報道発表資料 [2005年7月掲載]

「お宅も見積もりしませんか」と声を掛け、
見積書と一体となった複写式の契約書に署名させ、
解約を申し出ると「クーリング・オフ出来ない」と、40%の違約金を請求する

訪問販売リフォーム業者を行政処分

平成17年7月13日
生活文化局

 東京都は、7月12日付で、不適正な取引行為によりリフォーム工事を契約させていた事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第7条に基づく指示及び東京都消費生活条例(以下「条例」という。)第48条に基づく勧告を行いました。

1 事業者の概要

  1. 事業者名:KRK関東株式会社
    代表者名:代表取締役 池田 馨
    本店住所:東京都武蔵野市境南町2丁目23番5号
    業務内容:住宅(マンション)リフォーム工事(給排水設備工事、内装工事 等)

  2. 事業者名:KRK株式会社
    代表者名:代表取締役 池田 馨
    本店住所:東京都新宿区西新宿6丁目5番1号 新宿アイランドタワー7階
    業務内容:グループ本社である旨、各種広告に掲載し、グループの管理部門として業務管理を行っている(上記KRK関東株式会社株式を100%所有する持株会社)。

《事業者に関する苦情相談の概要》

  • 東京都における相談件数は平成13年度以降、合計117件
  • 相談における契約者の平均年齢は55歳、平均契約額は174万円
  • 勧誘・解約に関するトラブル、見積りに関するトラブルが多くを占める

2 主な販売の手口

 リフォーム済みのマンションの一室をオープンルームとして開設し、チラシ頒布等により消費者に知らしめ、当該オープンルームを訪れた消費者に対し「お宅も見積もりしませんか」などと申し向け、当該消費者方を訪れて見積もりを行い、リフォーム工事等の契約を締結する。

3 特徴的な不適正取引行為

  1. 見積書作成後、同見積書の下が複写式の契約書になっていることを消費者に告げずに署名・捺印を求め、以降、契約の成立を主張する。
  2. 消費者のクーリング・オフ申し立て等に対し、高額な違約金を請求したり、訪問販売ではない旨を主張して解約を拒否する等して、契約の存続を強要する。

4 指示・勧告に至る経緯

 事業者は、東京都の「弁明の機会及び意見陳述の機会の付与」に対し、事実関係を全面的に否認し、特定商取引法の適用除外に該当する営業形態であると主張する内容の「弁明書」を提出した。
 これを受け、都で再度事実関係の確認等を行った結果、事業者が不適正取引行為を行ったものと事実認定し、適用除外には該当しないものと判断した。

5 今後の対応

  1. 指示等の内容に対する改善措置について、平成17年7月27日までに都知事あて報告させる。
  2. 今後の是正状況等を監視し、指示事項に違反する事実が確認された場合は、所要の手続きを経た上で、法に基づき業務停止命令等を行う。

6 「特定商取引法第7条に基づく指示」及び「条例第48条に基づく勧告」の内容

指示  契約の締結について勧誘するに際し、または契約の申込の撤回若しくは解除を妨げるため、不実のことを告げる行為をしないこと。
 契約の締結について勧誘するに際し、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、正確且つ十分な説明を行うこと。
 契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をし、又は契約の申込の撤回若しくは解除について迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げないこと。
勧告  契約にかかる損害賠償額の予定、違約金又は契約の解除に伴う清算金の定めにおいて、消費者に不当に高額又は高率な負担を求める条項を設けた契約を締結しないこと。
 契約の成立又は有効性について消費者等が争っているにもかかわらず、契約が成立し、又は有効であると一方的に主張して、強引に債務の履行を迫り、又は債務の履行をさせないこと。
 消費者のクーリング・オフの権利の行使に関して、手数料・送料・サービスの対価等法令上根拠のない要求をして、当該権利の行使を妨げ、契約の成立又は存続を強要しないこと。
 法令及び条例の遵守について、内部教育等により従業員に徹底すること。

7 指示及び勧告の対象となる不適正取引行為の主な例(概要)

不適正な取引行為 根拠法令
 その事実がないのに「また1件決まっちゃいましたよ。あと何件しかできませんよ」と決断を迫る。
 「40%の違約金は払ってもらう。これは法律で決まっていることだ。うちの会社には専門の弁護士がいる。第一もう工事は始まっている」などと、事実と異なることを申し立てる。
法6条1項
【不実告知】
 作成した見積書を示し「ここに署名と印鑑をお願いします」と求め、下が複写式の契約書になっていることを説明しない。 法7条2号
【重要事項不告知】
 「一晩考えさせてほしい」との消費者の申出に対し、「今日中じゃないと間に合いませんよ」と決断を迫り、長時間勧誘する。 法7条3号
(施行規則7条1号)
【迷惑勧誘】
 クーリング・オフの申出に対し、「どうしてクーリング・オフしたのですか。話し合いをさせてください」と申し立てる。
 電話で断ると「考え直してください」としつこく粘る。
 クーリング・オフの申出に対し、「例えば、お風呂だけとか、キッチンだけやるというのはどうですか」などと申し向け、「解約の書面を郵送した」と消費者が伝えると「そんなもの、いくら来ても受取拒否する」などと答える。
法7条3号
(施行規則7条1号)
【迷惑解除妨害】
 契約書に「申込がクーリングオフ期間を過ぎての解約及クーリングオフ以外の契約に関しては、当社規定により契約金額の40%を違約金として請求できます」との記載がある。 条例25条1項3号
(施行規則8条2号)
【高率負担】

 話し合いに際し、「見積書と思っていたと言うが印もついている。誰が聞いてもおかしい。私達が詐欺をやったと言っているのと同じだ」などと契約成立を一方的に主張する。 条例25条1項4号
(施行規則9条4号)
【契約成立の一方的主張】
 再三の説得をきっぱりと断ると「それならば違約金を払ってもらいます」と申し立てる。
 クーリング・オフの申出に対し、「40%の違約金は払ってもらう」と申し立てる。
条例25条1項6号
(施行規則11条1項3号)
【根拠のない要求による解除妨害】

問い合わせ先
生活文化局消費生活部取引指導課特別機動調査担当
 電話 03−5388−3074

〔別紙〕

勧誘事例1

<見積書の下が複写式の契約書になっていることを告げずに署名・捺印を求めたケース>

○平成15年8月2日都内在住の70代の男性Aは、自己が居住するマンションにおいて、リフォームのオープンルームが展示されることをチラシで知り、当日の午後5時30分ころ現場に赴き、洗面台等を15分くらい見学した。
 外に出ると、オープンルームに待機していたKRK関東(株)の男性営業員が、見積書をAに手渡し、「洗面台はこのくらいまで、お安くできます。」というようなことを説明したが、Aが自分1人では決められない旨回答すると、待機していた者のうちの1人が、「明日も11時ころなら見られますよ。」と明日も時間帯を限定して見学可能であることを説明した。
 Aが「10時ころでもいいか。」と聞くと、大丈夫ということであったので、Aは妻と2人で見に来ようと決め、立ち去ろうとしたところ、1人が「部屋番号を教えてくれ。電話番号を教えて欲しい。」と尋ねてきたため、Aは躊躇しながらも回答し、この時に名刺を受領した。

○翌日8月3日の午前10時ころ、同社営業員Xが「部屋を見に行きましょう。」とA方を訪れたので、一緒にオープンルームへ出掛けることにしたが、Xは大きな鞄を持ってきていて、それを「とりあえず玄関の外に置かせて欲しい。」と頼んだため、不用心だと感じたAの妻は、部屋の中に入れるよう勧め、Xは鞄をA方の室内に置いていった。
 15〜20分くらい部屋を見学した後、XがAらに対して「是非お宅も見積もりさせて欲しい。」と言ってきたが、Aは前日に洗面台の見積書を貰っていたことから、同様のものだろうと考えてこの申し出を了承し、Xは、A方の室内を見て回った。
 Xは、各部屋を見た後見積書の作成を行ったが、見積額について「特別価格で300万円にまけられます。」と説明し、更に、Xが作成し終えた書面を示しながら「住所・氏名と印鑑をお願いできますか。シャチハタ印で結構です。」とAに話したので、Aは疑念も抱かず署名・押印した。
 Xは、書類の下の紙を剥がして封筒に入れてAに手渡し、午前11時30分過ぎころに帰っていったが、Aはその場で改めることなく、封筒をカタログ等と一緒に置いておいた。

○夕食後にAらは、貰っていたカタログにどんな商品が載っているのか見てみようと、書類を取り出したところ、Xから渡された書面が契約書になっていることに気づいた。(契約書裏面には、「申込がクーリングオフ期間を過ぎての解約及クーリングオフ以外の契約に関しては、当社規定により契約金額の40%を違約金として請求できます。」との記載がなされていた。)
 驚いたAは、翌8月4日に地元の消費生活センターに相談したところ、クーリング・オフ通知を出すよう助言を受けたので、同社宛クーリング・オフ通知を簡易書留で送付した。

○8月6日に、XからA宛に留守番電話が入っていたが、対応しないでいたところ、8月7日午後2時30分ころ、同社のZという社員から電話が入り、Aに対し、「どうしてクーリング・オフしたのですか。」と切り出し、Aが、Xとのやり取りを説明して、契約だとは思わなかった旨主張すると、「私がXに聞いたところでは、そのようには思えない。話し合いをさせてくれませんか。」と話したので、Aは、消費生活センターに相談している旨を申し立て、話し合いを拒否した。
 その後、8月21日に消費生活センターで話し合いが行われ、Aは署名・押印した経過等を説明したが、Zは「Xは、Aに『是非うちに来てくれ。』と言われてA方に行った。見積書と思っていたと言うが印もついている。工事の時期も決めている。それを見積書だと思っていたというのは誰が聞いてもおかしいと思う。あなたが、『見積書だとばかり思っていたら契約書だった。』というのは、私達が詐欺をやったと言っているのと同じだと思う。」等と話し、Xは「契約書に判をついてもらう時『契約の印をお願いします。』と言った。」等と話し、Aに契約書に署名する意思があったと主張した。
 この話し合いの後、Zから消費生活センターの相談員に「センターを訴える。Aに文書を出す。」等と電話があったが、文書が送付されることはなく、後日、KRK関東(株)によりキャンセル処理された。


勧誘事例2

<迷惑な勧誘により契約を締結し、解約を申し出ると高額な違約金を請求するケース>

○平成15年12月18日ころ、都内在住の50代の女性Bは、新聞の折込チラシで、「リフォーム専門ショールーム オープン大特価セール、オープン記念クリスマスパック 122万5,000円、先着12名様」等と書かれた広告を目にし、本当に広告に書かれている価格でリフォームができるものなのか聞いてみようとKRK関東(株)新宿支店に電話をかけたところ、電話に出た男性社員は「実際にお宅の家の中を見ないと何とも言えないので、一度伺います。5時ころ行きます。」と答えたので、Bは、チラシには「見積無料」となっているところから、「見てもらってもいいかな。」と考え、KRK関東(株)社員が訪問することを承諾した。

○同日の午後5時30分ころ、同社の男性社員Yが、B方にやってきた。
 Yは、風呂場・キッチン等の水回り部分を短時間で見て回り、すぐに見積書の作成にかかったが、Bに対し「現在のお宅の状態で、水回り部分をリフォームすると、260万7,521円かかるが、クリスマスパックで安くなり、リフォーム後に自宅をモデルルームとして開放してくれれば、更に安く167万6,000円でできる。」というようなことを説明した。
 しかし、クリスマスパックは、12名に限られているということで、Yは「今日中に契約しないと間に合いませんよ。あとは、とてもこの金額ではできませんよ。」とBに説明した。
 Bは見積のみのつもりでいたし、大金を要する話なので、娘夫婦にも相談しなくてはと思い、「一晩考えさせてほしい。」と何度も話したが、Yは「今日中じゃないと間に合いませんよ。ここで、お子さんに電話したらどうですか。」と言って、決断を迫った。
 このようなやり取りが続いていた間、Yの携帯電話には何回か連絡が入り、その都度Yは「また1件決まっちゃいましたよ。あと何件しかできませんよ。」とBに話し、見積書を示して「名前を書いて、ハンコを押すだけでいいんですから、やりましょう。」ということを繰り返して言った。
 このようなやり取りが長時間続き、疲れて頭がぼーっとなってしまったBは、Yが指示した部分に、署名・捺印をした。

○翌日になり、今後の支払に不安を感じたBは、すぐにKRK関東(株)新宿支店に、前日の話を断る旨の電話を入れ、翌12月20日ころには、解約の意思を示した葉書を郵送した。
 しかし12月24日になっても、KRK関東(株)からは何の連絡もなかったので、Bから連絡を入れると、女性社員が出て、「担当者不在のため、明日連絡させる。」旨の回答をした。
 同日、Bは消費生活センターに相談して、改めて解約の書面を郵送するとともに、12月25日、BからKRK関東(株)新宿支店に連絡をすると、Zという者が対応し、「40パーセントの違約金は払ってもらう。これは、法律で決まっていることだ。うちの会社には専門の弁護士がいる。第一もう工事は始まっている。断っても工事はしますよ。」とBに話し、Bが「解約の書面を郵送した。」と言っても、「そんなもの、いくら来ても受取拒否する。」と答えたり、「例えば、お風呂だけとか、キッチンだけやるというのはどうですか。それで、残りの金額の分について、40パーセントにするか30パーセントにするか決めたらどうですか、今決めてください。」と話したりした。
 その後、早期解決を望んでいたBの意向から、BがKRK関東(株)に違約金5万円を支払うことで解決した。