報道発表資料 [2008年5月掲載]
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1 ひきこもりの状態にある若年者の推計人数 約2万5千人

 無作為抽出された都内の若年者(15歳〜34歳)を対象にアンケート調査を行った結果、有効回答1,388人中10人(0.72%)がひきこもりと判断されたことから、この割合を都内の当該年齢人口に乗じて約2万5千人と推計された。
 なお、ひきこもりの状態にある人の回答傾向が一般よりも低いと推定されることを勘案すると、この数値は下限値と考えられる。

  • ひきこもりの状態にある若年者…1)調査項目の「普段の過ごし方」(Q22)で「自室からほとんど出ない」「自室からは出るが家からは出ない」「近所のコンビニなどには出かける」「趣味に関する用事のときだけ外出する」のいずれかを選択し、2)専業主婦、妊婦など「ひきこもり」と明らかに異なる回答を除いた場合を「ひきこもり」の状態と判断した。

2 若年者の意識傾向等(ひきこもり合計群、親和群、一般群間の比較)

(1) 群分けの考え方

  • ひきこもり合計群…前記1でひきこもりの状態にあると判断された10人に、相談機関等を通じて別途実施した同様のアンケート調査でひきこもりの状態にあると判断された22人のデータを加えた計32人を「ひきこもり合計群」として分析した。
    ※速報時点では、10人に18人のデータを加えた計28人の分析だったが、傾向としては同様である。
  • ひきこもり親和群…前記1のアンケート調査で、「自分も、家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「理由があれば家や自室に閉じこもるのも仕方がないと思う」などの「ひきこもり」に対する理解を示す項目で高得点であった層を「ひきこもり親和群」として分類した(以下、「親和群」)。
  • 一般群…前記1のアンケート調査で、「ひきこもり合計群」と「ひきこもり親和群」を除いたもの。

(2) ひきこもり合計群について

  • ひきこもりの状態になった時期(Q23)
    ・25〜27歳(25%) ・13〜15歳(16%)
  • ひきこもりの状態の継続期間(Q24)
    ・3〜5年(25%) ・7年以上(19%) → 1年以上の継続が全体の75%
  • ひきこもりの状態となった原因(Q25)
    ・職場不適応28% ・就職活動不調13% → 就職・就労に関することが多い
    ・病気25% ・人間関係の不信22% ・不登校19%

下矢印

【考察】
 ひきこもりのきっかけとして、就労に関わるつまずきが、意外に多いことが明らかとなった。

(3) 各群間の分析・比較

◇性別、年齢

  • 性別(Q1)
    ・ひきこもり合計群:男性(69%) 女性(31%) ・親和群:男性(30%) 女性(70%)。
  • 年齢(Q2)
    ・ひきこもり合計群:1) 30〜34歳(44%) 2) 20〜24歳(19%) 3) 25〜29歳(16%)
    ・親和群:1 )20〜24歳(36%) 2) 30〜34歳(23%) 2) 25〜29歳(23%)

 →ひきこもり合計群は30〜34歳が最多、親和群では20〜24歳が最多

下矢印

【考察】
●ひきこもり合計群は男性が多い
 →男性の方が、自立がより強く求められている背景と関係しているという見方がある。
●親和群の年齢層が比較的低い
 →ひきこもりの前段階にあり、今後ひきこもりになっていく可能性が考えられるが、断定するには、より多角的な検証が必要。

◇生育環境・学校での経験(Q11)

〔学校での経験〕

  • 不登校経験(ひきこもり合計群34%、親和群11%、一般群5%)
  • いじめられた経験(ひきこもり合計群44%、親和群27%、一般群18%〕
  • 学校の勉強についていけなかった(ひきこもり合計群50%、親和群29%、一般群15%)
  • 学校の先生との関係がうまくいかなかった(ひきこもり合計群41%、親和群24%、一般群11%)

〔友人関係〕

  • 親友がいた(ひきこもり合計群28%、親和群65%、一般群71%)
  • 友達とよく話した(ひきこもり合計群38%、親和群64%、一般群81%)

【考察】
●学校での経験(不登校、いじめ、勉強、先生との関係)は、親和群は、ひきこもり合計群と一般群の中間に位置している。
●友人関係は、ひきこもり合計群が希薄な傾向にあるのに比べ、親和群は一般群に近い傾向にある。

(4) ひきこもり合計群における相談に関する意向について

  • 関係機関に相談する意向(Q26)
    ・非常に思う(31%) ・思う(16%) ・少し思う(31%)→約8割が相談意向あり
  • 相談したい機関の条件(Q27)
    ・無料で相談できる(56%) ・親身にきいてくれる(53%)
    ・心理学の専門家がいる (50%) ・同じ悩みを持つ人と出会える(37.5%)
  • ふだんの悩み事の相談相手(Q34)
    〔他群と比べて高い項目〕
    ・カウンセラー・精神科医(47%) ・都などの専門機関の人(22%)
    ・誰にも相談しない(34%)
    〔他群と比べて低い項目〕
    ・友人・知人(25%) ・夫・妻(3%)

【考察】
 ひきこもり合計群においては、家族や友人などのインフォーマルな関わりよりも、公的な機関や専門家に相談している。その一方、誰にも相談しない割合も高く、相談できる場や人を持たないケースも多い。
 全体で約8割の人が相談したいという意向をもっていることから、気軽に相談でき、親身に話を聞いてくれるような相談機関や場が求められているとみられる。

3 今後のひきこもり対策について

 平成19年度若年者自立支援調査研究においては、ひきこもりがもたらされる背景・要因等について、さまざまな視点から考察を行った。
 平成20年度も引き続き調査研究を継続するとともに、不登校経験者や高校中退者を対象にひきこもりの未然防止を図る取組(ひきこもりセーフティネットモデル事業)や、NPO法人等との協働による支援プログラムの実施など、新たな取組を着実に推進していく。