個別指導が受けられる予備校・塾と誤信させ、
自宅学習が中心の指導付教材等を販売している事業者に対し
業務停止命令(3ヶ月)〜五都県同時〜
平成19年11月29日
生活文化スポーツ局
本日東京都は、大学受験生を持つ保護者に対し、あたかもいつでも好きなときに個別指導が受けられる予備校・塾と誤信させるような勧誘トークにより、自宅学習が中心の指導サービス付教材等を販売している事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条及び第47条に基づき、業務の一部を停止すべきことを埼玉県、千葉県、神奈川県及び静岡県と同時に命令しましたので、お知らせします。
なお、当該事業者による被害は、首都圏を中心に広域的に発生していたため、五都県が合同で調査・処分を行なったものです。五都県同時の業務停止命令は初めてです。
1 事業者の概要
(1)事業者名 株式会社 育英
代表者 代表取締役 古谷 長彦
売上高 42億6,600万円(平成18年3月〜平成19年2月)
本社 東京都渋谷区代々木一丁目38番2号ミヤタビル2階(実際の所在地)
(2)事業者名 株式会社トライパス
代表者 代表取締役 田中 幸子
売上高 10億9,900万円(平成18年6月〜平成19年5月)
本社 東京都新宿区西新宿一丁目19番6号
(3)事業者名 株式会社 日本プロデュースセンター(直接の勧誘行為実施業者)
代表者 代表取締役 武 笑美也
売上高 31億7,900万円(平成18年1月〜平成18年12月)
本社 大阪府大阪市内平野町一丁目3番6号JPCビル
上記3社は、「DC大学入試指導センター」を共同で運営し、指導サービス付教材「DC大学入試合格ゼミ」及び教材購入者を対象とした個別指導「トライパス」の販売・役務提供をしている。詳細は、下記のとおり。
2 主な勧誘等の手口
- 「大学入試指導センターです。」、「無料の進路相談に乗ります。」などと商業登記簿上の法人の名称や教材販売という本来の目的を告げず消費者宅に勧誘の電話をする。
- 実際はそのような条件もコースもないにもかかわらず、「入会試験に合格した人のみが通えるトライパスコースがあります。入会試験を受けてみませんか」と言い特別な予備校・塾と誤信させて勧誘する。
- 実際には自宅学習が中心の指導サービス付教材の販売にもかかわらず、故意に教材の話をせず、付加サービスである個別指導ばかりを強調して勧誘し、特別な予備校・塾と誤信させて契約を締結する。
- 本来は1回ごとに料金設定されている個別指導の料金体系を一切説明せず、60回分21万円や100回分35万円を「トライパス申込金」等と説明し、予備校・塾の入学金かのごとく誤信させて契約させる。
- 合理的な根拠もなく「第3志望までの現役合格率90パーセント」と謳い勧誘する。
- 消費者宅を訪問し、消費者が帰って欲しいとの意思を示しているにもかかわらず、夜遅くまで執拗に勧誘を続ける。
3 五都県の相談件数(平成19年9月末現在)
| 15年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 埼玉県 | 79 | 61 | 53 | 43 | 18 | 254 |
| 千葉県 | 83 | 58 | 66 | 64 | 31 | 302 |
| 東京都 | 132 | 108 | 90 | 72 | 17 | 419 |
| 神奈川県 | 68 | 43 | 57 | 60 | 28 | 256 |
| 静岡県 | 41 | 52 | 40 | 44 | 19 | 196 |
| 合計 | 403 | 322 | 306 | 283 | 113 | 1,427 |
4 東京都における相談の概要
(1)契約者の平均年齢
44.1歳
(2)平均契約金額
944,881円
5 DC大学入試指導センターの営業実態
DC大学入試指導センターは、電話・FAX等による質問制度・通信添削等の指導サービス付き学習教材(DC大学入試合格ゼミ)と教材購入者に対する個別指導(トライパス)を販売・提供している。
同センターは、教材の企画・制作を担当する(株)育英、指導サービス・個別指導の提供を担当する(株)トライパス、入会事務局として販売代理及び学習計画書作成や大学生チューターによる教材購入者に対するアフターフォロー等の役務の提供を担当している(株)日本プロデュースセンターの3社で共同運営している。
6 業務停止命令の内容
平成19年11月30日(命令の翌日)から平成20年2月29日までの間(3ヶ月)、特定商取引法第2条第1項に規定する訪問販売及び同41条第1項第1号に規定する特定継続的役務提供(同法施行令別表5の3の項の第1欄及び同表5の4の項の第1欄に定める役務)のうち、次の行為を停止すること。
- 契約の締結についてその勧誘をすること。
- 契約の申込みを受けること。(ただし、更新契約に係るものは除く。)
- 契約を締結すること。(ただし、更新契約に係るものは除く。)
※既契約者に対する役務サービスの提供は業務停止の対象とはならないので、現会員は指導サービスや個別指導の役務サービスを引き続き受けることができる。
7 今後の対応について
業務停止命令を行った事業者については、命令に違反した場合には、行為者に対し特定商取引法第70条の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対し特定商取引法第74条の規定に基づき3億円以下の罰金刑を科する手続きを行う。
| 問い合わせ先 生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課 電話 03−5388−3073 |
〔参考資料1〕
業務停止命令の対象となる不適正取引行為の主な例(概要)
| 不適正な取引行為 | 特定商取引法の条項 |
|---|---|
| 「大学のいろいろな情報をあげます。話を聞くだけでいいですから。」と言って40代くらいの男性が自宅に電話を掛けてきた。 | 第3条 (氏名等不明示) |
| 営業員からは役務の内容などを記載した書面は交付されなかった。 | 第42条第1項 (概要書面不交付) |
| 個別面談についての、契約書は交付されなかった。 | 第42条第2項 (契約書面不交付) |
| 大学入試指導センターから、「予備校をお探しですか?当社が力を入れているコースで、入会試験に合格した人だけが通える、トライパスコースというものがあります。入会試験を受けてみませんか。」と電話がかかってきた。 実績一覧のようなものを見せて第3志望校までの現役合格率が90パーセントと説明し、「ここさえやれば大丈夫。現役で受かりますよ。」とはっきり言った。 |
第44条第1項 (不実告知) |
| 消費者はクーリングオフや中途解約の説明は一切受けなかった。 営業員からは教材についての説明は一切なかったため、消費者は塾の契約であると思っていた。 |
第44条第2項 (重要事項不告知) |
| 特定継続的役務提供に係る前払取引を行っているのにもかかわらず、特定商取引法第45条第1項に規定するその業務及び財務の状況を記載した書類を、特定継続的役務提供等契約に関する業務を行う事務所に備え置いていない。 | 第45条第1項 (書類備付義務違反) |
| 消費者が、既に1時間以上も矢継ぎ早に話され、夕食の準備をしなければならないので、営業員に「もうこんな時間だから・・・」と時計を見ながら、帰って欲しいという意思表示をしたが、さらに営業員は「一度、会社に来てくださいね。見るだけで構いませんから。」と来店するよう執拗に勧めた。結局、営業員が帰ったのは、夜の10時半頃だった。 | 第46条第3号省令第39条第1号 (迷惑勧誘) |
〔参考資料2〕
事例
平成17年の夏、Aの高校に通っている下の娘が高校1年生ときに、大学入試指導センターから、「予備校をお探しですか?当社が力を入れているコースで、入会試験に合格した人だけが通える、トライパスコースというものがあります。入会試験を受けてみませんか。」と電話がかかってきた。Aは、そろそろ娘に予備校に通わせたいと思っていたので、娘を連れて、平成17年10月頃にトライパスコースの試験を受けさせに大学入試指導センターの上野校舎へ行った。H(男性)とK(男性)が担当になり、Hは、「大学入試指導センターは、来ればいつでも勉強できます。申し込めば個別指導もします。好きな先生の授業を受けられるし、自分が通う校舎以外の校舎にいる講師の授業もパソコンで画面を見ながら受けることができます。」と説明をした。
Aの娘が入会試験を受けることになったトライパスコースとは、100回分の校舎の利用権のようなものと説明された。100回だと受験前に使い切るのではないかと心配したのだが、Hは、「100回でちょうど3年生の終わりくらいまでに使いきれる回数ですよ。使い切ってしまっても、受験が終わるまではちゃんと面倒を見ますから。」と言った。Aの娘はトライパスコースの入会試験に合格した。
その後Aは契約することにした。Aが申込のとき、「途中でやめてしまう人ってどれくらいいますか?」と聞くとHは、「やめる人はほとんどいないから大丈夫ですよ。やめる人は○○高校以下のレベルの高校に通っている生徒くらいですね。」と娘が通っているよりも偏差値が下のレベルの学校を例に挙げた。Aはほとんどやめる人がいないのなら、娘でも大丈夫だろうと思った。契約のときには、大学入試指導センターが塾ではないという説明は一切なく、クーリングオフや中途解約の説明も受けなかった。
契約してしばらくすると、ダンボール2箱分もの参考書が届き、Aはびっくりした。Hに確認すると、「指導という理由でお金をもらうことができないんですよ。ですから、名目上、参考書を購入した契約をしたことになっています。この参考書を使って指導しますからね。」と言った。
その後Aの娘は教室に通いだしたが、Hから聞いていた話が、大学入試指導センターの実態と全く違い、本当の目的が教材の販売だったことが分かったので、解約することにした。