石原知事記者会見

平成24年3月12日更新

石原知事定例記者会見

平成24(2012)年3月2日(金曜)
15時06分〜15時29分

知事冒頭発言

【知事】私から、冒頭申し上げることがありませんから、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】先週、石原知事、国会の解散当分ないんではないかというようなお話をされていらっしゃったのですが、今週になって、野田(佳彦)総理と谷垣(禎一 自民党総裁)さんの密談の話が出てきたり、それで小沢(一郎 元民主党幹事長)さん切りとか、大連立みたいな話も出てきているのですが、こういう動きについてどういうふうにご覧になっていらっしゃいますでしょうか。

【知事】分からない、私は。別に国会にいるわけじゃないし、政党に属しているわけじゃないし。極秘に会ったかどうかも、極秘だから分からないし、密談をしたんだろうが、密談の内容なんか分かるわけがないじゃないですか。ただ、概況を眺めてみると、民主党の中のごたごた、それから小沢一郎の去就、慨してみると、そんな早い形で選挙がないような気がしますが、私は。外から眺めて。それだけ。

【記者】前神奈川県知事の松沢(成文)さんなのですが、本を出されまして、『私が吉本に入った本当の理由』という本なのですが、これはご覧になりましたか。

【知事】読んでいません。ただ、概略はレジュメしたものを読みましたけれども。

【記者】この中で、都知事選をめぐる昨年のいきさつを書いていらっしゃいまして、ある意味、いい体験だったというふうにはされていらっしゃるのですが、その選挙戦になる前の支持率の低さで勝てないというふうに決めつけられてしまったとか、一度、石原さんから出馬を請われていたと、要請されていてという意味ですが、また、おろすというやり方が許せなかったとか、それについて不正義であるとか、「信義にもとる」というような言い方をされて、本に書いているのですけれども、こういう評価について感想、反論ございますでしょうか。

【知事】いきさつについては、松沢君に話をする、またその更に前段みたいものがあるんですが、彼に立候補を打診したその後のいきさつも、ちょっと内容と違いますな。それをとやかく言ってもしょうがないですから、今さら。

【記者】後継者選びということで考えると、昨年ああいうことがあったので、もう松沢さんは無理ということなのか、ああいうことがあったからこそ、また次は松沢さんにということなのか、このあたり、知事はどういうお考えでいらっしゃいますか。

【知事】これも先のことだから、分かりません。はい。

【記者】松沢さんから引き継いだというふうにされている受動喫煙防止条例とか、このあたりのことについては、今後どういうふうにされるご予定でしょう。

【知事】これは、都議会で議論したらいいことじゃないでしょうか。私がそれについて、イニシアチブとってやることじゃなくて。都の幹部たちも煙草の吸えない人いるし、本会議のわずか15分の休みにも、慌てて煙草吸っている人もたくさんいるし。議会でもまた色々な考えがあるでしょうから。私は煙草吸わないもんですから、喫煙の実感はよく分からないけれども、理事側と同時に、都議会が話して、都民全体に及ぶことですから、そこで合議して決めることじゃないでしょうか。はい。

【記者】ご自身から、何かこう、イニシアチブとって何とかというのはない。

【知事】ない。問題点はとらえていますよ。
ああいうことを書かない方がいいと思うけど、僕は。彼のためにも。
 はい、どうぞ。

【記者】先週のいわゆる南京大虐殺をめぐる発言について、本多勝一氏(ジャーナリスト)が修正をされたというふうに知事が発言されております。詳しく、本多勝一氏が何を修正されたというふうに知事は……。

【知事】彼の論では、40万人の虐殺という数字は論拠がないもんだから、日本軍が杭州湾に上陸してから、南京を陥落させるまでのシナ側の死者が40万というような言い方をしたと思いますが、これもちょっとおかしな話で。私たちが評価する、立派な人物が報道班員として3人、陥落直後に行っているの。大宅壮一、石川達三、林芙美子。この3人に聞きました、私は。3日後に彼らは入ったんですが、死体は見たけれども、そんな虐殺がそれからも行われたと、私は全然記憶にないし、見たこともないと。それから、大事なことは、蒋介石の軍隊があそこへ立てこもって、住民に随分、色々なひどいことをして、住民が逃げ、その逃げた住民が、南京が陥落して、日本軍があそこを占拠したということで、南京にもといた人たちが、戻ってくるんですよ。それは顕著なことですよ。そういうことで、私は、当時の日本軍の軍備からしても、40万という数字は荒唐無稽だし、あり得なかったと思う。河村(たかし 名古屋市長)君の発言は、その意味かどうか知りませんが、南京虐殺事件はなかったという言い方。それは、ちょっと言葉が短絡的で、南京で日本が40万殺したという大虐殺というのはあり得なかったということを言うべきだと思いますが。僕は、あり得なかったと思います。

【記者】ちなみに、本多勝一氏は人数については書いていません。

【知事】いや、書いている。

【記者】書いておりません。

【知事】朝日にも書いて、あちこちで書いている。

【記者】いえ、書いておりません。それは見解の相違ということにしておきまして。大宅壮一さんなのですけれども、『サンデー毎日』の臨時増刊1966年の10月20日号で「入城前後、入城までの過程において、相当の大虐殺があったことは事実だと思う」と、人数については、「30万とか、建物の3分の1とか、数字はちょっと信用できないけど」という前置きをしながら、相当の大規模な虐殺があったということは、私も目撃者として十分言えるというふうに、大宅壮一さんは、『サンデー毎日』で書かれております。これについてはいかがでしょう。

【知事】私が聞いた話と違いますな。40万という数字は信憑性がないと聞きましたし、石川達三さん、反体制的なしっかりした作家も、そんな事実は見なかったと言っているし、当時の日本軍の装備からしても、そんな短期間の間に、40万の人間を無差別に殺す能力はなかったと思います。はい、そういうこと。はい、ほかの質問は。どうぞ。

【記者】渋谷にある知事公館についてなのですけれども、昨日の一般質問で、災害時の有効活用について、財務局長が、財産管理上、当然として適切に対応すると話しました。知事は、2年前は、職員が住めばいいと話していましたが、今はどのように考えていらっしゃいますか。

【知事】職員が住めばいいんだよ、空いているんだから。部屋区分して、蚕棚でもつくって、都庁に近いんだから、使ったらいいじゃないですか。何も気どって、知事公舎に職員が住むのはけしからんみたいな話でもないんだし、空いているんだから、使ったらいいんじゃないですか。近くて、歩いて来られる距離であるんだから。本当におかしいと思うね。何様の屋敷じゃないんだよ、空いているんなら、使えばいいんだよ。それで、次の知事が継ぐと言ったら、インテリアを変えたらいいし。そこで急に職員を追い出すのはもったいない話だと思うけど、次の知事がどういう見識を持つか知りませんけど、私は、自分の家からはさして遠くないし、ちゃんと通勤して、支障をきたしていませんから。空いているんだから、使ったらいいじゃないの。極端なこと言ったら、シュラフ(寝袋)で寝たって、じゅうたん敷いてあるんだから。ただ、私邸ということなんでしょうけど、会議場が4つもあるような建物に住みたくないな、僕は。どんな会議室か知らないけれど、自分の家まで来られて会議やられたらかなわんよ。変な建物だ、本当に。
 はい。どうぞ。

【記者】2点伺いたいのですが、フグの規制緩和条例(東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例)が成立する見通しと言われていますが、何故それが今のタイミングなのかというのが1点とその背景です。もしその改正案が通った場合、市場に毒のあるフグが出回るんじゃないかという恐れがあるというお話も聞いたりするのですけれども、その点、知事はどういうお考えでしょうか。

【知事】後段のことはあり得るかもしれませんね。私は、それを危惧しているんですけど。ただ、この条例をつくるに至ったゆえんというのは、流通・加工が非常に進歩して、パックで入っているのを持って帰っても、家でフグちりができるとか、刺身ができるとか、その他この他、そういう半分加工された製品が非常に出回って、築地の市場での生のフグの売れ行きが、大分パーセンテージ落ちたんで、そういう流通が変わった、加工の技術も進んだ時代に、そういう条例つくったらいいんじゃないかということだそうだけども。でも、私はちょっと怖いね。その意見も伝えて、都議会で議論したらいいんじゃないですか。これから、条例として審査をするわけだから。はい。

【記者】先週の都知事の会見で、フリーの記者から、「昨日発表されたが、三菱商事、三井物産、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、パナソニックが、東京から大阪方面に移転する」……。

【知事】あれは誤報だったそうですよ。

【記者】誤報だった?

【知事】うん。

【記者】その際に、知事は、この企業の移転に関して、何か事前に情報はお持ちだったのでしょうか。

【知事】全くありません。

【記者】そうすると、なぜあのようなご回答になったのでしょうか。

【知事】残念でしょう、実際に移っていったら、えらいことだと思いましたけれど。

【記者】記者が言うことは正しいのというふうに、前提にお答えになっていたと?

【知事】そうです。初めて聞いたから。

【記者】そこで初めて聞いたわけですね。

【知事】はい。

【記者】それが、あちらこちらで、知事会見をもととするデマに広がっていってしまったのですけれども。

【知事】それは君らがやっているんじゃない、デマは。メディアが介在しなければ、デマなんか伝わらんからな。

【記者】メディアというか、ネットの方で、一番大騒ぎだったのですけれども。

【知事】そう?どういうふうに?

【記者】ツイッターで広まったりとか、ブログで広まったり。

【知事】そのツイッターとかブログで、「あれは間違いだった、誤報だった」と。

【記者】私はそう書いたのですけれど。

【知事】ありがとう。

【記者】デマの根拠に会見がなってしまったことについては、どのようなご感想をお持ちでしょうか。

【知事】突然、その情報を聞きましたから、それが本当だとしたら残念だということを言っただけです。ただ、人間、色々な過ちもあるだろうし、色々な誤報が飛び交うこの時代だから、しようがないんじゃないですか。私、初めて聞いたことですから。どうぞ。

【記者】東京スカイツリーについて伺いたいのですが、今日、東京スカイツリーの完成を祝う竣工式が行われました。新たなシンボルとして、例えば、知事の今後ろにありますポスターが東京タワーなのですけれども、その後ろのポスターを変えられるといったことはあり得ますでしょうか。

【知事】そうね。この東京タワーよりは、スカイツリーの方がきれいだよ、形としても。色もいやらしいし。これが東京のシンボルというのはシェイム(恥)だと思っていたけれども。

【記者】スカイツリーのデザインは気に入っていらっしゃいますか。

【知事】こっちよりはいいよな。写真も変えましょう、本当に。
 はい。どうぞ。

【記者】瓦れき処理の問題なのですが、東京都はかなりの、10万トンですか、瓦れき処理をやるということなのですが、ほかの地方自治体のほうは、どうも二の足を踏んでいるところが多いようなのです。この現象をどういうふうにご覧になりますでしょうか。

【知事】非常に残念ですな。風評に脅かされて、自治体の首長が足踏みするというのは、私はナンセンスだと思う。3回のチェックを経て運ばれてくる瓦れきですから、それを焼却する、整理する施設がないところは無理ですよ。だから、国だって、もしどこかの県で引き受けてくれるんなら、国費で処理場をつくってさしあげますぐらいのオファーをしたらどうなのか。まして、その施設があるところだったら、再三、繰り返しているように、最高司令官の総理大臣が号令をしたらいいの。みんな交付金もらっているんだから、国から。

【記者】東京は、これ以上、引き受けるということは、考えてはいませんでしょうか。

【知事】能力があったら引き受けますよ。ただ、東京から出るごみもありますから。そういったものの兼ね合いで、できる限りのことをしようと思っています。しかし、東京1人で賄える問題じゃないから、もうちょっとほかの道府県にしっかりしてもらって、同じ日本人として。転んでけがをしている人間を助けるのは人間の常じゃないですか。仲間が転んでけがしているのに、手を差し伸べないというのは、そんなやつを首長として選んだ市民も、県民も、ちょっと責任があるんじゃないのかな。さっさとやれという号令したらいい。総理大臣はそのためにいるんだから。はい、どうぞ。

【記者】先日、猪瀬(直樹 東京都副知事)さんが、中部電力の方に、電力の購入を打診されまして、結果的に、需給がまだ安定していないということで、しばらくは、中部電力側は売るのは難しいというお話ですけれども、これについて、知事はどのように……。

【知事】今限りの話で、その後の報告も聞きましたが、猪瀬さん、電力の問題については、非常によくやってくれているね。率直に言って、官僚出身の副知事は、あれだけのことできない。発想力から何からいっても。相手を脅し、すかし、手玉にとっているところもあって、これは見事だと私は思っています。ですから、中部電力の話も、さっきも詳しく聞きましたが、中部は余力あるんですよね。ほかの県にも供給しているけれども、中部電力に余裕があるんだったら、東京にも回してくれるという、それを阻害する要因というのはどこにもないわけだから、これから先、また緊密に連絡とりながら、いざという時には、中部電力からの供給も、私たち、念頭に考えていかなくちゃいけないと思っていますけれども。

【記者】猪瀬さんへも、ちょっと質問させていただいたのですけれども、東京電力から、東京都は供給をとりあえず受けないというか、受けないことを前提に他の供給先を探すということになるのでしょうか。

【知事】それは値上げの問題もあるわけです、電気料の。内部努力もせずに、(子会社等の)リスト見ても、訳の分からない会社がいっぱいあるよ。それで、たくさんの給料をもらい、年金をもらって、そういう会社が、自己規律できちんと内部の整理をして、企業というものを健全化しないで値上げをするんだったら、私たちは拒否して、ほかから供給を仰ぐ、そういう手段をとるべきじゃないでしょうか、都民のためにも。経済社会の自由の競争の問題なんだから、こちらだって、商品を選ぶ権利はあるわけだから。相手は権利があるとか、偉そうなこと言っているけれども、やることの努力もせずに、今の財務省と同じだよ。自分たちで身を削がずに消費税上げろと、国民は半信半疑で、半分、首傾げながら、ついてこざるを得ないかも知れないけれども、東電の値上げの問題なんかも、猪瀬さんが気がついて、色々な調査してみると、実はこれだけの資産を持ち、これだけのものを整理すれば、料金上げずに済むような現実があるわけでしょう。そういったものを整理もしないで、値上げというんなら、ほかの店を探して、もっといいもの、安いものを買おうという、これはお客として、当然のことじゃないでしょうか。
 はい、どうぞ。

【記者】冒頭の方で、後継のお話が出たかと思うのですけれども。知事、事あるごとに、3期目で辞めるつもりだったとおっしゃられておりますが、今現在、4期目やられているということは、ふさわしい後継者がなかなか得られなかったというのが大きな原因だと思います。それを教訓として、今、後継というものについて、何か考えがおありなのか、何か動きをされているのか。

【知事】そんなことはみだりに言えないね。松沢問題が起こる前にも打診して、これなら、自民党も民主党も連合もいいじゃないかと言ってくれるだろう候補者を見つけたんですが、誰とは言えないけれど、にべなく断られました。残念でした。それを擁して戦って、訳の分からない候補に負けたのなら、選んだ側の人間が責任あるなということが分かるような人物だったけれど。だめでした。どうぞ。

【記者】先ほど出た総理と谷垣総裁の極秘会談の件なのですが、2人は会談したことを、その後も否定し続けているのですけれども、このことについて、知事はどうお考えですか。

【知事】それは否定するでしょう、密談したんだったら。

【記者】ただ、それが伝わってくると。

【知事】それを聞き出したり、内容を聞くのは君らの責任なんじゃないか。私もよく、「あるところで、ある人物と会いましたか」と聞かれたから、「会ったよ」と言ったら「何を話しますか」。「密談だ」。「密談ですか、どんな内容ですか」と、聞く方がばかだ。君がばかというわけじゃないよ。密談して、言う訳ないじゃないですか、政治家が。密会なら話さない。男と女の間だってそうじゃないか。はい。

【記者】昨日の一般質問でもちょっと出ていたみたいなのですが、1月20日の記者会見の時に、外環の地上部の街路についてお伺いした時に、「近々行きます。ごく暖かい日に」行かれるというふうに知事はおっしゃったのですが。

【知事】暖かいというか、時間を見て、今ちょっと忙しい時期ですから、何度もいっているんですけど、あれを地下にするにしても、なお、今の形の道路では不整備な部分がありますから、それとは別に道路を整理する必要あると思いますよ。そのために、土地を削られる人も出てくるかもしれないけども、いずれにしろ、今ある地上の道路そのものも、外環が地下でできても、非常に不整備な点がありますから、それを直していくのは都の責任だと思っていますけれども。

【記者】それは、建設する必要があるというご認識ということですか。

【知事】ですから、それも確かめに行きます。

【記者】4月以降ということですか、行かれるのは。

【知事】そうでしょうね。この定例議会が終わってからでしょう。

【記者】先ほど、受動喫煙の件で、イニシアチブをとらないというお話されましたが……。

【知事】私のイニシアチブじゃなく、東京都が議題にしたらいいんじゃないですか、議会あるんだから、ということじゃないですか。松沢君がそれを主張しても、議会を通らなければできることじゃないから。

【記者】松沢さんに一度要請して、またご自身が出ることになって、政策は引き継ぐというお話をなっていたのに、そういう言い方をすると、また松沢さんが怒ったりしませんでしょうか。

【知事】お互い議会を抱えて、県知事やってきたんですから、理事者と議会の関係というのは彼だって分かっているだろうし、そういう大事な問題、しかも人の嗜好にかかわる問題を、知事がトップダウンで独断で決める問題じゃないんじゃないか。自分で考えたら分かるだろう、そんなことは。頭冷やして考えろよ、そんなこと。つまらない質問だ、本当に。はい。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)