生活保護制度の見直しで国へ提言
「生活保護を変える東京提言〜自立を支える安心の仕組み〜」を公表
平成19年3月28日
福祉保健局
昭和25年の現行制度創設以来、大きな制度改正が行われないまま推移してきた「最後のセーフティネット」である生活保護制度も、社会経済状況の変化を踏まえ、今日の時代状況に適合するよう、見直しを迫られています。
都は、国家責任としてのセーフティネットを堅持しつつ、自立支援を総合的・効果的に進めていくにはどのような施策が必要かという観点から、大都市東京における実態分析を踏まえ、生活保護制度改善の具体的提言を平成16年に引き続き再度とりまとめることとしました。
提言のとりまとめに先立ち、試案を公表し2月2日から2月28日にかけて、都民の皆様からの意見を募集してまいりましたが、この度、寄せられたご意見も踏まえ、提言をとりまとめ、国に提出しましたのでお知らせします。
今後、この提言内容が制度改正に反映されるよう、国に強く働きかけていきます。
【提言の主な内容】
詳細は別紙のとおり
1 生活保護を変えるための重点提言 〜自立に向けた「4つの提案」〜
(1)就労自立促進の更なる強化(目標設定による組織的な自立促進、就労意欲が低い者に対する対策、就労自立等に向けた意欲を高めるための仕組みの構築、被保護世帯の子どもたちの育成支援)
(2)保健・医療面での自立促進(医療扶助の抱える課題と医療扶助の見直し)
(3)早期自立のための新たな仕組み(扶助の給付方式の柔軟化、自立支援ホーム(仮称)の設置、多重債務解決の新たな仕組み)
(4)自立を推進する体制の整備(効果的・効率的な実施体制の整備、人材育成)
2 生活保護制度の改善に向けて
(1)国の役割と責任
(2)「骨太の方針2006」への要望
(3)本提言と都の取組
【「試案」に寄せられた主な都民意見の状況】 延べ89件
■「就労自立促進の更なる強化」について・・・23件
■生活保護制度のあり方等について・・・14件
■「保健・医療面での自立促進」について・・・14件
■「自立を推進する体制の整備」について・・・11件
■その他・・・27件
詳細は、福祉保健局生活福祉部計画課のホームページ又は都民情報ルーム(都庁第一庁舎3階、平日9時00分〜18時15分)で閲覧できます。
| 問い合わせ先 福祉保健局生活福祉部計画課 電話 03−5320−4062 |
〔別紙〕
【提言の主な内容】
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| (提案その1) 就労自立促進の更なる強化 |
○自立更生計画の作成を法定するとともに、その進行を管理するデータベース機能について国が標準的なものを開発し、全国の実施機関に普及させていくべき。 |
| ○国があらゆる機会を通じて、全国の実施機関における個別の自立支援の取組事例を把握し、情報を提供するべき。(例:実施機関が共通で使用可能な個別事例データベースの開発等) | |
| ○阻害要因がないが、就労意欲が低い者に対する自立支援策を、ハローワーク等の労働部門の協力や支援ノウハウを有する企業やNPOなどへの委託により実施する仕組みを検討するべき。 | |
| ○就労への意欲を高めるため、自立廃止が見込めると実施機関が判断した被保護者について、自立に必要な費用を収入認定から除外する新たな更生積立金制度を導入するべき。 | |
| ○将来の子どもの就学を想定しての学資保険の保険料の半額について、勤労控除の対象とするべき。 | |
| ○被保護世帯の子どもたちを育成支援する仕組みを整備するとともに、その委託運営経費等を国庫負担金に算入すべき。 | |
| (提案その2) 保健・医療面での自立促進 |
○国は、医療扶助適正化の基本方針を示し、生活習慣病患者・予備群の減少率や健診及び保健指導の実施率の目標を設定し、これらの達成に向けて個別の被保護者への支援を計画的に実施するような具体的な仕組みを構築するべき。 |
| ○1)データに基づいた健診・保健指導の実施、2)生活習慣改善を支援するサービス全体の体系化、3)生活習慣改善の必要が高い人を抽出する手法開発等の仕組みを構築し、これに要する費用は生活保護制度の一環として財政負担すべき。併せて、データ収集・分析・保存等の前提となる医療扶助に関する全国共通のシステムを構築し、必要な財政措置を行うべき。 | |
| ○精神疾患による社会的入院患者の退院促進のために、入院患者の治療状況について定期的に病院から報告を求め、その状況を指導・検査できる仕組みを導入すべき。併せて、精神疾患以外の疾患による社会的入院患者の退院促進策についても早急に構築すべき。 | |
| ○医療扶助の給付については、最初に第一次診療医の診療を受け、医療の要否を判定し、医療が必要とされた人について、福祉事務所の嘱託医の審査を経て受給者証を発行し、2回目以降の受診は、この受給者証により指定医療機関に受診する新たな方式を導入すべき。 | |
| ○医療扶助における自己負担の導入の是非について、国の社会保障審議会生活保護制度の在り方に関する専門委員会などにおいて、今後、専門的に検討すべき。 | |
| (提案その3) 早期自立のための新たな仕組み |
○早期に再チャレンジを支援するため、生活安定に最低限必要な定額の生活支援と居住支援を3年程度の有期限で提供する簡易な生活保護制度(要保護者早期自立扶助)を創設すべき。 |
| ○宿泊所を活用して、その中の自立支援に積極的に取り組んでいる施設を自立支援ホーム(仮称)として整備を行い、生活指導を必要とする生活困窮者の短期的な生活の場を確保していくべき。 | |
| ○国は、都が新たに実施する多重債務者生活再生事業(仮称)のような取組みを支援し、全国において実施されるよう財源の確保と技術支援に努めるべき。 | |
| (提案その4) 自立を推進する体制の整備 |
○専門的人材(非常勤職員、任期付職員等)が十分に配置できるよう財政措置を行うとともに、福祉事務所の実情を踏まえた上で、更に幅広く専門職員・外部委託が可能となるような制度に改めていくべき。 |
| ○専門的なアセスメント委託の普及、福祉事務所の管理機能を高めるデータベースシステムの整備、地域で自立支援を担う専門機関・団体への事業委託の仕組みの導入など、各種の基盤的事業を安定的に実施できるよう、制度的な枠組みを構築すべき。 | |
| ○CW・SV等の育成強化に向けて、国は、福祉系大学と共同しての研修カリキュラムやテキストの開発など抜本的かつ総合的な研修体制の見直しを早急に推進すべき。また、福祉事務所人材育成方針を明確に示し、全国の福祉事務所において一定の水準が保たれるよう、必要な財源を確保すべき。 | |
| (国の役割と責任) | ○生活保護制度は、憲法第25条の理念に基づき健康で文化的な最低限度の生活をすべての国民に対して保障する、社会保障の根幹をなす制度であり、これに関わる事務及び財政負担については国が責任を持つべきもの。 |
| (骨太の方針2006への要望) | ○生活扶助基準及び級地の見直しに当たっては、被保護者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、大都市の生活実態を踏まえたものとする必要がある。 |
| ○母子加算の見直しと併せた就労支援策については、母子世帯特有の就労阻害要因を解消するような具体的な支援策を早急に講じる必要がある。 | |
| ○リバースモーゲージを利用した貸付け等を優先する新たな制度については、債権や担保物件の長期的な管理体制を全国ベースで整備し、実効性のある制度とする必要がある。また、貸付中から、福祉事務所と社会福祉協議会が連携して、生活設計の支援や高齢期にふさわしい仕事の相談等の体制整備を行うことが適当。 |