報道発表資料 [2007年1月掲載]

渋谷の街頭で若い女性に声をかけ、高額な化粧品等を売りつける
事業者2社に業務停止命令(3ヶ月)
提携先の貸金業者を勧告!!
〜事業者と提携する「貸金業者」にも勧告するのは全国初です〜

平成19年1月11日
生活文化局

 本日、東京都は、渋谷駅周辺の路上で声をかけた若い女性に、虚偽の説明により錯誤に陥らせた状態のまま高額な化粧品を売りつけていた2事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法という。)第8条に基づき業務の一部を停止すべきことを命令しました。
 あわせて、当該事業者が消費者に利用させていた貸金業者に対し、不当な勧誘が行われている可能性を知りながら詳細に調査を行わず、引き続き窓口として利用させていたとして、東京都消費生活条例(以下「条例」という。)第48条に基づく勧告を行いましたので、お知らせします。
 不適正行為を行っていた事業者のみならず、与信の窓口となる貸金業者を同時に勧告するのは、全国初となります。

1 事業者の概要

(1)特定商取引法第8条による業務停止

  事業社名 株式会社 dolls(旧商号 (株)ファースト・ワン)
  屋号 Nail Salon dolls(旧屋号 First revue)
代表者 代表取締役 久光 政史
本店 東京都渋谷区宇田川町35番4号オーク・ヴィレッジ504号
営業場所 東京都渋谷区宇田川町16番8号渋谷センタービル6階
業務内容 化粧品の販売
ネイルサロン、エステティックサロン、ネイリスト養成スクールの経営
 
  事業社名 株式会社 B’s group
  屋号 B’s Tokyo
代表者 代表取締役 大澤 祥雄
本店 東京都渋谷区宇田川町16番8号渋谷センタービル501号
業務内容 化粧品の販売、ネイルサロンの経営

(2)条例第48条による勧告

  事業社名 株式会社ジャコムリースサービス
  代表者 代表取締役 谷澤 正己
本店 東京都板橋区板橋1−50−2金城ビル2階
業務内容 貸金業

2 特定商取引法第8条に基づく業務停止命令の内容

 平成19年1月13日(命令の翌々日)から平成19年4月12日までの間(3ヶ月)、特定商取引法第2条第1項第2号に規定する訪問販売のうち、次の行為を停止すること。

(1)訪問販売の契約の締結についてその勧誘をすること。
(2)訪問販売にかかる契約の申込みを受けること。
(3)訪問販売にかかる契約を締結すること。

3 条例第48条に基づく勧告の内容

(1)与信に係る債権及び債務について、重要な情報を提供せず、又は誤信させるような表現を用いて、与信契約等の締結を勧誘し、又は与信契約等の締結をさせないこと。
(2)販売業者等の行為が条例施行規則第6条から第8条までに規定するいずれかの行為に該当すると知りながら、又は与信に係る加盟店契約その他の提携関係にある販売業者等を適切に管理していれば、そのことを知り得べきであるにもかかわらず、与信契約等の締結を勧誘し、又は与信契約の締結をさせないこと。

4 東京都における相談の概要(平成19年1月5日現在)

事業者名 契約者平均年齢 平均契約金額 相談件数
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 合計
(株)dolls 19.8歳 364,698円 23 84 96 27 236件
(株)B’s group 19.8歳 303,977円 10 23 33件

※勧誘手口及び取扱商品は、2社共通。(株)B’s groupは平成17年末にB’s Tokyoとして(株)dollsから独立した。
 両社が入居しているビルには、以前から同様の勧誘形態の事業者が入居を繰り返し、その都度、東京都が指導を実施した。
 これらの事業者は同一の貸金業者を使用しており、その担当者が同一人物であると確認がとれているため、都としては、これらの事業者が別法人の体裁をとりながらも実態は同一事業者であった可能性が極めて高いと判断。事業者の中には警察により書類送検された者もあり、(株)dollsの監査役は書類送検された会社の社長である。

5 東京都における主な勧誘の手口

  1. 若い男性が渋谷駅周辺で、主に10代後半の女性に、「無料でネイルをやらない?」等と声をかけて店舗へ連れて行き、「ネイルの前にアンケートに答えて」とアンケート担当の女性を紹介する。
  2. アンケートの際に肌の状態を診る機械で診断し、「このままの肌の手入れ方法では皮膚病になる」「シミやシワだらけの顔になる」と消費者の不安をあおる。
  3. 2年後に化粧品販売会社を設立予定で、その化粧品を試すモニターを100人募集している。モニター期間は2年間で、1ヶ月10,000円で化粧品を使うことができ、期間中は1回100円で何回でもフェイシャル、ネイル、脱毛のサービスを受けることができると話をもちかける。
  4. 上記の説明で消費者にモニターの会費であるかのように認識させたまま、貸金業者と金銭消費貸借契約を締結させ、約300,000円の化粧品を販売する。
  5. 貸金業者は、(株)dolls及び(株))B’s groupからFAXにより金銭消費貸借の申込を受け、消費者に本人確認を実施し、与信を行う。申込み及び本人確認は事業者の営業所(ネイルサロン)で、事業者従業員の立会いのもとで行われる。
  6. 消費者がクーリングオフの連絡をした際には、「店に来ないと解約できない」等の言動が見られる。

6 業務停止命令の対象となる主な不適正な取引行為

不適正な取引行為 特定商取引法の条項
※「無料でネイルするよ」などと言い、化粧品の販売については全く触れずにネイルサロンまで連れて行く。 第3条
(販売目的隠匿)
※肌診断の際に肌にカビが生える、皮膚病になるなどと言う。
※将来化粧品を販売する会社をつくる予定でモニターを集めていると、実際に予定のない会社設立の話をして勧誘する。
第6条第1項
(不実告知)
※月々10,000円の支払で化粧品を使えると勧誘し、支払額が金銭消費貸借の返済だということを言わない。
※月々の支払が無理なら金額を下げてもいいと勧誘するが、支払額を下げれば金利が増えることを説明しない。
第6条第2項
(重要事項不告知)
※勧誘目的を告げずに、消費者を営業所(雑居ビルの一室)に同行し、同所において勧誘を行う。 第6条第4項
(勧誘目的を告げず公衆の出入りしない場所での勧誘)
※解約はネイルサロンに来ないとできないと説明する。 第7条第3号省令第7条第1号
(クーリングオフ妨害)
※無視してもしつこくつきまとって勧誘を行う。 第7条第3号省令第7条第1号
(迷惑勧誘)
※未成年の学生であることを告げているが、借金であるという説明を曖昧にして金銭消費貸借を締結させる。 第7条第3号省令第7条第3号
(適合性原則違反)

7 勧告の対象となる主な不適正な取引行為

不適正な取引行為 条例の条項
※化粧品販売会社で金銭消費貸借の申込みを行う形態で、金銭消費貸借契約の内容についての説明は販売業者に任せており、金融業者は本人確認を行うのみで、消費者に借入金の認識がないままに契約を締結させている。 条例第25条1項第7号
条例施行規則第12条第1号
(与信時の重要事項不告知・不実告知)
※化粧品販売会社に関連する金銭消費貸借契約の約半数が後日解約となり、また消費者センターからの連絡を通じて販売会社の勧誘方法に問題があることを知りながら、与信を行う。 条例第25条1項第7号
条例施行規則第12条第3号
(販売(取扱)事業者管理義務違反)

8 今後の対応について

(1)業務停止命令を行った事業者については、命令に違反した場合には、行為者に対し特定商取引法第70条の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対し特定商取引法第74条の規定に基づき3億円以下の罰金刑を科する手続きを行う。
(2)条例による勧告を行った事業者(貸金業者)については、改善措置の報告書を、平成19年1月25日(木)までに都知事あて提出させる。

問い合わせ先
生活文化局消費生活部取引指導課
 電話 03−5388−3074

〔資料〕

事例

○平成18年4月、都内在住の10代の女性Bは渋谷駅周辺で若い男性に声をかけられた。Bが無視したが、「アンケートだけだから!!10分で終わるから。」としつこくついてこられたため、Bは断れずに渋谷センタービル5階のB’s Tokyoへついて行った。

○案内された部屋は殺伐としていた。Bはそこで担当の女性を紹介され、アンケートと機械による肌診断をした。女性は、「ニキビやくすみの状態がひどくて40歳くらいの肌だよ。皮膚にカビが生えるかも。」と診断し、顔のイラストに次々とシワやシミを描き、2年でこんな顔になると言った。

○女性は市販の化粧品の着色料が肌荒れの原因だと言った。そして女性は2年後に質のいい化粧品を安く販売する会社を立ち上げるので、口コミで化粧品を宣伝する肌モニターにならないかと誘った。モニターは月々10,000円の支払いで化粧品を使えると言われ、Bは初めて勧誘だとわかり、未成年で定収入がないと断った。しかし、「今肌に投資しないと肌荒れがひどくなって、皮膚病になっちゃうかも知れないよ。」「肌が綺麗な人は、月10,000円位かけて、週2〜3回はエステに行ってるよ。」と女性は執ように勧誘した。そして、モニター期間の2年間はフェイシャルエステと脱毛とネイルが1回100円でできると言われ、Bは肌モニターになることを決めた。このとき総額が302,000円だという話は告げられていなかった。

○数日後BがB’s Tokyoへ行くと6階のネイルサロンdollsへ案内され、男性に支払いの説明を受けた。支払いは月々10,000円で、払えなければ5,000円でもいいと言われ、Bは借入申込書を書いた。アルバイト代が月10,000円位と言うと、年収12万円と記入するよう指示された。男性は(株)ジャコムリースサービスへ電話をかけ、Bに代わった。電話で「10,000円の47回払いですよ。大丈夫ですよね。」と言われ、Bは初めて借金なのだと理解した。男性はBの口座に(株)ジャコムリースサービスから300,000円が振り込まれたら、(株)dollsの口座へ振り込むようにと言った。Bは(株)dollsがB’s Tokyoの系列会社だと思っていたので疑問を感じなかった。
 一週間くらいしてBの口座へ300,000円の振込があり、(株)dollsの口座へ振込んだ。

○数日後、Bがdollsへ解約したいと電話すると、解約はネイルサロンに来なければ出来ないと言われた。不安になったBは消費者センターへ行き、未成年者契約取消の手続きをした。