〜温泉掘削工事作業の安全・安心の確保のために〜
「温泉掘削等に係る可燃性ガス安全対策ガイドライン」の策定
平成17年5月19日
福祉保健局
本年2月の北区浮間の温泉掘削現場火災を踏まえ、地質学・温泉科学・天然ガス削井・消防等の専門家による「温泉掘削に係る安全対策検討委員会」を設置し、市街地での温泉掘削に係る安全対策の検討を行ってきました。この度「温泉掘削等に係る可燃性ガス安全対策ガイドライン」として取りまとめましたのでお知らせします。
このガイドラインは、可燃性ガス事故を未然に防止するため、温泉掘削等工事の際の、講ずべき安全対策の内容を規定した技術指針です。
今後、都は、このガイドラインを基に指導要綱を策定して、温泉掘削等工事を行う際に必要な措置を講ずるよう指導していきます。
可燃性ガス安全対策の強化ポイント=4つの安全対策
1 ガス噴出への対応
(1)深度500メートルを超える掘削では、可燃性ガス噴出を遮断する噴出防止装置を常時設置
(2)危険濃度に達すると警報を発する可燃性ガス検知器を設置し、常時測定
(3)万が一のガス噴出に備え、比重の重い泥水を坑内に注入できる体制の準備
2 火気への対応
(1)掘削坑口から8メートル以内での火気の使用制限
(2)坑口付近の電気設備の制限
3 ガス管理体制の整備
(1)ガス安全対策管理責任者の配置
(2)管理記録の整備
(3)現場作業員の教育
4 事故発生への対応等
(1)役割分担、緊急連絡体制の整備
(2)掘削を行う場所の所轄消防本部への事前相談
※詳細は別紙のとおり
| 問い合わせ先 福祉保健局健康安全室環境衛生課 電話 03−5320−4391 |
〔別紙〕
温泉掘削等に係る可燃性ガス安全対策ガイドライン
平成17年5月
東京都内の平野部の地下水には、採取する深度によりメタンを主とする可燃性ガス(以下「ガス」という。)が含まれることがある。そのため、温泉掘削及び増掘工事(以下「温泉掘削等工事」という。)におけるガスの事故を未然に防止することを目的としてガイドラインを策定する。
1 ガス対策の必要な地域
温泉動力の装置の許可に係る審査基準(平成10年告示第724号)によって、一日あたりの揚湯量及び吐出口断面積の制限を受ける地域とする。
2 ガス噴出への対応
(1)噴出防止装置の設置
深度500メートルを超える掘削を行うにあたっては、ケーシングパイプの頂部にガス噴出を遮断できる噴出防止装置を設置し、坑内洗浄段階まで取り付けて作業を行うこととする。また、その後の作業にあっても、ガス噴出が無いことを確認できるまでは取り付けておくこと。この噴出防止装置は、掘削櫓(やぐら)の外側から遠隔操作ができるものが望ましい。
なお、掘削方法として泥水循環方式を採用する場合には、ガス噴出を防止できる泥水比重とすること。
(2)ガスの測定
温泉掘削等工事の作業中は、坑口あるいはガスの滞留する可能性のある場所にガス検知器(以下「検知器」という。)を設置し作動させておくこと。検知器は、危険濃度(メタン濃度20%LEL)を超えたときに、警報を発する型式のものを設置することとする。
また、検知器による測定の他、気泡の発生や掘削に使用する泥水の循環量及び比重の異常な増減等ガス噴出の兆候の把握に努めること。
- 測定値の記録
ガス濃度の測定値は、作業中、一日一回記録すること。特に、ガス噴出の可能性が高くなる坑内洗浄段階等では記録の頻度を高めること。 - 測定の単位
測定の単位は、濃度百分率(%)以上の精度又は爆発下限界濃度から求められた百分率(%LEL)とする。
(3)温泉掘削等工事の作業をしていないときの措置
温泉掘削等工事の作業をしていないときであっても、ガス噴出を遮断するための措置を講じること。
(4)非常用泥水の準備
温泉掘削等工事において、突発的なガス噴出があった場合に備え、適正比重の泥水を円滑に調製し、坑内へ注入できる体制を整えること。
3 火気への対応
(1)火気の使用制限
- 温泉掘削等工事の全工程で、掘削坑口から8メートル以内の区域では、裸火その他の危険な火気を使用してはならない。ただし、安全な措置を講ずることにより火気を使用する場合は、この限りでない。
- 工事作業場内各所の見やすい場所に、火気厳禁を示す表示板を設けること。また、使用しやすい場所に消火器を設置すること。
(2)電気施設の制限
- 工事作業場内に設置する電気施設は、防爆仕様のものが望ましい。これによらない場合には、坑口付近から遠ざける等、火災発生防止の措置を講じること。
4 ガス管理体制
(1)ガス安全対策管理責任者
工事作業場内にガス安全対策管理責任者(以下「管理責任者」という。)を置くこと。管理責任者は、噴出防止作業について熟知している者とし、その責務は、工事作業場内におけるガス対策の円滑な実施と安全の確保とする。
(2)管理の記録
以下のガス対策の管理項目について記録すること。
- 噴出防止装置の保守点検に関する項目
機器の設置状況、作動確認、保守等についての記録 - ガスの測定値
ガス濃度の読み取り記録 - 火気の取扱状況
作業のため止むを得ず火気を使用する場合、使用した理由、機器名、使用時間、機器の作業責任者名等の記録
※火気の使用については、管理責任者と協議の上、安全と確認できたときに限るものとする。
(3)現場作業員の教育
管理責任者は、現場作業員に対しガス対策についての教育を行うものとする。
5 事故発生への対応等
(1)役割分担及び人員配置
事故が発生した場合の役割分担及び人員配置を明確にすること。
(2)緊急連絡体制
事故が発生した場合、即座に関係機関等への連絡が取れるように緊急連絡体制を整備すること。
(3)所轄消防本部への事前相談
許可申請前に、温泉掘削等工事について申請地を所轄する消防本部へ申し出ること。その際、工事の施工計画及びガス対策を説明し、消防本部の指示に従うこと。
6 書類の保管
管理の記録、緊急連絡先及び役割分担表等のガス対策について記載したガス対策計画書を工事作業場内に備えつけること。
| 氏名 | 所属 | 役職 | 専門 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ○今橋 正征 | 東邦大学 | 名誉教授 | 温泉科学 | 東京都自然環境保全審議会委員 (温泉部会長) |
| 甘露寺 泰雄 | (財)中央温泉研究所 | 所長 | 温泉科学 | 東京都自然環境保全審議会委員 (温泉部会委員) |
| 佐藤 幸二 | (株)日本地科研究所 | 所長 | 地質学 | 東京都自然環境保全審議会委員 (温泉部会委員) |
| 遠藤 毅 | 基礎地盤コンサルタンツ(株) | 技師長 | 地質学 | 元東京都土木技術研究所地象部長 |
| 平川 良輝 | 帝石削井工業(株) | 取締役 | 削井 | 天然ガス鉱業会 |
| 田中 英夫 | 東京消防庁 | 課長 | 消防 | 特殊災害課長 |
○ 委員長