石原知事記者会見

平成24年5月17日更新

石原知事定例記者会見録

2012年5月11日(金曜)
15時05分〜15時30分

知事冒頭発言

1 東京電力の「総合特別事業計画」について

【知事】冒頭、私から2つほど申し上げます。
 まず、東京電力の総合特別事業計画についてでありますが、東電の構造改革についてはこれまでも再三指摘をしてきましたけども、都の主張が盛り込まれて、結果としてコスト削減額が2兆6000億円から3兆3000億円に積み上げされることになりました。しかしながら、電力市場の透明性や競争性を向上させるために、国が取り組まなければならない事がまだまだ沢山あります。そこで、近々、猪瀬副知事に、枝野経済産業大臣のところに要請活動に行ってもらうことを考えております。詳しいことは知事本局に聞いてください。

2 尖閣諸島の寄附金について

 それから、例の尖閣諸島の東京都の購入に関する寄附金についてでありますけども、寄附の専用口座を開設しましたが、本日、正午現在の速報値で約4億7000万円に上りましたが、実は先般、ある企業家から、ありがたいことに1億円寄附をするという申し出がありました。これからも、国民の関心が高まって、かなりの協賛金が集まると思いますけども、短い期間にこれだけの金額が寄せられたのは、やっぱり都民、国民に、国土がいかに大切かという意識が、先の東日本の大災害も引き金になって、それが呼び起こされて、国が何もしないなら、せめて自分たちの手で国を守りたいという意思が凝縮した結果だと思っております。こうして寄せられた志を、ありがたく受けとめるとともに、私からのお礼状を送るように、事務方にも指示をいたしました。
 後ほど、詳細については、(知事)本局から説明いたしますが、ここであえて、本当に国民の皆さんにこの場をお借りして感謝申し上げますけども、やっぱり国がやらないなら私たちがやるしかないと。天は自ら助くる者のみ助くという、人間の歴史の原理というのを、むしろ今、この国を預かる政治家や役人ではなくて、国民の皆さんが自覚していらっしゃるという、私はありがたい証左だと思います。本当に日本人も捨てたものじゃないなと、嬉しさで胸がいっぱいでおります。
 これからどういう進展になるか分かりませんけども、ともかく国がしないなら私たちがするしかないんですよ。今年になってからシナが、日本の尖閣諸島の実効支配を俺達は壊すと、そのために果敢な行動を取ると、そのための艦船を含めた機材も調達して強化すると言っているんでしょ。そして、現に、もう既に300隻を超す漁船が領海侵犯しながら漁業している。今の日本の体制では、これを追い払う事はとても手薄で出来ない。そういった漁船たちが乱獲を続けて、あの黒潮の源流があそこから沸き上がって日本の列島を洗って、それが運んでくる魚たちが、特に日本の近海マグロというものの幼魚、幼い魚があそこで一網打尽にされたら、本当に日本独特の海洋資源までが絶滅する恐れ有りと、そういうことを皆さんに知っていただきたい。
 それから、私達がかつて造ったあの灯台、それに呼応してある政治結社が立派な灯台を造ってくれた。注文も受けて、私は(旧運輸省の)水路部に紹介して、二、三、足りないところがあるからということで立派な灯台を造ってもらいました、日本青年社に。この灯台が出来て水路部が行って、「結構です。これで正式な灯台として登録できます」言ったのに、外務省はなぜか時期尚早と言ってこれを止めたんです。出来上がった灯台が、光りながら海図に記載されなかったら、非常に危険なんです。ところが、日本人含めて、漁民とか、あそこを航行する他の人たちの生命の危険も顧みずに、外務省は誰におもねったか、どの国におもねったか、この灯台を正式に記載させることを拒んだ。政府もそれを許した。こんな馬鹿な国はどこにありますか。外務省の役人にとってみたら、シナに対する懸念が、同胞の日本人や他のあそこを航行する人たちの人間の生命よりも、他国に対する重い危惧の方が大事だということで、私はこれは外交の名に値しないと思いますよ。
 それからこれはもう石垣の人間は全部知っている事ですけども、あの衝突してきた特殊な船、向こうの装甲は厚くて、ぶつけられた保安庁の船は引っ込んで穴が開いた。その犯人を何で沖縄県の地検の検事がその権限で釈放出来ますか。全部その検事に罪をなすって、外務省が差配してあの犯人を釈放し、夜中の2時半に特別機がやってきて、強引に石垣の航空を開けさせて、向こうのかなりの人物、高官が彼を迎えに来て連れて帰った。英雄扱いで、歓呼の声で迎えられた、向こうでは。こんな事の手助けを何で日本の外務省がするんですか。だったら、俺達の責任じゃないんだったら、国会であの検事を参考人にして呼んだらいいじゃないですか。こういうことを全くしないで、責任のなすり合いをして、しかも外国が、おまえの家に強盗に入るぞということを宣言しておりながら、着々その準備を進めていながら、それに対処をしようとしない。だったら、私たちがするしかないじゃないですか。東京だって国の一部ですよ。この国が侵犯されたら、東京だって立つ瀬がないんですよ。だから、東京が言い出してこういう事になった。
 私とあの島の持ち主の栗原一族とは昔から深い因縁がありまして、私たちは一度、かつてあの栗原家の当主だった未亡人に、小さな島でも分けていただきたいと申し上げに行ったんだけど、断られました。
 栗原家は戦争中、一方的に中島飛行機の飛行場を、飛行機工場を造り、そのための滑走路を造るために膨大な土地を取り上げられたそうです。そして戦後も、膨大な屋敷を、区画整理という事でもう本当に惨めに削られた。そういう苦い経験で、かつて未亡人は「私たちは一切、国を信用いたしません、政治を信用しません」。私は面会で断られたんですけども、たまたま未亡人の親友だった、私の父の次長だった方の未亡人が親しくて、その方の縁で私は栗原未亡人に会うことができましたが、その話を直に聞かされまして、私たちは引き下がりましたが、代が替わって、向こうもいろいろご事情があるようで、亡くなったお母様と私の関係を知っている現の当主が山東昭子さんと非常に親しいようで、山東さんを通じて、石原さんとなら話をしたいと、話をするという事で、今回の運びとなりました。
 本来なら、これは東京がする事じゃないでしょう。国がする事でしょう。国がしないなら、誰かがしなければいけないんじゃないんですか。誰がこの国を守るんですか。という事で、それに呼応して、あっという間にこれだけの寄附金が集まったという事は、私はこの国を救う大きなよすがになると思いますし、日本人に対して、国民に対して、共感して下さった方には、本当に、国を代表してだねこれは、僣越な話だけど、ありがとうと本当に心から御礼申し上げる次第です。また、これからのご協力を期待しております。
 私から申し上げる事は以上です。

質疑応答

【知事】(挙手した記者に)俺、君の会社嫌いなんだよ、嘘ばかりで。朝日新聞は反対なんだろう、これに。なぜ反対なのか教えてくれよ、それを先に。
ほかの質問。嘘ばっかり書くから、この会社は。

【記者】すみません、嘘というと。

【知事】ワシントンの問題でも。俺は(週に)2日しか出ないこともあるけど、日曜も働いている事もあるよ。いい加減なこと書かない方がいいよ、人の中傷のために安っぽい記事を。天下の朝日なんだろ、本当の事を書いたらいいじゃないか。何だよ、質問。どうぞ。

【記者】はい。尖閣諸島の件で伺いたいと思います。まず、今週、石垣市長が共同購入を東京都としたいというような事をおっしゃっているんですが、それに対して……。

【知事】いや、それはお断りしました。混乱しますからね。東京が入手した後、どういう責任分担するかを考えて行きたいと思っています。
 はい、他に。

【記者】もう1つ、地権者の栗原さんとのやりとりの件なんですが、まだ東京都の職員、役人レベルと栗原さんとのやり取りというのはまだ無いという風に聞いております。東京都の職員として栗原さんの意向を確認すると、こういう事についてのスケジュールはどういう風に思われて…。

【知事】栗原さんの意向は私が確認しているんです。事務的な手続きは、担当の人間がすればよろしいのでね。向こうもきちっとした弁護士を代理人に立てていますから、こちらも代理人の弁護士で事務的な交渉をします。
 はい、どうぞ。

【記者】東京電力の家庭用の値上げについてなんですけれども、本日、家庭用の値上げ申請をしたいという事になります。猪瀬副知事が昨日、東電に対して矛盾点を指摘されたりしているんですけれども、こういった家庭用の電気の値上げについて、東京都の考えというのを改めて知事からお聞かせいただければ…。

【知事】いや、それは猪瀬さんと全く同じですね。家庭用と言ったって、中小企業も入るわけですから、零細企業もね。そういったところが、普通の家庭なら持ち応えるかもしれないけど、これだけの値上げに、本当に身を削ぐような努力をして経営している人たちに更に負担が上がった時にどうなるかという事を斟酌(しんしゃく)して、彼らが権利と称している値上げというものに対して対抗していこうと思いますし、今まで、1回辞めた都の職員であった、副知事であった人間が重役でいましたけど、そんな人じゃなくてね、これはただの繋ぎの伝令でいただけで、あんまり役に立たなかったんだけど、今度はこういった東電の姿勢を基本的に正して行く必要がありますから、きちっとした公認会計士を選んで、東京の代理人として、重役として送り込みます。
 どうぞ。

【記者】先ほど尖閣のことで、石垣市長からの共同購入についての提案はお断りしたということですが、いつ……。

【知事】とにかく一元化しませんと混乱しますからね。全部、東京が取得した上で、いろいろ業務分担をしようと思いますし、またその段階で、石垣に財政的にも参加してもらうことはあり得るでしょうけど。今はやっぱり東京が勧進元になってやりませんと、あっちでこっち、こっちであっちということになると、詐欺まがいの事件も発生しつつありますし、こういった事を是正するためにも、事は一元にした方がスムースに行くと思いますから。

【記者】その点について、石垣市長にはどのような、いつ、どのような形でお伝えして…。

【知事】ですからそういうメッセージをさっき聞きましたので、私の方から断ります、きちっと。

【記者】これから伝えるということですか。

【知事】そうですね。
 どうぞ。

【記者】先ほど、夕張市の鈴木市長とお会いになった件で伺います。財政再生計画では、来年度から元金も含めた償還が始まる、かなり夕張市にとって重たい償還になるんですけれども、市長はその期間を短縮してでも早く町づくりをしたいという風なお考えを持ってらっしゃいます。先ほどの会談では、知事の方に市長から、不交付団体である東京都にも第三者的な協力をお願いしたいと要請したという風に伺ったんですが、都としてどんな協力、支援ができるという風に、今、お考えでしょうか。

【知事】東京都が不交付団体だと言っても、身内が市長になった夕張のためにお金を出す訳に行きませんからね、いろんな知恵を貸そうとは思いますけど、幸か不幸か、この間、持っている美術館がつぶれて、かなりの美術品があるわけです。大方がリトグラフ(石版画)らしいけどね、シャガールとか、ピカソの作品もある。これは、タブロー(絵画)と違ってリトグラフは大して価値もありませんけどね、いずれにしろかなりの収蔵品があるということならば、つぶれた美術館を再建する訳に行かないでしょうしね、私も顔が広いし、有名な画商を何人も知っていますから、まずそのつぶれてしまった美術館が持っていた作品のポートフォリオを作りなさいと、リストを。もちろん写真でですね。それで、それがどれ位値打ちがあるかという事を、私の知っている有名な画商に算定してもらって、それを売ることでわずかの足しになるかも知らんなという話をしたんです。
 それから、僕はあそこへ行ってみて驚いたのは、今、1万5000人ぐらいの町になっちゃった、その町の大きさが23区に匹敵する。かつては炭鉱で栄えた町ですから、立派だった頃の市営住宅が林立している、ほとんど人が入ってない。なら、それを開放して、売るというとなかなか大変だけど、ただで渡せと、東京の人に、あるいはどこかの人に。それで、北海道にただで別荘を持ちましょうという事でキャンペーンしてね。もちろん住んでらっしゃる市民も他の手当てをして、無料で住んでいただきながら、ましな部屋に、ただで取得した人は、あとは自分でカーテン張り直すとか、畳を張り直すとか、リニューアルしたら良いので。それは、それなりにお金が落ちるでしょう。あのがらがらになった住宅に人が、季節が限られていても人が住むようにならないと、町の活気というのは出てきませんからね。あの活用性のある居住地を活用する事を考えたらどうだと言ってね、残したんですけど。
 今度、今日聞いたら、いろいろ企業に相談すると言うけど、私は企業に相談するよりも、個人に、ただで部屋持ちましょうと言えば群がってくると思うんだね。やっぱりあの町の一つの弱みは、過剰な設備投資をしちゃったわけですよ。ですから、それを活用するためにも、まず人が集まらなきゃしょうがないんでね。一番の魅力はスキー場でしょうな。東京からも、札幌からも近いし、千歳からも近いしね。せめて冬のシーズンでも、特に人が集まる。で、ホテルに泊まらずに自分の部屋から行ってスキーを出来る。そういう条件を作ったらどうだと言っていますけどね、これはやっぱりいろいろ工夫もあるんでしょうが、市営住宅とは言え、ぼろぼろのもあるし、良いものもある。ここら辺をどういう風にするか。見捨てるなら見捨てるにしてもですね。今、ぽつんぽつんとお年寄りが1人で住んでらっしゃる部屋が多いから、こういったものを、合理的な整理というか、みんなに集まってもらって、一番ましな棟に年寄りに住んでもらって、あとは開放するみたいな事を考えたらどうだと言ったんですけど。

【記者】財政的な面では非常に大変だと思うんですが、やはり都として何か財政的な支援というのは、やっぱりなかなか難しいという風なお考えでしょうか。

【知事】それはそんなことを言ったら切り無いですよ。東京だって足りない所がたくさんあるんだから。
 どうぞ。(挙手した記者に対し)東京(新聞)も尖閣に反対みたいだな。

【記者】昨日、原子力、東電管内の原発の稼働の可否を問う都民投票の直接請求がありまして、32万筆の署名を集めて都に訴えたわけですけれども、改めて知事のご見解はいかがでしょうか。

【知事】それだったら議会でも議論したら良いんじゃないですか。政党の立場もあるでしょうし。ただ、私は、軽々に黒、白というような形で原発を判断すべきじゃないと思います、かねて言っているみたいに。フランスで維持出来ているものを何で維持できないかといったら、システムが悪いんだ、日本のね。技術は最高のものを持っている訳ですよ。ところが、通産と東電とグルになって、訳のわからん事やって、ガバナンスというか経営がでたらめでね。しかも、日本の地勢学的な条件も考えずに、千年前かも知れないけど、とにかく長いサイクルだろうと、やがてやってくる可能性のある大津波というのはやっぱり過去にあったんですよという事を、学者がちゃんと証明して見せながら、それを斟酌(しんしゃく)しなかった。だから、同じものをつくるんだったら、海岸のそばじゃなしに、どういう効率を考えているか知らんけども、そこが立地として安く使用できたのかも知れないけども、過去の大津波というものの実績を考えれば、私は山の上に造ったら良いと思う。だから極端なことを言うと、東京湾にも出来るじゃないか、鋸山の上だったら空き地が沢山あるんだからね。あそこに造ったら、津波なんかあそこまで行きませんわな。この地震の強度で原発が破壊されたという事例は無いんだから。あくまでも津波なんだから。そういうことですよ。

【記者】今回の条例は、原発の稼働を差しとめるという請求ではなくて、原発をどうするかというのを都民が勉強して決めようという趣旨で始めたと市民グループの方は説明しております。それについて知事はいかがお思いですか。

【知事】都民が決めるの。

【記者】そう、最終的には議会ですけれども、条例の可否を決めるのは議会ですけれども、最終的には住民投票で東電の原発を稼働させるか、させないかというのを都民が決めるというのが目的な訳ですが、勉強した上でですね。

【知事】私は、そういう方式って非常に危険だと思いますね。何でこういうケースだけ住民投票にするんですか。そのために議会があるんだから、そこで冷静な議論をしたらいいじゃないですか。

【記者】知事、先ほど尖閣のお話の時にですね、国民が国には任せておけない、自分たちも動かねばと、そういうものを歓迎するようなおっしゃり方をされたんですけれども、今回、原発の可否、原発というテーマは横に置いておいてですね、住民がこういう風に自分たちでいろいろ考えて決めたいと考えることについては、どういうご感想をお持ちですか。

【知事】だったら、民主的な選挙制度というのは意味が無くなるじゃないですか。

【記者】2点伺いますが、今の条例の話に絡んで、知事は意見を付けて議会の方へ出されるという事になると思うんですが、以前は条例には反対だというお話をされていたと思うんですけれども…。

【知事】いや、条例というのは、どんな条例を作るか作らないかの議論なんでしょ。

【記者】どういう意見を今回付けられるか、改めて伺いたいというのが1点です。

【知事】ちょっとあなたの言うことが良く分からないんだな。どこに条例なるものがあるんですか。

【記者】いや、条例案ですけれどもね。

【知事】条例案。

【記者】条例案。条例案を議会に出すときに、知事の意見を付されると思うんですけれども、どういう意見を付されるのかという。

【知事】条例案というのは誰が作るんですか。都が作るんじゃないんですか。

【記者】そうです。

【知事】だったら、都は条件も付ける、付けないもないでしょう。東京都の所信に則って案を出しますよ。それについて、どんな案を付ける、付けないというのは、議会が注文することはあるかもしれないけども。

【記者】わかりました。
 別の件で伺います。教育長の人事についてなんですけれども、以前、インタビューの中で知事は、外部登用も検討するというお話をされたと思いますが、任期が7月に迫る中で、その外部登用のお考えに変化はございませんか。

【知事】それで一生懸命探しましたがね、やっぱり条件が合わないですな。これと思う人に依頼しても、給料は安い、兼職できない、非常に身柄が一方的に拘束される。なかなかそういう条件の中で、私たちが見込んでいる人で引き受け手はいませんね。ですから、OBの中とか含めて、しっかりした人間をもう1回選び直そうと思っていますけども。

【記者】ありがとうございました。

【知事】はい。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)