舛添前知事「知事の部屋」

ごあいさつプロフィール施政方針記者会見活動の紹介知事と語ろう知事の海外出張交際費

記者会見

平成27年2月6日更新

舛添知事定例記者会見
平成27年2月6日(金曜)
14時00分〜14時28分

知事冒頭発言

1 「東京ブランディング戦略(素案)」の策定について

【知事】まず、「東京のブランディング戦略」の素案を策定いたしましたので、お知らせいたします。この戦略は、東京を世界一の都市とするための観光面からのアプローチとしまして、東京ブランドの確立に向け策定するものであります。
 戦略の策定に当たりましては、昨年6月に有識者等による「東京のブランディング戦略会議」を設置して、先般ご報告をいただきました。
 会議におきましては、東京のブランドコンセプトとして、旅行地としての魅力的な東京のイメージを「伝統と革新が交差しながら、常に新しいスタイルを生み出すことで、多様な楽しさを約束する街。」と表現していただきました。
 次に、東京ブランド確立に向けた取組の方向性としまして、東京ブランドの「国内での共有」、それから「海外への浸透」、国内と海外、両面での取組をしたいということで、受入環境の整備を促進して旅行者の期待に応えることで、東京の評価をさらに高めるという好循環のサイクルを創出していくことが必要であります。
 そのために、まず東京のブランドデザインの視覚的統一を図りまして、官民が一体となった推進体制を構築します。
 また、国内におきましては、都民や民間事業者とのブランドコンセプトの共有が不可欠であります。そこで、イベント実施や広告掲載などの取組によって、理解と共感を深め、外国人旅行者をお迎えする機運を醸成したいと思っています。
 次に海外ですけれども、海外に向けましては、東京が総力を結集して、魅力的な東京のイメージを切れ目なく発信して、東京ブランドの浸透を図っていきたいと思っております。
 続きまして、主な具体的な取組ですが、まず「ブランドのデザイン」、これは第一線級のクリエーティブディレクターを設置しまして、シンボルとなるロゴ・キャッチコピーを制作するとともに、ブランドコンセプトを共有するため、民間事業者等で構成します「東京ブランド推進会議」を設置します。さらに、国内外で活躍する著名人を「東京ブランドアンバサダー」に任命して、これを広くPRしていただく。
 さらに、都が実施します、先般お話しした「東京文化ビジョン」のプロジェクトと連携した東京の芸術文化の発信とか、オリンピック・パラリンピック大会関連イベントなど、様々な施策を活用しながら、世界に向けた発信力を高めていきたいと思っております。
 この戦略案につきましては、本日からパブリックコメントを実施いたします。いただいた意見や第一回定例会における都議会での議論を踏まえまして、今年度末までに「東京のブランディング戦略」を策定し、「世界有数の観光都市・東京」の実現に取り組んでまいります。
 この件に関します詳細は、産業労働局にお尋ねいただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

質疑応答

【記者】幹事社の共同通信の馬場です。よろしくお願いします。まず幹事社から幾つか質問させていただきます。ブランディング戦略なんですけれども、これからパブコメするということですが、知事の中で具体的な、何かこう、イメージとか、おありだったらそれをお聞かせいただけませんでしょうか。

【知事】先般申し上げたと思いますけれど、まずニューヨークについて言うと、リンゴのマークが入ったアイ・ラブ・ニューヨークというのがあります。例えばああいうので、パッとニューヨークのイメージが湧いてくる。そういうものがどうかと考えております。
 それから、例えばパリで言うと、いろいろなブランド物があって、それがまたフランスのイメージをつくっている訳なので、そういう意味で、我々が気づいていないもので、これはやはり東京ブランドではないかというものは、広く海外の方々の意見も入れた上で、東京のイメージとして非常にフィットするようなものができないかと思っています。
 逆に言うと、私が先入観を持って言っていることよりも、全く白紙にして、今まで考えたこともない発想があっても良いのではないかと思っております。例えば、海外からお客様がお見えになった時、もう何度も来られているような方に何をお土産に差し上げるか。最初は非常に日本の伝統的な物で良いのだけれど、だんだん、このリピーターとして来られる方々に聞くと、そうではなくて、新宿の街で買うこのハンドバッグが良いのだと時々おっしゃる。私は全然そういう発想がなくて、やはりフランスのブランド物のハンドバッグが良いかなと思ったら、そうではなくて、自分の国に帰ったら、東京・新宿と書いてある物が非常に良いだのという発想があるわけです。
 そういうことを入れながら、現代のものであっても、やはり東京だなというようなものがないかなと考えております。
 だから、「伝統と革新が交差しながら、常に新しいスタイルを生み出すことで、多様な楽しさを約束する街。」ということなので、これが何であるのかというのは、いろいろな解釈があると思いますけれども、是非、皆さんもまたお知恵を出していただければと思います。
 先般申し上げましたように、浅草の浅草寺に行って伝統を楽しんで、近くのスカイツリーで革新を楽しんで、それで隅田川で川下りをやるというのは、伝統と現代が調和しているのではないか。だから、それをワンパッケージで東京ブランドみたいな、一つの観光パターンとしてあるのか。これは、はとバスの企画でありますけれども、そういうことも考えております。

【記者】ありがとうございます。続いてですね、環境確保条例なんですけれども、先日、パブコメの結果がまとまりました。一部、反対の意見もあったんですけれども、一定で改正案が出される予定だと思うんですが、それに対する知事の考え方を教えていただけますか。

【知事】これはご承知のように、子供の声が騒音でうるさいという声が一部ございました。だから、例えば、近くに保育所があって、四六時中子供たちの声が聞こえている。そうすると、騒音というのは生活している上で、非常に耐えがたい場合もあるので、今までだと、何デシベルという単純な数字だけでやっていて、これは一律、子供の声でも何でも駄目だということになるのかもしれないのですけれども。ただ、やはり子供たちが健やかに育っていく、どうしても小学校前の子供というのは、一緒に大きな声で歌を歌ったり、皆でおしゃべりをしたりということがあるので、そういうものはどうなのかなということで、お伺いしたら、それはやはり子供の健全育成の方が優先させて良いのではないかという方が6割、うるさいものはうるさいのだという方は約3割だった。ですから、うるさいと思われる方の気持ちも非常に良くわかりますので、そこのところは、一律にこの数値以上は駄目だということよりも、やはりケース・バイ・ケースで、それから例えば保育所だったら近隣の方とそういうことの話し合いを持っていただく。
 そして、これは保育施設を設置している所は区市町村。現場は区市町村なので、そこできちっと話をして、近隣の方々とその保育所との間で非常に良い信頼関係があれば、こういう問題は良い形で片づくし、私たちが隣近所でいろいろもめごとがあっても、信頼関係があれば片づくので、そういうことの条件整備をやったり、できるだけのお手伝いをするというのは、都の立場でありますので、皆さん方の6割の方がそういう形で見直してくれということなので、私はある意味では安心しましたということです。

【記者】ありがとうございます。もう一点なんですけれども、小笠原視察、何度も聞いて恐縮なんですけれども、来週伺うということで、改めてどういった点に着目して視察されようと考えているのか、お聞かせください。

【知事】やはり現場の声を一番大事にするということで、これまでも100カ所以上現場を回ってきて、小笠原は、この前は機材が順調ではなくて行けなくなりましたので、この前の中国漁船による密漁ということで、どこまで漁場を含めて荒らされているのかという、この現状をまずしっかり聞きたいと思っています。
 それは、現場の漁師さんを含めてきちんと説明なさっていただけると思っていますし、それから、どういう対策をしてほしいのかということもきちんと聞いた上で、今後の方針を練りたいと思います。小笠原の島民の皆さん方と忌憚のない意見を交換するということが第一の目的です。

【記者】日経新聞の高岡です。間もなく就任から一年を迎えられると思いますが、この一年での東京五輪に向けた準備状況というかですね、施策についてどういう風にこう、自己評価されてるかということと、また新たな一年に向けてですね、新たな一年どういうことをやっていきたいと思われているかを、教えてください。

【知事】一般的によく一年で仕事の自己評価というのを聞かれますが、私は基本的に評価というのは他人がするもので、自分がするべきものではないということで一貫しております。ただ今の東京五輪についてですけれども、競技施設の見直しということで、2000億円の経費削減等々をやりました。IOCも同じ方向に向いてきたということなので、更なる経費の削減ということを含めて努力していきたいと思っております。
 最大の眼目は2020年がゴールではありませんということで、2020年は一つの通過点であって、良いレガシーを東京に残したいということに尽きると思います。ですから、そういう観点から選手村をつくるという大きな仕事をしないといけないですけれど、その後どのようにして住居用のマンションに変えていくかというようなことをまず考える。それから、交通アクセスについても同様に、10年、20年、30年後の東京の姿を考えないといけません。それから、スポーツということに直結して言えば、オリンピックにしてもパラリンピックにしても、私たちの税金で新しい施設をつくるとすれば、それはつくった甲斐がありますと。オリンピックの2週間、パラリンピックの2週間というだけではなく、10年後、20年後に、この施設があったからこうしてスポーツができると都民が思えるような、そういう観点をしっかりやっていくというのが一番大事だと思っています。
 ですから、大体競技施設の見直し案は、仮設も含めて、主として組織委員会の担当でありますけれども、今年の夏ぐらいまでには見直しは終わるだろうということで。追加種目についてはIOCが少し時間が必要だということで、日本側の代替案は9月ぐらいにはまとまると思いますが、最終的にはIOCに決定権があります。そのIOCの決定は、来年の8月に持ち込むということだと思います。
 したがいまして、そういうタイムスケジュールの中で、今年の夏ぐらいまでには競技施設の見直しは基本的にはファイナル。これで終わりと思いますので、基本設計を始めたり、着工していったりということが今から始まっていくと思っております。
 それで、後は少しパラリンピックの方にも人とコストを掛けて、これも遅れないようにやっていきます。
 それからもう一つ、新しいというか、特に重くなっている課題は、最近の人質殺害事件のように、テロリストに対してどう対応するかということが非常に大きくなると思いますので、今朝、国民保護法に基づく会議を開きましたけれども、この問題についても抜かりのないようにやっていきたいと思います。着実に一つ一つ課題を克服していって、史上最高のオリンピック・パラリンピックにするという所期の目的を達したいというのが今の状況です。

【記者】産経新聞の福田です。今のに関連してなんですけれども、去年のですね、当初予算はもうあらかじめ、ほとんどでき上がってたもので、それに加えて、知事自らの補正を組んで、それで少額ながら、種を蒔いた予算という風におっしゃっていたんですが、今年一年間で、中でももう芽が出てきてるなという風に思えるようなものっていうのは、どういったものがあるでしょう。

【知事】最初の補正だけではなくて、この前の三定におきましても補正をやりましたし、二定でもやっております。例えば、待機児童をゼロにしようということで、今八千数百名いる訳ですけれども、この前の補正でとりあえず3000人は手当てしようと。来年度の本予算を待たずに、できるところからやっていくということで、今のようなことができました。
 それから、安全・安心ということですと、防災訓練も年一回であったのを四回にするというようなことが、一気にはできないにしろ、補正予算を活用しながら急ぐところからやれています。考え方としては、今回、4月1日からの予算を策定する。しかし、その手前からやり続けているので、そういう意味では継続性がきちんと保たれた上での政策展開をしたいと思っています。

【記者】毎日新聞の藤野です。五輪関連で二点お伺いします。種目追加の件ですが、来年8月のリオでのIOC総会で決まるということに、見通しになりました。本番大会の4年前に迫っての種目追加になるんですけども、準備期間その分短くなると思うんですね。それの影響をどのように考えられてるか。
 で、二点目ですが、自転車競技について、伊豆での開催というのを検討されるということで、昨日発表されました。で、先ほど知事もおっしゃいましたが、セキュリティーの範囲が、会場の分散化によって拡大していくと思うんですけれども、それに対しての懸念がないか、また、セキュリティー範囲が広がることによってコストの増大につながらないか、そのあたりのお考えをお伺いできますでしょうか。

【知事】まず第一点ですが、基本的にはこの2月9日から追加種目検討委員会、いわゆる七人の会議が始まります。追加種目で10ばかりの様々な各団体が手を挙げておられますが、その検討委員会の方で大体素案を作っていただいて、我々は大体夏から9月にかけて、私ども東京都側の案、例えば野球であるとか、空手であるとか、スカッシュであるとか。綱引きの方も手を挙げておられるので、そういうのを二つとか三つ決めます。
 コーツ委員長の話ですと、基本はそれを尊重するということなので変わらないと思いますが、問題は、意図的にということではないと思いますが、IOCの総会が来年の8月まで開かれないこと。したがって、今おっしゃったように、その時に、今から建設する、ゼロから建設するというようなことだと間に合わなくなる可能性は十分出てくると思いますが、そういうことも全て頭に入れた上で、コストのかからない五輪にしようということが12月のIOCの「アジェンダ2020」の方針なので、そこから判断した時に、どの種目に絞られるというのは自然と衆目の一致するところとなると思いますから、私はあまり心配をしておりません。
 それからセキュリティーの問題ですが、一カ所に集中している方が、守る立場から言うと守り易いのか、分散しているのが守り易いのか。それから、裏側なのですけれども、攻撃する側から見た時に、分散している方が攻撃しにくいという点もあり得ますね。戦争に例えると、兵隊さんの数によりけりな訳ですけれど。
 そうすると、静岡県警もセキュリティーは抜かりなくやっているので、伊豆でやるなら静岡県警にしっかりやってもらう。それで、分散か集中かということで、セキュリティー上はプラス・マイナス両方ありますから、そこは問題ないと思っております。

【記者】日刊スポーツの三須です。今の自転車競技に関連してなんですけれども、伊豆ということで新たに一つアイデアが出てきましたけれども、距離も時間も、大分東京から離れてると。伊豆の道もですね、有料道路ありますけれども、一本道でですね、なかなか時間もかかるのではないかという懸念もありますけれども、例えば知事のご見解として、分村を、これは可能性が出てきたとか、そういうご見解はあるでしょうか。

【知事】ご存じのように、これは伊豆の修善寺です。私も自転車に乗るのでよく行きますから、どういう場所でというのはよく知っています。設備は国際規格で非常に素晴らしいです。つまり、コストカットということから見ると、新たなものをつくるよりはるかに安いだろうということは申し上げられると思います。
 これは私が決める訳ではないですけれど、感想を言えということなので、ホテル対応で良いのではないかと思っています。たくさんありますし。自転車で疲れたアスリートには、温泉もありますので。
 それから足について言うと、東京から新幹線に乗れば1時間で行きます。そこからの道は、大したことはありません。そういう臨機応変の対応をする時に、例えば今おっしゃったように分村して競技場をつくるお金よりももっと掛かったとかですと全然話にならない。何故遠くに行くかというのは、全てコストカットのためなのです。だから、厳しいコスト計算というのは、今一番IOCの頭にあるので、コスト計算をした上で、分村してコスト上がるなら絶対やらないと思います。
 だから、そういう観点で計算してみなさいと言うのであれば、私ならホテルと思っています。絶対に今の案よりはコストが掛からないし、つくって壊すということも馬鹿馬鹿しいので、今素晴らしいものがあればそれを使う。
 こういう若干離れた所に行く時には、選手村から新幹線で東京駅ないし品川駅に出て行くと、やはり最低1時間半は見ないといけません。そうすると、せめて前の日には修善寺のホテル、旅館に泊まっていただいて、そして競技に臨む。だけど、2日前ぐらいまでは選手村にいて、いろいろな所で練習するとか、場合によっては、修善寺には自転車用の練習できる施設が沢山ありますし、簡単な合宿所もありますので、数日前から来て、温泉に入って体や体調を整えながらやることも可能だと思います。いろいろなアイデアがあると思いますけれども、今のお答えをどう思うかというのは全くの私見ですから、これで決まる訳でも何でもない。あなたはどう思うかというのは、私は現場をよく知っているので、こういうのが良いのではないかという一つのアイデアにしかすぎません。

【記者】キューバ・グランマー通信の日本特派員の稲村と申します。先日、知事は、イスラム、ISIL、テロ集団への呼び方は、「イスラム国」として変わらないというお話ありましたが、これはその後、総理や国会答弁でも、皆さん、改めまして、ISILと、またはイラクの過激テロ集団という風になっておりますが、その後知事も、やはりそういう呼び名に変えられ…。

【知事】別に何の問題もないと思います。この前おっしゃったのは、外国の新聞にも「イスラム国」という表記は無いとおっしゃったから、それは間違っていますと。今朝、ニューヨークタイムズやルモンドで読んでも「イスラミックステート」。括弧つきで「エタイスラミック」と書いているので、それは事実と違う。私はあれを国家として認めない。国家の要件ではないということであって、例えば今朝の全ての報道を見てください。パイロットが殺害されたので、ヨルダンの民衆が「イスラム国」を壊滅するとアラビア語で言っています。「イスラム国」と言っています。だから、呼称がどうであるというようなことではなくて、もっと本質に関わることで、あれはテロリスト集団であって、国家を形成するものではない。したがって、断固として国際協力の下にこれは対抗すべきであるというトーンがあれば良いと思います。だから、おっしゃることも基本的にそのとおりだと思っていますので、何の問題もないと思っています。

【記者】時事通信の小沢です。築地市場の跡地利用の関係で、昨日、中央区の矢田区長がですね、記者会見で、もちろん跡地利用については全く白紙だということは前提としてですね、マンションやオフィスとかじゃなくて、にぎわいとか活気が呼び起こせるようなものが良いなというようなことで、全く矢田区長の私見として、野球場とかサッカー場とか、東京ディズニーランドみたいなものがみたいなことをちょっとおっしゃられたんですけれども、もちろんこれ、白紙という前提で、何か知事が、そういう何か夢のようなもので良いんですけれども、何か、こうなったらいなというものが何かありますか。

【知事】これは全く白紙なので、地元の皆さんの声を聞き、都民の皆さんの声を聞いて、とにかく築地が豊洲にきちんと移って、そこから先を考えられれば良いので、いかなる予断も持たない方が良いと思っています。私は夢があると思っても、他の人はそのようなものは夢がないと思うかもしれないので、そういう風に柔軟に当たりたいと思っています。

 
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)