報道発表資料 [2007年5月掲載]

平成18年度における労働相談及び
あっせんの状況について

平成19年5月16日
産業労働局

 東京都では、都内6か所の労働相談情報センターにおいて、中小企業の労使等からの「労働相談」に応じるとともに、紛争当事者間の自主的解決を援助する「あっせん」を行っています。
 このたび、平成18年度の相談・あっせん結果をとりまとめましたので、お知らせします。

〈平成18年度の主な動き〉

[労働相談の状況]

(1)労働相談件数は約5万6千件、前年度比14.2%増加し過去最高。
(2)相談内容のトップは「解雇」、次いで「賃金不払」で、ともに1万件を超える。

[あっせんの状況]

(1)平成18年度のあっせん件数は918件(前年度比5.3%増)。
 そのうち698件(76.0%)が当事者間の合意ができ紛争が解決。
(2)あっせん内容は、「賃金不払」「解雇」を合わせて4割を超える。
(3)企業規模別に見ると、小規模企業が4割強を占める。

[18年度の特徴点]

(1)18年度より新たに相談項目とした「偽装請負」の相談は241件あった。
 契約内容と雇用実態が異なる事例があった。
(2)「派遣関連」の相談は、4,653件と前年度より82.0%と大幅に増加した。この中には、派遣元の経営悪化から賃金未払い問題に発展し、派遣先10数社を巻き込み100名を超える派遣社員を対象とした相談・あっせんのケースも含まれる。
(3)「メンタルヘルス」は2,891件と、この5年間で4倍以上になり増加が著しい。

問い合わせ先
産業労働局雇用就業部労働環境課
 電話 03−5320−4650

〔資料〕

平成18年度の労働相談及びあっせん状況(概要)

1 労働相談件数は約5万6千件、前年度より14.2%増加

 労働相談件数は55,700件で、前年度に比べ6,908件(14.2%)増加となり過去最高の相談が寄せられた。(表1)

2 相談内容のトップは「解雇」、次いで「賃金不払」でともに1万件を超える。

 労働相談項目総数は、92,597項目(複数項目にわたる相談があるので相談件数を上回る)。
 最多項目は「解雇」10,216項目(11.0%)となっている。以下、「賃金不払」10,157項目(11.0%)、「労働契約」8,232項目(8.9%)の順で、前年度と順位に変わりはないが、賃金不払の相談件数が増加し、解雇とほぼ同じとなった。(表4)

3 「あっせん」(※注1)は918件、76.0%が解決

(1)労働相談のうち「あっせん」に移行したものは918件(前年度比5.3%増)で、そのうち調整により紛争当事者間の合意ができ解決したのは、698件、解決率76.0%である。(表7)
(2)「あっせん」の内容をみると、前年に続き「賃金不払」が325項目と最も多く、次いで「解雇」254項目で、2項目合わせて全体の4割を超える。(表8)
(3)企業規模別に見ると、「30人未満」が399件、43.5%と小規模企業で4割を超える。(表10)

※注1「あっせん」:紛争の当事者間では解決が困難と見込まれる案件について、当事者の要請を踏まえ、東京都としても関与が必要との判断とその関与に係る双方の了解に基づき示唆、助言、解決策の提案などを通じて自主的な解決に向けて双方の合意形成を図ることを援助する行為

4 18年度の特徴点

(1)18年度より新たに相談項目とした「偽装請負」の相談は241件(0.3%)あった。
 契約内容と雇用実態が異なる事例があった。(表4 事例1)
(2)「派遣関連」の相談は、4,653件と前年度より82.0%と大幅に増加した。この中には、派遣元の経営悪化から賃金未払い問題に発展し、派遣先10数社を巻き込み100名を超える派遣社員を対象と相談・あっせんのケースも含まれる。(表6 事例2)
(3)「メンタルヘルス」の相談は2,891件(前年度比59.7%)と、この5年間に4倍以上になり増加が著しい。(表6 事例3)

参考資料
 表1 労使別年度別労働相談件数
 表2 規模別年度別相談件数
 表3 産業別相談件数
 表4 相談項目(重複あり)
 表5 年度別相談項目上位5位
 表6 テーマ別相談項目上位5位
 表7 年度別あっせん件数及び解決率
 表8 あっせんの内容(重複あり)
 表9 男女別あっせん件数
 表10 企業規模別あっせん件数
 表11 産業別あっせん件数


あっせん事例

<派遣・偽装請負>

事例1(偽装請負・解雇)

○内容
 相談者は、1年間の有期契約でコーヒーサービス業務を受託する会社に勤務していたが、無断で商品を自宅に持ち帰ったことを理由に、即日解雇されたと相談に来所した。
 相談者が持参した「業務委託契約書」などを元に、話を聞いたところ、表題は「業務委託契約書」となっているものの、実際には、時間管理が行われ、賃金の支払も時給式であった。

○あっせん結果
 センターでは、経営者から事情を聞いたところ、労働者が不祥事を起こしたので委託契約を解約した、雇用契約ではないので解雇予告手当は支払わない、との主張であった。センターから、時間管理や賃金の支払方法からして労働者性が高く、雇用契約に他ならないのではと説明したところ、会社もこれを認め、解雇予告手当を支払うことで解決した。

事例2(派遣労働者の賃金不払)

○内容
 相談者は、派遣社員として働いていたが、予定日に賃金が口座に振込みされていないことが判明した。
○あっせん結果
 本件は、派遣元の経営悪化から賃金不払い問題に発展し、派遣先10数社を巻き込み100名を超える賃金不払が発生した事案である。
 センターでは、派遣元から事情を聞いたところ、経営状況の悪化から、派遣労働者の賃金が支払えないということであった。
 派遣元の了解を得た上で派遣先企業に賃金支払の協力を要請した。派遣先企業の了解も得られたので、労働者、派遣元、派遣先の三者立会いによる現金決済で派遣料金から未払い賃金が支払われ解決した。

<メンタルヘルス>

事例3(セクシュアルハラスメント被害によりメンタル不調となった労働者への退職勧奨)

○内容
 相談者は、入社後5ヶ月間のアルバイトを経て、正社員として営業部門に配属されたが、取引先との接待に出席した際に、取引先部長からセクハラを受けた。
 被害発生直後に、相談者の上司から取引先に抗議をしたところ、相談者へ取引先から和解金が支払われた。
 しかし、その後、セクシュアルハラスメント被害により重度ストレス障害を患った相談者に対し、上司が、「出勤は無理だろう」と発言したことから、さらなるトラブルとなり相談に来所した。

○あっせん結果
 センターでは、相談者の勤務先に事情を聴取したところ、メンタル不調者への対応について知識がなかったため、退職を持ちかけたことが判明した。
 労使話し合いの結果、1)相談者は診断書どおり3ヶ月は療養休職、2)その間傷病手当金の受給、3)月給額との差額を見舞金として支払、4)医療経費は会社が負担、という条件で両者は合意した。

<職場の嫌がらせ>

事例4(先輩からのいじめ)

○内容
 相談者によれば、会社の電算システムに精通している社員は上司のみで、上司は常に、いじめの標的をつくり、いじめを繰り返す。相談者は標的にされ、1)新規に導入したパソコンにパスワード制限をかけ、入力更新できないようにする。2)当番制の業務を相談者1人に割り振る。3)業務量を増やし、残業すると何故残業するのか叱られる。等のいじめを受けた。
 社長に異動させて欲しいと希望したが、その上司を怒らせることは会社として避けたいと申し出に応じてくれない。

○あっせん結果
 センターでは、相談者に業務量の問題についてどの程度ならできるか上司に説明するなどのアドバイスを行った。しかし、問題の改善が見られないので、センターから会社に連絡をとり、状況説明を受けたところ、会社としても問題意識を持っており、相談者を他の部署へ異動することで解決した。

<パートタイマー>

事例5(年次有給休暇、健康診断受診)

○内容
 相談者は、ハローワークの紹介で、清掃のパートタイマーとして1日8時間・週4日の雇用条件で働き、1年が経過した。社会保険は自分で交渉し、加入してもらった。しかし、年次有給休暇を申請したら拒否され、健康診断の受診を求めたら「パートには健康診断はない。」との返事であった。パートでも年次有給休暇の取得や健康診断の受診は可能なはずであると思い相談に来所した。

○あっせん結果
 センターでは、会社から事情を聴取したところ、会社は、「法律は十分に理解をしている。現場で運用がされていなかったことに対し徹底を図る。」として、「年次有給休暇は全員取得できるようにする。」、「健康診断は年に数回に分け実施し、日程が合わない場合は、病院や保健所などで行ってもらい、実費は会社で負担する。」との回答を受け、相談者に伝えたところ納得が得られ解決した。

事例6(勤務日数の減少から解雇へと発展)

○内容
 相談者は、週5日、35時間の労働契約を会社と締結した。しかし、店に余剰人員が生じたとして勤務日数を削減され、当初は削減を受け入れた。その後、更に日数の削減を通告されたので、社長に理由を聞いたところ、「もう来なくても良い。」と言われので、仕方なく翌日より出勤していない。辞めてから1ヶ月経過するが、離職票が送られてこないのはおかしいのではないかと相談に来所した。

○あっせん結果
 センターでは、社長から事情を聴取したところ、「余剰人員が発生したことは事実であり、勤務日数を削減したが、本人からは特に意見もなく了解したと理解をしていた。」とのことであった。
 また、「勤務日数が少なくなったことで大変だろうと、転職を勧めたが解雇はしていない。現在も在籍していることになっており、求職活動をしているものと理解し、退職届の催促をしなかったものである。」と主張した。
 センターは、社長に対して、「契約内容は履行義務があり相談者の同意なく一方的に変更することは問題がある。」と説明し、契約で定められた勤務日数との差額分賃金の支払い、円満退職と離職票を発行することで解決した。

<男女差別>

事例7(母性保護)

○内容
 相談者は、パートタイマーとしてスポーツクラブの受付業務に従事し、3年余勤務している。妊娠し、つわりで悩んでいたある日、自分の横に空気清浄機が設置され、その吐き出す臭い等で頭痛に見舞われた。上司に空気清浄機を撤去するよう求めたが無視された上に「辞めていいよ。」と言われたとして、センターに来所した。

○あっせん結果
 センターでは、会社に連絡を取ったところ、人事部長より事実関係を調査しセンターに報告するとのことであった。
 数日後、調査結果の報告があり、相談者の上司によれば、相談者から「辞める。」と言ったとのことであった。
 センターでは、妊産婦に配慮した人事配置ができないか検討を求めたところ、上司が謝るとともに、今後は妊産婦への配慮を行うこと、通勤時間が短くなる他の店舗で軽減勤務をすることを約束し解決した。

<セクシュアルハラスメント>

事例8(セクシュアルハラスメント・地位利用型)

○内容
 相談者は、上司である常務から食事に誘われたり、車の中でキスされそうになったりホテルに誘われたりした。また、誕生日には高価な贈り物や執拗な誘いのメールが送られるなどのセクシュアルハラスメントを受けた。
 相談者は、やんわり断ってきたが、ある日きつい態度に出たところ、その時は謝罪されたが、後になり職務不適格であるので辞めるよう言われた。このことを、総務部長に相談したが、対応をしないばかりかもみ消そうとの態度であったので、相談に来所した。

○あっせん結果
 センターでは、社長と総務部長から事情を聴取するとともに、男女雇用機会均等法21条の趣旨を説明し対応策を検討するようアドバイスを行った。
 結果、加害者は事実を認めたので、会社は、1)加害者の停職処分と子会社への異動。2)被害者は職場復帰が困難なため会社都合による退職金と慰謝料を支払う。ことで解決した。

<その他>

事例9(休憩時間が取れない)

○内容
 相談者は、不動産を管理する緊急センター業務で仕事をしている。24時間365日受付体制をとるため、日中・夜間とも問い合わせが続く状況で、社員はローテーションを組んでいるが、休憩時間が全く取れない。会社に改善を申し出るが、「休憩時間分の賃金も支払っており問題がない。」との回答であったため、今後の改善が期待できないとして、相談に来所した。

○あっせん結果
 センターでは、会社に対し労働基準法34条の休憩時間の説明や過去の判例を示し説明をしたところ、会社は認識を改め、新たに必要な緊急要員を増員することで解決した。

(プライバシー保護のため、事例は個人などが特定できないようにしてあります。)


〔別紙〕

労働相談情報センターの所在地案内

 東京都の労働相談情報センターでは、都内6か所に窓口を置き、賃金・退職金等の労働条件や労使関係など労働問題全般にわたり相談に応じています。
 月〜金曜は9時〜17時までの常時相談のほかに、夜間は20時まで各事務所が曜日を決めて相談に応じています。土曜日は9時〜17時まで飯田橋と国分寺で相談を行っています。
 労使双方からの依頼により、問題解決のためのあっせんも行います。なお、夜間・土曜日の「来所相談」は事前予約制となっています。
 また、相談内容に適した資料の無料提供、貸し出しのほか、地域ごとに労使・都民を対象にした労働セミナーを定期的に行っています。

東京都労働相談情報センターの相談窓口と担当区域
窓口 所在地 相談専用電話 担当区域
飯田橋 〒102-0072
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