都民のみなさんへ

平成24年2月8日更新


発言内容

都民のみなさんへ(2月)

 みなさん、こんにちは。
 四月から始まります、今年平成24年度の予算がまとまりまして先月発表致しました。
 国政が混乱停滞している中で、日本もいろいろ本当にあちこち不具合を呈してきて、経済も停滞しているものですから、東京の税収もずっと減り続けているわけですけれど、その中でいかに有効な予算を編成するかということにみんなで苦労しました。
 その前に、日本は日本でありますが、日本が存在する世界全体の混乱というものが、今年はもっと大きくなると思います。
 厄介な問題が幾つかありますが、その1つは、昨年の暮れに行われたダーバンの環境問題の会議(気候変動枠組条約第17回締約国会議 COP17)が全く何の結論も出ずに、CO2の多量排出国であるアメリカと隣の中国とインドが、ごねてそっぽをむいて結局会議はまとまらずに、9時間も10時間も延長して、何を決めたかというと、これから4年先に新しいルールを決めると。しかも、そのルールはそれから更に5年先に運用しようというものです。その9年間、今のままでは、どんどん世界の環境は悪くなる。今年も日本ではあちこちで豪雪が降っていますし、去年もアメリカでは珍しくワシントンで雪が降ったり、日本も豪雨禍に悩まされたり、特にタイ国では日本の企業がたくさん進出しているのに、これは豪雨で水浸しになって、あそこの経済というのは足踏みすることになった。これは、みんな異常気象だなんて言っていますけれども、実はそうじゃないんです。頭を冷やして考えてみると、北極南極、あるいはヒマラヤの高い山の氷はどんどん溶けている。アルプスも溶けている。そして氷河がどんどんなくなっている。その水がどこへ行くかといったら、みんな太平洋、大西洋、そういう大きな海に注がれるわけでしょう。それで海の水は増える。増えると地球は回転しますから、一番遠心力のかかる赤道周辺の島までどんどん埋没している。私も4、5年前に行きましたツバルなんていう砂地で出来ているあの国はもう半分以上沈んでしまって、そろそろエクソダス(脱出)で、住民が限られた数でありますけれども、近くのオーストラリアに吸収避難しなければ、もう生きていけないという、そういう状況が迫っているわけです。これは当たり前の話で、海の水が増えたらそれだけの水蒸気が増えるわけです。その水蒸気は、今度はどこに来るかといったら、雨になったり雪になったりして、また、地球に降り注ぐわけですから。異常な豪雨は実に当たり前の現象だし、異常な豪雪も実は当たり前の現象なんです。そういうものの中で、私たち、これにいかに対処するかと本気で考えて行かないと。なんだかんだといって、人類が生存しているこの舞台の地球そのものが棄損されるということになりかねない。
 2つ目は、陰に陽に世界をリードしてきたヨーロッパがEUを作ったおかげで、非常に混乱を呈してEUそのものの経済が破綻する。これは、ヨーロッパにとどまらず、世界全体に大きな影響を与えます。その一つの証拠が、日本も決して経済的に安定していると思いませんけれども、この日本の円が異常に高くなった。これがその1つの証左です。
 3つ目が、近代に入って、世界全体を実質的に支配搾取してきた白人たちが作ったキリスト教圏が今、イスラム教圏に非常に大きな幅で色々な形の報復を受けている。これは、歴史の一つの大きな波のより戻しだと思いますけれど、その象徴が、今、アメリカの主導でNATO(北大西洋条約機構)の軍隊が戦っているアフガンは絶対に彼らはあの土地では勝てない。勝てないでしょう。しかしその結果、イスラム圏がどういう勝利を挙げるかというと、かつて昔、十字軍を招聘(しょうへい)したようなサラセン帝国(イスラム帝国)のイスラム圏の人たちが、キリスト教の聖地のエルサレムを占領してしまって十字軍が怒ったみたいな、そういう形で起こっては来ないでしょうが。しかしあの十字軍だって、結局片が付いたか付かないうちに雲散霧消したんだけども。キリスト教圏とイスラム教圏の相克というのは、これから続くでしょうし、それが世界に大きな混乱をきたす。そういう状況の中で、日本の経済もあまり振るわずに、都としてはこの5年間、税金がどんどん減ってきて、そういう状況の中で私たち苦労をしてきたわけです。
 こうしたハンディキャップを背負った状況の中で、今まで、みんなで努力してやってきた財政再建の結果、1兆円を越していた積立金、貯金です。これも、少しずつ減らしてきて、それでもなるだけこれから減らすまいということで、8,300億円近くは残してあります。これからもっと厄介な事態が到来した時にどうやって使うかというのも大事な選択の問題になると思いますが。そういう状況の中でも将来を見据えて強固な財政基盤を保って行こうということで、「総額抑制・重点配分」という、そういう予算を組みました。
 それから何と言っても、この経済を奮い立たせるために、昔からケインズ派の経済学者が言っているように、なんだかんだ言っても、行政が経済を刺激する一番の手立ては、社会資本を充実していくことです。色々な工事を進めて行くことです。国との協力だけではなくて、都独自のものも、かなり今度は増やして頑張ります。
 いつやって来るか分からない災害に備えての準備も、東京が実はあの(東日本)大震災以来、10分間に1回くらいの地震に見舞われている。これは、体感度はなくても機械で測るとそういう現状になってきた。それから東大の地震研究所が報告しましたけれども、東京湾の中に実は、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートそして太平洋プレートと3つの大きなプレートがぶつかっている。これがぎしぎしぶつかることでの大きな地震の引き金になるような、そういうポイントがあるということが分かりました。私は、相当本気で直下型の震災というものを想定して備えをしなければいけないと思います。そういった点にも配慮しました。いずれにしろ、世界全体が今ピンチに陥ってきた。それに引きずられて日本の経済も傾いてきた。その中で、日本の首都であります、日本の頭脳であり心臓である、この東京というものを、いかに活力を保ちながら維持して行くかということで予算を編成しました。
 細かい点については、みなさん色々ご注文もあるかも知れませんけど、こういう状況の中でも、この東京を日本のためにきちんと守っていく、そういう作業をこれから私たち一生懸命やって行きますので、一つご理解賜りたいと思います。

東京都知事 石原 慎太郎

<関連ページ>
(別ウィンドウで開きます。)