舛添前知事「知事の部屋」

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記者会見

平成27年1月13日更新

舛添知事定例記者会見
平成27年1月13日(火曜)
14時00分〜14時24分

知事冒頭発言

1 「北朝鮮拉致問題の解決を願う都民の集い」の開催について

【知事】まず2点申し上げます。第1点ですけれども、「北朝鮮拉致問題の解決を願う都民の集い」の開催についてお知らせいたします。北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権に対する侵害でありまして、重大な人権侵害でもあります。東京都では、これまでも拉致問題の一日も早い解決を願い、都庁展望室でのパネル展の開催など、拉致問題の啓発を実施してきたところでありますが、この度、政府の拉致問題対策本部と共催で、1月24日の土曜日に池袋の東京芸術劇場におきまして、「北朝鮮拉致問題の解決を願う都民の集い」を開催いたします。
 メインプログラムとして、劇団夜想会によります「めぐみへの誓い−奪還−」の演劇公演を行います。この劇は、北朝鮮によって拉致された横田めぐみさん、田口八重子さんら拉致被害者の北朝鮮での生活や、ある日突然愛する肉親と引き裂かれて一日千秋の思いで被害者の帰りを待ちわびるご家族の姿を通して拉致問題の悲惨さを描いたものであります。都民の皆様には是非ご参加いただきまして、拉致問題に対する関心をさらに高めていただきたいと思います。詳細につきましては、総務局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

2 在京大使館等との情報連絡会「Explore Tokyo」の実施について

【知事】2点目です。在京各国大使館、諸外国・地域の代表事務所との親交をさらに深めるため、1月21日に「Explore Tokyo」を開催いたしますので、お知らせいたします。当日は江戸東京博物館を会場としまして、在京大使等に特別展を見学していただくとともに意見交換会を行います。こうした催しを通じまして、在京大使館等との関係を強化することに加え、東京の持つ様々な魅力を海外に効果的に発信するための機会として活用していきたいと思います。Exploreという英語には、「新しい何かを発見する」というニュアンスがありまして、「これまで気がつかなかった東京の魅力を発見してもらう」という意味も込めてあります。
 江戸博の特別展を観ていただきまして、東京都の歴史、文化の理解を深めていただくとともに、意見交換会では東京の地産地消の食材を用いたメニューを振る舞い、私が自らおもてなしをすることで、東京の食の魅力も、「Explore」、発見していただきたいと思っております。
 今後も様々な機会を通じまして、都市外交の重要なパートナーであります在京大使館等との信頼関係を強化して、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の成功とグローバル都市東京の実現を目指していきたいと思います。この点の詳細は、政策企画局に聞いていただきたいと思います。

質疑応答

【記者】幹事社の朝日新聞の上澤です。昨日、成人の日がありました。都内の新成人は昨年より7000人多い、約12万人ということでしたが、知事から新成人へのですね、メッセージがございましたら、よろしくお願いします。

【知事】まず、成人おめでとうございます。18歳にいずれ引き下げられるということですけれども、選挙権を持ちますので、国民が主権者であると、それを投票行動という形で実現できるわけでありますし、その他いろいろな大人としての責務があると思います。特に、今年20歳ということは、5年後の東京オリンピック・パラリンピックは25歳ですから、大学院で勉強なさったり、それから社会に出られている方もおられると思います。是非東京オリンピック・パラリンピック成功のために、夏休みの間でもありますので、ボランティア活動、こういうことにも参加していただきたいと思います。
 それから、フランスで大変残念なテロの事件が起こりましたけれども、やはり、なかなか最近は読誦するという機会がないと思います。古今東西の古典というのはそれなりの意味があるわけでありまして、そういうしっかりとした教養を身につけるということが基本的人権を守っていくということにも繋がると思いますので、今回の件でもよく引用されたと思いますけれども、ボルテールの有名な言葉で「・・・(フランス語で話す)」という、フランス語がわかる方はわかったと思いますけれど、「I don't agree what you say(英語で話す)」あなたの言うことにはアグリー(同意)しません。「But I'll fight until the end that …… you can speak what you think.(英語で話す)」あなたの思うことを言えるために全力を挙げて戦う。そういう寛容の精神が非常に必要なので、やはり私は哲学の復権のようなことが、こういう時代だからこそ必要だと思っています。是非成人の日に当たって、たまたまパリでああいう事件がありましたから、特に今、選挙権の話をしましたので、ジャン・ジャック・ルソーとか、モンテスキュー、三権分立ですね。今、寛容というのはボルテールの言葉を引用したのですけれど、これをしっかり、そしてできれば少し外国語を勉強して、今のような言葉は、私は自分の哲学でもあるので、フランス語でパッと出てくるのです。だから、マルクス好きな人はドイツ語でマルクスをそらんじても良いし、少しそういう古今東西の、もちろん日本語でも、漢籍でも良い、そういうものをそらで覚えるというのは非常に良いので。日本が諸外国に、特にアジアで欧米列強の植民地にならずに独立できたというのは、非常に教養というか、素養があった。漢文の素読をやりますね、漢文の素読は「論語」から始まり、何の意味もないように思うのだけれど、あれをしっかりたたき込んでいるというのは、やはりそれなりの意味がある。是非この機会に漢文の素読、フランスの古典の素読、ドイツの古典の素読、シェークスピアの素読、そういうことをやっていただきたいと思う。せっかくの古典ですから、そういうことをしっかりやるということが、テロリズムとの戦いになる。
 この前も申し上げましたけれども、「リュマニズム・ドゥ・リスラム」という大きな本を私の友人が書いたのですけれども、それはイスラム学者なのですけれど、「ヒューマニズム・オブ・イスラム」という、イスラムというのはヒューマニズムなのです。だから、ああいうことをやるのは、本来の教えに反すると思いますから、そういうことを含めて、是非寛容の精神で、意見が違っても、そういう人の意見をしっかり聞く。その人たちが、そういう意見が言えるように全力で戦ってください。それがオリンピック・パラリンピックの平和の祭典をやる主催国の責務だと、主催都市の責務だと思いますので、是非、東京都の成人はそういう心で臨んでいただきたいと思います。長くなりましたけれども、そういう思いです。

【記者】もう1点。先ほどですね「Explore Tokyo」ということで、各国大使との親睦、東京の魅力のアピールということがございましたが、食の魅力等ご説明ございましたが、特に訴えたいこと、特に共有したい点などがですね、今念頭にございましたらお願いします。

【知事】皆さんも行かれたと思いますけれど、江戸東京博物館というのは本当に東京の成り立ちが良くわかって、ジオラマを含めて、いろいろな良い説明の仕方で、小さなお人形がたくさんあって、大名行列もある。例えば、それをパリの博物館から真似てきたのがあったり、今度はこの東京のやり方をソウルが真似たり、北京が真似たりして、江戸東京博物館とソウル、北京で姉妹都市間での博物館の協力関係をしていて、毎年臨番でやっているのです。そういうことで、諸外国の方にその江戸の歴史を是非見ていただければ、今日までの歴史が見えます。
 それから、食については、東京を含め、IOCの方をもてなしたような、そういう同じ試みをやりたいと思います。それから何といっても、5年後、全世界の協力を得ないといけないので、東京の魅力、私の方からおもてなしをするに当たってお伺いしたいのは、私たちが魅力あると思っている東京と違う面、この点を諸外国の皆さん方は面白いと思っているのだなと、そういうことをお伺いできればと思っています。是非それをしっかりやることが東京に来るリピーターを増やすことになると思いますので、そういう第一歩にしたいと思っています。

【記者】共同通信の井上です。昨日、東京オリンピックまで2020日ということで、都民広場でイベントがありましたけれども、新成人、新宿区の新成人も集まって人文字をつくったんですが、ちょっと人が足りなくて、周りから人を集めて急遽つくるというような場面もありまして、若者をよりオリンピックに参画してもらう、参加してもらうために知事として今後どのような方策をお考えでしょうか。盛り上げのためにはかなり必要になってくると思うんですが。

【知事】やはりボランティアだと思いますね。前回お話ししましたように、公募してとりあえずボランティアをどういう形でやるか、テストケースでやってみたいと思います。これはボランティアへの参加、それからアスリートはまさに選手として参加してもらいたいので、あらゆる機会を通じてそういうことを啓発していって、協力してもらいたいと思っています。20歳というのは、本当に参加できる年齢になると思いますので、そういうふうに思っています。

【記者】MXテレビの風戸です。すいません、今週の土曜日、17日でですね、阪神大震災から20年になります。まず、その所見を伺いたいのと、あと、東京都としてはですね、木造密集地域不燃化プロジェクトということで、整備を加速化していくという風にやっておりますが、今の火災に対する課題というのがあれば教えてください。

【知事】まさにもう20年が経ったかということですけれど、昨日のことのようにそのことを覚えています。あれは確か、村山内閣だったと思います。それで、危機管理もいろいろな問題があって、随分改善された面もあるし、改善されていない面もあると思いますけれども、今、不燃化の、特に木密地域について、しっかりと対策してやっていこうということで、来年度も予算措置をしっかり取って、さらに加速化していこうと思っています。
 一刻も早く木密の解消ということをやらないと火が出た時に非常に大変なので、そのことによって耐震化、免震化を進めていきたいと思っています。警察、消防、自治体、関係諸機関と協力しながらやっていきたいと思っています。
 この教訓や3・11の教訓を踏まえて、直下型地震が来ても何としてでも必ず東京を守り抜く、そういう思いで準備を進めていきたいと思います。そして何よりも、いざというときに公助まで行き着く前に、自助、共助、公助という順で、まず自ら、次にコミュニティーで、そして最後は行政という形での協力関係、自助、共助、公助ということをしっかりと念頭に置いた上での組立をやっていきたいと思っています。

【記者】すいません、最後は行政ということだったんですけど、東京のコミュニティーというのはなかなか希薄なところもあると思うんですが、自助という面では、今は成り立っていると思いますでしょうか。

【知事】これから防災マニュアルを各家庭用に作って、夏ぐらいに配布できると思います。だから、それを一冊見ていただけば、ひとり暮らしの方も含めて、自分の家族がどれぐらいの備蓄をすれば良いかということ。それから企業についても9割ぐらいの費用を都が補助することによって、備蓄の促進を図る。そして様々な形でのそういう協力をやる。
 先般の長野の地震の件では、一人も死者は出なかったというのは、本当に地域の協力があったからなので、こういうことをモデルケースにして、盆踊りの復活とかコミュニティーの中での絆を深める試みを今いろいろとやっていますので、そういうことも活かしていきたいと思っています。

【記者】フリーの記者の永尾と申します。新国立競技場の新築、建築に伴って都営の霞ヶ丘アパートをですね、住民の方たちを都が立ち退きを求めている問題で伺いたいと思うんですけれども、私、昨年の6月のですね、この記者会見で知事に質問いたしまして、その際に知事は報告を受けてですね、現地を見てどうするか判断したいとお答えになりましてですね、その後、昨年12月にまたこの記者会見の席で、別の記者の方がこの問題についてご質問されましてですね、その際に、知事は非公開で現場は見たと。
 で、住民にきちんと説明したという報告を受けたと。で、住民の移転については、知事の判断でゴーサインを出した、政治決断はしたとお答えになったんですけれども、そこで伺いたいんですが、現在、まだ150世帯ぐらいの方々が残っているんですけれども、高齢者の方が多くてですね、中には認知症の方もいらっしゃって、引っ越し自体がストレスになるというようなことですね、それから、その声を聞いてほしいという風な、そういう実態を報告を受けた上でゴーサインを出されたのかどうかということなんですが、この点いかがでしょうか。

【知事】たくさんの住民の方がおられて、お年の問題とか、それぞれの状況も聞いております。皆さんそれぞれ立場は違う。逆に、1日も早く新しいところへ行きたいという方も多くおられる。そういう中でいつまでも待っておれない。ほったらかすという訳ではなくて、ご高齢の方に対してはできるだけのケアはするという形で、今、話を進めているという報告を受けております。
 これはいろいろな移転の時に必ず起こる問題で、100人いれば100人それぞれの事情があって、それをどこかで決断しないといけないと思います。だから、皆そうですけれど、住みなれたところは愛着を持っているのでなかなか行きたくないというのはあります。しかし、全体の開発ということも考えないといけない。
 それから、特に若くて早く新しいところへ行きたいという方もおられる。しかし、もうここを動きたくない、老い先もそうなのでという方もおられるので、私が一人一人全部聞く訳にいきませんから、そういう話を総合的に判断して、これはもう決めるべきだろうという判断をしました。
 ですから、今言った状況も良く認識した上でのことだとお考えいただければと思います。

【記者】知事がですね、就任されてですね、方針を表明された都議会での演説の中で、知事のご母堂が認知症になって。介護のことを引き合いに出されてですね、それで、政治は強い者のためではなく、弱い者のためにあると。これが私の政治哲学ですというふうに述べられたんですけれども、この問題でこそ、そういう哲学を実行するべきではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

【知事】それはちょっとコンテクストが違う。私が申し上げているのは、例えば百万長者でお金もたくさんあって、もう自由診療でどこでも行けるし、良い医者なら何百万円を出しても、保険なんて使わなくてもできるという人ではなくて、日々の生活が大変で、少しでも高額な医療費は無理だという人の方に光を当てるべきだと。例えば労働者でも不本意非正規。こういうところに光を当てるべきだということで光を当ててきていますけれども、今回の件は全体の中でどういう風にまとめをするか。今、永尾さんがおっしゃったそちらの方向でいくと、いや、私たちは早く新しいところへ引っ越したいと思っているのに、こちらのことを考えてくださらないのですかという声がまた出てくると思うのですよ。

【記者】そういう方はほとんどいらっしゃらないと思うんですけど。

【知事】いや、そうではないと私は聞いています。私は、ほとんどの方がそうだと聞いていますので、そういう…。

【記者】引っ越しをしたいというふうに言っていらっしゃる。

【知事】そうです。早くしたいと言っている。そういうことできちんと話はまとまったと聞いていますので、永尾さんももう一度ご調査して疑義があれば是非おっしゃっていただきたいし、今日、永尾さんからそういうご意見が出たので、私ももう一度、私に上がっている報告が正しいのかということは確認をしてみます。その上で、また議論をしたいと思います。

【記者】フリーの佐藤です。よろしくお願いします。先週のことなんですけれども、1月6日に行われた東京消防庁の出初め式にソウルの消防隊が参加したということについてお伺いしたいと思います。今回、史上初ということで、今回は東京都側が招待したのでしょうか。

【知事】実をいうと、去年の夏の総合防災訓練にも来ています。これはちょっと確認をいたしますけれども、主催が東京消防庁ですから、どちら側が招待するといえば東京消防庁が招待したことに形はなっているのだと思いますけれども、下水道は下水道、上水道は上水道、交通は交通でものすごいレベルの技術交流をやっていますので、事務レベルのそういうことの一環であって、今回晴れの舞台に出たけれど、その前から相当訓練は東京消防庁とやってきたと聞いております。
 出初め式は初めてですけれど、去年の総合防災訓練を杉並でやった時には彼らが来て一緒に。台北でしたか、台湾からも来られました。

【記者】あ、すいません。そうすると、今回、東京の方でやったということで、こっちに呼んだというか、来てもらった費用といいますか、それは全て東京都側が負担してるんでしょうか。

【知事】いや、私は詳細を知りませんので、政策企画局に聞いてください。

【記者】時事通信の中平です。よろしくお願いします。先週も質問があったんですが、パリの事件についてお伺いしたいんですけれども、先ほど知事も、フランスはあなたの思うことを言うために全力で戦うという精神の国だというふうにおっしゃったんですが、シャルリーエブド、例の出版……、新聞社というのは、これまでもムハマッドのヌードとか、そういうイスラム教徒の誇りを傷つけるような絵を多数掲載していたり、あと、亡くなった記者の漫画家の方は、過去に福島の原発事故をあざ笑うような、そういう絵も描いてます。そういう人を傷つけるような表現であっても、攻撃されるかどうかというのはもちろん別ですけれども、そういう全ての表現の自由が守られるべきとお考えでしょうか。そういう考えだと、知事がふだん批判しているヘイトスピーチの容認とかにもつながってくるのかなと思うんですが、表現の自由というのは、どこまで守られるべきとお考えでしょうか。

【知事】それは中平さんが判断する話です。それぞれが判断すれば良いので、私はフランスが長かったですけれど、ああいうところで総理大臣をやったり大臣をすると、ものすごい大変だろうというのは、もう漫画で滅茶苦茶ですね。
 例えば福島。我々から見ると、本当にそのような絵を載せていいのかという、はっきり言って目が三つあるような子供の絵を風刺で描いたのです。我々から見ると、これは非常に心外であって、抗議もする。おそらくイスラム教徒から見ると、預言者であるムハンマドをそこまで批判するというのは何だという気になると思います。しかし、そこは非常に難しい問題だと思います。だから、例えば福島の件は、そういう形でやるのは間違いですと、言われた方が抗議をする。銃を持って抗議する訳ではないです。これは日本国政府がそこまで、要するにここまで描くというのはおかしいではないですかという抗議をすれば良い。イスラムの聖職者たちが、ここまで傷つけるというのはおかしいではないですかということを正式に抗議すれば良い。それを見てどうするかを議論すれば良いと思います。
 ただ、そういう中で、基本的に表現の自由がいかに重いかということを私は申し上げたので、ヘイトスピーチでも同じです。ヘイトスピーチというのはある意味で反ユダヤ主義で、今回と全く同じでしょう。ユダヤ民族というのを抹殺しようというような、ある一つの民族を抹殺するようなことを言うというのは、ヨーロッパ的感覚から言えばアンチセメティズム、反ユダヤ主義に当たる訳です。だから、そこのところは非常に議論の余地があるけれども、少なくとも銃口を突きつけて抗議をする話ではない。言論は言論で対抗しましょう、抗議しましょうということだと思います。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)