報道発表資料 [2009年3月掲載]
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〔別紙1〕

平成20年度ひきこもりの実態調査結果について
ひきこもる若者たちと家族の悩み

 近年、対人関係の問題などから、就労・就学などの社会的活動を行わない若者の増加が社会問題となっています。
 東京都では、平成19年度より、「ひきこもり」の若者への効果的な支援策を講じるため、その基礎資料となる「若年者自立支援調査研究」に取り組みました。
 19年度の調査では、「ひきこもり」の若者の人数推計を行うとともに、その意識傾向を明らかにしましたが、20年度は、その実態を更に深く調査し、このたび、2か年にわたる調査研究の成果を報告書としてまとめましたので、概要の紹介とともにお知らせします。

報告のポイント

〔19年度調査の主な結果〕

  1. 都内におけるひきこもりの状態にある若年者の人数推計⇒約2万5千人(0.72%)
  2. ひきこもりに親和的な若年者(ひきこもり親和群)の存在の指摘(4.8%)
  3. ひきこもりのきっかけ…就労に関わるつまずきが意外に多いことが明らかになった
  4. ひきこもり該当者の年齢層…30〜34歳(44%)⇒これ以上の層の実態は不明

〔20年度調査の主な結果〕

 これまでの自治体における関連調査の標本数としては最大数と考えられる、ひきこもり338事例等の分析により…

  1. ひきこもり状態にある高年齢層(35歳以上)の状況が初めて明らかに
  2. 昨年度、存在が指摘された「ひきこもり親和群」のさらなる分析
  3. 家族の意識、望んでいること

1 調査の概要

基本的考え方

○19年度調査において、ひきこもり事例を十分収集できなかったことから、ひきこもり及びひきこもりに親和的な者の事例を有する臨床心理士を対象に調査【A調査】を実施し、豊富な事例数の分析を行った。(回答票数495票)

○19年度調査において、ひきこもりのきっかけとして「職場不適応」が意外に多いことが明らかになったことから、就職経験のある求職者への調査【B1調査】及び新入社員への調査【B2調査】を通して、就労に関する実態を調査した。(回答票数B1調査:120票、B2調査:235票)

○19年度調査においては、15歳から34歳までが対象であったが、今回、49歳まで対象を広げた調査も実施し、35歳以上の実態について調査した。

○ひきこもりの親の会等の利用者への調査【C調査】を通して、現にひきこもりの問題を有する家族の状況について調査した。(回答票数185票)

※「ひきこもり親和群」について
「自分も、家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「理由があれば家や自室に閉じこもるのも仕方がないと思う」などの「ひきこもり」に対する理解を示す項目(19年度調査と同一)で高得点であった層を「ひきこもり親和群」として分類した(以下、「親和群」)。

2 高年齢層(35歳以上)におけるひきこもりの状況

 臨床心理士調査【A調査】では、

○35歳以上のひきこもりのきっかけでは「職場不適応」が最多(47%)
 ひきこもりのきっかけ(複数回答)
 (35歳以上)・職場不適応(47%)・人間関係の不信(33%)・病気(22%)
 (34歳以下)・不登校(53%)・人間関係の不信(42%)・職場不適応(13%)

○全年齢層におけるひきこもりのきっかけ別の継続期間に有意な差はない。
 ⇒10代に多い「不登校」と20代に多い「職場不適応」を比べてもひきこもり期間に有意差がない。

○35歳以上では、ひきこもり期間7年以上が6割(34歳以下では15%)
 年齢別の期間
 (35歳以上)・7年以上(61%)・1年〜3年(15%)・5年〜7年(11%)
 (34歳以下)・1年〜3年(32%)・3年〜5年(23%)・7年以上(15%)

(参考)今回調査における35歳以上の割合
 【A調査】16%(全回答数296のうち46)
 【C調査】27%(全回答数183のうち50)

考察

●高年齢層で、職場不適応がきっかけとなりやすいことが明確になった。

●全年齢層におけるひきこもりのきっかけ別の継続期間に差が見られないにも拘わらず、高年齢層における継続期間が長い
 ⇒高年齢層においては、長期化する傾向にあると推測できる。

3 親和群について

親和群の特徴

 臨床心理士調査【A調査】では、

○親和群の学歴は、ひきこもり群と比べて高い。
 (親和群)・4年制大学・大学院49%・高等学校35%、…、・中学校3%
 (ひきこもり群)・高等学校41%、・4年制大学・大学院26%、・中学校14%

○親和群はひきこもり群よりも「孤独感・寂しさ」で困っている。
 ・孤独感・寂しさ(親和群54%、ひきこもり群30%)

求職者における親和群の特徴

 求職者調査【B1調査】では、

○親和群の退職理由は「仕事上のストレス」「肉体的・精神的健康」の問題などが多かった。
 ・仕事上のストレスが大きかった(親和群51%、非親和群30%)
 ・肉体的・健康的に健康を損ねた(親和群38%、非親和群16%)

○親和群は、若年者の定着を促す企業内施策が行われていないと思う者が多かった。

※若年者の定着を促す企業内施策の質問項目
「本人の希望を活かした配置が行われている」「仕事と家庭の両立支援策が充実している」「若年社員の仕事の裁量を高める取り組みがある」「社員の意見・提案が経営に反映されている」「若者が職場で話しやすい雰囲気が作られている」

考察

●親和群は、学校段階までは適応できているが、人間関係などに困難を感じている者が多く、孤立しがちであるため、孤独感を感じ、ストレスに弱い者が多いと推測される。

●求職者の中には、こうした、ひきこもりに親和的な若者が、かなり含まれており、就労後は、仕事上のストレス、職場の人間関係などの問題から離転職意向に結びつきやすいと考えられる。

4 ひきこもりの問題を抱える家族の状況について

 家族調査【C調査】では、

○期待する具体的な支援(複数回答)は、
 ・「ひきこもり等の解決した事例や体験談の紹介(57%)」
 ・「ひきこもり等の問題に関する学習会や講座(53%)」
 ・「心理専門家によるカウンセリング(48%)」
 ・就労支援に関すること
  「本人に合った仕事を探すための仕事体験の場(48%)」
  「就職相談や仕事の斡旋(45%)」
  「就職のための資格や技術を取得・学習する場(44%)」
 ・他に、「ひきこもり等若者の居場所やフリースペース(36%)」
  「経済的な生活面での援助(34%)など

○家族が感じている苦労では、現状の生活より「将来の生活への不安」が非常に多い。
 (「不安が大いにある」の割合)
 ・老後に不安がある(62%)・きょうだいの生活と将来に不安がある(51%)

今後、求められる取組

●ひきこもり状態にある者への対応に加え、親和群の特性のある者も視野に入れて
 ・義務教育年齢段階あるいはより早期から、人間関係を構築するための何らかの方策を示すことが必要である。
 ・現に就労中の者に対しては、離職率を下げ仕事に定着させるための方策として、早い段階から個別の相談に応じられるような仕組みが必要である。

●家族への支援としては、ひきこもりの期間など個別の状況に応じた、よりきめ細かな支援が求められる。

※東京都では、平成21年度より、ひきこもりの未然防止への取組をさらに進めるほか、ひきこもりへの対応と併せて、若者の様々な悩みに対応する総合相談を実施することとしています。
 今後とも、本調査結果を踏まえ、「ひきこもり」の若者や家族を支援する取組を一層推進してまいります。