東京都消費者被害救済委員会
結婚相手紹介サービスをめぐる消費者トラブルをあっせん解決
〜相手方事業者の契約書は法定要件を満たしておらず、
申立人はクーリング・オフを主張できる〜
平成19年3月14日
生活文化局
本日、東京都消費者被害救済委員会(会長 淡路剛久立教大学大学院法務研究科教授)から、「結婚相手を紹介するサービスに係る紛争」(平成18年10月3日付託)の審議の経過と結果について、東京都知事に報告がありましたので、お知らせします。
紛争の概要
- 申立人A(30歳代女性)は、お見合いの相手を紹介される前に解約を申し出たのに、相手方事業者から、希望の時期にお見合いの相手を紹介できるように準備していたのだから、退会申出までの分を支払済額から日割りで差し引いた残額しか返還できないと言われ、納得できず、紛争となった。
- 申立人B(40歳代女性)は、契約時にあらかじめ伝えていた希望の条件と合わない人ばかり紹介され、試しに1人と会ってから解約を申し出たら、3〜10人とお見合いできる契約のはずなのに、相手方事業者から、最低3人とお見合いできる契約で1人と会ったのだから、支払済額の3分の2しか返還できないと言われ、納得できず、紛争となった。
解決の内容
- 相手方事業者の契約書は、特定商取引法が定める記載要件(中途解約時の精算方法等)を満たしていないので、申立人らは相手方事業者に対し、クーリング・オフにより支払済額の全額の返還を主張できる。
- しかし、申立人Aについては、相手方事業者がお見合いの準備を進めていたことが認められること、申立人Bについては、1人と会ったことなどを考慮し、相手方事業者が、
(1)申立人Aに対し金39万1,000円(申立人Aの負担額5万円)
(2)申立人Bに対し金97万円(申立人Bの負担額18万円)
をそれぞれ返還する内容であっせんし、解決した。
※報告書の全文は、生活文化局ホームページをご覧下さい。
- 東京都消費者被害救済委員会は、
- 消費生活総合センター等の相談機関に寄せられた苦情・相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし又は及ぼすおそれのある紛争について、「あっせん」や「調停」を行うことにより、公正かつ速やかな解決を図るため、東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関です。
| 問い合わせ先 東京都消費生活総合センター活動推進課 電話 03−3235−4155 |
〔資料〕
1 紛争当事者
申立人(消費者)2名(A…女性 30歳代、B…女性 40歳代)
相手方(事業者)1社(結婚相手紹介サービス提供事業者)
2 経緯等
[申立人A]
○申立人Aは、本件相手方事業者と、2年間で3〜7人とお見合いできるコースの契約を44万1,000円で結び、全額を支払ったが、その後、申立人Aは、会員外の人と結婚することになり、退会(解約)を申し出た。
○すると、相手方事業者から、「申立人Aからお見合い希望時期の連絡を受けており、その時期に合わせてお見合いの準備をしていたのだから、退会申出までの分を契約代金から日割りで差し引いた残額(約34万円)しか返還できない」と言われた。
○1人もお見合いの相手を紹介されておらず、途中で状況報告等もなかったことから申立人Aはこれに納得できず、紛争となった。
[申立人B]
○申立人Bは、本件相手方事業者と、2年間で3〜10人とお見合いできるコースの契約を115万円で結び、全額を支払った。ところが、あらかじめ希望の条件を伝えていたにもかかわらず、相手方事業者が申立人Bに紹介したのは希望条件に合わない人ばかりだった。
○このため、相手方事業者に不信感を抱いた申立人Bは、試しに1人と会って話を聞いたところ、その時の話の内容からも、ますます相手方事業者に対する不信感が増した。
○その結果、退会を申し出たところ、相手方事業者から、「最低3人とお見合いできる契約で1人と会ったのだから、契約代金の3分の2に相当する額(約73万円)しか返還できない」と言われた。
○希望条件に合わない人ばかり紹介された申立人Aはこれに納得できず、紛争となった。
【紛争のイメージ図】

3 あっせん案の考え方
○申立人A及びBが交付された契約書面には、特定商取引法(以下「特商法」という。)で定められている記載事項に不備(中途解約の場合における精算方法について具体的な記載がない等)が認められる。
○中途解約をすればどのような精算が行われるのかは、消費者が契約を維持するか否かを判断するために重要な意味を持つ事項であり、申立人は、特商法で定められた書面を交付されなかったものということができる。よって、申立人A、Bのいずれも、特商法48条1項に基づいてクーリング・オフ(契約の解除)を行うことができる(注1)。
○しかし、相手方事業者が既に契約の履行またはその準備行為を一部行っていたこと等の点を考慮し、下記の内容であっせん解決を図った。なお、本件は、あくまでも申立人らがクーリング・オフを行使できることを前提としているのであって、中途解約の事案として捉えたものではない。
注1)特定商取引法は、クーリング・オフを行使することができる期間として、結婚相手紹介サービス(特定継続的役務提供)の場合、同法で要求されている記載事項を具備した適正な書面を受領した日を含めて8日間を経過するまでと定めているが、当該適正書面が交付されなかった場合等には、この期間が進行しないため、クーリング・オフをする権利を留保している(同法48条)。
4 解決内容
[申立人Aについて]
申立人Aが5万円(初期費用相当額(注2)として3万円、契約の解除によって通常生ずる損害として2万円(注3))を負担し、相手方事業者は、受領した44万1,000円から5万円を控除した残額39万1,000円を申立人Aに返還する。
[申立人Bについて]
申立人Bが18万円(初期費用相当額として3万円、契約の解除によって通常生ずる損害として2万円、既に提供された役務を考慮して13万円)を負担するものとし、相手方事業者は、受領した115万円から18万円を控除した残額97万円を申立人Bに返還する。
注2)初期費用とは契約締結のために要する入会諸手続等に要する費用のことである。特定商取引法は、結婚相手紹介サービス(特定継続的役務提供)に係る契約が役務提供前に解除されたときは、「契約の締結及び履行のために通常要する費用」として、役務提供事業者は消費者に対し、3万円請求できると定めている(同法49条)が、役務提供後に解除された場合の請求については定めがなく、本件については3万円を相当とした。
注3)特定商取引法は、結婚相手紹介サービス(特定継続的役務提供)に係る契約を消費者が中途解約した場合、役務提供事業者は消費者に対し、2万円又は契約残額{(当該契約が締結された時の全体の価格)−(既に提供された役務の対価)}の2割に相当する額のいずれか低い額を「解除によって通常生ずる損害の額」として請求できる旨を定めている(同法49条)。
〔参考〕
○結婚相手紹介サービスに係る都内消費生活センターに寄せられた相談件数は、平成17年度に555件あり、平成16年度の374件と比べ約1.5倍になっています。なお、平成18年度は、12月末現在で356件(速報値)です。
○経済産業省は、結婚相手紹介サービスについて、平成18年5月、「少子化時代の結婚関連産業の在り方に関する調査研究報告書」を公表しました。同報告書はその中で、「サービスの水準、提供されるサービスの内容、料金の仕組み等について、一定の水準や合理性を満たしていることを第三者が評価し、その基準を満たしている事業者に対して、認証を与える仕組み(いわゆるマル適マーク)の導入が必要といえる。」としています。
なお、上記の調査研究報告書については、経済産業省のホームページでご覧ください。
〔別紙〕
東京都消費者被害救済委員会名簿
| 委員(20名) | 平成19年3月14日現在 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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