判断力の不足した高齢者に強引に次々と布団等を販売していた事業者に業務改善指示処分等を、展示会で強引な勧誘をしていた事業者に条例に基づく勧告をそれぞれ実施!!
平成19年9月13日
生活文化スポーツ局
本日、東京都は、高齢者宅を訪問して判断力不足の高齢者に強引に布団等を販売していた事業者に対して、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第7条に基づく業務改善指示処分等を、「見るだけで良い」などと言って展示会に誘い強引に宝飾品や着物等を販売したり、判断力が不足していた高齢者に次々と宝飾品等を販売していた事業者に対して条例第48条に基づく勧告を行いました。
1 特定商取引法に基づく業務改善指示処分及び条例に基づく勧告
事業者名:有限会社ユウシン
代表者名:代表取締役 飯塚 泰正
本店住所:神奈川県相模原市新磯野1丁目28番7号
業務内容:寝装寝具、貴金属等の訪問販売
《事業者に関する苦情相談の概要》
東京都における相談件数は平成15年度以降、合計30件
相談における契約者の平均年齢は75.5歳、平均契約額は約38万3,515円
判断不十分者に対する次々販売の相談が多数。
2 条例に基づく勧告
事業者名:ハナシン株式会社
代表者名:代表取締役 櫻澤 秀樹
本店住所:東京都豊島区西池袋5丁目17番14号
業務内容:宝飾品、婦人服等の展示会販売
《事業者に関する苦情相談の概要》
東京都における相談件数は平成15年度以降、合計105件
相談における契約者の平均年齢は73.6歳、平均契約額は約160万2,000円
迷惑勧誘や次々販売の相談が多数を占める。
3 今後の対応
1 業務改善指示処分及び勧告に対しての当該事業者の改善措置(計画)は、平成19年9月27日(木)までに都知事あて報告させる。
2 今後の是正状況等を監視し、業務改善指示処分及び勧告に従わない事実が確認された場合は、所要の手続きを経た上で、業務改善指示処分した事業者には法に基づき業務停止命令を、勧告した事業者には条例第50条の規定に基づき事実の公表(東京都公報登載)を行う。
| 問い合わせ先 生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課 電話 03−5388−3074 |
〔別紙〕
○有限会社ユウシン
1 事業者の営業実態
同社は、平成14年11月12日に神奈川県相模原市に会社を設立した。
群馬県高崎市下小鳥町300−1には支店があり、従業員の総数は13名である。
取扱商品は、寝装寝具、宝石、貴金属で、同社からの報告によると、都内における契約件数は約190件で、売上高は約3,500万円である。(平成17年1月から平成18年12月までの間)。
なお、契約書面にハートマークで「○ちゃん大好き」などとの記載をした事実もある。
2 主な勧誘の手口
- 判断力の不足に乗じて次々と布団等を販売し、年金生活者であっても支払能力を超えた契約を締結させる。
- 高齢者宅を布団等の無料点検と称して訪問して、高齢者がはっきり断れない状態に乗じて強引に布団等を次々と高齢者の貯蓄がなくなるまで販売する。
3 「特定商取引法第7条に基づく業務改善指示処分」及び「条例第48条に基づく勧告」の内容
| 指示処分 | ア 訪問販売に係る勧誘に先立って、相手方に対して販売事業者の名称または氏名、勧誘目的、勧誘に係る商品の種類を明らかにすること。 イ 売買契約を締結する際は、特定商取引法に定められた契約書面を交付すること。 ウ 売買契約の締結について、不実のことを告げる行為をしないこと。 エ 売買契約の締結について、迷惑を覚えさせる仕方での勧誘をしないこと。 オ 老人等の判断力の不足に乗じて売買契約の締結をしないこと。 カ 消費者の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘をしないこと。 |
|---|---|
| 勧告 | ア 不当に過大な量の商品の購入を内容とする契約を締結しないこと。 イ 法律及び条例の遵守について、内部教育等により従業員に徹底すること。 |
4 指示及び勧告の対象となる不適正な取引行為の例
| 不適正な取引行為 | 根拠法令 |
|---|---|
| 「お宅が持っている羽毛布団を無料で診断してあげる」などと言って訪問し「布団が湿っているよ」「このままではカビが生えちゃうよ」などと診断して、羽毛布団を買うよう勧める。【事例2】 | 法第3条 (販売目的隠匿) |
| 契約書に記載しなければいけない契約担当者の氏名が記載されていなかった。【事例1.2】 | 法第5条 (不備書面交付) |
| 「現金で払えば今までの商品代金はチャラになる」等と言って支払能力を超えた契約を締結していた。【事例1】 | 法第6条第1項 (不実告知) 法第7条第3号 施行規則第7条第3号 (適合性原則) |
| 「要らない、帰って」などと断ってもしつこく勧誘したり、きつい口調で強引に勧誘していた。【事例1.2】 | 法第7条第3号 施行規則第7条第1号 (迷惑勧誘) |
| 契約書面にハートマークで「○ちゃん大好き」などとの記載をしており、明らかに判断能力が落ちた高齢者に契約を締結していた。【事例1】 | 法第7条第3号 施行規則第7条第2号 (判断力不足者契約) |
| 年金収入だけの高齢者に対して貯金残高がゼロに近づくまで、契約を締結していた。【事例1.2】 | 法第7条第3号 施行規則第7条第3号 (適合性原則) |
| 年金収入だけの高齢者に必要のない布団等を次々に販売していた。【事例1.2】 | 条例第25条第1項第3号 施行規則第8条第5号 (過量販売) |
事例1 <判断力不十分者に強引に契約を締結させたケース>
平成18年9月、Aは2階の部屋にいると、Aの母(70歳代女性B)が玄関先で誰かと話している声が聞こえた。
Aは、誰か来たのかと思っていると「今日はいるのですか」などと同居人の所在を確認しているような声が聞こえた。
Aは、家族の所在を確認する人は、何かやましいことをしている人ではないかと思い2階から降りて玄関先に行った。玄関先には、30歳から40歳くらいの当該事業者従業員がおりAの顔を見るなり直ぐに帰って行った。
Aは、変だと思い当該事業者従業員が運転する車を追いかけたが追いつくことが出来なかった。
Aは、帰ってからBに事情を聞くと、当該事業者から布団等を訪問販売で購入している事実が分かった。この当時、Bは、平成14年と平成17年12月の2回、脳梗塞を患って入院したことから、記憶力が弱くなり物忘れが激しくなっていた。
また、Bは、クレジット契約を多数交わしても、総額がいくらなのかを把握できないような状況で金銭感覚も麻痺している状況であった。
Aは、Bに当該事業者からどの様な商品を購入したのかを聞くとともにBの部屋内を確認してみると、当該事業者との布団等の契約書が多数出てきた。AはBに購入理由を尋ねると「要らない、帰ってと言っても粘られて仕方なく契約してしまった」などと言っており強引な勧誘を受けて布団等を購入していた事実が分かった。
Bの部屋などから出て来た契約書を確認すると、平成16年から2年間、布団や毛布など6契約で総額100万以上の契約を締結していることが分かった。最初の契約はクレジットで最後は現金払いの契約であった。
最後の現金払いは、当該事業者の従業員から「現金で払えば今までの商品代金はチャラになる」等と言われて契約したものであった。
特に、平成17年の契約書で、商品記載欄に「○ちゃん大好き」などとの記載もあった。
Aは、これらの当該事業者の契約状況から、当該事業者はBの判断能力が落ちていることが分かっていて強引な契約をしていたことに間違いないと気付いた。
Bは、クレジット分割払いの契約が多かったので、Aは、Bの通帳を確認してみると残高がほとんどなくなっていた。なお、Bの収入は年金だけであった。
困ったAは、平成18年9月、消費生活センターに行ってBが当該事業者から強引に契約をさせられたこと等を相談員に話して内容証明を当該事業者とクレジット会社宛に郵送した。
その後、既払金放棄ということで解約することが出来た。
事例2 <強引に契約を締結させたケース>
C(70歳代女性)が、当該事業者の訪問を最初に受けたのは、2〜3年前のことだった。当該事業者の従業員は、「お宅が持っている羽毛布団を無料で診断してあげる」、などと言って突然訪ねてきた。
Cは、無料ならばと思ってお願いしたら、「ここは湿度が高いから、布団が湿っているよ」「このままではカビが生えちゃうよ」などと診断され、羽毛布団を買うよう勧められた。
Cはお金がないと言ったが、当該事業者の従業員の勧め方が強引で怖かったこともあり、クレジットの分割で羽毛布団を買うことになった。その日は契約だけで、2〜3週間後に布団を持ってきた。それから宝石や玄関マット等を次々と勧められ当該事業者従業員の人が怖かったので契約した。
自宅を訪問する当該事業者の従業員は3人くらいだったが、どの従業員も口調がきつくて怖いと思って契約した。
Cは、お金がないということを最初から当該事業者従業員に伝えており、最初はクレジットの分割払いでの契約であったが、その後はクレジットを組めないということで3回目の契約くらいからは現金払いになった。
当該事業者からの購入商品の支払は、ほとんどCの年金の貯蓄で払った。Cは、年金をもらっていたのを貯金してあったが、300万円以上当該事業者の商品代金として使ってしまった。
当該事業者従業員に、「おばさん、よく金あるなー。」などと言われたこともあった。
Cは、当該事業者従業員に常々お金がないことは伝えていたが、昨年末にもうお金を払うことができないときつく言うと、今年に入ってからは来なくなった。
Cは、平成17年から平成18年12月までの間に、玄関マット、布団など500万円以上を当該事業者から購入していた。
○ハナシン株式会社
1 事業者の営業実態
同社は、昭和32年5月27日に設立した会社で、東京都内に3支店、栃木県、埼玉県、千葉県、静岡県にそれぞれ支店があり、総従業員数は87名である。
取扱商品は、宝飾品、婦人服、婦人用品等で、同社からの報告によれば、都内における直近事業年度の契約件数は約1万件で、売上高は約15億円である。
同社は、観劇、芸能人のコンサート、さくらんぼ狩り等で人を集め、展示会場で商品の販売をしている事業者である。
2 主な勧誘の手口
- 高齢者を中心に、観劇・芸能人コンサート・さくらんぼ狩り等のイベントで興味をそそり、「見るだけで良いから」などと勧誘目的を告げずに展示会場へ勧誘する。消費者によっては送迎付で展示会場に案内する。
- 展示会場では、従業員が数名で消費者にまとわり付き強引に販売勧誘をする。
- 高齢者で判断力の落ちていた消費者に対して短期間に何回も展示会場に誘って次々と高価な商品を販売する。
3 「条例第48条に基づく勧告」の内容
| 勧告 | ア 商品の販売の意図を明らかにせず、若しくは商品の販売以外のことを主要な目的であるかのように告げて、契約の締結をしないこと。 イ 長時間にわたり、反復して、若しくは消費者が契約を締結する意思がない旨を表示しているにもかかわらず、迷惑を覚えさせるような方法で、契約を締結しないこと。 ウ 老人等の判断力不足に乗じて、消費者に著しく不利益をもたらすおそれのある契約の締結をしないこと。 エ 不当に過大な量の商品の購入を内容とする契約を締結しないこと。 オ 商品の購入に伴って消費者が受ける信用がその者の返済能力を超えることが明白であるにもかかわらず、そのような信用の供与を伴った契約を締結しないこと。 カ 与信が消費者の返済能力を超えることが明白であるにもかかわらず、与信契約等の締結を勧誘し、又は与信契約等の締結をしないこと。 キ 法令及び条例の遵守について、内部教育等により従業員に徹底すること。 |
|---|
4 勧告の対象となる不適正取引行為の主な例(概要)
| 不適正な取引行為 | 根拠法令 |
|---|---|
| 「ファッションショーがあるので見るだけで良いから来て下さい。」等と誘われ、ファッションショーを見に行くだけで買い物はしない約束で参加した。【事例1】 | 条例25条1項1号 (施行規則6条1号) 【販売目的隠匿】 |
| 長時間にわたり従業員4人から5人に囲まれて集中的に勧誘された。「お金が無く買えないです。」等と言ったが契約しないと帰れないような雰囲気になった。【事例1】 | 条例25条1項2号 (施行規則7条1号) 【迷惑勧誘】 |
| 判断力の不足した認知症の消費者と契約を締結した。【事例2】 | 条例25条1項2号 (施行規則7条7号) 【判断力不足者契約】 |
| 3年間で宝飾品等約30点を次々に契約して、総額約1,200万円の契約を締結した。【事例2】 | 条例25条1項3号 (施行規則8条5号) 【過量販売】 |
| 「お金が無く買えない」と断っているのに契約しないと帰れない雰囲気にさせクレジット契約を締結した。【事例1】 | 条例25条1項3号 (施行規則8条7号) 【返済能力を超えた契約】 |
| 信販会社の与信審査が拒否されても他社の与信や自社割賦での契約を消費者に持ちかけていた。 | 条例25条1項7号 (施行規則12条2号) 【返済能力超過与信契約】 |
事例1 <見るだけで良いと展示会場に誘い、展示会場で強引な勧誘をしたケース>
平成18年2月に、A(60歳代女性)の○○会社時代からの知人から、「ハナシンが一流ホテルで展示会を行うので参加しませんか。」等と勧誘があった。Aは、先月、当該事業者の展示会でダイヤのネックレスを買ったばかりでお金もないので買い物はしないと断った。
しかしその後も「ファッションショーがあるので見るだけで良いから来て下さい。友人と一緒にお越しなら、甘エビや牛肉のお土産があります」等と誘われ、Aは、ファッションショーを見に行くだけで買い物はしないとの約束で参加を承諾した。
当日、Aは、当該事業者従業員に車で迎えにきてもらい、一流ホテルの展示会場へ行った。
Aは、宝石の展示がしてあるところで、ペンダントを見ていると、「似合いますよ」、「今日は特別に作品を制作デサインされた方が奥さんとお見えですよ」、「値段も手頃ですよ」等と長時間にわたり当該従業員4人から5人に囲まれて集中的に勧誘された。Aは、一旦は、「お金が無く買えないです。」等と言ったが、勧誘者全員から契約成立の手拍子が鳴り出し、なんとなく契約しないと帰れないような雰囲気になり、根負けしてペンダントの契約に応じた。
契約の際、クレジット契約場所で「ローンが嫌いだ」といったら、7回払いのクレジット契約になった。契約後、当該事業者従業員に車で自宅まで送ってもらった。
その後Aは、今回の販売方法があまりにも酷かったので、展示会に誘った知人に「商品はいらないから持って帰ってください」と断った。
そして、消費生活センターへ解約したい旨相談した。そして、相談員の助言により当該事業者宛に解約の通知文を発送した。その後、センターの斡旋で、違約金を払って解決となった。
事例2 <判断力不足の高齢者と契約を締結したケース>
息子のBは、母(70歳代女性C)と当該事業者の取引を、Cが購入した宝石をデザインしたという芸能人とCが一緒に写っている写真を飾っていたことや、Cが当該事業者の車で送迎されていること等で承知していた。
しかし、平成17年11月ころからCの物忘れが顕著になり、親戚の同居人も母がおかしいと言い出した。このため、Bは何気にCの部屋の中を確認したところ、当該事業者関係のクレジット契約書や請求書・延滞金の通知などが多数出てきた。Cの口座は、残金なしで電気代やガス代金の支払いが滞っていることも判明した。
口座からは、延滞金も含め、毎月40万円を超える引き落とし額になっていた。
Bは、すぐに消費生活センターへ相談し解決してもらうことにした。
消費生活センターで斡旋が始まり、当該事業者から提示された「購入履歴一覧」を見て、3年間で宝飾品等29点・総額1,200万円を超える契約をしていることが分かった。
Cを、病院で診断を受けさせたところ、軽度ではない認知症との診断結果がでた。病院で認知症と診断された症状は、今年の1月頃から顕著に出ていた。
消費生活センターでの斡旋の結果、既払い金等も返金され、合意解約となった。