舛添前知事「知事の部屋」

ごあいさつプロフィール施政方針記者会見活動の紹介知事と語ろう知事の海外出張交際費

記者会見

平成28年1月15日更新

舛添知事定例記者会見
平成28年1月15日(金曜)
14時00分〜14時38分

知事冒頭発言

1 平成28年度予算原案について

【知事】今日は予算原案についてお話をいたします。 私が知事に就任してからまもなく2年となります。この間、都政の最前線で課題に直面している現場の声を聴き、また、議会とも議論しながら、長期ビジョンを策定し、世界一の都市・東京の実現に向けて邁進をしてまいりました。
 都民の毎日の暮らしを豊かで安定したものとすること。このことは都政が果たすべき最も重要な役割であります。仕事、子育て、医療、介護、治安など、あらゆる面において都民の不安を払拭し、額に汗して積み重ねた努力は必ず報われると、そう人々が信じることのできるような社会を実現していかなければなりません。
 また、ラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピックの成功に万全を期すとともに、これを契機に東京のみならず日本全体の未来を創造するために、これからの数年間は大変重要な時期になります。そのため、都がなすべきことを先駆的に施策化するとともに、国や地方とも連携して施策を展開していかなければなりません。
 こうした観点から、平成28年度予算は「『世界一の都市』の実現に向けた取組を加速化・深化させ、力強く前進させる予算」と位置付けておりまして、次の2点を基本として編成しました。
 第1に、2020年とその先の将来像の実現に向けて、積極果敢な施策展開を図るということであります。それから第2に、政策展開を支え得る強固で弾力的な財政基盤を構築すると。この二つの方針のもとに各局の職員とも膝詰めで談判して、「世界一の都市・東京」の実現に向け積極予算を編成いたしました。
 さて、特に28年度予算編成において気を配りましたものが3点あります。
 第1点は、東京と日本全体の将来への投資という観点でありまして、このために長期ビジョンの実現に対して重点的にこの財源を配分しております。長期ビジョンに関する予算額、およそ1兆2500億円を計上しておりますが、区市町村や民間を含めた総事業規模は2兆5000億円で、今申し上げましたように日本全体の成長につながる。
 さらに、二つ目が、局横断的な政策展開です。例えば、「水の都」東京の再生とか障害者スポーツの振興などについて、より実効性の高い事業となるように、局の垣根を超えて先駆的な施策を展開することに特に留意をいたしました。そしてまた、こうした取組の財源として基金を戦略的に活用するということであります。
 3番目が、事業の見直し・再構築の徹底ということでありまして、28年度予算編成におきましても、施策の新陳代謝を促して、最少のコストで最大のサービスを実現するという、そのことのために施策の見直し・再構築を徹底しました。
 そこで、来年度予算全体の大きな柱は、3本であります。全ての分野において積極的な施策展開を図っておりますが、中でもオリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けた準備や障害者スポーツの振興です。それから、保育・介護・医療人材の確保。観光の一大産業化。こういう施策に予算を重点的に配分していきたいと思います。
 それでは、その概要についてお話をしたいと思います。
 まず、オリンピック・パラリンピックであります。来年度、リオデジャネイロ大会が終われば、いよいよ東京の番であります。競技施設の準備をはじめとした大会開催準備に、国や組織委員会と緊密に連携・分担しながら着実に進めてまいります。
 また、リオデジャネイロ大会を契機に、次回開催都市・東京をPRするとともに、区市町村や被災地と連携して、旗を閉会式でもらって帰ってきますから、全国でフラッグツアーをやって、国内の気運を盛り上げる。IOCの旗を、リオ市長から今度、私がもらってくる番で、それで、いろいろな気運醸成を図りたいと思います。
 次は障害者スポーツの振興でありまして、先般11日にも、原石を磨けばダイヤモンドになるということでパラリンピック選手発掘プログラムをやって、予想の2倍以上の200人を超える方に来ていただきましたけれども、こういうことを含めて、障害者スポーツの振興を積極的に取り上げたいと思っております。障害者の方が身近にスポーツができるという環境が十分に整っていませんので、区部・多摩それぞれの障害者スポーツセンターの改修を進めますとともに、特別支援学校、とりあえず5つの学校で体育施設を活用してもらうということをやっていきたいと思います。
 そこで、11日の発掘プログラムで申し上げましたけれども、200億円の障害者スポーツ振興基金を創設することにいたします。
 次は文化政策でありまして、リーディングプロジェクトや文化プログラムを展開するとともに、東京の多様な芸術文化を国内外に展開する「都市型総合芸術祭」の開催に向けて、ブランド化を推進するなど積極的に事業をやっていきたいと思います。また、アール・ブリュットもやります。
 次は、社会保障の分野です。保育・介護・医療人材の確保と。建物はあっても人材がいなければ動かないわけでありまして、やはりその担い手となる人材の確保・定着というのは喫緊の課題であります。
 まず、保育については大学や専修学校などが卒業予定者に対して行う就職支援、それから、保育士の離職を防ぐために市町村が行います取組をサポートしていきたいと思っています。
 また、介護・医療につきましては、人材の掘り起こしから育成、定着までトータルでサポートする「福祉人材総合支援事業」を新たに実施いたします。
 それから、空き家が82万戸ということで、非常に大きな問題ですが、これを介護職員の住宅などに借り上げるということで職場環境の整備をやる。さらに、ソフト施策の面も整えていきたいと思っています。
 次は、学びの場の話であります。学びや仕事に意欲のある人々を支援する取組で、私は非常に今、この日本社会で格差が拡大しているということを危機的な状況だと思っております。特に子供の貧困です。貧困の連鎖を断ち切らないといけません。子供に対して学習、生活、経済面など、切れ目なく支援を実施していかなければなりません。
 それから、正規、非正規の間のギャップが生まれている。したがって、これまでも取り組んできましたように非正規雇用対策にも一層力を入れていきたいと思っています。
 先ほど申し上げましたように、子供の貧困率は上がっているのです。6人に1人が貧しい。これはやはり日本社会全体で危機感を持たなければならない。基本は親が貧しいことが原因で、その子たちが将来に向かって羽ばたけない。これはしっかりやるべきだし、常に申し上げているように4割が非正規、これも尋常ではないし、私に言わせると、6人に1人が貧困というのは、これが先進国日本の姿ですか、と思っていますから、東京が中心になって、国に先行してこの問題にきちっと答えを出していくと、そして解決していくと、そういう思いであります。
 次、障害者就労支援。これも同じようなことでありまして、障害のある方は有期雇用が中心であって、賃金も低水準にあるのが現状なのです。したがって、障害者の方々が正規雇用に就ける、こういうことをやろうという事業主に対して、国に先んじて都独自の支援策を新たに設けたいと思っております。新たな事業です。まだ誰もこういうことをやっておりません。そして、障害者の安定的な雇用を促進していく。「恒産なければ恒心なし」というのは健常者だけについて言えることではなくて、障害者も当然のことなので、是非こういう取組を先行的にやりたいと思っています。
 次が、成長産業、それから起業、創業ということであるとともに、やはりグローバルに商いを展開するということでありますから、そういう活力に満ちたグローバル都市を作っていくと。東京の中小企業というのは、下町ロケットではないですけれども、非常にすばらしい技術を持っているので、例えば医療機器産業への参入支援として、マッチングや研究会の場を提供する医産学連携の支援拠点を整備するなどして中小企業の参入促進を図ってまいります。
 また、都内の開業率を高めることを目指して、潜在的な起業希望者への支援を行うということでありますし、昨日は、皆さんに取材していただいているようにサイバーセキュリティ、これを警視庁と東京都と中小企業の皆様方と協力してやると、こういう形で確実に中小企業の支援をしていく。
 それから、やはり国際金融の面で、是非、国際金融会議を誘致したいと思っていますし、国際金融を担う人材、失われた20年と言ってもいいですけれど、デフレの間に枯渇してしまっている、これを育てていく必要があると思っています。
 次は、観光です。これはいつも申し上げておりますように、観光は一大産業として飛躍する大きな可能性を持っておりますので、「東京ブランド」をPRしたい。昨日、諸外国の大使の皆さんにお集まりいただきまして、90を超える大使館から160人を超える方々の皆さんに来ていただいて、このPRをいたしました。それから、多摩・島しょの豊かな自然環境を含めて、観光資源をしっかりと外に向かって発信していきたいと思っていますので、観光案内拠点とか観光案内窓口の整備も進めたいと思っています。
 それから、バリアフリーを含めて、車いすに対応したリフト付き観光バスの導入を図ろうと思っております。タクシーも車いすごと乗れるものを増やしていくということであります。
 それから、もう一つは、前回、幹事社さんからも質問がありましたけれども、どうも夜の東京のエンターテインメントが少ないということで、パリとかニューヨークとかロンドンに比べて何が劣っているかと。劣っていることの一つはライトアップなのです。夜の街のライトアップが足りない、そういうことなので、これについても検討を進めたいと思っています。
 それから、いつも申し上げているように、「水の都」の再生と船です。舟運について、皆さんも先般、実際に船を走らせてお乗りになったと思いますけれども。観光資源、交通手段として、それから災害のときの防災、避難経路とか物を運ぶときに、この船を使うというのは非常に有効なので、そういうことをやりたいと思っています。そのためには「船着場の整備」をしないといけません。それから、羽田と臨海部・都心を結ぶ航路の創設に向けた「社会実験」、これは先ほど言った、皆さんに乗っていただいたものです。それから、情報を一元化したポータルサイトを創設する。水辺でのイベントの開催、にぎわいの創出などをやっていきたいと思っております。レインボーブリッジを越えることのできない大型客船も泊まれるような船着場を作っていくということでありますし、将来的に、竹芝とか日の出とかの桟橋をきれいにするというのは、やはり港というのはそういうにぎわいがあっていいと思います。
 それから次が、成熟都市へ向かっての積極果敢な施策展開ということでありまして、今までも話しましたけれども、オリンピック・パラリンピック教育の推進、これは昨日、諸外国の大使館の皆さん方にもご協力をお願いしました。それから、ユニバーサルデザインタクシーの普及、これも先ほど申し上げたとおりです。また、生活関連では、働き方改革、ワーク・ライフ・バランス、女性に頑張ってもらう。それから、救急体制の強化ということで、東京駅の丸の内側に、駅の中に救急車を待機させるとかいうことも始めていますし、それから広尾病院の移転改築をやりまして、災害医療機関を強化したいと思っています。多摩メディカルキャンパスの整備、先ほど申し上げました中小企業のサイバーセキュリティ対策、そのほか、グローバル人材の育成などにもしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。
 以上が28年度予算原案の概要でありますけれども、これまで2年間、いろいろと仕事をしてまいりましたけれども、是非、後半の2年間でこういう政策が実るように、しっかりと今回の予算でその道をつけたと、そういう思いであります。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

質疑応答

【記者】幹事社、NHKの椿です。幹事社から2点ほどお尋ねします。今もご説明がありましたけれども、7兆円を超える大型予算で項目も多岐にわたりますけれども、知事としてはどのようなところに力点を置いて予算編成をされたのか改めて教えていただきたいのと、苦労された点がありましたら教えてください。

【知事】先ほど申し上げましたけど、何といっても、今年の秋以降はもう2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会ということで東京に耳目が集まる。しっかりとした準備をしないといけないということで、その準備の中にはハードもソフトもあるし、特にパラリンピックについて、バリアフリー化などは非常に遅れていますから、ですから、ユニバーサルデザインのタクシー、それとバス、そういうものもしっかりやっていきたい。もちろん、交通、観光標識を含めての多言語化、こういうことも従来どおりやっていきたいと思っております。
 それから、経済もしっかり成長してもらわないといけないので、都内の企業の99%が中小企業ですから、様々な支援を行っていきたいと思っております。そういう点についても、これは力を入れていきたいと思っています。
 それから、やはり社会保障というのは基本ですから、様々な問題、待機児童の問題は着実に数が減っていますけども、高齢者対策、地域包括ケア、こういうものもしっかりやっていかないといけないわけでありまして、特に、そのときに保育士とか介護士、この人材確保、これが重要であります。この問題は私が厚生労働大臣のときからずっと取り組んできている問題でありますので、これを更に進めたいと思っております。
 そして、2020年大会とも関係がありますけれど、やはり観光というのをもう少し頑張りたい。フランスは年間8000万人の観光客が来ています。我が国は2000万人云々ということをよく話していますけれど、フランスの4分の1なのです。これをフランスレベルまで上げていけば、観光収入だけで4倍になるということですから、そういうこともしっかりやっていきたいと思っております。そして、社会保障、社会の安定、活力、成熟、こういうことを考えたときには、やはり格差があまりにも拡大しているということはいいことではない。特に将来の東京、将来の日本を背負っていく子供たちの間で、先ほど言ったように6人に1人が貧困というのは、これはやはり我々がきちんと対処しないといけないと思っています。
 そういう意味で、国に先駆けて私たちがやれることはやっていこうと、そういう積極果敢な姿勢でやったつもりであります。幸い、7兆円を超えるという、それだけのニーズがあるものですから予算を組みましたけれども、スクラップ・アンド・ビルドというのはなかなかそう簡単ではなくて、相当の規模のことを昨年同様にやりましたけども、これは不断に毎年見ていかないといけないなという感じがしております。
 それと、今のこの事業の見直しということとも関連ありますけども、やはり霞が関ほどではないのですが、縦割り行政的な弊害はやはりあるわけで、一つの事業をとっても様々な部局でやっていて、重複してないのですかというような話があります。それで、基金について申し上げると、少なくとも基金については、局横断的にその基金を使っていいけれど、例えば障害者スポーツというのは、オリンピック・パラリンピックだけですか、いや、違います。ほかの分野でも使えることがありませんかと。そういう形でやっていきたいということなので、今のような苦労をしながら何とかまとめ上げたというのが現状です。

【記者】ありがとうございます。幹事社からもう1点だけ。舛添知事のカラーをここに出した、出せたという項目をご自身で挙げるとすれば何になりますでしょうか。

【知事】カラーというか、私はやはりワーク・ライフ・バランスというか、貧困の連鎖を断ち切るとか、格差を是正しないとだめだというところなので。つまり、必要な競争はやらないといけないけれども、競争だけでその結果を受け入れていいのであれば政治の仕事はありません。したがって、何のために政治があるかということは、そこは自由競争だけでは弊害が起こる、そのことをきちんとやるという、そういう姿勢が必要であって、だから、くれぐれも誤解なきようにというのは、要するに最初から介入して好きなようにやるということではなくて、自由闊達してやっていいのですが、例えば子供の貧困の問題とか非正規雇用の問題とか、本人が努力をしないものは、これは、それはもう論外です。努力をしたくてもできない、努力しても自分の意思に反して非正規であるとか、子供たちは一生懸命努力をしているのだけれども、親が貧困だということだけで学校に行けないとか、そういうことがあっては決してよくないし、命の値段の差があってもいけないです。憲法の下にみんな平等なわけですから。そういうことをやはりしっかりやるということが政治の役割だと思っていますので、私はそこは相当しっかりとカラーを出したと思っております。

【記者】共同通信の恩田です。世界反ドーピング機関の第三者委員会が公表した報告書で、2020年五輪招致に絡んで日本側が国際陸連に協賛金を支払ったという指摘がありました。これに関して、知事の見解をお願いいたします。

【知事】私もその報道を見ましたけれども、確認したところ、オリンピック・パラリンピック招致に関して都がそのような支出をしたという事実はありません。また、招致関係者にも確認しましたけれども、2020年大会招致に関して、当時の招致委員会がそのような支出をしたという事実はないと聞いております。

【記者】日本経済新聞の舘野です。予算の税収の部分でお伺いします。都税収入が5年連続増加ということで、都財政に追い風が吹いているという点と、一方で国の偏在是正、2016年度予算原案ベースで見直すと、都が奪われる金額が5100億円にも平年度でなるという試算もあります。この税収の増加と偏在是正の両面について、改めて知事のお考えをお願いします。

【知事】幸い経済の状況が東京都についてはよろしくて、先ほどの観光収入も含めてそうなので、したがって法人税の増収が見込まれたということでありますけれども、いつも申し上げていますように、これは非常に乱高下する、経済情勢に大きく影響を受けるわけですから、そういう意味では基金を積んだというのは、今はいいから先々も大丈夫ですよということではなくて、必要な施策はやれるように基金を積んだということであります。
 それから、偏在是正措置、これは特別手配したのですが、地方税を国税化するということはありますので、我々が見込んだ額以上の部分があれば、税収入が減るということになって、これは引き続きこれからもしっかりと国、それからほかの自治体と議論をし、協議をしていかないといけないと思っています。ただ、最終的に私は税制全体を全国民的に見直すべき時期に来ていると思っていますので、毎回小手先で来ているのだけども、もうそろそろそういう大きな議論をしていいのではないかと思っています。そうしないと毎年同じことが繰り返されると思っています。
 そして、今回も消費税の軽減税率の対象がどうなるかと、そこにほとんどの議論が集中しているけれども、では、地方財政はどうするのですか、地方財政と消費税の関係、法人2税との関係、こういうことについてしっかりとした議論がないので、今後もそういう議論をしていって、本当の地方自治が担保できるような税制制度はどうであるかということにみんなの議論を持っていけるように努力をしたいと思っています。

【記者】東京交通新聞社の阿部です。予算原案で、ユニバーサルデザインのタクシーと、あとリフト付きバスへの補助制度が挙げられていますけれど、その制度の概要と、あと知事の狙いとか見解などを教えていただければ。

【知事】先ほどもご説明しましたように、やはり本当のバリアフリーというのをしっかりやっていくし、それから、先ほど申し上げたように、パラリンピックの成功なくして2020年大会の成功はないということであります。まず、ユニバーサルデザインタクシーは、1台につき60万円を限度として補助をしたいと思っております。今は53台しかありません。それで、1台当たりの年間の走行距離は9万kmなので、これをもっと増やしていく。
 それから、リフト付き観光バスの場合は、新たに購入をなさる場合には、補助として限度額が500万円。それから、今あるものを改修するという場合には1000万円を上限として補助したいと思っています。
 今、調べてみますと、リフトの付いている都内の大型観光バスは20台しかありません。これを増やしていくことによって本当にバリアフリーのまちにできると思っていますので、これは努力したいと思っています。

【記者】もう1点だけ。ユニバーサルデザインタクシーというのは、具体的にどういう車両になりますか。

【知事】これはハイブリッドです、具体的には。これからしっかり検討していきますけれど、電気自動車、それからハイブリッド、こういうものを対象にすることによって、環境政策にも同時に資することができるので、そういう方向でいきたいと思っています。

【記者】今はそういう車は特にあるのですか。

【知事】タクシーですか。

【記者】はい。タクシー用に、ユニバーサルデザインと。

【知事】細かい点は担当の方に聞いてみてください。一台一台がどういうモーターで走っているかというのは、私は把握していませんので。

【記者】わかりました。

【記者】フジテレビの相澤です。軽井沢で起きたバス事故についてお伺いします。まず、起こったことへの受けとめと、今後の都の対応をお聞かせいただけますか。

【知事】非常に残念でありますし、今の段階で14人が亡くなられて1人重体ということで、大変大きな事故なので、本当に亡くなられた方のご家族に心から哀悼の意を表したいと思います。今、警察が中心になって、事故原因を調べていますけど、なぜあのような場所で、凍結もしていない、カーブもそんなにひどいとかいうこともないという報道、テレビなどを見ていると、なぜそういうことが起こったのだろうと、まず、事故原因をしっかり究明していただかないといけないと思っていますけれど、非常に胸が締めつけられるような悲惨な事故だなと思っています。

【記者】東京都として、今後、対応はどのようなことをお考えでしょうか。

【知事】このツアーを企画した旅行業者は、東京都知事に登録をしている業者でありますので、立ち入り権限というのは東京都にあります。そこで、今日の16時から、国と連携しながら、旅行業者に対して、安全性の確保などについて立ち入り検査を行いたいと思っております。その結果、これはその旅行会社そのものもありますし、旅行会社が使ったバスの会社の問題もあるかもしれませんので、いずれにしましても、この後16時から都が立ち入って検査をするという予定で、原因解明、そして、それに基づいて必要な措置をとりたいと思います。

【記者】東京新聞の松村です。障害者の就労支援についてなのですが、国もまだやっていない制度を都が先にやるということですが、これは、国に早くそういう制度を作れという意味なのでしょうか。

【知事】そのことも含まれています。国もおやりになると思いますし。要するに、本当の意味で先進国と言えるには、障害者も健常者も仕事に就いて、生活をきちんとやれるということでありますので、いろいろな政策はあるのです、あるけれども、とにかく、いいことは国に先駆けてやろうということなので、松村さんがそういうふうに解釈していただければ、それで結構だと思います。

【記者】障害者は正規とか非正規とかいう前に、就職がなかなかできないという、それ以前の問題があると思うのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。

【知事】いえ、それ以前の問題というのは、それは法定の雇用率が決まっているわけです。わかりますか。

【記者】はい。

【知事】一定以上の企業は雇用しないといけないのです。それは法律で決められたことなので。そこから先です、では、雇用はするけれども、1年だけだよとかそういうことになるので、雇用をするならきちんと正社員で雇用してくださいということなので、そこはしっかりと把握していただければと思います。

【記者】でも、都内の場合は、まだ法定雇用率にもまだいってないと思うのですけれども。

【知事】いや、ですから、それはきちんと厚生労働省の方で見ますし、それから、要するに、障害者と一言に言っても、障害の度合いとか、それぞれの能力とで段階が山ほどあるわけです。ですから、そういうこともきめ細かくやっていきますけれども、要するに、今の話を聞いていると、今のような状況なのに、先行的にいい政策をやるのはけしからんと、後ろ向きでやれと聞こえますけど、もう少し前向きな姿勢でお願いしたいと思います。

【記者】毎日新聞の武本です。先ほどの偏在是正の方に戻るのですけれども、5100億円奪われるという試算もあるというお話でしたが、一方で、28年度末で、残高が1兆円を超えるような基金に確かなると思うのですが、他の自治体からするとうらやむような数字ではないかとは思うのですけれども、先ほど知事は偏在是正については、引き続き他の自治体とも協議していきたいということで、他の自治体の理解を得ていきたいということかと思うのですが、なかなか、税収も5兆円を超えていて、他の自治体からすると、ともすれば、やはり東京都から地方に回してほしいというふうな声も出かねないかなと、正直思うのですけれども、どういった税制のあり方であるべきかということと、あと、どうやって他の自治体の理解を得ていきたいと知事はお考えか、改めて伺いたいのですが。

【知事】私は毎回、全国知事会に出て議論をしていますと、若い世代の優秀な知事さんたちは、舛添知事の言うとおりであると、一緒にやりましょうと、こういう発言なのです。年を召された世代が優秀でないと言っているわけではありませんけれども、やはり、何年も同じことを言っていたらだめです、時代が変わったのだから。取材をなさっていて分かると思いますけれど、相当雰囲気が変わっています。東京さえ叩けば自分のところがよくなるなんて、そんなことはうそだよというのは、もうみんな分かってきているので、ではどうするかということで、オリンピックだって協力してやりましょうということで、全自治体の協議会を作ってやっているし、それから、どこかの知事さんでわざわざ自分たちからこの文化プログラムを2020年成功のためにやりたいということ提案してくださっている知事さんもいますので、非常に議論のできる雰囲気は出てきているし、それで、表現も、東京から奪おうなんていうことを言う人はいなくなって、自分たちの県の苦しい状況はご理解いただいて、そういう地方自治体に対して、きちんとした支援ができるような体制を組んでもらうように国にお願いしたいということなので、東京を叩けば何か出てくるというのは、もう終わった話だと思っています。
 ただ、そうは言っても、その気持ちは分かるのです、気持ちは分かるけれど、これは東京からじかにとるというよりも、やはり、いつも申し上げているように、仕事の量と財政の基盤のギャップが4対6、6対4とあるわけですから、そのへだたりを地方交付税交付金とか補助金で埋めているわけです。そういうやり方でいいのですかということなので、そこは結局、地方税の国税化をやるということで5100億円になったわけです。地方税の国税化をやるというのは、要するに、国がそういう召し上げる制度をいつまでも続けているという、国の発想の貧困さを表しているわけです。もう少し想像力豊かな発想でもって税制をやっていかないと、この国がだめになります。そのことを、私は繰り返し言っているけれども、ただやはり、政治家というのは選挙があったり、いろいろなことがあるので、何もかも理論的にいくわけではありません。だからこそ、学者がいて、税制の専門家がいるので、この前も言ったと思いますけれども、そういう方の声が聞こえてこない。税制ほど政治の荒波にもまれる制度はないので、税こそ政治ですから。軽減税率を見たら分かります。新聞を含めるとは何事だと。新聞は中立ではないです、そういう意味では、自分たちをちゃんと守っていますから。いや、私も新聞を含めるべきではないと思っています。私も本書きますから、本を含めるべきでないと、大体思っているわけなのだけど、もう食べ物でもどれを含めるかとか、いろいろ出てくるので、そういう中で、公平な立場でものが言えるのは、こういうときは学者なです。だから、それが、全然最近聞こえてこないというのは、学者は何をやっているのだろうなという気持ちがしてなりません。
 いずれにしましても、武本さんがご心配になるような方向ではなく、より明るい方向に向かって全国知事会も歩んでいると楽観的に思っていますので、私の楽観的な見方を毎日新聞の皆さん方にも共有していただければと思います。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)