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平成28年(2016年)9月30日更新

小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成28年9月30日)

知事記者会見
2016年9月30日(金曜)
14時03分~15時05分

知事冒頭発言

1 フラッグツアー全国展開と行政視察について

【知事】それでは、本日の定例記者会見を始めますが、今日は、またテレビカメラの台数が多くて、すごいですね。
さて、今日は、まず4点お伝えすることがございます。
まず、フラッグツアーを行う件でありますけれども、オリンピック・パラリンピック、2本の旗がそろいました。それを、都内各地、私がまさしく旗振り役として、皆様にお披露目をし、そして、それぞれの地域でのオリンピック・パラリンピックへ向けた気運を高めていこうという、そういう趣旨でございます。
10月8日(土曜日)に小笠原村、そして翌9日(日曜日)には奥多摩町へと赴きます。そして、フラッグの方でありますけれども、八王子のシルク生地で製作されたものとなっております。八王子の繊維産品ということでお願いをしたものでございます。
そして、視察先でございますけれども、小笠原村では小笠原ビジターセンターなど、それから、奥多摩町では小河内ダム・水道水源林などを予定しておりまして、そのほか、檜原村も訪問をする予定でございます。私にとりましては、フラッグとともに、それぞれの東京都内を視察するといういいチャンスにもなろうかと考えております。詳細は、オリンピック・パラリンピック準備局及び総務局に聞いていただければと思います。
(詳細は、こちらをご覧ください。)

2 スポーツ大賞・東京都栄誉賞の贈呈について

【知事】次に、こちらもオリンピック・パラリンピック絡みでございますが、今回のリオの大会のメダリストの表彰式を10月12日(水曜日)に開催をいたします。今回、大変活躍をしてくれましたオリンピック・パラリンピックの選手の皆さん、多くの都民に大きな感動と活力を与えてくれた皆様に対して、都民を代表して敬意を表するという、そういう趣旨でございます。
今大会、メダルを獲得いたしました東京にゆかりのあるアスリートは、合わせまして51名であります。その功績を讃えて、「都民スポーツ大賞」を贈呈いたしまして、お祝いを申し上げる。そして、その中でも、9名のアスリートが金メダルを獲得いたしておりまして、こちらは加えて、「東京都栄誉賞」をお贈りするということになっております。次の東京大会では、更に多くの「東京アスリート」が活躍することを期待しているところでございます。
詳細については、オリンピック・パラリンピック準備局の方にお尋ねいただければと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

3 豊洲市場の「地下空間」に関する自己検証報告について

【知事】それから、3番目であります。いわゆる豊洲市場の「地下空間」についてでありますけれども、自己検証をするようにということで、9月いっぱいを期限といたしまして、まとめるように指示をしておりましたところ、事務方からその報告が届きましたので、お知らせをさせていただきます。
まず、基本的な考え方として、都の職員が自ら問題に向き合う。そして、問題の原因を解明するということが必要と考えまして、まさしく都政改革本部にあります第1の自律改革ということで、都職員自らが今回、何が問題であったのかということ、この調査に当たらせた、検証に当たらせたところでございます。
そして、この会見の後に、事務方から調査結果についての詳細なご報告については説明をさせますけれども、私の方から重要な2点についてお伝えをしておきます。
まず1点目でありますけれども、「いつ、どの時点で誰が決定して、盛土をしないことになったのか」という点であります。
2点目は、「なぜ、都議会、都民等への説明責任を果たしてこなかったのか」ということであります。都民等への説明責任ということでありますけれども、例えば、ホームページ上、ずっと建物の下も盛土があるというような説明、図を、そのまま掲載し続けたという点でございます。都議会における答弁などでも、明確な事実、ファクトを伝えていなかったという点などがございます。
まず、その1点目でございますけれども、「いつ、どの時点で、誰が決定して、盛土をしないことになったのか」という点でございますけれども、当時、そして現在の幹部職員へのヒアリング、そして、過去の資料などを精査いたしまして、その結果として、「盛土をしないこと」を決定するに至ったプロセスとすれば、大きく分けて五つの段階があっただろうということであります。
まず、第1段階として、平成20年から21年頃、その時期は技術会議が開催されて、土壌汚染対策工事の内容と一緒にモニタリングや、万が一の際に作業するための空間の必要性が議論されていたという時期であります。そして、これに並行しまして、市場当局の技術担当部門では、空間を地下に設ける場合の技術面での可能性と課題について検討を開始したということでございます。時系列でチェックをすると、そういう流れが、まず第1段階でございます。
第2段階でございますが、基本設計の時期となっておりまして、平成22年11月に基本設計の起工が決定され、この際の特記仕様書には、「地下」とは書かれておりませんけれども、「地下」という2文字はありませんけれども、「モニタリングの空間設計等は本設計に含む」という文言で明記がされているということであります。
その後の設計事務所とのやりとりの中で、都側から地下空間のイメージ図が提示されるということなどで、「地下」を想定していた検討がなされてきているということでございます。
それから、3段階目になりますと、平成23年8月18日、中央卸売市場・新市場整備部におけます部課長級の会議でございますが、この会議においては、地下にモニタリング空間を設置する方針を部のレベルで確認したと考えられております。
それから、4段階目でありますが、平成23年9月に実施設計の起工決定が行われた時期となっております。仕様書として、地下空間が建物の下全体にわたって示されている断面図が添付された資料がございました。この実施設計起工の決裁が局として、地下に空間を設ける組織決定となったということでございます。ですから、第4段階のところで実施設計が具体的に明記されているということであります。
第5段階でありますけれども、実施設計完了の時点となりまして、高さ寸法が明記された地下空間が建物下全体にわたって示されておりまして、この時点をもって、建物の下に盛土がないことを最終的に確定したと判断されるわけでございます。
つまり、基本設計から実施設計に向けた、この一連の流れの中で、地下空間を設けるということ、そして盛土をしないということが段階的に固まっていったということが考えられまして、ここが問題なのですが、「いつ、誰が」という点についてはピンポイントということで指し示すのはなかなか難しい。逆に言えば、それぞれの段階で、何か流れの中で、空気の中で進んでいったということで、それぞれの段階において責務が生じるものと考えております。
次に、2点目の、「なぜ、都議会、都民等への説明責任を果たしてこなかったのか」という点でございますけれども、都議会への答弁で、「全体に盛土」と表明してきたことの原因については、組織運営上の問題に行き着くと言わざるを得ません。具体的には、土壌汚染対策を担当する土木のセクションと、それから建物建設を担当する建築セクションとの縦割りによる連携不足があるということと、市場長など管理部門のチェックもなされていなかったということで、そして、そういう縦割りの中で、答弁は、前に使った答弁をそのまま活用してしまったという話でございまして、非常に遺憾、残念な流れがここで見られるということであります。
いずれにしても、事実と異なる答弁を行っていたことは明白でございまして、結果として都議会、そして都民、更には市場関係者の皆様に対しての説明責任を果たしたとは、残念ながら到底言えないということになります。
それで、ホームページに掲載し続けてきたわけでございますけれども、その誤った図について、専門家会議当時からの土壌汚染対策を説明する、いわば「概念図」をずうっとそのまま使用してきたという話でございます。誰も気付かなかったというか、「情報公開していたよね」ということで、その後のチェックさえなされていなかったという恥ずかしい状況でございました。それによって、都民、市場関係者に誤解を生じさせる恐れがあるということは、当然、本来ならば予見できたはずでございますけれども、これについても都民に対する説明責任を全く果たしていないと言わざるを得ないわけでございます。
以上、主な2点について申し上げたわけでございますけれども、やはり業務を把握すべき立場の歴代の市場長がおります。そして、それと都民・業界の方々などに説明していた、この盛土をしないということを知らずに決裁を行ってきたという話、それから安全対策に関わってきた方々に対して、これは平田先生をはじめとして、環境に関する専門家会議がございます。それを一度もう閉じていたからということもあるのでしょうけれども、その歴代の部署の引き継ぎなどもいい加減であったということだと思います。ですから、そういう過去の流れというのをチェックもせずに、そのまま進めてきてしまったということでございまして、企業で言うならば、まさしくそういった情報の共有、そしてコンプライアンスが欠けていたと言わざるを得ないというのが正直なところでございます。
また、事実と異なる答弁をしていながらも、組織の誰からも、「あれ、おかしいな」という、いわゆるヒヤリハットとか、「あれ、おかしい」と誰もがそれに対して異論を唱えなかったということでございます。
一言で言えば、今回の事態を招いた最も大きな要因というのは、ガバナンス、責任感の欠如ということになります。加えまして、先ほど申し上げました、前の答弁をそのままコピーするといったような点、それからチェックが不足している点、さらには意思決定プロセスが不備であると、それから上司と部下の間、土木と建築の担当、そして、あるいは技術職と事務職といった職種間での連携の不足、そういった点が挙げられると思います。
ひとり個人の問題もありますでしょうが、一言で言えば組織運営上のシステムの問題ということもございますが、だからこそ、むしろ問題なのだと私は思っています。だからこそ、都政大改革なのだと思っております。「都庁は伏魔殿でしてね」と評論家のように言っているわけにはいきません。ですから、ここはしっかりと改革を進めていって、このような事態が起こらないように何をするかという意味で、今日のここでご報告させていただきましたこの検証については、まずは自ら、何がどうなっていたのだということを検証した、その報告書ということでございます。
そして、今回の調査、職員自らの手で行ったこと自体については、私は一定の評価をいたしますけれども、しかしながら、これが十分かというと十分ではありません。そして、また、市場の担当の部門だけで完結しているようなところがございますけれども、しかし、いろいろなこれまで関係しておられた方々等々、もっとヒアリングも重ねていかなければならないと思いますが、そういう個人の問題と、それから組織としての問題と、さらに深掘りをすることによって、東京大改革という私が掲げている大きなテーマというのが一歩でも前に進むのではないかと、このように思っております。
よって、今回、この報告書をもって終わりとするというのではなく、さらに、特にシステム的な問題を精査していくということからも、昨日、都政改革本部の方で情報公開調査チームの検討状況のところでお知らせをいたしたのですけれども、情報公開調査チームがこれから公益通報制度を設けるということを、今、準備をしている、その旨、ご報告をさせていただきました。
公益通報というのは、職務遂行上の法令違反行為を通報する制度、ホイッスルブロワーという言葉があります。笛を吹くということでありまして、一種の内部告発であります。一種のというか、そのものでありますけれども。これのシステムを現在、整えているところでございます。匿名、実名、どちらもオーケーという形で、そしてまた、その通報の仕方については、今、形というか、受け皿を整えているところでございまして、弁護士事務所になる予定でございます。また整い次第、ご報告することになるかと思います。
これまでの通報制度というものは、既に公益通報者保護法に基づいて実施もされています。つまり、内部告発者がそれによって不利益を受けないと。「あいつが言いつけたのだ」みたいな形で、結局、組織から阻害されるということのないようにするための法律でございますけれども、これは既に実施はされているところでございますけれども、より情報を出しやすくするために工夫をしている最中であるということでございます。
いずれにいたしましても、まずはこの報告書をベースにいたしまして、今回のこのような問題が再び起こらないように、そしてまた豊洲の市場の問題、これは非常に複雑化している中において、特に安心、安全で、地下水のモニタリングが十分でないということで、9回目の採水の結果を待ってということで、私、延期しているのです。この空間が地下にあった、盛土がされていなかったということではなくて、安心、安全の観点から、2年間のモニタリングをしっかりと終えて、そして1月半ばに出てくるその結果をまず見ないと、本当の意味で安心、安全ではない、宣言が、私として、都知事としてできないということを申し上げてきたわけであります。この、今日出てきた報告書というのは、組織の中で情報共有ができていなかった、情報公開が間違った公開をしてきて、それから、この巨大組織の中で建築、土木、そして環境、それぞれが縦割りであって、それぞれの責任の所在が不明確であったという別の問題が途中から生じてきたことでございまして、そういった意味で、今回の報告、これはむしろ、更に都庁の構造問題につながってくると思いますので、今のような方法で、更にこの組織、都庁のガバナンスがしっかりと働くように、そしてまた、都庁の職員が、高い志と、そしてまた士気を持って、都民の皆様のために、これからもしっかりと、元気に働けるような、そんな環境をもう一度取り戻していくためにも、そういった形で進めていきたいと、このように思っております。
ヒアリングについては、これからもいろいろな関係者の方々に情報を提供してもらおうと考えておりますが、多分ご関心のある、これまでの知事の方のヒアリングというのは、まだ時間的な調整はできておりません。
(詳細は、こちらをご覧ください。)

4 都庁マネジメント本部の設置について

【知事】それから、これに関連するのですが、4番目のご報告であります。
今の問題につながるのですけれども、都庁のマネジメント、ガバナンス、この機能強化をしなければならないという考えをベースにいたしまして、この度「都庁マネジメント本部」なる組織を設置いたしました。これは、今回の市場問題で情報が共有されていなかったこと、それから責任の所在が曖昧であったこと、そして、様々な都政運営上の数々の課題が浮かび上がったわけでございますので、それではどうするかということで、この都政の信頼を取り戻すというためには、マネジメントをもっと強化していく、そして重要な情報を、きちんとそれぞれが縦割りを超えて共有していこうという、それを行うための会議でございます。
そして、今日、午前中に既に1回目の会議を開催いたしました。ここは、4人の副知事、そして各局長等々が参加をいたしまして、むしろ、いい情報を分かち合うのも楽しいのですけれども、むしろ、今、何が大変か、今は大変なことばかりですが、今後起こってしまって、そして大変な事態が起こるかもしれないといったような、将来的な問題点等々、いい話よりも、ちょっと悪い話から、みんな共有していこうと。悪い話を共有というか、いずれにせよ情報を共有していきましょうというものであります。
最初、国でいうところの閣議というのもあるのですが、閣議も、これまではどちらかというとサイン大会みたいな話になったりいたします。もう既にでき上がったものに、大臣はサインをするだけといって、サインマシンなどとも言われていたわけでございますけれども、そういう形式的なものではなくて、中身のあるものにしていきたいと思っております。
これまでも様々な知事のもとで、いろいろな会議体があったりなかったり、途中でやめてしまったりとか、いろいろあったそうなのですが、私は是非、今回の問題を解消していく、解決していくための方法として、まずは、この都庁マネジメント本部を設けたということでございます。
そして、この会議で、都民目線で都庁全体に横串を刺していく、そして一丸となって、信頼回復に向けて邁進をするということを貫いていきたいと思っております。
担当は政策企画局でございますので、詳しくは、そちらの方でお聞きいただければと存じます。
私の方からお伝えする4項目は以上でございます。

質疑応答

【記者】幹事社、読売新聞の木下から何点か質問します。盛土の前に、端的に2問伺いたいのですけれども、まず、昨日、都政改革本部の第2回会議の中で、オリンピック・パラリンピック調査チームの報告書が出まして、様々な、抜本的な見直し案が盛り込まれていたのですけれども、それを受けて、競技団体ですとか競技者の間で、不安の声ですとか、ちょっと反発するような声も上がっているのですが、それについて、端的にどのように受け止められていますでしょうか。

【知事】オリンピック・パラリンピック調査チームは、極めて大胆に、そしてまた経営的な手法で幾つかの提言をしてくださいました。特に、大会が終わってからの利用頻度であるとか、それから、それによるロスが出るのか出ないのか。出るとしたら、どれぐらいのものになりそうなのか、オリンピックを開いて、そして廃墟となった建物なりが残っている、そういった各国の例なども参考にしながら割り出した、客観的な報告書であります。
大変提言については重く受け止めております。なぜかというと、それは結局、都民の皆様方に負担をお願いしなければならない、その1点だからであります。
もちろん、アスリートの団体であります、それぞれの競技団体、これは国内、それから国際、そして、更に全体的に申し上げればIOC、これが理事会等々を開いて、そして場所を決定する。その過程については、私自身、競技の協会に携わって、様々な流れについては存じ上げているつもりであります。ですから、皆さん、びっくりなさったことかと思います、各団体については。しかし一方で、そのベニュー、会場を作ることについては、今回、分析させていただいたのは、都が関係している、都がまさしく主体となっている会場のことでございまして、特に金額が上の方にある上位三つの会場をチェックしたわけでございます。これは報告書として、報告として、しっかりと受けて、検討していきたいと思っております。総合的に判断を下していきたいと思っております。
いずれにしましても、これからの、東京の次、2024年で各国・各都市が、例えば、手を挙げていたハンブルクとか、ボストンとか、それからローマですけれども、元気に手を挙げてきたのが、だんだんだんだん、今、手が下がりつつあって、もうwithdraw(手を引く)してしまっていると。その理由というのは財政です。それから環境に対して、いろいろと、会場を作ったりすることに対しての問題点ということで、大体、市民、国民からの反発ということで手を下ろしたということでございます。ですから、やはり、このお金の問題というのは、作る部分と、それから、その後の後利用の話等がございますので、だからこそ総合的に考えて判断していきたいということでございます。
それから、昨日申し上げた中で、申し上げたというか、報告書の中で上山教授らが一番訴えていきたかったところはガバナンスの問題だとおっしゃっておられました。「社長も財務部長もいない」などと厳しい言葉をおっしゃってましけれども、是非、そのガバナンスという観点で、しっかりとした方向性というものが、より見えていけばよろしいのではないかと思っております。

【記者】2点目なのですけれども、昨日、青果棟の近くの3か所でベンゼンとヒ素が初めて環境基準を超えたと。知事も延期の判断をするときに最重視したモニタリングで初めて出たということなのですけれども、モニタリングを今後も継続していくという話をされていると思うのですが、9回目、最終回が1月に出るのですが、その後も続けていくということになるのでしょうか。

【知事】その件につきましては、私も昨日報告を受けまして、大変驚いたところでございます。今、水の点でいうと、例の地下空間からのたまり水と、今度また別の水の話ですから、ここはまず間違えないようにしていただきたいのですが、これは決められた観測井戸から出た、採水した地下水で、定期的に行ってきた地下水のモニタリングの一環でございます。環境基準を超えたということは初めてでありまして、ベンゼン、ヒ素が検出されてきたわけでございます。
豊洲市場の用地には201か所設置している観測井戸があるわけですが、今回は5街区の2か所からベンゼン、それから1か所からヒ素が検出をされております。5街区というのは青果棟になります。今回、一部の井戸から、少量ではありますが、環境基準を超える物質が検出されたわけでございます。これまで8回モニタリングしておりますが、検出の値というのは、単純な時間を経れば、経時変化ではないということを、私が前に申し上げたところなのです。これを見ていただいても、だんだん収まったかなと思ったら、今回、まさしくこのように高い数値といいましょうか、基準値を超えてしまっているということでございます。
結論から申し上げますと、モニタリングは続けます。2年間ということですから、まず2年間をきっちりやります。それは11月に採水をして、1月にその結果が出て、そして、2年間きっちりやる。今回、私がこだわっていたのは、まずきっちり2年間やりましょうと。決められていることでしょうと。それをオリンピック・パラリンピックの道路を作るためには逆算して早くしましょう、もう切り上げ、みたいな話になったので、それは違うということを申し上げてきたわけです。今回、このように出てしまったことに驚くわけではありますけれども。そして今後も着実に2年間のモニタリングは引き続き続行していくということで、9回目の、11月に採水して、1月にその結果が出るということのモニタリングを引き続き計測をしていくということと、それから、その後、では、どうしますかということについては、まず専門家の会議が、平田先生座長です。それから、市場問題プロジェクトチームによる検証も行ってまいります。それから、細見先生もおられますので、こちらは土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会、こちらの細見座長などに、専門家としての見地からご判断を、まずはそこでいただくということになろうかと思います。

【記者】2年間9回を全体で判断するという理解。

【知事】そうです。そこは専門的に科学的に判断をしていきたいと思っております。

【記者】すみません、盛土の話に行くのですけれども、私からは1点だけなのですが、結局、段階的に決まっていったと。ピンポイントで特定するのは難しくて、流れの中で、空気の中でということなのですが。でも、一番関心があったのは、「誰が」「いつ」ということだったのですけれども、これ以上、そこは詰め切れないというようなご認識なのか。あと、結局、「誰が」というのは決まらないので難しいかもしれませんが、今後、職員の処分とかも考えていらっしゃるのか、この2点を伺いたいです。

【知事】「誰が」のところについては、明確な答えというか、それはまとまっていないとは思います。だからこそ、これからも公益通報制度等も活用して、そして情報の収集を更に進めていくということであります。
それから、処分については、それらのことを、もう少し情報を確認しなければ、それはできないものだと思っております。

【記者】ジャーナリストの池上と申します。お疲れさまです。豊洲で基準値を超える汚染が出たことについてなのですけれども、今後、この土壌汚染対策法上の汚染区域の指定解除を行うのであれば、汚染が残っているかどうかの周辺調査をした上で対策が必要になると思うのですけれども、そういう、今後も指定解除を行うことを目指すのかどうかということ、これは都の方針として、知事としてはどうお考えなのかというのをちょっとお聞きしたいのですけれど。

【知事】土壌汚染対策法の観点からいたしますと、2年間のモニタリングをしてきたわけです。それで、形状変更時の届出区域の指定解除、そのために2年間続けるというものでございました。豊洲の市場用地というのは、これは土壌汚染対策法上でありますけれども、土壌汚染の摂取経路というのがそもそも土壌とか地下水の飲用利用というものはそもそもない。そして、健康被害が生じるおそれがない区域というものでございます。
ただ、自然由来ということがございますので、これらについては自然由来のものが含まれるということですから、そもそも解除ということにはならないのではないでしょうか、対象として。その土地そのものが。ということで、台帳からは消えないということになろうかと思います、その点については。

【記者】汚染区域の指定解除というのは、これは市場の人たちが求めている安全宣言の前提になるものではないかなと思うのですけれども、その辺についてはどう思いますか。

【知事】それについては、土壌汚染の対策法上とすれば、この土地がそうであるということ、今申し述べたとおりなのですけれども、それについては土対法という観点と、それから全体的な観点と、いつも私は総合的と言うのですけれども、農林水産大臣の方に、この土地は市場に適していますから、そして、指定をお願いをいたしますということをお願いする、そういうポイントがあるわけですから、そこのときは、総合的な判断ということになろうかと思います。そのことが、市場が求めておられることではないかと、このように考えております。

【記者】ニコニコ動画の七尾と申します。よろしくお願いします。東京五輪についてでございます。昨日、上山教授が、これまで国、都、組織委員会、いずれも東京大会の総費用を積算していないことを指摘されたと思います。それぞれがそれぞれの立場で2兆円超えそうだ、あるいは3兆円になる可能性と言われても、都民としては何かごまかされていると印象を持ちますし、そもそも東京五輪に幾らかかるか、その情報、情報共有がない。ここが大きな問題だという指摘がございます。
方法としては、例えば、国、都、組織委員会が共同で総費用を積算して、都民、国民に示すことはできないのか、3者が共同で総費用の積算作業をする中で、相互理解も進みますし、今後のコンパクト五輪を前に進めていく上での共通のマイルストーンになるのではないかという指摘がありますが、この点いかがお考えでしょうか。

【知事】リオのオリンピック・パラリンピック両方が無事終了し、それぞれ視察等をし、そしてその上での調整会議が昨日開かれたわけでございます。そして、その後に改革本部の方から総予算は場合によっては3兆円という話が出て、そしてまた、問題点として、ガバナンスについて、さらに社長や財務部長がいないという大変手厳しい分析をされておられた。一つの企業が事業をする際にも、やはり予算というものを組み立てて、そのためには何にどれぐらい使われるか。国や都についても事業を行う際は同じように予算を組み立てて、承認いただいてということであります。
一言で言えば、やはり調整会議の調整という言葉が示すように、幾つのも関係、ステークホルダーが組織委員会であったり、東京都であったり、それからJOC、JPC、そして国、文部科学大臣がいて、五輪担当大臣がいてということで、船頭はたくさんいるわけです。それぞれがそれぞれの感覚で、お財布で、もしくはお財布がないからいろいろ知恵を出してということで、寄せ集めという言葉は使いたくないですけれども、そういう状況になってしまっている。だからこそ、ガバナンスという言葉が使われている。
私は、リオのオリンピック・パラリンピックも終了いたしましたので、まさしくこれから本腰を入れるところ。改革本部によります大胆な報告というのは、もう一度改めてワイズスペンディング、本当に何が必要で、何が国民にとってプラスで、都民にとってプラスで、そして楽しみにつながっていくかというポジティブな部分を出していく。これからそのチャンスにするためにも、そういった本当に必要なことについては話し合おうという、そういうことだと、このように思っております。
もっとも調整会議も時間も短く、また、何て言うのでしょう、みんな遠慮し合うというようなところもあって、なかなか本音で話すような状況にはならないのが実情かなと思っております。
一つ、昨日は改革本部から爆弾を頂戴いたしましたので、むしろこれを起爆剤にして、もう一度原点に立ち戻る。もちろん現実がございますので、相手があることでございますので、それらを総合的に判断して、都としてどうするかというのは、これから更に詰めるところは詰めて、そして進めていきたいと思っております。

【記者】テレビ東京の森本と申します。築地市場についてお伺いしたいのですが、豊洲市場が東京の台所として安全性が確保できないとなった場合、移転自体を白紙撤回するという可能性はあるのでしょうか。さらには、築地市場を再び改修して使うというようなことも選択肢としてあるのでしょうか。

【知事】それについては、先ほど申し上げましたように、安心・安全、これを確保する、それなしに市場というのは、そもそもあり得ないと思っております。よって、これからモニタリングも続けますし、市場問題プロジェクトチームもスタートいたしましたし、それから、これまでの平田座長による専門家会議、そしてまた、土壌対策等の細見座長の会議、いろいろともう1回動かしております。そういった総合的な判断を待っていきたいと思っております。仮定の話かとは思いますけれども、今はこれらの科学的なデータをもとにした判断ができる、そのタイミングを計っているところであります。

【記者】時事通信の斉藤です。豊洲市場の盛土の問題についてお聞きします。都の今回の調査結果というものをこれからも深掘りしたいと知事はおっしゃっていますけれども、職員の手による調査で、これ以上の結果が望めるのかということを一つお聞きしたいです。例えば、先日の都議会の経済・港湾委員会でも、延期や今回の問題について、A4、1枚で資料、報告を済ませようとしているようなこともありました。なので、市場問題PTだとか、あと、それから外部の人による調査ということは考えていらっしゃらないのでしょうか。

【知事】今のご質問は、先ほど私が、ホイッスルブロワーの話をさせていただいわけでございまして、匿名、実名を問わず、今回のこの報告、検証の対象にはなっていなかった、今回の対象にはならずとも、それに何らかの関わりを持った方々などから、一報をいただくという、そのよう装置を作らせていただいたということで、まもなくそれが稼働するということを申し上げたわけでございます。
仲間でございますので、職員同士の中で、やれ、あいつがこうしたとか、なかなか言いにくいのは私もよく分かります。というか、なかなか難しいものだと思いますけれども、しかし、そういうコミュニティとしての都庁と、それから機能体としての都庁は違いますので、その機能体を確保するためには、そうやっていろいろな情報をこれからもいただきたいと、こう思い、そのチャネルを作ったということでございます。

【記者】東京新聞の榊原です。今の質問に関連しまして、豊洲の盛土問題の最終的な報告、所信表明では、責任の所在を明らかにするとおっしゃっています。これはいつ頃までに終えたい、責任の所在を明らかにしたいと考えていらっしゃいますか。

【知事】今回の自己検証報告書というのが、今日、皆様方にお伝えをしている部分でありますけれども、今申し上げましたように、これだけでは、「誰が」といったところ、責任の所在は一体何か。山本七平さん的に言えば、日本の空気の研究という、それでは大学の論文で終わってしまいますので、それではなくて、やはりもう一つ、もう1歩、もう2歩前に進めさせるために、更に情報収集を進めていくということで、そのときには内部の情報、内部の通報制度ということを確立していくということでございます。
また、今、何よりもメディアの皆様方がすさまじいスピードでいろいろな調査をなさっているようでございますけれども、それの正確かどうかはまた別にしましても、いろいろな調査が進むのだろうと。それを総合的に判断してまいりたいと思っております。

【記者】読売新聞の波多江と申します。築地の関係なのですけれども、延期の表明から間もなくちょうど1か月たつかと思うのですけれども、今新たな問題が次々と発覚していて、移転時期の決断の時期ですとか、あと、新たに市場関係者への補償、今どのようなことを考えているのか、そのあたりを教えてください。

【知事】時期につきましては、先ほども申し上げましたように、地下水のモニタリングについては、引き続き行うということでございまして、その結果は年明けになります。それから、今プロジェクトチームで、その他の安全性、例えば建物です。それから、空間があったわけでございますが、それによって耐震性などはどうかという新たな調査といいましょうか、新たな検証も必要でございます。そういったことを含めて、安心・安全、これらが科学的に、そしてまたちゃんと皆様方が感覚的にも分かっていただけるような、そういった、これは努力をしなければ、説明の努力、ヒ素とか聞くと、それだけでも、え?とびっくりされるわけですけれども、水の中には、環境基準以下で入っているケースというのは非常に、要はゼロリスク、ゼロはないということなのですが、そこら辺がなかなか見て国民の皆様方からすれば非常に敏感に感じ取られる部分がございます。そこはきっちりと説明していかなければなりません。それらのことを踏まえてどのような判断であれ、ファイナルな結論というのはそれらをベースにして進めていきたいと思っております。

【記者】市場関係者。

【知事】重要な点でございますけれども、市場関係者の方々には本当にこのようなことにおいて、もう、たぶん怒りを超えて、非常にがっかりされているのだろうとお察しします。本当に、都の、今、私はこうやっていろいろと職員のことを言ったりしますけれども、私自身、今都知事でございますので、今、おかけしている市場関係者の皆様方へのご労苦、そしてご心労には、本当に申し訳ないと思っております。そしてまた、中には、やはり、この11月7日に向けて準備をされてきた方、もしくはそれによってもう廃業しようと決めた方々もおられるわけであります。実際に冷蔵庫など、それから機材などでのリース代が既に発生しているということも事実でございます。これについては、真摯に、そしてまた事情を、もともと東京都が作っているわけでございますので、それについての補償ということについては、しっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
結局、築地であれ豊洲であれ、市場は市場関係者の方々が動かすわけでございますので、その皆様方が、東京都と引き続き一緒にやろうというそういう流れを作っていかなければ築地のブランドにしても、豊洲の新天地にしても、うまくいかなくなってしまうということで大変懸念しているところでございます。
いずれにしても、市場関係者の方々、賛成反対いろいろな方含めて、やはり、「安心・安全の確保が第一だよね」と言ってくださっていると伺っております。やはり、その点をきっちりと確認するというのが、今の私にとりまして、最優先すべきことだと、このように考えております。

【記者】テレビ朝日の内田です。ちょっと話が変わるのですが、ホームページ上で「希望の塾」でしたか、が立ち上がったと思うのですけれども、これの意図と狙いとこれが新党につながっていくのかどうかというところを教えていただければと思います。

【知事】政治を学ぶ場としての「希望の塾」を立ち上げ、今、募集をしているところでございます。私のフェイスブックとツイッターで発表したところ、大変多くの反響をいただいているところでございます。知事選の最中からも、多くの街頭演説にお集まりいただいた方々から、もっと政治について知りたい、というか、街頭演説なんて一度も行ったことありませんでしたという方が本当にたくさん集っていただきました。そして、今もいろいろなイベントにはご本人たちがどんなイベントがあるのか調べて現在でも来られるという、ありがたい状況でございます。
そこで、政治は意外と日本の学校の場では教えていないのです。今、大統領選のまっただ中のアメリカなどでは、シミュレーションゲームみたいにしてそれぞれが民主党と共和党になって、ロールプレイングゲームではないけれども、そういうことをやったりして、子供の頃からそういうディベートなどにも慣れている、日本とは大違いでございます。要は、意外と政治は学ぶところがあるようでないということで、そして、塾と名づけて、「希望の塾」とさせていただきました。日本に一番足りないのは、そして東京に今欲しいのは「希望」という2文字ではないかなと思いまして、自ら命名したものでございます。
ですから、ここで、私自らもでありますけれども、そしていろいろな講師の方々をお招きして、例えば、地方自治の在り方とか、今日のこの環境の問題と、それから豊洲の問題とか築地の問題等々、具体例がいっぱいありますから、それらをいろいろな講師の方々にひもといてもらうというようなことで、学ぶという意欲に対して、私なりにお答えをしたいと思っております。
もう既に、数はまだ確保して、確保というか、存じておりませんけれども、そのホームページというか、フェイスブックには数百の、まずレスポンスなどがあったということでございます。
新党になるかどうかというのは、私は新党を立ち上げるのはどんなに大変かよく知っている1人でございます。そして、この効果とその寿命についてもよく知っている1人でございます。まずは、この「希望の塾」ということをベースにしながら、互いに、そこは私は、塾生になる方々から意見を聞く場にもなり得るかと思いますので、そういったことも参考にしながらまずは「希望の塾」を進めていきたいと思っております。

【記者】インターネットニュースメディア「THE PAGE」の具志堅と言います。豊洲の問題に関連して、今回報告の件で、いつ誰が判断したのか特定できないということなのですけれども、責任の所在が分からない仕事をしてしまうというのは、古今、日本にあると、わりと遍在すると思うのですけれども、個々人が責任を持った仕事ができないのは、単にシステムの問題なのか、それとも個々人の資質の問題なのでしょうか。また、個々人が責任を持った仕事をする組織にするためには、どういったことが必要だとお考えでしょうか。

【知事】本当にいいご質問ありがとうございます。長年の、何でしょうか、仕事が、先輩がそうだったからというか、やはり、不交付団体ですし、東京都というのは。そして、そういう中で、非常に豊かな財政をバックにして、ほかの地方公共団体とは全く、全くというか、大分違う行政を進めてこられたのではないかというのが、知事になってまだ2か月の私の率直な見方であります。
あと、やはり、企業においても、もうぎりぎりのところの会社と、それから将来を見据えて、そして若い人たちにもどんどん仕事をさせるベンチャーのようなところと違います。ですから、その意味でいえば、豊かさゆえの、それから大組織がゆえの一種の甘えと、それから油断があったのではないだろうか。
最近、幹部の方々ともお話をするのですけれども、都政大改革だとかいろいろ言っていますけれども、でも、これを改革のいいチャンスにしたいとおっしゃってくださる方は結構多いのです。とはいえ、勝手が違うと言って戸惑っている幹部の方も多数おられるとは思いますけれども、けれども、ここで、今のような無責任体質を今後も続けていくということは私はあり得ないと思うし、何よりもメディアが都政にこんなに注目したのはこれまでにないことですから、だから、もう無責任体質、体制でなんかやっていられない都政になったと、結果として思います。
ですから、皆さんも、しっかりこれからも都政をチェックしていただきたいし、また、そのことが都の職員を鍛えることになると思いますし、皆さんにそれをお願いするというのもどうかと思いますけれども、しかし、全体的な、まさしく山本七平的空気の研究という観点からも、今回の都政の様々な課題というのは生じてきたようにも思います。しっかり、ウォッチを続けていただきますようお願い申し上げます。
最後にお1人いきたいと思います。

【記者】TBSの杉山と申します。豊洲新市場もそうですが、見直しが検討されているオリンピックの会場に関しても江東区にできる施設だと思います。ただ、江東区議会の中で、区議や区長から変更の連絡がないと不快感が示されています。この根回しなしや連絡なしというこのトップダウンについてはどのようにお考えでしょうか。

【知事】これは都政改革本部によります分析の報告を受けたわけでございますから、これで決めたわけではございません。決めるときにはそれを踏まえてしっかりとご連絡をするということになろうかと思います。まずは報告を受けたという段階でございますし、それによって必要なときは、実際にその会場が存在するといったところにご連絡するのは当然のことだと、このように思っております。
それでは、時間になりましたので、失礼をさせていただきます。ありがとうございました。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)

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