと思っております。今週末も寒い日が続くということでございますので、まだ雪も溶け切ってないところがあるかと思いますので、足元にも十分ご注意いただきたいと思います。

【記者】毎日新聞の芳賀です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けた取組についてお聞きします。東京都の負担額につきまして、これまで明らかになっております大会経費の6,000億に加えて、大会に関連する経費といたしまして約8,100億円、総額いたしまして1兆4,100億円という見込みが今回示されました。
この金額についての、規模感についての知事のご所見と、その財源につきましては、基金等を積極的に活用するとされておりますが、基金では賄い切れない部分もあるかと思われます。財源に対する知事のお考えをお聞かせください。

【知事】今回、都の負担額が、約8,100億円ということで公表をさせていただきました。改めてオリ・パラに関連する、都としての事業費を整理したものでございます。
その中身は何かと言うと、バリアフリー化などの受入環境の充実であるとか、各ボランティアさんの育成や活用といった大会に直接、もしくは間接的にかかわる事業。それから、観光振興や東京の魅力発信といった大会の成功を支える関連事業といった区分をいたしまして、平成29年度から32年度にかけての全体規模として、約8,100億円とはじいたものでございます。
これに大会経費を加えますと6,000億でございますけれども、平成32年度までの都負担の総額が約1兆4,000億になるということであります。引き続き、東京2020大会の成功に向けて、国、関係自治体、組織委員会と連携しながら着実に進めてまいりますけれども、一言で言うと、大会経費6,000億ということを対外的に、それはもう、まさしく「アクアティクスセンターを作ります」などありますけど、64年の第1回東京大会のレガシーで何が残っているか、首都高、新幹線という、これらを加えたら、関連しているもの。今申し上げた8,100億円というのは、これまでも、例えば、観光などは、これは常に東京都として、より多くの観光客を呼び込むなどの措置が、というか、施策を講じるところでありますが、しかしながら、オリンピック・パラリンピックということを契機に、それをさらに強化していくという必要性がございますので、そういう通常の部分およびプラスアルファ2020ということを加えますと8,100億円とはじいたものでございます。
よって、全体で集めると6,000億には止まらないということですけれども、関連すれば、約1兆4,000億という、そういう規模感になって、今後、これからの予算を、また、毎年精査していくわけでありますけれども、そういう中においての規模感をお示しさせていただいたというものでございます。
都が負担することになりますので、当然ですけれども、都民の皆さんに知っておいていただきたいということでお示しをさせていただきました。

【記者】新宿新聞の喜田です。先ほどのオリンピック予算の問題なんですが、コーツさんが、「1,000億削減できるんだぞ」ということを申してたと思うんですが、小池都知事の方では、何か400億ぐらいまでは削減できたけれども、あとはどうなるかということがはっきりしてませんですけれども、何かそういう削減の予定は、これからもあるんでしょうか。

【知事】どこかで削減というよりは、今、いろいろと準備をしている中において、各種のところで削減の努力を重ねるということではないかと思います。これは東京都だけではなく、全体として行うべきであって、調達も、それぞれがばらばらに行うのではなくて、まとめて調達をすることによって無駄を省くという努力をしているところでありまして、そういったことから、1,000億円というのは、「頑張れよ」の意味があったと思いますけれども、コーツ委員長は、そういったことで努力を重ねるということと理解をしております。
いずれにしましても、ワイズスペンディングであるのは都の予算もしかり、それから、オリンピック・パラリンピック予算もしかりだと考えております。
ありがとうございました。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)

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