知事の部屋

 
猪瀬都知事「知事の部屋」
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記者会見

平成25年11月1日更新

猪瀬知事定例記者会見
平成25年11月1日(金曜)
15時00分〜15時50分

知事冒頭発言

1 「『都市と地方の財政力格差是正論』への反論」について

【知事】まずは、都市と地方の財政力格差是正論へのきちんとした反論をしたいと思いますので、ぜひ耳を傾けてください。
 一昨日、10月30日に、総務省の検討会が地方法人課税のあり方に関する報告書を発表したことについて申し上げます。何ていいますかね、御用審議会みたいなものですね、これだとね。
 まず、この報告書では、今回の消費税率の引上げに合わせて、当然、撤廃されるべき法人事業税の暫定措置の継続や、法人住民税の一部国税化が必要と、こういう提言がなされていますが、いずれも東京都としては承服しがたいものです。こういう内容、提案が、財務省だけでなく、本来、地方分権の旗振り役であるはずの総務省の検討会からなされたことについては驚きを禁じ得ない。
 今、必要なのは、いかにして経済を活性化させ、税収全体のパイを拡大していくかという発想の転換であります。そのため、2020年オリンピック・パラリンピックを大きな推進力として、日本の心臓である東京が日本経済の成長を牽引し、その効果を全国に波及させていくことが重要であります。前回も記者会見で申し上げましたが、国税収入43兆円の4割に当たる17兆円が東京都地域から納められているわけです。所得税、法人税のとこですね。この17兆円というのは、ちょうど国が地方交付税として、地方交付税の原資にぴったり当たる金額ですけれども、これは地方に広く行き渡っているわけですね。それで、この地方交付税と地方税を合わせた人口1人当たりの一般財源ベースで見れば、つまり17兆円が地方に行っていると。それを1人当たりで見ると、東京都は全国37位なんです。だから、東京に財源が集中しているという事実は当たらない。
 問題なのは、地方の自主性を阻害する霞が関への権限集中であって、東京一極集中というのは、経済活動が東京で生まれ、そしてより、東京が心臓であるから、血液を毛細血管に送る、そういう力ですね。そういう酸素を送る力、これは東京の力です。それは一極集中じゃなくて、経済活動がそういうふうに行われているということであって、様々な権限を持って、そして税の配分を自分勝手に決めるということが霞が関への一極集中なんです。地方分権と逆行した話です。東京一極集中じゃなくて、霞が関への一極集中だと前にも言いました。
 都市と地方の財政力格差を過大に演出して、税源の偏在是正を正当化して、地方の貴重な税源を国税化するというのは、さらなる霞が関への権限集中、一極集中を助長するということに他ならず、地方分権に逆行する。そもそも地方自治というのは、自らの税収で工夫や努力を重ねて、その地域を経営する経営体なんです。だから、行政改革をやったり、あるいは税収が増える方策をいろいろ考えたりする、そういう経営体で、いざ足りなくなったら国からもらえばいいということでは、地方そのものの経営努力がないことになる。インセンティブを、経営努力するというインセンティブを失って地方の自立を大きく損ねる、そういうことになります。
 このような不合理な税制の見直しが強行されれば、急速な高齢化社会、高齢化に備えた構造的福祉って、今、打ち出しています。構造的福祉改革の推進や災害対策の強化はもちろんのこと、オリンピック・パラリンピックの開催準備にも支障が出かねない。日本の心臓である東京の活力が失われれば、輝く未来はありません。
 今回は、これまで申し上げてきたような東京都の基本的立場を、事実に基づき明らかにした反論書を取りまとめてありますので、これ、都市と地方の財政力格差是正論への反論、これをこの後、お配りしますので、是非ご覧になっていただきたいというふうに思います。
 で、今後もこの冊子を1つのベースにしながら、都議会や東京選出の国会議員、特別区長会など、皆さんとともに協力し合って、強く国に働きかけていきたいと、こう思っています。詳細について、あと、これの冊子、お配りしますから、財務局や主税局から説明をお聞きになってください

2 朝鮮学校への運営費補助について

【知事】次に、朝鮮学校への運営費補助についてでありますが、朝鮮学校に対する運営費補助は、今後の取扱いを判断するため、学校運営全般について調査を実施してきました。調査の結果、朝鮮学校には補助金を交付しないことにしました。当然、来年度予算にも計上しません。
 今回の調査で、朝鮮学校に使用する全ての教科書や財務関係の書類など書面調査も行いました。11校あります。休校中の1校を含んで11校、全ての学校に行きまして、授業の様子や施設財産の使用状況を確認するとともに、朝鮮総連の機関紙などから情報を収集した上でヒアリングを実施しました。
 こうした調査は、全国で初めてとも言える詳細なものであります。調査の結果、朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容や学校運営について強い影響を受ける状況にあることが分かりました。例えば、朝鮮学校の運営者は、設置者である「学校法人東京朝鮮学園」が行うべきであるというふうになっているが、社会の教科書には朝鮮総連が朝鮮学校を設置、運営している旨が書かれています。教科書の奥付には、「編纂者 総連中央常任委員会教科書編纂委員会」と明記されています。朝鮮総連が編纂した現代朝鮮歴史の教科書には、「敬愛する金日成主席様」、「敬愛する金正日将軍様」等の記述が、409ページ中353回も出てきます。また、朝鮮学校が朝鮮総連や、その関係団体に経済的便宜を図るなど不適正な財産管理を行っていることも分かりました。
 これが、大田区にある東京朝鮮第6学校や、町田市にある西東京朝鮮第2学校では、学校施設の一部を朝鮮総連支部の事務所として無料で長年使用させています。世田谷区にある学校法人の土地を、朝鮮総連関係団体に極めて低廉な賃料で貸しています。小平市にある朝鮮大学校のグラウンドを、朝鮮総連関連企業の負債のために担保として提供しています。以上、例を挙げました。
 これらの状況を総合的に勘案して、朝鮮学校に補助金を交付することは、都民の理解が得られないと判断しました。今回の調査結果については報告書を作成しましたので、ホームページで公表します。詳細は、生活文化局から説明を受けてください。

3 東京都参与の選任について

【知事】次に、東京都参与の選任についてお知らせします。今日、11月1日付で、中央大学法科大学院教授 野村修也氏と、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授 夏野剛氏に東京都参与にご就任いただけるということなので、お知らせします。委嘱分野は、野村さんは規制緩和、夏野さんはIT戦略ということで、いろんなプロジェクトにも関わっていただきます。
 野村氏は、年金記録問題や福島原発事故など、国家レベルでの重要課題に関する政府の委員会委員としても関わった実績を持ちます。政府関係者にも幅広い人脈を持つことから、国家戦略特区実現などに向けた規制緩和など、政府との調整に力を発揮していることを期待しています。
 また、夏野氏は、ご存じのように、NTT docomo在職中にiモードを立ち上げた、我が国のIT業界の第一人者であります。既に「TOKYO就活スタイル」プロジェクトのメンバーとして、雇用施策においてITの活用の検討などをしていただいております。今後は、オリンピックも含めて、観光分野など、新たなIT活用の戦略を提言、助言していただきたいと、こう思っています。
 今回就任いただいたお二人の参与の高い見識を生かして、都政の重要施策をより一層前に進めていきたいと、こう思っています。
 お知らせは以上です。ご質問。なるべく今の発表順に、ちょっと質問していただいたほうがいいかなと。もちろん、他の質問も後で受け付けます。

質疑応答

【記者】NHKの中島と申します。法人住民税の件なんですけれども、都連とか国会議員と連携してと。あと、来週には全国知事会もありますけども、具体的にどういう形でやっていこうと検討されていらっしゃるんでしょうか。

【知事】まずは、当然ながら、法人事業税の問題は暫定だったわけですね。さらに、その上に法人住民税がね、出てくるというのはちょっと、何でしょうね、普通の考え、たがが外れているというかね、おかしいなということがまず。それで、大事なことは、皆さんにそういうことを周知して、なぜおかしいかということを説明するために、先ほど、パンフレットを作りましたが、資料ですね。当然、この資料を都議会議員、あるいは特別区長会、東京都選出の国会議員、共有して、そして、まずは認識を共有して、それから、全国知事会でももちろん言いますが、それぞれ連携しながらですね、各国会議員とか役所に対してちゃんと働きかけていきます。まずはね。

【記者】総務省のほうが、12月の中旬ぐらいには税制改正の大綱をまとめて、来年の通常国会にかけたいというような考えだと思うんですけども、それをやっぱり阻止するという意気込みでやるということでしょうか。

【知事】ほんとにね、おかしな話なんだよ、全くね。突然こういうのが出てきてるわけであって、その審議会で、神野さんっていう教授がいますよね。あれ、地方分権のときにいろいろやってた人なんで、それから、都の税調も会長やってるわけですから。一体、何考えてんですかっていうね、ことですね。そういう役所の、教授がね、役所の操り人形になってるんじゃ、これは見識を疑いますよ、はっきり言いまして。
 地方分権委員会、僕、2007年から委員やってましたからね。地方分権について、総務省でも一生懸命やってる人いたんですよ。一体どういうふうに、こういうような形で話が展開してきたのかね、消費税との絡み合いなんでしょうけれども、全くおかしな話ですね。

【記者】朝日新聞の別宮です。今の件に関連してなんですけれども、総務省と財務省がですね、同じことを言っているということはあまりないことでして、地方なんかも、私、鳥取と青森にいましたけど、やっぱりですね、そこにいると、お金はないですよね。で、東京は裕福かそうじゃないかというと、裕福だと思うんですけれども、現状、前回、4年前のような大阪とか愛知とかの味方もない中で、東京はかなり孤立していると思うんですけど、この現状で知事が反対してですね、ひっくり返したり止めたりすることができるんでしょうか。

【知事】まず、先ほど言いましたけど、鳥取とか、今、何て言ったんだ、あなた。

【記者】青森。

【知事】青森とかにいらしたと。支局に?

【記者】いました。

【知事】先ほど、今言いましたけど、1人当たりに換算すると、東京は37位なんですよね、要は。ですから、鳥取とか青森で、人口が少なければ、配分が違ってきますからね。そういうことは、まずきちんと見ておかないといけませんよね。
 それで、じゃあ、はっきり言いますが、民間はね、東京と比べれば、東京、給料、高いですよね。でも、地方公務員の給料を比べたら、そんな差はないですよね。だから、まずは、各、もちろん収入が少ない県はありますが、経営体として、自分がどういう経営努力をするかということが、まず問われなきゃいけないのが地方分権ですよね。それを、東京に税収があったから、それを持っていって配るという発想は、これは地方分権に逆行する考え方ですよね。これで、もちろん、きちんとこれから、急に出てきた話ですからね、全く理解できないですね。

【記者】前回はですね、結局、石原前知事が涙をのむ形でのみまして、13項目ですか、国との協議会を開いて……。

【知事】そうですね。

【記者】見返りは一応あったということなんですが、今回はそういうことは考えられているんですか。それとも、現状はそういう段階ではない……。

【知事】これはもうきちんと、これからやっていくことですが、消費税の話が急に決まったら、これが出てきたんですね。10月に消費税が始まる、一応決まったと。消費税の税収は、東京は少し多いだろうというふうなことで、急遽こういう話が出てきた。冗談じゃないですよ、ほんとに。
 それから、もちろん、名古屋とか大阪とか都市圏は、それなりの経営努力してやっていくわけですから、当然こういう、人の財布に手を突っ込むようなですね、霞が関のそういう権限行使に対しては連携をしていきますよ。

【記者】日経新聞の舘野です。今の問題の続きで、昔の資料をいろいろ見てますと、全国知事会も、前回の税制改正のときは、総会一致でこの制度には反対と言っていたりですね、一部の知事が、毒まんじゅう拒否宣言というようなこともされていて、当時は、地方全体として、やはりこういう流れを拒否する雰囲気があったと思うんですけども、そこから6年経ちまして、地方全体の何かが変化したのか、変わってしまっているわけですけれども、その状況、変化については、知事はどう受け止めてらっしゃいますでしょうか。

【知事】第1次安倍内閣ができたのが2006年の9月ぐらいですね。そして、その年の暮れに、地方分権委員会の委員になってくれと言われて、2007年の4月から地方分権委員会がスタートしました。で、その地方分権委員会は、途中で民主党政権に変わって、うやむやにされてしまいました。ただ、第1次安倍内閣では地方分権をやるというのが1つの柱でした。ですから、もちろんその後、2008年、リーマン・ショックが9月にありましたね。リーマン・ショックで税収減になった。これは、もう誰も周知していることですから。しかし、ここから今、話が違うと思うんですが、東京オリンピック・パラリンピックが決まり、アベノミクスがあり、そして、明るい方向が出てきた。だから、消費税は、ある意味では、2020年東京オリンピック・パラリンピック効果として消費税が出てきたわけですね。そこで、今度、急にですね、法人、それは、じゃあ、消費税だとばらつきが出ると。慌てて法人住民税を東京から取る、奪っていくって、これ、おかしな話ですから、きちんと話つけにいきますよね。
 ただ、問題は、やっぱり都議会議員、国会議員も一緒に頑張ってくれるし、特別区長会が頑張ってくれないと。で、もちろん僕が先頭でやりますから。当然、これ、おかしな話で、論理としておかしいですから。

【記者】問題は、地方が一枚岩になって反論すれば、また、発言力、発信力も違ってくると思うんですけど、やっぱり前回と何かが違っていて、必ずしも知事会も総意としてはおそらく一体になれないような状況になっておりまして、そういうことについては、何かお考えは。

【知事】「地方分権」という言葉が、民主党で「地域主権」となり、だんだんだんだん意味不明になっていったプロセスがあると思いますね。もう1回、地方分権とは何かということを知事会でももう1度確認したいと。面と向かって、きちんとロジックで言えるかどうか。地方法人住民税、要するに地方、法人住民税が正しい、国が奪うことが正しいと、面と向かってほかの知事が言えるかどうか、そこはきちっとやりたいと思いますよ。
 そうしたら、朝鮮学校の件はいいですか、大体。あと、ほかのご質問。

【記者】日本テレビ バンキシャのツジと申します。お世話になります。ちょっと、今度の国会でIR法案が提出される動きがありますが、改めてカジノ誘致への意気込みをちょっとお聞きしたいのですが。

【知事】これは前から申し上げていましたが、実はこれは現状のさまざまな公営ギャンブルの見直しをしなければいけない。同時に、カジノ・ゲーミング法ですから、きちんとした、そういう法律に基づいて、これ、カジノができれば地方の財政収入も増えます。そして、消費空間として新しい市場ができてきます。カジノはパチンコと違って、パチンコは駅前でジャージ着てやってればいいけど、カジノはちょっとおしゃれをして、そして一種の社交空間として、その周辺に劇場や、それから国際会議場や、それからさまざまなホテル群ですね、そういったものが重なり合っていくだろうと、こういうふうに思っております。ですから、カジノ・ゲーミング法がきちんと成立して、消費生活が豊かになればとてもすばらしいことだと思います。東京で想定されるとしたら、今、船の科学館の近くに豪華客船の埠頭がいずれできますから、そういうお客さんたちも楽しめるんではないかというふうに思っております。

【記者】続いてなんですが、2020年まで、東京オリンピックまでという、期待する声もあるかなと思うんですが、その2020年につくりたいとか、そういったことは考えられますか。

【知事】いやもう、それはできたら、その法律が早く通ればですね、十分に間に合うと思いますが。この、国会審議がきちんと速やかに行われることを期待いたします。

【記者】その理由も聞いてもいいですか、すいません。理由も。

【知事】それはだから、早くできればオリンピック間に合いますからね。速やかに法律が通ることを期待します。だから、どういうことを聞きたいんですか。

【記者】それに対してもたらす効果というところを何か聞きたいなと思いまして。

【知事】今、GDPが500兆円で、20年間ずっと変わらないんですよ。基本的には我々のライフスタイルを変えていかなければ、消費の市場は活性化しませんね。ですから、やはり我々が楽しんでお金を使う場所というものをつくっていかなければ、経済成長にはつながっていきませんよね。ですから、軽く会社の帰りにビールと焼き鳥だけで終わっちゃって帰ると。そうすると、消費は伸びませんよね。
 そういう意味で、今、東京で時間市場開発プロジェクトをやっていますけれども、今度、渋谷−六本木間をバスが深夜に走りますね。そういう形でアフターファイブの市場というものが大きな経済効果をもたらすというふうに思っております。それから、外国の観光客が来て、やっぱり浅草、浅草寺に行くのもいいし、それはいいんだけれども、幾つかの名所に行って、それで終わってしまうのではなくて、きっちり楽しんでもらってお金も落としていってもらわないとですね、シンガポールはそれで成功していますよね。そういうことを、やっぱり考えていきたいなと思っています。

【記者】ありがとうございました。

【記者】すいません、東京新聞の安藤と申します。朝鮮学校の関係なんですけど、いいでしょうか。

【知事】はい。

【記者】今回、各地でもこういう、朝鮮学校への補助をどうするかという話が出てきていて、それで、一方で補助をしないことについては、通っているお子さんの教育の部分について、同じように補助が受けられないというのは不公平じゃないか、差別ではないかというような話も出てきています。今回、そういう、通っている生徒さんたちへの影響とかですね、そういう部分については非交付に当たってどう考えられたか、伺えますか。

【知事】そうおっしゃるけどね、各県によって、生徒1人当たりの補助単価は全然違うんですよ。年間ね、8万円ぐらい払っているところもあれば、東京はもともと1万5000円ぐらいですよ、年間。ですから、じゃあ8万円払っているところと1万5000円払っているところと、生徒さんの補助、全然違うわけですね。ですから、そういう意味では、もともと年間1万5000円ぐらいです、東京は。8万、9万払っているところもあるわけ。ですから1人ずつ、そういう今のご質問というのは、もともと違っているということを前提に物を考えていけばいいのではないかと思いますよ。

【記者】東京MXテレビの風戸と申します。大島の件について伺いたいと思います。教職員住宅をですね、提供するということで、これによってもうほぼ全員の避難所にいる、いらっしゃる方が屋根の下で暮らせるようになるということなんですけれども、伊豆大島の町長は、コミュニティーを守るためにも仮設を都や国に要望していたということなんですけれども、教職員住宅を提供、都が提供するっていうことに対しては、どのようにお考えでしょうか。

【知事】体育館に行ったら大変でしょう。まず教職員住宅あるんだから、仮設つくるにも1カ月じゃできないところがあるから、場所とかを選んだりすると。まずは教職員住宅があって、最初の一安心ですよね。これからやはり、どういうふうに仮設にするか、仮設やっているよりもつくっちゃったほうが早いんじゃないかと、いろんな考え方ありますよね。日曜日に、安倍首相が現地、視察しましたね。それで、激甚災害指定という方向でおっしゃっていますので、実は、トルコからお帰りになって、昨日か、一昨日の夜か、月、火、今日は金曜日か、水曜日の夜かな、安倍総理にお電話しまして、激甚災害指定、やってくれるということでお礼を申し上げました。そういうことなので、激甚災害指定でいろいろなそのあれっていうのは、いろんな工事ですね、道路とか、そういうものは9割補助してもらえますね。
 そういうふうなことを含めて、東京都は、住宅の問題についても積極的に支援していきますから、まずはね、罹災証明を取らなきゃいけないので、その罹災証明のためにかなりの人数を今、動員してやって、現場は頑張っております。
 それから、ちょっとついでにですね、いいですか。大島で11万トンも、要するに、がれきが出ているんですね。東日本大震災のときに引き受けたがれきは17万トンなのでそれよりかも少ないんですが、その11万トンというのはそれなりに量があるんですね。そのうち、11万トンのうち、土砂とかそういうものが8万トンで3万トンぐらいが木材とか、そういうものですから、そういう木材3万トンとか、そういうものは東京、運んで東京で処理すると。8万トンについては地元のいろいろな工事とか、これからの砂防の堰とか堤防とかいろんなものに使える資材としてもちろん分別しなきゃいけないので、そういう作業をこれから始めるということで、大島についてはあらゆる形で支援を続けていきたいと思っています。

【記者】産経新聞の酒井と申します。朝鮮学校の問題に戻ってちょっと恐縮なんですけれども、石原知事の時代から随分詳細な調査をされて今回こういう結論になったというふうに思うんですが、それと、これ、この財産管理の問題、あるいは教科書の記述の問題、奥付の問題、そういったものがクリアされないと補助金に関しては計上しないというお考えでよろしいでしょうか。

【知事】そうですね。当然でしょう。

【記者】もう1点なんですが、この予算措置の部分とは直接絡まないかもしれないんですが、認可の問題ですね、認可のあり方みたいなものとはどういうふうに。

【知事】これからだから、今この資料が、データがそろったところでとりあえず予算の措置はこうしますと、その後、それについても考えたいと思います。

【記者】フリーの横田一ですけれども、柏崎刈羽原発の再稼働が来春にもという報道が流れている中でですね、東電の原発対応について、ちゃんと改善されたかどうかをお伺いしたいんですが、実は、3・11のときに、東京消防庁が注水をしようとして、テロ対策の最高機密ということで肝心の図面がなかなか出なかったということがあるんですが、そういう肝心の事故対応のときですら重要な情報が出てこないという状況が改善されたかどうかお伺いしたいんですが、どういう、ちゃんとそういう教訓が生かされているのかどうか。

【知事】何か、抽象的な質問だな。

【記者】いや、だから、ですから、そういう東京消防庁のご苦労されて、危機的状況を救ったという貴重な体験、経験がですね、東電の原発事故時のこれから再稼働をする可能性もあるわけですから、そういう機密情報がどう取り扱われているのかどうかというのが、改善されているのかどうかについて知事の考えをお伺いしたいんですが。

【知事】僕が答弁する任ではありませんがね。まずは、既に、事故については政府事故調、国会事故調、それから民間の事故調、こんな分厚いものをそろそろ発表していますよね。そういうことで、そこで詳細にいろんなものが指摘されていますから、まずはそういうところで確認していただくことがまず先決でしょう。
 それから、原子力損害賠償支援機構等が今やっていることについて、東京都としてはコストカットとか、分社化とか、電力の自由化について積極的に提言してそれは生かされてきました。あと、原発発電所そのものについては、それぞれの当事者がきちっとやるべきことだと思います。できるだけ既に事故が起きた、事故っていうのは、3・11じゃなくて、その後幾つかいろんな起きますけれども、小さいな汚染漏れを含めたね。そういうものについてはできるだけきちんと我々、国民、都民にわかるような説明はしていただいたほうがいいと思いますよ、それは。

【記者】具体的な質問の根拠なんですが、毎日新聞の2012年の3月15日の連載記事の中で命がけで東京消防庁の方が現地に行って注水作業をしたときに、障害になったのが、東京電力がテロ対策を理由に図面を、原発内部の図面を出さなかったことだと。それで、注水は結果的に成功したんですが、もしかしたら、うまくいかない可能性すらあったと、その辺の重大な問題がちゃんと、政府、関係者、東電が受けとめて改善に結びつけているのかなというのを確認したかったんですが。

【知事】じゃ、それは、政府、東電、関係者に聞いてくださいよ。

【記者】あと、もう1点ですね、秘密保全保護法が成立すると、そういう秘密がかえって出にくくなって、原発事故対応に支障が生じるんじゃないかという可能性もあると思うんですが、この点についてはどうお考えでしょうか。

【知事】原発事故対応は速やかに行うべきだと思いますよ。そして、それは、例えば、一定の技術を持って、技術者が参加できるようにするための情報というのは常になければいけないし、原子力規制委員会もそういう情報を持っていなければ、処置できないでしょう、それは。

【記者】森雅子担当大臣にも同じ質問をしたんですが、そういう原発事故のときに、秘密情報であっても関係者にどれを出してどれを出さないかという線引きはすぐにでもするべきじゃないかというふうには思われないでしょうか。今回の消防庁の命がけの隊員の方が、原発事故のときに……。

【知事】それはあれでしょ、消防庁、東京消防が行って放水したときに、まずそういうところよりも先に、目の前にあるがれきをどかさないとホースがね、つなげないとか、そういうことで奮闘していたわけであって、ま……。

【記者】もちろんそれだけじゃないですけれども、その障害の要因の1つになったのが、原発内部の図面がなかなか提供されなかったことだと、で、それに対してやっぱり……。

【知事】だって、あのときは事故の詳細もまだね、そのものがまだ解明されていなくて、東電社員自身がどこで何が起きているのか全部つかめていないような状況だったわけですよね。

【記者】だから、そういう教訓を生かして、事故が起きたときには誰にどの状況を秘密であっても出すべきかどうかというのは、やっぱり、線引きしておかないとまずいんじゃないかと、これから再稼働を安倍政権がしようとしているわけですから、その準備もなしに、秘密保全保護法が成立すると、かえって原発の事故のリスクが増大するんじゃないかということを、貴重な体験をされた東京都の立場で政府なりに進言するべきじゃないかなと、そういうふうに思ったんですが。

【知事】それは、あなたのご意見ですから承っておりますけれども、国に言ってください。それは。

【記者】猪瀬知事として、安倍総理含めて、政府関係者等に、そういった……。

【知事】だから、今、言ったように、東電は、政府の問題であり、同時に、政府の問題というのは官邸の問題であり、経済産業省の問題なわけですよ。そして、東京都は、電力を供給してもらう立場から、いろんな原発以外の電源をいろいろ、どうつくるかという提案をしてきたのでありね、それからさまざまな東電の緩い経営体質について具体的に分社化、自由化をやっていくと、そういう立場ですから、別に今の話と直接重なるものじゃありません。

【記者】じゃ、都民の安全、命を守るというお立場で、あのときの福島原発の事故のときも一歩間違えば東京に人が住めなくなる状況になったわけですよね。柏崎刈羽が再稼働して事故を起こせば同じような事態もあり得るわけで、そのときに、福島第1原発の教訓を十分生かすように、なぜ、総理はじめ東電関係者に進言なさらないんですか。貴重な体験をされて、命がけで隊員の方が現地に行って……。

【知事】わかったよ、それは。論理が飛躍しているの。それは、もちろん言うべきときは言いますよ。

【記者】まだ意見交換はされていないんですか。

【知事】今ね、さっき、地方法人住民税とか、今そういう話をしたばっかりでしょう。いろんな話があります。大島の話もね。そういうことは常に東電側といろんな話し合いをしていますから、そういう流れの中で出てくるということであればそういう話をします。

【記者】今まで出てきてないんですか、東電との話し合いで。今の重要な図面を出す、今回、次からはすぐ出すとかですね、そういう仕分けは、作業は進んでいないんですか、原発事故対応に、ときにですね。

【知事】それは、原子力安全委員会とか、そういうところでやればいいことですから。

【記者】十分進んでいると……。

【知事】別に東京都は原発の担当者じゃありませんから。

【記者】じゃ、都民の命を守る立場でそこは十分チェックなさるお立場なんじゃないんですか。

【知事】質問の意味がわかりません。

【記者】泉田知事だって柏崎刈羽の再稼働に関して、東電の対応は不十分だというふうに徹底的に追及しているわけですよ。

【知事】東電対応は不十分です、それは。それ以上のものじゃないですから、それで終わりです。

【記者】具体的に……。

【知事】そして、もう同じ話をあなた、自分で繰り返しているだけだから。要するに、東電の問題は、当然、その担当官庁がきちんとやるべき問題ですよ。で、東京都としてやるべきことは全部やってきていますから。原発が、それがどんどんどんどん減っていくことは事実だし、ね、そういうものの、事故の解明も先ほど言いました。事故調でいろんな報告書出ていますから、そういうことで十分じゃないんですか。あなたの言ってるのは、別の話を言おうとしてるから混乱させるんですよ。

【記者】いや、だから、テロ対策で……。

【知事】秘密保護法の話と、今の話は別だから。

【記者】いや、秘密保護法で、テロ対策関連の情報は秘密指定されて、ますます出にくくなるおそれがあるわけじゃないですか。実際、福島第1原発のときでさえ、なかなか東電は出さなかったと、テロ対策を理由に。だったら、もっと状況を悪くするということになるんじゃないですか。

【知事】秘密保護法の話と原発の話と一緒にするから、わけわかんなくなるの。

【記者】いや、秘密保護法によって、福島第1原発の事故対応の状況よりも、さらに悪化するんじゃないんですかと、その教訓……。

【知事】あなたはそう思うということで、わかりました。

【記者】テレビ東京の石井です。朝鮮学校の話に戻るんですが、横浜市が補助金を支給しないのを決めた理由に、北朝鮮のミサイルとか核実験といったものが理由の中にあったと思うんですが、東京都としては、理由の中にこういったものは含まれるんでしょうか。

【知事】東京都の場合は、実証的なデータに基づいて、現行の法律の範囲内できちんと決められることを決めたということで、そのほかの、今の自治体の場合は、いろんなご意見があるということだと思いますが。具体的な法的根拠に基づいて決めることが一番正しいと思います。実証的にね。

【記者】こういう不適正な財産管理がわかったわけで、東京都としては、これを改善するように指導なりはするんでしょうか。

【知事】まずは、だから、補助金を……。

【記者】出さない。

【知事】というところ、まず第1ステップでしょう。まず、第1ステップを踏んだということですね。あとはまた考えます。

【記者】TBSの海野と申します。先週も質問出てたんですけれども、国立競技場の建て替え、今週に入って、下村大臣から周辺施設とか道路とか、相応分は都に負担してもらいたいというような話がありましたけれども、その後、国から要請があったのかということと、あと、想定の、3000億とは言わずとも、想定の1500億あたりを超えてきたときは、都も負担しようという考えはあるんでしょうか。

【知事】これはね、まず、原則論として、国立ですから国が建設費を支払うのは当たり前でしょう。そして、3000億円もかかる膨大な、コストのかかるような設計をするのは間違いだから、まずはその半分ぐらいのキャパシティーのものにすればいいでしょうと。それで、ロンドンの場合は、5万人の収容で2.5万人が仮設だと。大体、今回の場合もそういうことにすれば、まず半分になるでしょうと。
 そういうことをきちっと、明快に、まず国立について、国立についての文科省側の説明がないとですね、何を負担せよというのかね、まず幾らもともとかかるのかもわからない。それで、こちらに何か出せと言ってもですね、出しようがない、わからないんだから。ということですよね。

【記者】それで、道路とかそのあたりっていうのが来た場合は、都の都道とかであればということでしょうか。

【知事】来た場合はって、それは、都道はあそこにあるわけですから、都道は都道ですよ、それは。だから、今言った国立競技場の範囲というのは何なのか、ちゃんと明快に、大きさはどのぐらいかもわからなくてですね、どのぐらい都道にかぶってくるかもわからない状況の中で、言いようがないでしょう。

【記者】新宿区新聞の喜田です。先ほども原発の問題が出ておりましたけれども、先だって、小泉前総理ですね、猪瀬都知事とも非常に懇意な関係にあると聞いておりますけれども、脱原発のですね、話を今、盛んにしておるようでございます。そのことについて、安倍総理も反論をしてましたけれども、猪瀬都知事としては、そのことについて、何かコメントございますでしょうか。

【知事】あなたは一緒に来なかったけれども、北海道の稚内の近くの幌延というところに、僕はわざわざ見に行っていますよね、地下350メートルまで入って。そういうふうに核のごみがどのように処分されるべきかということについて、強い関心があります。それはフィンランドのオンカロというのも、BBC放送かどっかですね、外国のドキュメンタリーですね、ちゃんと見ています。
 ですから、そういう問題の解決策をどう見つけていくかということを議論なしに、原発がそのまま永続的にいくことは不可能でしょう。そういう問題の解決をきちっと考えていく必要はあると思っています。
 トイレのないマンションと言われている原発の、どういうその結論を、処分の仕方ですね、急がなければいけないと。その結論なしにやることは非常に難しいと思いますよね。

【記者】それともう一つ、関連しますけれども、そういう処分場だとか、そういうものが定まらないままにですね、例えばトルコに原発を輸出するとかっていう考え方、話が出ております。海外輸出ということと、トイレなきマンションのようなものを輸出するということについては、どういうふうにお考えになりますでしょうか。

【知事】だから、それはその国の政治の問題ですから、そのフィンランドのオンカロというのは、フィンランドで考えた。ドイツでも、イギリスでも、みんな同じことを考えています。まだ、その原発をやめたドイツでも、その決定はできていません。ですから、その国その国の国民と国家がきちんと決めることです。

【記者】産経新聞の高橋と申します。昨日、陛下が出られた園遊会でですね、都選出の山本太郎参院議員が天皇陛下に直接お手紙を渡したということがありました。これについて、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】あれですね、あんまり意味のないことをおやりになったと思いますね。なぜかというと、政治的な、要するに権限が皇室にないわけですから、そういうものをお渡ししてもしようがないでしょう。
 やっぱり、文化的なその中心というか、権威ですから、政治的な場面で、もしそういうことをお渡しするとしたら、総理大臣に渡せばいい話であって、天皇陛下にお渡しする必要は全く、やっぱりおかしな話で、それはやはり、よいことではありませんね。
 明治時代に田中正造という人が直訴をお渡ししたということがありますが、それは天皇大権の時代ですから、全然話が違いますよね。多分、その山本太郎さんという人は、そういうところが無知だったんじゃないですか。

以上

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)