石原知事定例記者会見録
平成18(2006)年10月20日(金)
15:30〜16:16
知事冒頭発言
1.公営企業金融公庫について
【知事】冒頭、私から三つ申し上げることがございます。
一つは、例の地方自治体のための公営企業金融公庫についてですけれども、私はちょっと他の仕事で出席しませんでしたけれども、全国知事会でも侃々諤々(かんかんがくがく)議論があったようですけれども、いずれにしろ、この廃止と、それからこれにかわる地方共同の新組織をつくることについてはいろいろ意見が出まして、日本全国で見れば、市町村を中心に25兆という膨大な借り入れ実績がありますのでね、新組織は当然必要だと思います。今後の大方の地方自治体の財政状況の推移を推測し、それから、国の財政の指針というか、これからの推移を考えると、なかなか物事が全て好転するととても思えませんし、財政的に。資本金を全自治体が出資するということですけれども、知事会が賛同するならば、都は反対はいたしません。
ただ、債務保証について、各自治体に無限責任を負わせるような仕組みにしろという動きがあるようですが、これは地方の自立を目指す地方分権の趣旨を考えて、慎重に検討してもらいたいと思っております。新組織の信用力を高めるためには、公庫が持っている3.7兆円の蓄えを引き継ぐことが肝要でして、これをどうも財務省が横からということで狙っているようですけれども、これは理不尽というんですかね、法律の原理にもとってまで、例えば法人税なんてのにかえて、とにかく儲かっているところから取るという非常に姑息な、行き当たりばったりの、その場しのぎのやり方にも通じていて、これはとんでもない話だと思います。
2.目黒公園(都立林試の森公園)事業認可取消請求事件への対応について
それから、ちっちゃなことでしょうけどね、これは基本的に国というものの姿勢がうかがえるんですが、目黒公園、都立林試の森公園ですか、公園にかかわる事業認可取り消し請求事件への対応ですけれども、この林試の森公園の拡張事業については、東京高裁で差し戻し審が行われておりますけれども、この公園は、災害時には地域住民の避難場所となる重要な公園でありまして、裁判が早期に決着して、いつ来るか分からない震災に備える必要があると思います。このため、当面の対応としては、国家公務員宿舎敷地を活用して、暫定通路を確保することにしました。この宿舎の敷地は、今年7月に国が処分方針を出しておりまして、これを契機に公園の都市計画の見直しを行いまして、新たな入り口広場を確保していきたいと思っています。民間の土地を対象とした現在の事業認可は速やかに取り消しを申請しますが、いずれにしろね、あれは大蔵省(財務省)か何かの官舎なのかな、そこが通さないと。人が既に住んでる敷地の中に道を通して、避難地にするというのは論外な話でね、とにかく何でもかんでも自分の持ってるものを放さない、関財(関東財務局)の悪い癖ですけれども。
前にも言ったけども、私のホームポートである油壺なんかでもね、非常にヨッティングが盛んになってきて、もっと新しいアコモデーション(施設)が必要なのに、隣接している全然使いようのない土地を関財が放さずに、ヨットクラブ、クラブハウスがパブリックなんでつくれないという例がたくさんありますよ。今度もこの例で、自分たちの持ってる財産を国民などには手を触れさせない。住んでる人間にそこをどけという話で、これは論外な話ですよ。
3.旧墨田産院の新生児取り違え訴訟への対応について
【知事】3番目は、例の厄介な、非常に悲痛な事件ですけれども、旧墨田産院の新生児の取り違え訴訟でありますけれども、この対応ですが、先週、東京高裁で判決がありました。墨田産院における新生児取り違え訴訟でありますけれども、これは、都は上告しないことにしました。前回の会見でもお話ししましたけどね、これは本当に痛ましい話でして。一方の、相手方の人生というものにもかかわる問題ですから、行政としてはできることに限りがありますしね。こうしたことから、控訴人の男性の心情など総合的に斟酌(しんしゃく)して、そういう判断をいたしました。
これ、例えば一審の云々、云々を『認める』というのはね、法的に大体80%以上の確率のことをそういうふうに表現するらしい。ところが、二審の『推認』ということになりますと、法的には51%以上の確率という意味合いなんだそうで、これにこだわる訳では決してありませんが、総合的に判断しまして、やっぱり相手方もある訳ですから、どういうんでしょうね、自分の出生に疑義を感じているこの原告の方、気の毒は気の毒ですけれども、相手の方もいらっしゃる訳だから、そういう全体の状況を斟酌して、東京都としては上告いたしません。そういうことになりました。
以上ですが、質問があったらどうぞ。
質疑応答
【記者】前回、今の都立産院のことでも伺いましたけれども、今回上告しないということで、そうしますと、都の責任としましては、債務不履行という問題があると思うんです。それは、真実の両親に生まれた赤ちゃんを渡す契約をしていたけれども、その契約が不履行になっている…。
【知事】まあ、あんまりあなた、そんなに、事立ててね、メディアがメディアの記事をつくるために、くどくど小さなこと言いなさんな。お互い人間同士のことなんだから、何を言いたいんだ、それで。
【記者】ですから、東京都としては、真実の両親を捜すという点についてはどんなふうにお考えですか。
【知事】一生懸命言っておりますように、開示請求の問題はあるかもしれませんがね、しかし、今までそれは実際に行われていて、こういうケースの場合は全部、要するに黒塗りの部分があるんです。だから、全然調査が調査にならないのよ。そういうことを分かってて、あなたは質問してるんだろうけどね。それで開示請求したって、同じような真っ黒に塗られたものが来たって、何の捜査の手がかりにならぬじゃないですか。それでも、あえてしろっていうの?手がかりにならないものが開示請求して出てきたら、それはそれで結構です、それを原告に渡せばいいんだから。それで、その人の人生何も助からぬし、捜査の手がかりにもならないでしょう。
【記者】そういう中で、具体的に東京都としてはどのようにお考えですか。
【知事】これ以上しようがないよ、だから。責任をとって、要するに賠償を払うしかないじゃないですか。それだけですよ。
【記者】賠償を払って、それでもうすべて終わりということですか。
【知事】すべて終わらざるを得ないでしょう。この後、捜査って、実際東京都はどういう手を貸すんですか。出てくるものだって決まってるんだから、もう既にたくさん事例があって、プライバシーにかかわるから、要するに、肝心なところは全部消されたものしか出てこない訳ですよ、請求した資料としてもね。あとは、それで原告が判断することじゃないですか。やったって同じことしか出てこないんだから。
はい、次。
あまり事を荒立ててね、事件にしない方がいいよ。はらはらしてる人がいるかもしれない、どこかにね。
【記者】そこなんですよ。
【知事】だから、そこなんだから、何なんだ、それは。
【記者】ですから、前回の記者会見の中で石原さんが、結果を見て責任を果たすというふうにおっしゃった部分は、損害賠償の部分を払うということなんですか。
【知事】それしか果たし方はできないじゃないですか。どうやったらいいんですかね。方策があったら教えてくださいよ。
【記者】前回、私、言いましたように…。
【知事】原告の方にもためになり、隠れている人たちにもためになるような方法があったら教えてくださいよ。何も事を荒立てて、ほじくり立てて、傷口広げて、どうなるもんじゃないんだ。メディアはそれで取材して記事にしたからいいかもしらぬけどもね、それで世の中済まないと思うよ、僕は。隠せたら隠した方がいいことだってあるんだ。相手がいることなの、これはね。
はい、次。
【記者】オリンピックの招致組織の関係で、JOC(財団法人日本オリンピック委員会)の人選に、IOC(国際オリンピック委員会)がちょっと問題があるということで…。
【知事】それはね、要するに、JOC、IOCというのは日本の中の問題でね、そこのところは、やっぱり事務局しっかりしてもらいたいんだけどね、猪谷さん(猪谷千春 IOC副会長)みたいな副会長がいて、IOCの副会長ですよ、それで、倫理の専門員というか担当してる人がいるんだからね、「水野さん(水野正人 ミズノ株式会社会長)というオフィシャルサプライヤー(協賛企業)が事務総長になっていいか、悪いか」というのはだね、世間に発表する前に、身内の猪谷さんに相談したらいいじゃないですか。それを勝手にやるからだね、猪谷さんの方が、「これは問題あるんじゃないか」と言われてね、それで、彼の判断だけじゃどうなのか知らぬけども、どう評価したか知らぬけども、ローザンヌ(IOC本部のあるスイスの都市)まで飛んでいったら、やっぱりだめだったというんでしょう。これはやっぱり向こうの事務能力の問題じゃないかと私は思いますけどね、本当に。しっかりしてもらいたいよ、本当。
【記者】このことで、若干、また…。
【知事】他に人材はたくさんありますよ。別にそんな早急に、急ぐことじゃありませんしね、人材を人選してね、またその代案みたいなものをJOCも考えているようですけど、こちらはこちらでそういったものが出てきたら、斟酌して、これは好ましいとか、好ましくないとか。それから、向こうからの依頼もありますから、「それにかわる人材を探そうか。どういう人材を探していいか」って、これは初めての経験で分からないからね。JOCだって分からないんじゃないですか。要するに、数十年(約十年)ぶりにやることだからね。どこかのオリンピックに乗り込むときと違って、日本に招致をする活動というのは何十年(約十年)ぶりのことですからね、経験者はいない訳だから。やっぱり両方で努力して、知恵を出し合うしかないんじゃないの。
【記者】知事の方からも提案を出されると。
【知事】出します。依頼がありましたから。
【記者】別件なんですが、先日、ちょっと議会の関係なんですけれども、後藤(雄一)都議の調査委員会の方で、(都立)府中病院の立ち入りに関してですね、各会派から、「病院側からの告発などといった法的措置をしてはどうか」というような指摘なども出たんですけれども。
【知事】それは議会のやることだから、議会に聞いてくださいよ。ただ、あの人、私にした質問でね、「都庁の上のレストランでいろいろパーティーやってる」と、その下には非常に大事な、何があるか知りませんよ、どういう部門がいるか、しかし、そこに酔っ払った人が降りていったりすると、要するに「行政のセキュリティに支障を来たすんじゃないですか」という質問があった。「それは確かにありますな。注意しなくちゃいけない」と言ったけどね。要するに議員の特権があるかないか知らないけども、無断でだね、病院に踏み込んでって、勝手に冷蔵庫開けて、しかもそれ、検査室だ。私もあの検査室の冷蔵庫に何がしまわれているか知りませんがね、スカーペッタが主人公の何とかという検屍官シリーズ(米国人作家パトリシア・コーンウェル作「検屍官」)のあれにもあるけども、要するに冷蔵庫には非常に危険なものがしまわれている可能性があるでしょう。私はその病院、知りませんけども。それをとにかく開けてだね、中にビールがあったってのを告発したんでしょう。私はやっぱりね、彼のやってることもかなり病院の機能のセキュリティに関して危ない行為だと思いますけどね。あまり議会はそれを指摘しませんな。
【記者】なんかその辺も指摘してですね…。
【知事】ちょっと遅いんじゃないの。
【記者】都側から、病院側からも告発したらというような話も出ている…。
【知事】病院側もそれをどう受けとめているかね。病院側の危機管理の姿勢の問題でしょう、それはやっぱり。議会に言われて慌てて告発するというのも、ちょっと私は遅いと思うけどね。そういう事態があったら、病院としては非常に不本意な出来事だったんだろうけど、それは要するに病院の危機管理というものにどう関連するかって、私はよく分かりませんが、しかしそれはあるとするなら、ないなら別だけど、まあいいやと済むことでもなさそうだけれども、病院の危機管理というものに深く関係あるものだったら、検査室の冷蔵庫を無断で要するに余人が勝手に開ける云々ということの行為は、私はやっぱり検査室の冷蔵庫って、小説家的なイメージでしか描けないし、実際に現場に行った訳じゃないから、これは病院当事者の危機管理に対する意識の問題だと思いますね、はい。
【記者】旧都知事公館についてお伺いしたいんですが、ことしの5月にも質問を私、ここでしたときに、「使い道、困っているから考えてくれよ」と知事に言われました。考えました。有識者も入れて。まず、売却するというオプションですけど、これはまあ都が黒字なので、必然性は高くないだろうと。壊すというふうなことは、まだ躯体ができてから10年もたってないから、それはやっぱりもったいないと思います。そうすると、やっぱりリフォームして有効活用するのが一番いいんじゃないか。私たちが考えたのは、いわゆるレセプションなんかでホテルを使ってますよね、今ね。それで迎賓館的にリフォームして、外から見てもあんな無骨なものじゃなくて、そういうふうなものに変えて使ったらいかがかという提案に来たんですが。
【知事】メディアにしちゃね、要するに調査がずさんだね。あそこはね、やっぱり要するに用途上の制限があるんですよ。あそこは第1種低層居住(住居)専用地域ですからね。迎賓館というのはホテルとかレストランにノミネート(分類)されるの。そういう営業というか操業をすることは、地域の制限でできません。だけど、ある意味の1つサゼスチョンでね、私が公館として使わない、あんなとこ、とっても住めないとこだけど、ただ少しリフォームしてね、大体会議室ばっかりあってね、迎賓館に使うにしたって、私はだからね、大事なオノラブルゲスト(賓客)をあそこに泊める、個人的に泊めるということはできますよ。それにしても、まあねえ、従業員というか、例えばハウスメイドの住む部屋もないしだね、その他この他で、中をリフォームすることは可能ですから。そうしてやっぱり、迎賓館ではなしに、私の公館を私が大事なゲストに提供して、お招きして泊めると。私は泊まらないよ、一緒に。
【記者】なんでそんなに嫌なんですか。
【知事】嫌だよ、あんなとこ。住めるとこじゃないもの、本当に。行ってごらんよ、あんなとこ。
【記者】いや、行きました。確かにみっともないんですけど。
【知事】みっともないよ。あんなものを、だれがつくったか知らぬけどね、今の官邸と同じで、営繕部がつくるとあんなものしかつくれない。だから、官僚のセンスってあんなものだよ。だから、まあね、折衷した形でね、改造してね、私がプライベートにオノラブルゲストに提供してお泊めするということはできるでしょう。それだけ頻繁にそういう大事なゲストが来るかどうか、分からないね。
【記者】いや、オリンピックもある訳でしょう。
【知事】うーん、いや、それはしかし、あそこに泊まるのは、本当に迷惑じゃないかしら。
【記者】泊めなくても、まあお招きするというふうな話ですから、もともとあそこは都知事公館としての建物ですからね、迎賓館としてまずいんだったら、あくまで知事の別邸と。別邸という言い方していいのかな、そこにはお招きして、饗応するみたいなことだったら可能なんじゃないかなと。
【知事】饗応するのはもっとましなところで、眺めのいいとこにするよ、ここの眺望でもするし。
【記者】まあでも、リフォームして使うということについては一考の余地ありということで。
【知事】まあリフォームをして何に使うかだ。目的次第でリフォームの仕方も変わってくるでしょうけどね。あそこに遊ばしておくのはもったいないと思うしね。せっかくいい借り手がついたんで貸したらね、何ていうのか、勝手なことをし出してね、まさに言った第1種低層住居専用地域にそぐわない営業を始めたんで、出ていってもらった。いくつかの、例えばEUの大使の公邸にしたいと言うけど、私はそう長くやってませんからね。向こうは10年単位で借りたいって言ったってね、10年後に、あるいは何年か後に、あとに来る知事がだね、「私は住みます」と言ったら、「出て」って訳にいかないだろう。
【記者】まあ、それまであのままにしておくというのが一番よくないですね。
【知事】そうです、よくないですよ。
【記者】つまり、リフォームありということですか。
【知事】リフォームありだけども、それこそもう一つ頭を絞ってどういうふうに使うか、考えてくれよ。
【記者】もう一回ですね、はい、分かりました。では、再考させていただきます。
【記者】大気汚染訴訟の関係でお伺いしたいんですが、国の方は新たな給付制度に対する支出についてはかなり否定的なというか、後ろ向きな回答というか、大臣がしていましたけれども、これはもし国から資金を出さないとしたら、都とメーカーだけとかとでつくると、もしくは都単独でやるというようなことが考えられないでしょうか。
【知事】まあね、新大臣のコメントはね、役人が書いたのを右から左に読んだだけでね、新しい大臣にああいうことを言わせるんだ、役人はね。それは役人自身も政治家自身も文明批判がないから、そういう姿勢がないから、発想がないから。だからね、もっと大局的に考えればね、政治家として役人の言うことに耳を傾けながら、かつやっぱり国民の立場でものを考えればね、モータリゼーションの時代にああいう形で被害を出したという因果関係が分からぬたって、そんなもの、調べなくたって分かり切ったことだ、そんなものはな。だって、東京に圧倒的に喘息が多いじゃないか。だから、こっちもディーゼルエンジンの改良とか排気ガス規制やったんだけど、まあそういう点でね、都としてこの段階で、まず国やメーカーがね、マスコミじゃない、あなた方自身。裁判所で、公の席で何を言うかということを要するに確認した上で、これから対応していきます。自工会(社団法人日本自動車工業会)は意欲あるんですよ。会社の名前は個別に言わないけど、いくつかの会社なんか「できます」と言っているんだから、これは自工会全体の問題になってくると、できないとこ、できるとこありますからね。被告になってる会社だって複数ある訳だしね、能力のある会社とない会社とある訳だしね。これからの問題もそうだし、今までだってね、意識を持った会社、持ってない会社、あるんだろうけども、いずれにしろ、役所は面倒くさいことをやらないから。
僕は昔水俣(病問題)をやって思いましたがね、こういう問題ってのは、やっぱり国全体が行政の主体者として、この問題に対して責任あるなという文明批判的な自覚を持つまでに、かなり時間がかかりますな。水俣もやっとこの頃になって、それができた。時期まさに遅過ぎるんだけども。私は、やっぱりいろんな自分なりの調査をしましたよ。例えば行っちゃいけないと言われたところ、離島まで行きましたよ、水俣の先の。あるいは、あそこのハモを取り寄せて、ハモ問屋が、水俣に一回も行ったことのない人が水銀病にかかっている訳だ、水俣病に。そういう事例を踏まえて役所の中へ持ち込んでもね、役人はしり込みして反応しなかったね。だから、私は、一方的に国の責任は認めたんです。だけど、それに沿って、大臣なんかすぐやめるから、あのときも1年ぐらいやりましたがね。その後、それを受けて、次の、要するに、後継者なり国全体が、次の内閣が、これをどう受けとめ、どう改良するかという手だては一向に講じずに、結局、今日までだらだら来て、あの胎生患者だってすっかり大人になって、もう40を超したでしょう。こういう事態が続く中で、まあ、要するに、少し改善のめどがつきつつあるけれども、いかにも遅いって感じがするね。
【記者】裁判上の話になるかもしれないんですけれども、要するに、裁判所としては、和解がなければ判決を書くということになるかと思うので、あまり時間はないかと思うんですね。だから、もしまとまらなければ、さあ、どうなるのかということも考えられますので、そこは知事のご決断になるのかもしれませんけれども。
【知事】しかし、やっぱりこれは裁判にかかわっていることですからね、やっぱりそういう手続きがどういう結論を出すかってことを認めないとね。それから、やっぱりその過程で、上から国が裁判所に何を言ってるかということも、まだ聞き届けておりませんから、それを聞いた上で都は判断し、非難すべきは非難するし、それこそあなた方メディアがだね、要するに、義侠(ぎきょう)に燃えてだな、弱者を助ける大きなムーブメントを起こしてくれよ。それじゃないと動かないよ、国なんて。
【記者】今の大気汚染訴訟の関係なんですが、知事は今、自工会は意欲があるとおっしゃっていたんですけれども、今日、午前中にありました自工会の会長の会見で、会長が、「自工会は訴訟に入っていないので、検討に加わるのは適切ではない」というような発言をしているんですが。
【知事】それはそうでしょう、やっぱり。
【記者】表向きの発言はそういうことで。
【知事】私が言ったのは、自工会を構成している有力な会社の意見ですから、自工会としては、私は意見を聞き取った訳じゃありませんけれども、しかし、有力な会社は、「やればできる」ってことを言ってるしね、「やればよかった」とも言ってるし、これからの問題だと思いますよ、それは。自工会がどういう意識を持ち直していくかということで。
【記者】来年春の都知事選なんですけれども、共産党系の候補が、前の足立区長を擁立するということを決めましたけれども、何か思いございましたら。
【知事】全然ないね、もう。また供託金没収にならないようにしてくれよ、本当に。
【記者】北海道とか福岡県で、いじめを苦にした自殺が続いていまして、文部科学省とか東京都も含めて、各自治体、対策の強化に動いているんですが、このいじめを防ぐために行政として何ができるか。知事ご自身として、どのように考えていらっしゃるか伺いたいんですけれども。
【知事】これはなかなか難しいね。それこそ、やっぱりそういう問題を、いじめに限らずね、教育のゆがみもそうですし、少子化の問題、その前提になっている若い人が結婚しなくなった云々の問題ね、あなた方もやっぱりもっと勉強した方がいい。私も一生懸命勉強していますが、この間、非常に参考になった対談があった。私の親しい精神病学者の斎藤環君と、首都大学東京にこういう逸材がいるのを初めて、宮台さん(宮台真司 首都大学東京准教授)という、社会学の准教授というのは助教授なのかな、この人の対談が、これ、宣伝する訳じゃない、今出ている「Voice」(PHP研究所)に出ている。これは面白かったね。非常に専門性が高いんで、教養がない人には分からんかもしらないけれども、普通、字面が読めれば、関心があったら分かるが、なかなか盲点をついていて、なるほどそういうことなのかな、こういうのが見えない前提にあるから、いじめの問題が出てきたり、人間が歪んできたり、逆に、歪んでいるけど画一化されたり、いろんな問題があるんだなということが分かりましたがね。ぜひ読んでください、それ。とっても参考になるから。ここで私、それをいちいちレクチャーするほど教養もないし、咀嚼(そしゃく)していませんがね、とても面白かった。それでね、やっぱり情報の氾濫、それが人工的な情報が、テレビゲームもそうですし、インターネットもそうですし、そういうものを通じて一方的に与えられると、これはフランスの何とかいう哲学者が、本質的貧困とか言ってたけど、本質的に人間が衰弱してね、貧しくなってくると、内側でですよ、情報の判断とか評価っていうものまでも、要するに、ほかの手だてに委ねて、自分自身の判断ができない。しなくなる。それは人間の感性がそれだけどんどん鈍麻して、人間自身が本質的に弱くなっているということだと思いますがね。
やっぱり学校の教師もそういう点でだめになってきているし、学校の教師が子どもをいじめるってことはありますよ。私の息子なんかいじめられた。私がちょっと著名な作家だったから。まだ私は20代だったけど。僕は小学校に怒鳴り込んでいって、校長をとっちめて、「その先生を首にしろ」と言ったね。「子どもにこんなあだ名をつけて、何をしてるんだ。おれは、この教師が直さなかったらぶん殴りますよ」と言ったら、校長が注意してくれたみたいだけど。そういうケースってのはあるね。それもやっぱり教師自身が弱いから、物書き志望か何か知らんけれども、私がパーッとなってくると変な劣等感を持ってね、その羨望もあったのかもしらないけど、要するに、その子どもをいびる訳ですよ、変なあだ名をつけて。そういう事例ってあると思うし、今度の先生もやっぱり言っちゃいけないことを、「おまえ、あいつはな」というんで、要するに、ほかの生徒とチャットするような形でそういう情報を流す。それで自分も一種のエクスタシーを感じる。こういう弱い人間が教師になることも問題だけど、教師はいろんな人がいますから一概に言えないが、やっぱりその大前提に、文明がこれだけ進み、便宜化し、その結果、物事が豊穣に豊かになってきたと同時に、情報も簡単に氾濫し、簡単に手に入れるけども、そのメカニズムが本質的人間を疎外しているってことは否めないね。
それは抽象論で言ってもしようがないんだけど、行政がそれをにわかに直すなんてことはとてもできませんよ。いくら教育委員会が逆立ちしたって、出ててこない。地方で教育委員会が、何ていうのか、要するに批判はするけど、こんな先生はあっちゃいけないとか。じゃ、教育委員がその間、何をしたか、何もしていない、ということですな。だから、やっぱり親も、その教室に乗り込んでいってものを言うぐらいの関心を、子どもに持った方がいいわね、と私は思いますけど。やっぱり自分の子どもなんだものね。先生なんかに子どもの人生を預ける訳にいかないよ、本当に。
【記者】都立図書館の司書について伺いたいんですが、今、136人いるんですけども、2007年問題で団塊世代の司書が大量退職して、この5年で半分の68人ぐらい定年になるんですけども、一方で20代の司書というのが1人もいないんですけども、ちょっとこういう現状になっていまして、せっかく作家である石原さんが知事をやっているので、こういった文化行政の衰弱というのはあまり好ましくないんじゃないかなと思うんです。2002年度から新しい司書を採用していないんですけども、そういう意味で、若い世代の司書を育てるという意味でも、早急な採用の再開とか…。
【知事】図書館の司書ってのは、どんな仕事をするの。
【記者】レファレンス業務といって…。
【知事】ある図書館なんか、外国でも日本でもそうですけど、身元がしっかりしてたら、オートマティックに本を借りられるシステムになっていますよ。どの本がいいか悪いかということを司書に相談する読者なんて、ほとんどいないと思うんだね。私は司書の仕事っていうのは、何も若い人だから非常にサービスが行き届かないってものじゃないと思うけど、今の時代に人間を配置しなくたって、オートマティックに本を借りられりゃいいじゃないですか。自分が選ぶってのは、自分で自分を選ぶって、その読者の感性なんだから、そこまで司書が指導することもないし、できたものでもないし、そんな業務、果たしてなかったと思うしね。この時代に、人手が足りなくなってきた。私はやっぱりそう思うけど、その中で人件費を払って、旧来の何ていうのかな、図書館作業というものを人を雇ってするような時代じゃないんじゃないかな。本は本であるんだから。
はい、それじゃ。
(テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)